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夫婦パラダイス〜 街の灯はそこに 〜

夫婦パラダイス〜 街の灯はそこに 〜

シス・カンパニー

紀伊國屋ホール(東京都)

2024/09/06 (金) ~ 2024/09/19 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/09/10 (火) 18:30

日本文学を題材に北村想が好き勝手書いたホンを寺十吾が演出するシリーズの第10弾だが、かなり面白い。(2分押し)105分。
 題材は「夫婦善哉」だが、舞台の雰囲気は昭和ながら、IRやら万博やらの話題も出てきて時代もよくわからない。カッパの話や陰陽師などおどろおどろしい要素も加わるが、とにかく細かく笑える。尾上松也・瀧内公美の夫婦に段田安則・高田聖子・鈴木浩介らのベテランが加わり、若手の福地桃子も大活躍で、何だかわからないけど、楽しんだ。

青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐

青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「プログラムA」 鳥、二編「小夜鳴鳥と赤い薔薇」「幸福の王子」
面白い お薦め。
情感に溢れた朗読劇。朗読といっても役者(女優4人)は動き回り、情況だけではなく状況も現す(「観る」ドラマリーディング の真骨頂)。
読書であれば、自分の想像で物語を膨らませるが、朗読劇はそこに脚本家の意図や役者の感情が入り込む。原作 物語は、空想の世界から離れ 目の前で繰り広げられる世界へ誘われる。空想する曖昧さ から朗読を通して立体的になる話、そこに この公演(朗読劇)の面白さ 味わい深さがある。
(上演時間1時間15分)

ネタバレBOX

舞台美術は、中央奥の紗幕に豆電球が縦横に並んで輝き、その下に蠟燭が横並び。中央に白い丸椅子が4つ。上手 下手にも蝋燭が置かれている。舞台と客席の間に花々。装飾しないことで物語の世界を白紙にしている。シンプルな舞台装置、そして女優4人はデザインは違うが全員 白地の衣裳で統一。ちなみに主宰の吉田小夏女史は上着は黒だが、スカートは白地でメリハリをつける。そして彼女は、開演5分前と上演開始を呼び鈴で合図する、その風情ある演出が好かった。

本公演では、物語の軸=観点を<鳥>にしているところが肝。それによって人間愛と社会風刺というよりは、無償の愛と生命といった深みある作品になっている。
●「小夜鳴鳥と赤い薔薇」
青年が好きな人と踊るため、赤い薔薇を欲するが時期的に咲いていない。その青年の想いを叶えるため、小夜鳴鳥は自らの命(血)と引き換えに赤い薔薇を手に入れる。しかし彼女は別の男から宝石を貰い、それを飾り舞踏会へ。青年の恋愛感情への失望が…。
●「幸福の王子」
広場に立っている像、全身が金箔、両目はサファイア、剣にはルビーが装飾されている。像は動けないから、燕に向かって頼みごとをする。街で困っている人に自分の飾り物を提供し続ける。やがて像はみすぼらしく、そして 燕もその地で亡くなる。

鳥の観点から描くと、人間の思考と行動がより明確になるよう。人間のために命を賭して無償の行動をする、そこに見返りはないにも関わらず である。コロナ禍を経て、ますます不寛容・無関心といった風潮になったような気がするが、物語にある理想と現実、聖なるものと俗物的なこと、その複眼的な思考が大切だと。オスカー・ワイルドの世界観は、産業革命を経て資本主義による労働者の人権や貧富の差といったことを見据えていたのだろうか。そう考えた時、今の時期にぴったりな物語だ。

演出は、全員が白地の衣裳であるから どの役でも対応可能。二編を続けて演じることも出来る。そして紗幕の豆電球は夜空に輝く星、蠟燭の揺らめきは不安定で朧気だが、一方 幻想的で温もりが感じられる。
公演の特徴は、鳥を介して 人間の心情と貧困 厭らしさを鮮明にする。そしてシンプルな舞台美術や衣裳が、視覚に訴えつつも 観客の想像力を逞しくする。勿論、朗読は滑舌がよく 伸びやかで 実に心地良い。
次回公演も楽しみにしております。
第13回名古屋学生演劇祭

