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海のない島

海のない島

劇団B♭

テアトルBONBON(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

約30年ぶりの再演、しかし その内容はどんなに時を経ても色褪せることはないだろう。現代と昭和20年を往還し、改めて戦争の悲惨さと平和の有難さを訴えた公演。その観せ方はコミカルとシリアスが混じり、飽きずに考えさせるといった印象だ。時に 舞台となった沖縄戦、その地元踊りと地唄を披露し観せ聞かせ楽しませる。

何度も繰り返される「青く青く静かに光る海を見ながら」、その台詞こそがタイトル「海のない島」と対になっているよう。物語は、或る1日のTVのニュース番組から始まる。いつの間にか時間と場所を飛び越え 戦時中の徳之島へ、登場するのは ひめゆり学徒隊と特攻隊員、その悲しいまでの話が紡がれていく。公演は、物語の中だけではなく、この思いを忘れることなく 我々観客が語り継ぐことを訴えている。
(上演時間1時間55分 休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術…後景は黒平板に黒角材を打付け、上手 下手は夫々階段状にし花飾りを置く。
舞台技術…現代は穏やかな波の音、優しいピアノの音色。一方 戦時中は機銃・爆撃音、照明は赤く染まり緊迫感を出す。

物語は、TV報道番組で最近 鏡の盗難事件が連続して発生している といったニュースを伝えているところから始まる。その特集取材のため徳之島へ。現代は不可解な事件を追い、終戦間際は ひめゆり学徒隊の少女達、特攻隊の青年達の記憶をよみがえらせる というように時代を交差して描く。砲撃から逃げ惑い、特攻出撃までの緊張感、50年間同じ悪夢を繰り返しみる苦悩。海上は敵艦で埋め尽くされ真っ黒、そのため きれいな海が見えない。

少女達の思い…鏡を粉々に砕き、その欠片がキラキラと光り海を照らし出す。悪夢を終わらせ新たな未来(希望)ある夢をみたい。それが繰り返しの台詞「青く青く・・」である。青年達の思い…特攻出撃した際 上空から投げた花、それが根付きお花畑になり脈々と咲(生)き続ける。そのためには手入れし大事に育てなければ。その思いを受け継いだのが、今回取材を受けた老女 徳田さち。

現代のTV関係者 筑紫炭鉱や滝川・クリス・テル子、そして徳田さちのコミカルな描き、一方 戦時中の少女・青年達のシリアスといった描きで 敢えて観せるために硬軟使い分けているようだ。だから過去の少女・青年役は現在のTV局のAD等の一人二役を演じるが、コミカルさは観せない。現代の奇妙な事件と沖縄戦を抒情的に結び付ける。
死んだことは、ひめゆり学徒隊・特攻隊という言葉で知られているが、彼女 彼らが生まれ生きていたことは忘れられている。「言葉」だけの美辞麗句に対する痛烈な<思い>が綴られているようだ。
次回公演も楽しみにしております。
広い世界のほとりに

