透明な

劇団EnTRoPy（神奈川県）

公演に携わっているメンバー：7人

団体紹介

　劇団EnTRoPyは慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの唯一の演劇サークルです。一見難しげな名前ですが、その実とても懐の広い団体でして。というのも、EnTRoPyというのは”Entrance To Roots of Play“の略、つまり初心者大歓迎の演劇サークルなのです。実際、構成メンバーのほとんどは大学に入って初めて演劇を始めたという人ばかり、という団体ですが、そこにかける想いや情熱は人一倍なメンバーばかりです。今年２０周年を迎えた弊劇団には、脈々と受け継がれてきた技術や豊富な資材があることもあり、常に新しい視点からの「やりたい」を実現する環境が整っているので、新たなチャレンジがしやすく、公演ごとに全く気色の違った様々な舞台が出来上がります。
　演劇というものは新たに始めるには敷居の高いジャンルだと思いますし、それは娯楽として決して身近とは言えない位置付けにあることが一つの原因だと思います。EnTRoPyが目指すのは、初心者が作るからできる、そうした敷居を取り払ったお芝居の提供です。

応募公演への意気込み

　審査対象作品は『透明な』です。本公演のテーマは「目に見えるものが全てか？」。お化けとかそういうことではないです。ただ、最近SNSなどを見ていて思うのは、同年代の子が周りの目をすごく気にするようになっていくなあ、ということで。誰かからいいと思われたい、とか、すごいと言われたい、とか。もちろん大切なことです。すごく大切です。大学を卒業して社会に出れば、私たちを判断するのはいつだって他人ですから。やりたいことばかりやっていられない、わがままばかりじゃ生きられない。でも見えるものばかりに囚われて、自分を見失うことは、すごくすごく悲しいことだと私は思います。
　やりたくてやっている人ばかりの演劇だって結局お客様ありきですから、同じです。最後は他人の評価です。でもそこに生身の人間がいて、その人が何かを感じたり動いたりしている様子を目の前に見ることのできる「演劇」だからこそ、伝えられることがあるし、伝えたい。
　そんな想いで今回の舞台を作ります。この舞台が執行代のメンバーにとっては引退公演です。よりたくさんの心の底に届け。

将来のビジョン

先にも述べたように、弊劇団はその名の由来の通り、「初心者大歓迎の演劇サークル」です。ですがこれは、決して“初心者ならではの教科書１ページ目“的な舞台を目指している、ということではありません。弊劇団は基本的に7,10,12,3月に定期公演を上演していますが、この活動期間外では多くの劇団員が他劇団や他分野で様々な活動を行い知識や経験を積んでいます。各々が自分たちのフィールドで活躍しながら、同時に定期公演で活かせるものを積極的に吸収していく姿勢には目を見張るものがあります。同じことばかりをやっていては演る側も観る側も面白くない。そういった意味で、劇団EnTRoPyは“生きる”劇団を目指します。
　また、セクションが固定制でないのも特徴の一つで、前回役者をやっていた人が今度は裏方に回ることもあれば、その逆も然りです。各々が自分以外のセクションのことも気配りしあえる、というのはどの劇団ひいてはどの組織においても重要なことですし、だからこそ生まれる劇団の味というものもあると思います。
　そういった意味も込めて、EnTRoPyの劇団員が今後どの分野のどこにいっても、気配りの良さが代名詞となるような劇団を目指し、活動を続けていく所存です。