第13回名古屋学生演劇祭

第13回名古屋学生演劇祭

うりんこ劇場(愛知県)

2024/09/07 (土) ~ 2024/09/09 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

9日15時からの決勝4作品を鑑賞させていただきました。
どれもこの日のために頑張ってきたんだろうなと思える力作ばかり。
ああ、みんな青春やってるんだな、
若いっていいなと思いながら見てました。
それぞれに趣があって面白かったです。
これからもずっとピュアな気持ちで演じ続けていただければそれが一番!!
それにしてもうりんこ劇場遠すぎる!!


コジ・ファン・トゥッテ

コジ・ファン・トゥッテ

東京二期会

新国立劇場 オペラ劇場(東京都)

2024/09/05 (木) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

歌手の方、皆さん素晴らしかったのですが、テノールの方の声が少し変わった声質でした。

ネタバレBOX

女性二人の衣装が日本人の体型の欠点をカバーするタイプのものではなかったのが残念でした。

チェンバロでしか聴いたことがないため、ピアノフォルテを初めて聴き、ピッチが低く感じられ声楽の純正調と少しズレているのではないかとかんじました。
これは私がオペラを聴き慣れていないせいかもしれませんが。
ヘッダ・ガブラー

ヘッダ・ガブラー

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2024/09/10 (火) ~ 2024/09/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

本作どこかで観たと思っていたのは思い違いか(戯曲を前半だけ読んだ、等あり得る)、、あるいは毎回驚かされるハツビロコウ流アレンジによるものかも・・。
どちらにしても細部(特に後半)は記憶になかった。
以前「触れた」時の人物イメージとはまるで異なる人物が登場し、書かれて百年を経た戯曲の上演とは思えない現代性と、物語構築の精妙さがやはり印象に残る。

二日後に落ち着いて当日パンフを眺め、主宰の弁を見ると、ヘッダの戯曲をある軸を通すべく松本氏が「書いた」と書いてある。毎回気になっていた優れたテキレジだが、今回はより大胆に書き直したという事か。
特殊な人物としてのヘッダではなく、ごく普通の女性としてヘッダを捉え直した、との弁であるが、近代の憂鬱を捉えたイプセンの洞察による人物造形は、当時は(周囲の反応等で)センセーショナルに演出するに値しても、現代的視点で捉えれば「普通にいる」のかも。もっともヘッダに象徴された人間の「善悪の彼岸」を求める性質は、今も大きなテーマであり続け、収縮に向かう日本の思想状況では強力なアンチに。(三島由紀夫の価値はこうして時代に逆照射される。。)
変わる事なく息詰まる緊迫劇を作るハツビロコウである。
今回は原作を読みたくなった。

ネタバレBOX

チェーホフ作品にもあるが、「ピストルを撃つ」場面が衝撃的シーンとして登場する劇では、火薬でパチンとなる銃を使うか、衝撃を伝える銃のSEを使うか、迷う所なのだろう。だが大概はパチンよりズドーン(SE)の方が良いと思える事が多く、今回もちょっと惜しいな、と思えてしまった(展開を伝える上では大きな問題は無いのだが、観客はこれを大きく受け取りたいのだな)。
青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐

青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

プログラムA 鳥,二篇 鑑賞
オスカー・ワイルドの味わいのある短編のドラマリーディング。堪能させていただきました。基本的には朗読劇ですが,役者さんの動き,立ち位置,姿勢が効果的で,情景が見えるようでした。良い観劇時間になったと思います。