広い世界のほとりに

劇団昴

あうるすぽっと(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

近代劇以降、どこの国にも「家庭劇(家族劇)」の伝統はある。ことにイギリスには、テレンス・ラティガンを始め、よく上演されるこのジャンルの劇がいくつもあり、その幾つかは我が国でも翻訳上演されてきた。今月も俳優座で上演された「夜の来訪者」(プリーストリー)もミステリ劇だが、家庭を舞台にしている。この作品は今世紀になって発表され、しかも初演はドイツと言うから、前世紀とは事情は違うあろうがやはりお国なまりは抜けない。紛れもないイギリスらしい芝居である。
物語は格別事々しいことはなく、工業都市のマンチェスター近郊の三世代が身を寄せて住む家族の変転である。冒頭、末の孫世代ののむすめが交通事故で死んだところから始まるが、このような事件は以後起きず、祖父にはがんが見つかり、父母は過ぎ去った青春に果たせない焦燥感を持ち、青春期の孫ははじめて女友達と、旅行を試みて親と対立し、それを包むように父の左官工の職場の一コマが描かれ、交通事故を起こした加害者は陳謝に訪れ、男たちは祖父、父、孫それぞれに不器用に会話をし、女たちはお互いにどこかにわだかまりを持ちながらともに暮らす。それは今までにも見た家庭劇の再現でもあるようだし、先世紀の家庭劇にはなかった情景でもある。
日本で東京が遠いようにイギリスでもロンドンは遠いところに暮らす人々は多い。しかし僅かながらでも時代の風景は動く。
今は現代だけの人と事件の情景から出来ている舞台も翻訳劇でたくさん見ることが出来るが、この辺がイギリスの市民社会の平準的な風景なのだろう。日本で言えば、横山拓也の作品と言ったところだ。
今回は俳優座の真鍋卓嗣の演出で、翻訳はこのところ小洒落た作品をこなす若手の広田敦郎。台本作りも上手く、テンポも良い演出で二幕ほぼ三時間(休憩10分)の長丁場である。翻訳劇には慣れた昴のベテランから新人まで舞台面にソツはないが、台詞の音量が揃っていない。一部の俳優の台詞は劇場(あうるすぽっと)の中段までも届いていない。現代語で早くなると母音の芯がしっかり出来ていないから訳がわからない。俳優座は劇場があったから、ここで俳優座の俳優は訓練される。昴では大山の小劇場で台詞が通ったからと安心したのが裏目に出て、俳優座劇場クラスのあうるすぽっとでは、10段目の周囲の客はついていけずお休みの方も少なくない。人間関係が結構複雑な展開だから、ここはもっと気遣いが必要だろう。
開いてから日はたっていないが、招待客も多く実態は半分の入り。折角大きめの劇場を抑えたのに残念な入りだった。

都合

都合

こわっぱちゃん家

アトリエファンファーレ東池袋(東京都)

2024/09/12 (木) ~ 2024/09/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/09/14 (土) 13:30

夫の不貞に基づく一組の夫婦の離婚調停を軸に別の夫婦や判事夫妻なども描きつつ進める物語。
推理小説でお馴染みの「その手法」に演劇ならではの「あの手法」も加えて観客を欺くのが巧み。その一方、やはり演劇ならではの手法でヒントも与えるとは恐れ入る。(笑)
全体像を知ってからもう一度観るとより面白いのではないかな?
また、いつもながら舞台空間の使い方も巧い。メインとなる横広がりの馬蹄形のカウンターを、調停の場の机に使うのはもちろん、複数の場所にいる人物を同時に着席させて照明によって場の違いを表現するとか、さすが。
なお、前週に観た UNITレンカノ「一度」と本作、ともに1°(角度) に言及する部分があろうとはオドロキ。

ネタバレBOX

調停に同席する判事もまた被告となっていたというのは人探しを依頼された探偵がたどり着いたのは自分自身だったとか語り手自身が犯人だったとかの叙述トリックっぽいし、舞台上で併走している複数の場が実は異なる時期のものであるとか同じ人物なのに服装を変えることで時期の違いを表現するとかいかにも舞台演劇だよね。ただ、登場人物が多いのに衣裳が変わると少なくともσ(^-^) は戸惑ってしまうが。(笑)
『ノアちゃんの方舟』

『ノアちゃんの方舟』

route.©︎

王子小劇場(東京都)

2024/10/03 (木) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/10/04 (金) 19:30

続いて side U を観た。本筋はそのままで終盤の展開が変わる。こちらの方が好み。80分。
 ほぼ同じ展開だが終盤が大きく変わる。印象は大きくは変わらないが、何となくこのバージョンの方が気に入った。メンバーの平安は、メインキャラかと思うと実は象徴的な存在。まひたん改め岡本麻妃呂と小泉日向は警察かなと思う組織のメンバーで、物語をサイドから支える。謎の存在の夜半(井本みくに)と、セーラー服で登場の白雪(小町雪)の存在が気になる。

『ノアちゃんの方舟』

『ノアちゃんの方舟』

route.©︎

王子小劇場(東京都)

