満足度★★★★★
ほとんど感服
大きな括りで言えば「家族モノ」ではあるが、(σ(^-^) の弱点であるところの(爆))「家族の絆」よりも肉親であるがゆえの甘え(と反発)から生じた溝を描いており、優しさの中からビターテイストが時折表出して、ふわりとした感触なのに強く握るとトゲがある、な感覚。
またそれが、中心となる姉妹(とその弟)の子供時代・少女(少年)期・大人になってからの3つの時代を過不足無く描きつつも90分のワクにキッチリ収めるというのが見事。
さらにその3つの時代はもとより、同じ時代の中でさえも部分的に時系列に沿わない並べ方をしながら、ちゃんとわかる(どころかむしろわかりやすい?)のも巧みだし、回想や説明の短いシーンをサラリと挿入する手口(笑)も上手く、ほとんど感服。
そんなスタイルで、子供ゆえの無神経さ・残酷さでやってしまった(その時はそう思っていなくても大人になってから振り返ると)取り返しのつかないことや、そんな子供時代・少女期の体験が大人になっても尾を引いていることなどまで語って、ホントに巧い。
小説などでテレパシーを「頭の中に直接響く声」などと表現することがあるが、これは「心の中に直接響く芝居」で、共感というよりも共鳴。遠赤外線の如くジワジワ効いてきて、観終わってからもホロリとしたり…。
あと、上方から吊るされた丈が3メートルはあろうかという6着の赤いニットのワンピース(そこから垂れた糸を血に見立てる手法も含む)も印象的。
しかし当日パンフ(に挟んだ紙片)に大半が夫を喪った女性の心境を詠んだものである俳句を載せて涙腺を緩めておいて最初に見せるのが子供たちの情景(郷愁をそそるんだ、これが)というのは卑怯!(笑)
満足度★★★★★
暗闇の中から立ちのぼる家族の記憶の糸、それは過去から未来へと連綿と繋がる赤い糸
美しいシーンが舞台の暗闇の中から浮かび上がる。
どの登場人物も魅力的で愛おしい。
笑いも織り交ぜながら、家族の姿を浮かび上がらせていく。
感情が高ぶり、ぶつかり合っていても、とても豊かな物語が編み上がっていく。
満足度★★★★★
物凄い!渾身の一作!
こんなに感動したのは今年になって初めてかもしれない。しかしこの感動は爆発的なものではない。あの「F」のようなじんわり感じる繊細さだ。物語は優しげで温かみがあって日向でうずくまる猫のいる家を思い起こさせる。だけれどもその家族の風景は誰もが記憶の中にある一コマとして持っているものだと思う。だから・・・、確実にワタクシの記憶にリンクして、心に突き刺さった。間違いなく今年の一押しだ。登場する全てのキャストが秀逸なのも作品を盛り上げた。
以下はネタばれBOXにて。。
すべての役を好きになった
このカンパニーは2度目の観劇。記憶をモチーフにするところは前から一貫しているけど、その使い方がはるかに進化していた。冒頭は少し心配になったが、すぐにどんどん惹き込まれました。すべての役が好きになれるなんて、滅多にない体験。これからがさらに楽しみです。