青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐

青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本日B小川未明を観劇。読んだり朗読として聞いたことがある作品もありましたが、効果音まで役者の皆さんの朗読で素晴らしかった。何度かうかがっている会場もろうそくの火がゆらめく感じで良かったです。アフタートークの教科書の話も興味深かったです。いい時間が過ごせました。ありがとうございました。

青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐

青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日のプログラムBを拝見。「野ばら」以外の二篇は未読の作品だったが、三篇とも歌や演者による効果音、演者の配置なども含めて面白く、何だか物語が立体的に浮かび上がってくるような作り。

青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐

青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

9/11夜の会プログラムB(小川未明作品)を観劇。
とても良かった。小川未明作品の何となく物悲しい、でもその中にちゃんと芯があるところが伝わって、文字を読むより深く理解出来た。
例えば、花が咲いている様子、良い匂い、月の光などをすんなりと鮮明に観客に想像させるリーディングは、役者の力量の高さの表れだと思う。
歌や群読も効果的で楽しかった。
今回はプログラムBのみの観劇だが、次回があったらセット券で2作品見たいと思う。
作品選び、脚本、演出、役者どれをとっても信頼できる劇団だと思ったので、また見に行きたい。

『牢獄の森』『うれしい悲鳴』

『牢獄の森』『うれしい悲鳴』

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2024/08/17 (土) ~ 2024/08/26 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/08/21 (水) 13:00

【牢獄の森】
近未来の「ある状況」を描いたという共通点はあるが前日観た「うれしい悲鳴」の「王道アマヤドリ」に対してこちらは「令和のアマヤドリ」か?(笑)
あらすじから予期した通りの重めの会話劇ながら程よく笑える部分を挟むのが上手い。
終盤で明かされる「衝撃の事実」について「あ、やっぱり!」だったのは「あっち側の人」は考えるよねぇ、であり、もしかしてσ(^-^) の考え方も「あっち側」寄りだったからか?(汗)
それにしても本作もうれしい悲鳴 も「国が決めた政策/制度により迫害される(?)一般市民」を描いており、妙なリアリティを感じるって「ヤな渡世だなぁ」(真顔)。

ヘッダ・ガブラー

ヘッダ・ガブラー

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2024/09/10 (火) ~ 2024/09/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

登場人物の設定に若干のアレンジが加えられ、思考や言葉も現代風にされ、そのため現代的なストーリーになっていて新鮮に感じられた。イプセンの原作よりこちらの方が良いと思うほどだ。

バサラオ

バサラオ

劇団☆新感線

明治座(東京都)

2024/08/12 (月) ~ 2024/09/26 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

先日見たのは3階右席2列という席でしたが、追加販売で取れたのが1階3列6番という席で、行ってみたらこれが花道(今回は使っていない)の外側で実質最前列。下手は微妙に見切れてしまうものの、すぐ前は舞台なので通っていくカイリに手が届きそう。もう前回とは迫力も没入感も全っ然違いました。古田さんの「怪しい浪速弁(らしい)」は相変わらず聞き取りにくかったですが、それでも前よりは聞けました。
そして狂い桜の素晴らしいこと!これは3階席からではわかりません。やはり舞台は前方中央で見たいものです。もう1回くらい見たいとは思うものの、今回くらいの席が取れるとは思えないので、諦めの境地です。
見る方向や距離が違ったせいかどうかわかりませんが、ヒュウガの化粧が変わった気がしました。今日のほうが美しいと思えたのでした。これが小劇場なら終演後にキャストさんかスタッフさんあたりを捕まえて、聞くことができるのにと残念です。
お話も、音楽も、舞台美術ももちろん殺陣もとても良かったですが・・・

ネタバレBOX

ラストはあれで良かったのでしょうか?裏切りに次ぐ裏切りとどんでん返しの連続で、最後にはどちらかが、もしくは2人とも死んでしまうのが「いのうえ歌舞伎」なのではないかと思ったのですが。それとももしかすると、もうあの瞬間実は2人とも・・・?
悪態Q

