たしかめようのない
ブルーエゴナク
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2024/11/26 (火) ~ 2024/11/28 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
舞台に並べられたパイプ椅子、夢へのエントランスに見立てたハンガーラック、
光を遮断するカーテン、そして、その奥の窓。スタジオの無機質さとその備品を活用し、
「夢と現実の間」という劇空間を鮮やかに創出した前作『波間』。
まさに波と波の間で夢と現実とが擦れ合って音を立てている。そんな演劇だった。
そして、それらは当然のように「現実と虚構の間」に居座り、
やがて窓の外へと帰っていく私にとっても決して他人事ではない。
ブルーエゴナクの演劇は時間をかけてその実感を私に伝えた。
スタジオHIKARIにもまた窓がある。
『たしかめようのない』という作品はあの大きな窓の外から何を持ち込み、
そして何を運び出すだろうか。私は、この身体でそれをたしかめたい。
上記のようにコメントを寄せた、ブルーエゴナク『たしかめようのない』。
"存在感"という言葉が多出するも存在も不在も何を以てしてそうかはその実たしかめようがなく、
いるのにいない寂寞を感じる事も、いないのにいる強烈を覚える事もある。
世界に輪郭を握らせぬ不条理と空間の余白にこそ"存在感"が宿る演劇だった。
そういった意味で、本作もまた空間の扱い方に技術と個性が光っていたように思います。
それゆえに、今後も、様々な劇場や劇場的空間、その場とのマッチングや共振、あるいは違和や反発を観てみたい団体の一つです。スタジオっぽくない劇場での見え方も気になります。
青春にはまだはやい
プテラノドン
「劇」小劇場(東京都)
2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
プテラノドン『青春にはまだはやい』最前列で。
もはや中盤からなんとか堪えてた涙、がラストスパートにかけ大決壊。
登場人物の多い作品において全員を等しくかつバリエーション豊かに魅力的に描くというのはとても難しいと思うのですが、その点において笠浦静花さんの劇作はいつだってすばらしくて。私は笠浦作品のそこが本当に好きなのだと再確認しました。
それぞれリレーのように隣人/他者への取材や紹介を経て絆を深めたり、自身を成長させていく様には、人と出会い、人を知り、人との間で生きていくことの豊かさが詰まっていて、主題であるNコン・ナレーション・放送というものへの解像度と深度の高さ、作家としてのテクニックも感じました。
また、「その後」を描くパートでの伏線回収の一つ一つにも愛が宿り、それらをクライマックスで最高温度でぶつけていく、というドラマを紡ぐ上で、何を飾り、何を差し引くかという技術の高さも感じました。
笠原さんの戯曲は、人間が可笑しく愛らしいものなのだということを、それらが交わる時間は美しいということを技術と情感を以ていつも信じさせてくれる。そして、それは各々の技と個性で物語に血肉を、いわば人生を吹き込む俳優陣の力が揃ってこそ最大に輝く。
柿丸美智恵さんの演じる17歳なんて何が何でも見たいに決まってるし最高にイカしてました。不器用な温かさを一身に纏った大内彩加さんがすごくすてきだった。
太田知咲さんのハグは観客の祈りをも引き取ってくれたものだった。
水野小論さんのキュートさ!愛しさに満ち溢れた105分。私もがんばって生きる。
ジゼル、またはわたしたちについて-Giselle or about us- 2024 TOKYO Remix
waqu:iraz
スタジオ空洞(東京都)
2024/11/12 (火) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初めてのwaqu:iraz。
『ジゼル、またはわたしたちについて-Giselle or about us-2024 TOKYO Remix』というタイトルの全てをまさに詰め混んだ意欲作。ロマンティック・バレエの代表作『ジゼル』を文字通り、"2024年の東京を生きるわたしたち"にリミックスした作品。社会や時代を貫く風刺のきいたラップもダンスも痛快で、それでいて変化に戸惑う人の声も置き去りにしないところに奥行きを感じた。
うみのかたわれ
らむらどぅプロデュース
王子小劇場(東京都)
2024/11/28 (木) ~ 2024/12/02 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/11/28 (木) 19:30
気になる女優がいっぱい出てるが、おだやかな会話劇。面白い。前説込み94分。
双子とそれを取り巻く人々4組のあれこれを描く。大きな事件が起こるわけではないが、繋がりがあるようなないような、の話が作られる。加藤睦望・さんなぎ・シミズアスナ・波多野伶奈・藤真廉・村上弦、と、よく観てる女優がいっぱい出てて興味深く観た。「双子」と言うには似てないペアがほとんどだが、双子ならではの情景が巧く描かれているとは思う。
アンダーカバー
演劇の青山
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2024/11/28 (木) ~ 2024/11/30 (土)公演終了
満足度★★★
ある会社でまき起こる(可能性としては低いけど…)ドタバタコメディ 笑い処満載では有るが、面白だけ 流石がコメディエンヌ 笑いたいが目的なら是非
真夜中の戦士
株式会社NLT
すみだパークシアター倉(東京都)
2024/11/23 (土) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
「目覚めると、そこは戦場だった。」という状態(実際登場人物達も訳が分からずとまどっている)から一体どんな物語が展開するのか、全くもって手探りからのスタート