2024/10/03 (木) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/10/04 (金) 15:00

side I を観た。気になっている劇団の、リアルな要素もあるダークファンタジー。82分。
 地下グループアイドルだったノアちゃん(平安咲貴)が卒業する。黒いスーツの4人、卒業したアイドルグループの3人、ノアちゃんを押してた人や様々な人たちの描くファンタジー。最初、リアルっぽい話で始まるので、あれちょっと作風変わったかな、と思ったのだが、やはりいつものダークファンタジー。ただし独特の世界観というより一般的に受け入れられやすい展開になっている。吃音者へのいじめ、とか、リアルな場面はちょっとイタイが、いつものような生き辛さを抱えた人への目線を感じる。終盤、あれ、これ別の芝居で観たぞ、のシーンとかの遊びもいい。終盤の「hero でも villain でもない」ってセリフにビーチボーイズを思い出したが、平安が知ってるわけはないかな(^_^?)。

コラソンのおともらち

コラソンのおともらち

コラソンのあんよ企画

APOCシアター(東京都)

2024/10/04 (金) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

3種3ようのお話しにグッと引き込まれます 西山様作演出 素晴らしかっです 有難う御座いました

ピンポンパン!

ピンポンパン!

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです!
本当にピンポンに関わるお話でした。運動部の慣習やもの言いに世代感が現れていて、そうか、今時はそんなこともパワハラとか言われるんだ・・・と、まだシゴキとかあった時代の人間としては時の流れを感じました。現コーチの卓球試合のシーン再現が笑えました。
しかしこのOG会・・・

ネタバレBOX

実は何もかも、こうなることを予想した教頭先生の作戦だったのではないか?
嗤う伊右衛門 2024

嗤う伊右衛門 2024

Mido Labo

サンモールスタジオ(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです!
顔の半分がただれた女のチラシと伊右衛門ときたら、やはり「四谷怪談」を思い浮かべるし、概ねそういうお話ではありましたが登場人物の設定などは違っていたかと。
最初はなんとも胡散臭いと思って見ていたいわば脇役の登場人物が、だんだん可愛らしく?見えてくるのが自分としても不思議でしたが、演出の妙でしょうか。
地の文そのままらしい語りとセリフで紡がれ、最小限の舞台美術と、照明、効果音で作られた世界に没入してしまいました。しかし、それにしても・・・
(ネタバレ追記しました)

ネタバレBOX

伊右衛門とお岩の愛は純愛だったかもしれませんが、周りの人物たちの歪んだ愛が悲劇を生んでいるとしか思えませんでした。
原作も読んでみようかと思いましたし、読んだらきっと脳内では今日の登場人物たちがこれでもかと活躍してくれそうですが、胸糞悪い奴らが多くて読む気が失せてしまったということは京極先生にはご内密に。

以下追記
お岩さんは気丈で潔くて愛情深くてかっこいいです。喜兵衛に騙されて伊右衛門のためにときっぱり身を引くところにもそれが現れていると思いますし、伊右衛門もそんなお岩に惹かれたのかもしれません。しかしお岩さん、もっと素直になろうよー。もっとちゃんと話もしようよ!日頃は顔のアザも気にしない風なのに、やはり伊右衛門を前にするとそれが引目になってのツンデレなのかと思うし、伊右衛門はそんな天邪鬼なところも可愛いと思ったのかもしれません。伊右衛門は自分の子でもない赤ん坊も慈しんで、本当に優しい人だ。そんな人が簡単に自分を裏切るとか思わないで、喜兵衛の言葉を鵜呑みにしないでちゃんと本人に確かめようよ。第一、伊右衛門に赤坂に女を囲うお金なんてあるはずないとは思わなかったのかなあ。
それでも長屋に移り住んで、自分で稼いで暮らすお岩は色々開放された感じで楽しそうでもあったのですが、その後真実を知ることとなりあの凄まじい悲劇へと突入してしまうのでした。あの屋敷を譲られるらしい与茂七も、あんな光景を目の当たりにして困惑しただろうと思いましたが、あまりに深くて悲しい2人の純愛?の結末に打たれました。
思い切り感情移入してしまった3時間弱。充実した時間を過ごしました。
上演時間が長いと思っていたのでしたが、気になりませんでした。観に行って良かったです。
伊右衛門の来し方、なんで蚊帳の中の人になってしまったのかが気になりました。本編で語られているのに私が気づけなかったのでしょうか。気になるので、原作を読んでみたいとも思ったのでしたが・・・以下略。
嗤う伊右衛門 2024

