シャドーランズ 公演情報 シャドーランズ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★


    私は頭が悪いので神が話に出てくるとよく分からなくなる。

  • 満足度★★★★★

    帰って、「ナルニア国物語-魔術師のおい」を読みました。
    大好きな加藤健一事務所、前回の「高き彼物」から日を置かず、もうこんな作品を作り上げるとは、さすがです。子供のころ夢中で読んだ「ナルニア国物語」の作者、C・S・ルイスにこんな話があったなんて!帰宅してすぐに「ナルニア国物語-魔術師のおい」を読みました。なんだかお話の背後を感じて、切なくなりました。 装置もとてもすばらしく、鵜山さんの演出がとても生きていたと思いました。加藤さん、春風さんもとても良かったのですが、斎藤晴彦さん、新井康弘さん、少年役の石田麻織恵さんがとても良かったと思います。特に斎藤さんを舞台で拝見するのは、私は30年ぶりくらいで(黒テントの「夜と夜の夜」以来)とても印象深いよいお芝居をされていると思いました。

  • 満足度★★★★

    愛と痛み、そして神
    セットの色調もあるが、重厚でしっとりとした舞台だった。
    やはり舞台に引き込まれてしまった。

    途中の休憩で、ふーっと息をついた感じがある。
    休憩があってよかったと思った。
    それぐらいの深さの中に、私もいたような気がする。

    ロビーに主人公ジャックことC・S・ルイスの書いた物語のあらすじが貼り出してあるのだが、これを読んでおくと、舞台の内容がもう少しわかるところもあると思う。

    ネタバレBOX

    主人公ジャックの神への疑問で幕が開く。
    つまり、そのとき神は知っていたのに何もしてくれなかったということ。
    遠藤周作の『沈黙』などを挙げるまでもなく、神について語られるときに、当時に発せられることの多い疑問だ。

    ジャックは、さらに続けてこう言う。
    人が形成されていくには、「痛み」が必要だ。それは、まるで大きな岩にノミを当て、削り出していくことで人間が形作られていくように、ノミのひと削りひと削りの痛みが必要なのだと。
    そして、この世の中は影であるとも言う。

    神の愛とは何かということも。

    このときの彼の言葉は、まだ他人事であったのだが、後にジョイに知り合うことで、身をもって、まさに自分の身体と心で体験していく。

    大人の恋物語であるのだが、恋に年齢はない。
    いつだって、それは同じなのだ。

    ジャックは自分のそういう気持ちに気がつかず、この年齢まで1人でいた。
    そのことを気づかせてくれたのは、ジョイだった。
    他のイギリス人から見ると、ジョイは少々違和感のある女性だったようだが、ジャックにとっては、そうではなかった。まず、自分の理解者であるということがあり、恋に落ちてからは後のことは何も見えなかったのだろう。
    恋を知ることで、彼は変わっていった。

    しかし、重くて、つらい物語だった。
    ファンタジーへの扉が開くシーンも、黄金のリンゴのエピソードが絡み、つらい。

    人を失うことは、ある年齢に達しないと、リアルな感覚にはならないのかもしれない。
    ジャックが子どものときに母を失い「楽なほう」へ行ったように。

    観客の私にとっても、そういう年齢に達した今、この舞台での出来事はずっしりと重くやってきた。
    繰り返し述べられる、神のノミで石から削り出される人間のエピソードが、彼の心の支えになっていく。そして現実は影だということも。

    私にはたぶんそうはできないような気がする。
    宗教観の違いかもしれないし、求めるものの違いかもしれない。

    しかし、人は何らかの方法で、喪失感と向き合い、それを乗り越えていかなくてはならないのだ、ということを強く感じた。

    物語が物語だけにしょうがないのだが、もう少し明るさがあれば申し分なかったと思う。次回もまた死を扱い、重そうなので、観劇はちょっと考えてしまうなぁ。


    ジョイはまるで台風のように ジャックのもとを訪れ去って行った。
    残されたジャックは、その後どんな物語を描いたのかが気になった。つまり、前と後では創作上、何が変わったのかが知りたくなったのだ。
  • 満足度★★★★

    静かな純愛物語。「この世は影にすぎない」宗教だけでなく様々な偏見も描かれる。
    本年初観劇は、これ!
    『永遠の愛に生きて』という邦題の映画にもなった、
    「ナルニア国物語」の作者C・S・ルイスの最初で最後の恋の物語。
    中年の純粋な恋愛物語に泣きましたが、そのベースには、
    C・S・ルイスとイギリス国民の宗教観が大きく横たわっています。
    それだけではなく、 離婚歴があるユダヤ系アメリカ人であるジョイや、
    女性の自立に配する偏見も描かれていて、深い。

    加藤さん、春風さんも自然で良かったのですが、
    他には、特に本当に穏やかで静かな斎藤晴彦さん、
    偏屈さがよく出ていた新井康弘さん、そして
    意外と重要な役回りの少年役の石田麻織恵さんが印象的でした。

  • 満足度★★★★★

    新年、観劇初め。素敵な滑り出し。
    2010年、観劇初めに素敵なお芝居を観劇できました。
    加藤健一事務所得意の感動的で心がほっこりする翻訳劇でした。

    ネタバレBOX

    1950年代の英国での実話がベースとのこと。
    ファンタジー作者でもある大学教授とその友人たち、そして兄。ちょっと偏屈に写る英国紳士たちの下にやってきたのは、米国の少しミステリアスな女史・・・、といった導入。

    主人公は学生への講義にて繰り返しこう語る。
    「神は、ただの石ころである私たちを、悲しみによって人間にしてくれる。ノミの一打ち一打ちは痛いけれども」
    しかし、物語が進むうち、主人公に訪れた悲しみによって、同じセリフの色合いが深く色濃く変化していく。

    人を愛することの尊さと儚さが見事にかみ合った感動作でした。
  • 満足度★★★★★

    静謐な愛の物語
    思った通り、春風ひとみさんの出演が、この作品を成功作に導いていました。
    春風さんが、舞台に登場した途端、舞台が波打ち、みるみる気持ちが引き込まれて行くのがわかり、二人が心を通い合わせて行く気持ちに寄り添いながら、最後まで、見守ることができました。
    日本人では、なかなか口にしないようなストレートな愛情表現も、加藤さんと春風さんの口から発せられると、なんの違和感もなく、素直に感情移入できて、清々しい気持ちになりました。

    取り立てて、センセイショナルな物語進行ではないので、春風さんでなく、演出が鵜山さんでなければ、これ程、感動的な舞台に形成するのは、難しい題材だったかもしれません。
    それに、ストーリーに重要な役どころの子役さんが、本当にいい演技をされて、お二人の名演に水を注さなかったのが、救いでした。
    主人公の、神に対する思いが、彼女との関係を通して、微妙に変化して行く様子も、静かな流れの中で丁寧に描かれ、主人公の思いを、観客が追体験できるような上質な舞台でした。 

    若かりし頃、ズートルビの一員として、バラエティタレントだった新井さんが、中年になって、得がたい役者さんになられたことも、感慨深く拝見しました。
    「ナルニア国物語」、読んでみたくなりました。

    ネタバレBOX

    昨日、大切な友人の訃報を聞いたばかりなので、涙が禁じえませんでした。
    洋服ダンスのセットと照明の工夫が素晴らしく、童話の世界に自分も誘われた気持ちになりました。
    身近な家族や友人に、ありったけの愛情を注いで、毎日を潔く生きたい思いに駆られる、素敵な物語でした。

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