「人は何故争うのか」根源的なテーマから派生した物語で
永井豪と言えば『デビルマン』という認識だった自分にとって、嬉しい事に共通の世界観が流れており、これにはもう痺れました
セットはシンプルながら流動的、衣装や小道具そしてナチュラルに見えるヘアースタイルにまで原作画のイメージを尊重したと思える強いこだわりが
目玉と言って良いくらい多くのバトルアクションシーンがあったのですが、格別にキレッキレの役者さんが数名いらして、帝国劇場でしか観られないはずの大技まであったりしてエンターテイメント性抜群
エピローグを引っぱり過ぎているのではないかという違和感がありましたが、面白かったと思う部分には揺るぎはなく、怪作!インパクトある公演でした
青春にはまだはやい
プテラノドン
「劇」小劇場(東京都)
2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
どんな内容になるか想像がつかなかったが、とても面白かった。
制服や年齢差のある高校生の意味合いが納得できて観終わってスキッとした。それぞれの世代の細かな設定など本当に笑えた。
コミカルなだけではなくラストに向けての流れにはグッと来てしまった。
ウソの歴史のツクリカタ
劇団KⅢ
萬劇場(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
説明の「男も及ばぬ大力無双 毘沙門天の化身と言われる上杉謙信。その名を歴史に残した武将。史実に謎を残した男」から、何となく<ウソの歴史>の想像がつく。この設定は 根強く囁かれており、他の謙信を扱った舞台でも観たことがある。
本作は、戦国時代らしく影武者という存在を絡めることによって、心の深淵を覗き込むような深みを持たせている。特に中盤から終盤にかけての謙信と影武者、夫々の葛藤を激白する場面は面白い。それだけに前半の緩い冗長のような場面が惜しい。前半の柔らかさと後半の硬さ、その落差というかギャップで印象付けようとしたのだろうか。
スピード感ある殺陣、それを効果的に観(魅)せる照明、迫力を煽るような音響音楽は好かった。
タイトルは、現代的な問題も潜ませており興味深かった。戦国時代という生き残りをかけた修羅の時代、翻って 今は剣からペンへ、さらにインターネットという目に見えない武器を駆使して勝者となる。そこに風評という魔物が…。
(上演時間2時間5分 途中休憩なし)
Illya and Roy
アユカプロジェクト
シアターシャイン(東京都)
2024/11/28 (木) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初日、観てきました。初見の団体さんでしたが、期待した通りのものでした。古典文学もしくは実話と言われてもわからないくらい完成度の高い作品と感じました。おそらくこれは、セリフ一つ一つに違和感を感じなかったからと思います。だいたいは、そこでそれは言わないだろう~とか、そんな反応はしないよな~など少々ケチのつくものなのですが、全くそれを感じさせないもので、非常に丁寧に作られたものと感じました。次回作も期待しています。
ゴーギャンおやじ2
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
グワイニャオンさんの芝居を観るのは3年ぶり,やっぱり面白かった。最初から芝居に引き込まれて,休憩前と後ではタッチが変わったような気もしたが,最後には上手くまとめている。グワイニャオンさんの芝居は色々な顔を持っているけど,どれもハズレがないから,安心して芝居にのめり込んで観ていられるね。今回も休憩を含んで2時間半の長丁場だけど,飽きることなく,満足感は半端ないです。観れてよかったなぁ。おススメの一作品です。
ゴーギャンおやじ2
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初日を拝見。華5つ☆ タイゼツベシミル❢!(追記後送)パート1,パート2でトーンが大きく変わる。間に10分の休憩が入るが、この休憩中も板上では名場面集が上演されている。
ウソの歴史のツクリカタ
劇団KⅢ
萬劇場(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
青春にはまだはやい
プテラノドン
「劇」小劇場(東京都)
2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
めちゃくちゃ面白かったです。その年代は⋯と頷ける事が有ったりクスッと笑えたりその時代の自分に想いを馳せながら楽しめました。キャストの皆さんの個性が1つとも被ってなくて素晴らしかったです。リピートしたくなる面白さです。
SEXY女優事変ー絶頂作戦篇ー
劇団ドガドガプラス
浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)
2024/11/24 (日) ~ 2024/11/30 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
AV新法にアイドル業界、宗教界隈と 望月六郎 ワールドは本当に面白い!その中で生きていく若者、おじさん、おばさんたちが、悲しみや辛さも笑い飛ばして生きていくたくましさに元気をもらえる。
盛りだくさんのエピソードは、シリーズ過去作の回収や次回完結編につながり期待が膨らむ。前3作を見ていなくてもキーになるところはちゃんと見せてくれる。
訳がわからないまま見ているうちに、妙に腹落ちしたり、情報を咀嚼するのも楽しい。とにかく楽しむのが一番ですね(笑)
ドガドガプラスに欠かせない歌とダンスは今回もとてもいい。新曲で言うと、ノリノリのパンクロックはかっこいいし2幕最初の歌はじんわりと心に残る。
東洋館の舞台を生かした演出や照明(懐中電灯が意外に効く)も面白いし、小道具が笑える!