嗤う伊右衛門 2024

Mido Labo

サンモールスタジオ(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

絵画では注目させるべき人物像だけを鑑賞者に一点集中させるテクニック、そんなテクニックがあるという情報をたまたま仕入れたばかりでしたが・・・生きた人物・人生が鮮明に浮かび上がり、人物そのものを存分に堪能できる演劇テクニックがあるとすれば、まさに本公演がそれではなかったかと
言うはやすく行うは難し、これほど類いまれなスキルを持った劇団さんを自分は他に知らない

閃光、雨、蠢く人の姿・・・何故にそんな態度を・・・どうしてそんなひどい事を・・・何度鳥肌が立ったか分からない
それは人の心に蛇を見たせいか、鬼を見たせいか、底知れぬ哀しみか、それとも悦びだったのか
一筋縄ではいかない人の業がとにかくエグい、エグすぎる
お岩さんの幸福観とは何だったのか、まずはお岩さんから順繰りに登場人物達の生き様に思いを巡らせていきたい
そうでもしないと もの凄い舞台を目の当たりにしてなかなか興奮が収まりません


 橋の下のショコラティエ

橋の下のショコラティエ

ぱすてるからっと

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2024/09/19 (木) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さんと真田林佳さんが出演のケーキチームを観劇。
金曜ソワレと日曜マチネの2回。

ぱすてるからっとさんの観劇は演目で5本目。2.5次元ならぬ「2.8次元」、いつも楽しいです。

前々回「悪役令嬢イミテーション」、前回「The Witch」と三作つづけて観劇したことになります。振り返ると3つとも魔法が出てくるんですね。

7月の「The Witch」では命のやり取りが激しいストーリーでしたが、今回はコメディ寄りで、そういう心配はありませんでした。戦いのシーンでも、ある意味安心して見ていられました。

去年の「水上のゴンドリエーラ」の続編とのこと。それは観劇していないので知らなかったのですが、劇中でなんとなくどんな話だったか分かってきました。その匙加減というか配慮がありがたかったです。

ネタバレBOX

数人がそれぞれ何かをかき混ぜているところから始まります。小泉花恋さんの鼻にはホイップクリームが。なるほどケーキを作るんだな、と。ほうほう、フローラという名前。話が進んで、あれ?まだホイップクリームが。・・・実はなにもついてませんでした。鼻が光って白く見えるんですね。

持田さんは主演のリーチェ。ぱすてるからっとさんの舞台に出演されるのは3本目ですが、持田さんの集大成を見られたような気がします。
「時計塔のレイラ」で主演、今回また主演に選ばれたということは運営さんからも評価されたということですね。
去年あたりから主演される機会が増えてきましたね。嬉しいことです。

真田さんのジュスタ。予想以上に特徴的なキャラでした。あとから台本を見て確認したところ、かなりアレンジされてたようです。真田さんにかかればどんなキャラでもスペシャルなものになるような気がします。

アレンジと言えば鮫嶋樹さんのイザベロはとても面白かったです。登場シーンのセリフが金曜と日曜で違ったので、きっと日替わりでネタを入れているのですね。

余談ですが「インヴォカチオーネ!」のたびに「あびらうんけん!」を思い出してました。前々回舞台「悪役令嬢イミテーション」での呪文です。

ヴェロニカの序盤のセリフ「この子の能力があればあの件ももしかしてと思って」が何の伏線なのか分かりませんでした。あの件とは?

劇中では梅がとても酸っぱいものとされていました。漬けた梅だったのか、かなり熟したものだったのか。実際の青梅は酸っぱくないはずで。

辞書によると、ゴンドリエーレ(男性)、ゴンドリエーラ(女性)。ショコラティエ(男性)、ショコラティエール(女性)、らしいです。もちろん分かっていて「ショコラティエ」を採用したのだとは思います。
コラソンのおともらち

コラソンのおともらち

コラソンのあんよ企画

APOCシアター(東京都)

2024/10/04 (金) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

人間にとって他者との間に生まれる様々な心の“壁”
それを主題にした三話のオムニバス作品
タイトルの感じの猫絡みは
あまし無かったが
なかなかの人間関係を垣間見せていた
約二時間弱の作品

ネタバレBOX

各話の前に主宰西山氏が
いろいろと語りを入れてくる
ヒッチコック劇場風な構成でした
プロローグは猫ちゃんの写真を
いろいろと投影してました
まー猫絡みはココだけかな
#1にて猫のTシャツが出たくらいカナ

で#1の話は
姉に手伝わせて
あまし評判の良くなかった彼氏の部屋から
引っ越す彼女の話
彼氏くんのインパクトのある
ビジュアルにビックリでしたわ
#2は居酒屋で3人の男女が
ギターの無いバンドしてて
解散するかというリーダーの
ヨモツ話
居酒屋BGMの選択が懐かし音楽で
なかなか面白かった
#3はビジネスホテルの休憩室で
ひどい惨状になった部屋の清掃員さんらと
フロントさんや出入り清掃業者さんらとの
濃厚な人間関係な話でした
人と会話したい
さびしいけど壁を作ってしまう・・という
人間の心を描いていたなぁと感心しきり
海のない島

海のない島

劇団B♭

テアトルBONBON(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

さん昔のとても味わいのある舞台でした。

ネタバレBOX

昔と今を交差する場面を中心によく練り上げられていて完成度が高いと思いました。場面転換が多いのに、非常にスムーズで、役者の演技が素晴らしかったです。ひじょうに密度の濃い内容に感じました。
THE STUBBORNS

THE STUBBORNS

THE ROB CARLTON

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2024/10/04 (金) ~ 2024/10/14 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

京都を拠点に活動する団体で、僕は初見。ただ、噂は耳にしていて、一度観てみたいと長く思っていた団体さんでした。ボタンのかけ違いや勘違いで笑いが起こる、王道タイプのシチュエーションコメディ。理屈っぽい台詞の掛け合いはコメディ愛好者に好かれそうな作風で、これから東京でも注目を集めそう。僕は好きです。

ネタバレBOX

三人の登場人物は、それぞれ母国語以外の言語でコミュニケーションをとり、三名全員がその「言語」に精通している訳ではない。なので、時々「意味のすり合わせ」が必要となる。三名は(おそらく)大きなビジネスチャンスを抱えており、大事な会議の前哨戦として前日夜に集まった。この席で、日本語の同音異義語などを取り違え、勘違いが連鎖していく。

前半の「言葉の取り違いを中心とした笑い」はよく構成されており魅力的だったが、後半の回想シーンがやや強引な印象が残り、ちょっと勿体無い気も。ただ、後半をより盛り上げるには説明などが長く必要になり、すると余計に冗長になってしまうのかも。シチュエーションコメディを上手にまとめるのは難しい…と改めて感じた。でも、全体的に良作だと思います。
海のない島

海のない島

劇団B♭

テアトルBONBON(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最高!でした。旗揚げ公演ということもあり新人さんばかりの劇団かな…と思ったら、どの俳優さんも他の舞台で観ている人ばかりでした^^ その意味では新鮮さより懐かしさを感じました^^ さて、内容ですが、最初に書きましたように「最高!」です。沖縄の地上戦を舞台にした演劇はどれもぐっとくるものがありますが、生身の人間が演じるからこそ生死の重さが感じられるからなんでしょうね。たぶん… すばらしい時間をありがとうございました。

僕たち映画部のはなし

僕たち映画部のはなし

劇団黙猿

イカロスの森(兵庫県)

2024/10/04 (金) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

満足度★★★★

リアル青春コメディ
廃部寸前の映画部男子三人に降りかかる難問 最後に青春を謳歌できるのか…
中々楽しめたが、中盤のテンポにメリハリがなく、週末のサラリーマンには…
次回も楽しみにしています ダンス💃は必要❓

海のない島

海のない島

劇団B♭

テアトルBONBON(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/10/04 (金) 19:00

戦争の記憶を忘れてはいけないと思わせる素晴らしい舞台でした!又、戦争を起こしてはいけないと伝えてくれる舞台でもありました。

ピンポンパン!