楽しめること請け合いだと思います。
翔びなさい!アヒル
フリーハンド / オフィスケイ
テアトルBONBON(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
約40年ぶり位の舞台鑑賞でしたがとても良かったです。
コミカルな部分も有ったり、シリアスな部分も有ったり、ラブストーリーが有ったり、これって実際の世界でもあるんだろうなって人間模様が描かれた作品で、個人的にはとても感動した部分も有り、楽しく鑑賞させて頂きました。
演者の皆様、スタッフの皆さんの頑張りが素敵なステージ作っていることが伝わる舞台でした。
これまで舞台に行く機会なかったことも有りますが、舞台って良いなって思わせてくれた、また、観に行きたいと思いました。
「コーヒーが冷めないうちに」
カワグチプロヂュース
萬劇場(東京都)
2024/11/19 (火) ~ 2024/11/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/11/21 (木) 14:30
2011年の再演版を皮切りに通算5回目(の筈)となるが連作短編4話の「基本・変奏・応用・そう来たか!」な構成に舌を巻く。
また、5回目だけに内容は頭に焼き付いており、伏線的な出来事や人物で「ああ、これがああなるんだ」と先が「見える」のもまた楽しからずや。
できることなら本作に関する記憶を消してまっさらの状態でもう一度観てみたいが無理だもんねぇ(笑)。
あと、林さんが「あの役」とは……!(もちろん良かった)
ゴーギャンおやじ2
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
鳥籠が鳥を探す・K
演劇実験室◎万有引力
座・高円寺2(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/11/29 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
万有引力とは
ひき合う孤独の力である
宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う
「二十億光年の孤独」谷川俊太郎
先日92歳で亡くなられた谷川俊太郎氏のこの詩から取られた劇団名『万有引力』。
鳥が鳥籠を探し求めているのか
鳥籠が鳥を探しているのか
開幕前、ニーノ・ロータ調のテーマ曲がエンドレスで流れている。時折チェコの首都プラハにあるフランツ・カフカの生家らしきモノクロの写真が明滅する。ヴァイオリン片手にふらりと現れた多治見智高ジーザス氏が舞台を開く。
1912年、オーストリア=ハンガリー帝国(現チェコ)で労働傷害保険局員の仕事の合間に小説を書いていたフランツ・カフカ(小林桂太氏)。フェリーツェ・バウアー(森ようこさん)と出逢い夢中になる。手紙魔だった彼は狂ったように手紙を送り、後に彼女が保管しているだけで500通以上もあった。一日二通送る程の狂熱。二人の共通の知人であるマックス・ブロート夫妻(加藤一馬氏、木下瑞穂さん)が相談に乗る。段々と彼の手紙に夢中になっていくフェリーツェ。カフカは書き始めた『変身』について綴っていく。
グレゴール・ザムザに髙田恵篤氏。だが彼は毛布を引っ被ってほぼ姿を見せようとしない。『エレファント・マン』のようなニュアンス。
父親に今村博氏、母親に伊野尾理枝さん、妹に山田桜子さん、女中に内山日奈加さん(久々の登場!)、雇い主に髙橋優太氏。
J•A•シーザー氏の楽曲の強さが全開。ド迫力で持っていかれる。前半の強さに圧倒された。役者達はまるで人形のように何かに操られているかの如く動く。時折、猿山の猿のようにも。人間を使った贅沢な人形ごっこ。
森ようこさんが光り輝いていた。
凄く面白いので是非観に行って頂きたい。
レットイットビーム
コメディアス
OFF OFFシアター(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
RTA(Real Time Attack)のようなライブ感ある公演。確かに「光路を作り出す過程を描いた光学演劇、光VS人間のレーザーコメディ!」という謳い文句の通りなんだが…。
前説の中に設定を語らせ物語が始まる。しかし始まってしまえば設定等 ほとんど関係なく目の前の装置とアイテム入手に集中する。今まで密室や迷路からの脱出劇は観たことがあるが、シャレの意味で古さを省いた<光学>ならぬ<考学>といった公演。色んな意味で評価が分かれそうな気がする。
RTAといっても公演時間内には完結する。ちなみに装置は手動ではなくセンサーで反応させているため、機器の調子と役者の操作の加減によって上演時間が長くなるかも といった情報が前もって知らされた。公演情報では上演時間80分であったが、観た回は90分(途中休憩なし)だった。
全編を通してレーザーのパズルがどのように解決していくのか、その遊び心ある過程には観(魅)入らされた。
青春にはまだはやい
プテラノドン
「劇」小劇場(東京都)
2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
大変楽しめた作品でありました
細かなところもキチンと
抜けなく出来ていて
心踊らされた105分
全席指定
ただ開演前の場内BGMとかは
あった方が自分は
嬉しいかなと