ピンポンパン!

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/10/02 (水) 19:00

座席1階A列6番

初日の夜公演も観ました🤩
1回目の公演を観て【観る練習】は出来ていたので、夜公演は役者さんの細かい動きや表情を観て、「あーっ‼️そう言う事なのかー🤔」って感心しながら楽しませて頂きました。
1回より2回も3回も観た方がより深く楽しめる、とっても素敵なお芝居です。

灯に佇む

灯に佇む

加藤健一事務所

紀伊國屋ホール(東京都)

2024/10/03 (木) ~ 2024/10/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/10/04 (金) 14:00

座席1階

いつもの加藤健一事務所とは少し趣の異なる会話劇。喜劇ではないから笑わせるところも少ない。加藤ご本人が「これをやりたくて温めていた」という戯曲という。

舞台は宮城県の小さな診療所。医師である父(加藤健一)は息子に院長を譲って今は土曜日だけの診療をしている。患者1人に30分も1時間もかけて話すという診療で「そんなことをやっていたら、クリニックはつぶれてしまう」と息子にしかられている。ある時、古くからの患者で家族ぐるみの付き合いになっている男性が、何だか上の空で訪れる。胃がんの告知を受けたばかりだという。この男性の妻もがんを患い、抗がん剤の副作用に苦しんで亡くなった。男性はそのことも胸中にあり、抗がん剤と放射線による積極的な治療を望む男性の息子と本音では意見が合わず、昔からのかかりつけに相談に来たのだ。

多くの患者をこなさないと経営的に安定しない地方の診療所。だが、病気を診るだけでなく患者の人生までも受け止めて診療に臨む姿勢で地域で信頼されている診療所も多い。加藤健一演じる医師はこのような医師であり、テキパキと診療して休診の午後は野球を楽しむというスタイルの息子の医師とは世代間の相違もある。こうしたテーマだけで亡く、この台本はがん治療の在り方までに切り込んでいく。

がんについては保険診療によるゲノム医療も始まっていて、治療の選択肢は少し広がってはいる。ただ、手術や化学療法などの標準治療を行ってもうまくいかないケースは多い。もう、次の手段がないという場合は急性期病院は退院を求め、緩和ケアを勧めるのが定石だ。どんな治療を選ぶのは患者や家族の判断であるから、徹底的にがんと戦うのか、戦うのをやめて痛みを取るだけの治療に切り替えるのか、それこそこの舞台のように患者と家族の意見が食い違うなどしてとても難しい。どんな治療を選択するのか、そこでは誰の意見を大切にしなければならないのか。この舞台が一つの答えを出している。

今作では加藤健一は群像劇の一人であり、前には出てこない。長く続いてきて本人も年を重ねてきた今、このような戯曲を加藤健一事務所はもっともっと取り上げていってくれたら、と思う。

Letter2024

Letter2024

FREE(S)

ウッディシアター中目黒(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/10/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

涙あり、ちょっぴり笑いありの、2時間半という長さを感じさせない、熱演でした。

ネタバレBOX

特攻隊員と大切な人との別れ,思いを託すシーンは、戦争を知らない世代でも、涙が出ます。
広い世界のほとりに

広い世界のほとりに

劇団昴

あうるすぽっと(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ローレンス・オリヴィエ賞ベスト・ニュー・プレイ賞受賞作。
或る事故をきっかけに家族の結びつきを失った三世代家族の再生物語、そんな謳い文句である。物語は、日常のありふれた光景や会話を描き紡いでいるだけだが、次々と情景や状況が変わる。登場人物は、舞台上の違う場所(部屋)や時間をあっさり乗り越え 心地良く展開していく。公演の面白いところは、会話がちぐはぐで一貫性があるのか、場面を繋ぐ構成も断続的で統一性があるのか。その不完全とも思えるところが、物語の崩れかかった関係に重なるようだ。

物語は、2004年の晩秋もしくは初冬から翌年の初夏迄の約9か月間か。英国マンチェスター郊外のストックポードで暮らすホームズ家の三世代。夫々の夫婦の関係や子供との関わりを断片的に描き、場所は違えど同じ時を過ごしていることを語っている。物語は休憩をはさみ前半と後半、その空白の時間(休憩)に或る事故が起き、数か月間の時が経っているよう。休憩の前後で状況が変化、端的には衣裳に表れている。

日常の生活…ストックポートに行ったことはないが、多くの場面に酒とスポーツ(サッカー?)が登場する。それを会話の潤滑材として 世代間の意識や行動の違いを描く。例えば祖父母の場合、祖母が外出する際 祖父が俺の飯はどうするんだ。外出などするなと怒り出す。父母の場合は、当然のように母も働きに出ている。その息子たちは…その考え方や行動が冒頭のシーン。それにしても汚い言葉が所々に発せられて…。
(上演時間2時間50分 途中休憩10分)

ネタバレBOX

舞台美術が、この三世代家族を象徴するかのような作りに思える。正面に薄汚れた壁、上手は木製扉、下手は硝子扉。側面に窓ガラスとカーテン、ベットやキッチン、丸テーブルやいくつかの椅子が置かれている。古びて薄汚れた、そして今にも崩れ落ちそうな天井…まさに半壊状態。
舞台技術は、舞台上の照明(スポットライト)を登場人物の動きに合わせ移動。舞台上の各所は夫々が違った場所(空間)であり、それを簡単に乗り越え展開していく。また白銀色または暖色によって現実を、薄紫紺は幻想を そんな情況の違いの演出が印象的だ。

登場人物は、家の修理工ピーターとその妻アリス には2人の息子がいる。兄はアレックス18歳、弟はクリストファー15歳。アレックスに恋人サラができ、彼女を見たクリストファーの胸がざわめきだした。ピーターの父チャーリーはいつも酒を飲んでいて、その妻エレンは生活を変えたいと思っている。そんな家族の暮らしに隙間風が…。冒頭 アレックスとサラが彼の家へ行き 両親に会う。そして一晩泊まるまでの落ち着かない様子を描く。その数日後2人はロンドンへ長期旅をする。祖父母・両親の世代では考えられないような行動をするが…後々事情があって戻ってくる。

休憩、後半は 舞台に大きな脚立を持ち込み、ピーターがスーザンの家の天井を修繕しているところから始まる。前半の厚着や上着を羽織る姿から、今 ピータとスーザンは半袖の薄着、そこに時の経過が表れている。そして話の流れでピータが息子クリストファーが事故死したことを始めて喋る。この休憩中に描かれない重要な出来事をサラッと挿入する。しかしクリストファーの死は、それまで隠れていた家族の不平不満を表面化させる契機になっているはず。たぶん事故死後は狂乱状態、そこを敢えて描かず ある程度落ち着いた時から描き出しているためインパクトが弱い。事故死という やり場のない悲しみと怒り、その過程を通して それまで鬱積してきた思い、家族のぎこちない関係が鮮明浮き上がるのでは…。

アレックスとサラのSEX、エレンとアリスの初めての経験(処女)、エレンは夫チャーリー以外の男性と経験を、更にチャリーやアリスは夫々 浮気寸前 といった台詞(告白)が並ぶ。しかし肉感的なイメージはなく、どちらかと言えばサラッとした印象、まさに乾ききった関係のよう。が、一度は離婚を考えたピーターとアリスだが、息子を失った悲しみを分かち合うことが出来、絶望から再生への光が…。その件が性急で残念。
次回公演を楽しみにしております。

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