悪態Q

劇団不労社

北千住BUoY(東京都)

2024/09/06 (金) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

 VUoYは元銭湯だったので奥に浴槽が残っているのだが、今作ではそれを隠すようにパネルが張られ見えなくなっている。その分、やや抽象度が高くなっている。下手側はちょっとした建物のように立体的な倉庫様の物が作られている。何れも白っぽい。照明は終始昏め。

ネタバレBOX

 公演は最初に京都で、次に東京で、最後に豊岡で行われるが演ずる場所によって内容は若干異なる物になるという。かなり実験的な作品ではある。而も相当にペダンチックで通常演劇創作に関わる者が意識する演ずる当事者にとっての脚本の個的読み込み、脚本全体を見渡して相関関係を把握した上での自らの演じ方、観客から見た作品の見え方の何れもがペダントリーに毒されているように思われる。この原因のⅠつにLiminal Spaceの概念を持ち込み、階段・ロビーなどある場所と他の場所を繋ぐスペースに着目し、過渡的な場所が無人になったときに感じる独特の感覚を強調。そこに既視感等日常の中の不可思議感覚を見て取っているのである。だが、それが万人に共通であるか否かを検証済とは思えない。
 というのも作品は幼稚園児に教える大人3名(存在1、2、3と表記されている内2人が♂、1人が♀)の奇抜な登場シーンを経、存在達がその教示内容を審議するシーンから始まるが背景にはかつて放映された教育番組で流された音楽がラジカセで流れる。この間、脈絡と無関係にボールが飛んできたりする。ユニークなのは、耳慣れないスクリプトドクターなるスタッフが創作に関与していることである。スクリプトドクターの役割は表現作品、殊に映画や演劇の場合は、演じられる場所や時期、関わる役者や演出家、協賛企業などの関係を調整して差別表現や利害関係等で作品の主張とは関わりない社会問題化を避けることにある。
 ところで今作の初期想定は幼稚園児相手の教育議論であるから子供目線は上記で説明して来た今作の傾向に対置されるべき唯一最大の要素として必要欠くべからざるものだと小生は考えるのであるが、今作ではその視座が欠けている。大人と子供の差は子供たちは自らの欲求と想像力を基本的に追求しその為に生きているのに対し、大人たちは目的を遂行する為に利害調整を必要とすると考え、その結果として金と権力、社会的位置をも有すると考える。この生き様の差は決して埋められない。従って今作のようなシチュエイションで作劇するのであれば、創作過程に子供との生の対峙が必須となる。子供電話相談室のように子供からの生の声に相対し、相対した子供たちからの視座や疑問、異議を大人の視座と対比させなければなるまい。この点が欠落していることが今作の弱点と観た。終盤存在1,2,3の悪態は、米追従しか出来ないこの情けない「国」の阿保らしさを批判的に語るかのような内容になってくるものの、悪態を吐く際の日本語のボキャブラリーは何とも貧弱である。海外でちゃんと地元の人々に溶け込み話をしたり一緒になって遊んだりを何年かして過ごせば自ずと悪態表現の余りの多様性に気付く。日本でも人口に膾炙しているサノヴァヴィッチやヴィッチ、イエローキャブ、コン、アン等々は加えても良いのではないか? 何より実際に創作過程で子供の生の反応を取り込んで創作することが望まれる。そうしなければ観客から観た面白さの評価は低いままであろう。難易度は極めて高いものの「ピタゴラスイッチ」のようなセンスでこの間(あわい)を繋げることができたら爆発的な面白さになろう。
 
バサラオ

バサラオ

劇団☆新感線

明治座(東京都)

2024/08/12 (月) ~ 2024/09/26 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

上演時間は休憩込みで3時間半強。たっぷり魅せて満足感高しの「新感線的王道」をひた走る公演だと感じました。新感線の魅力は、物語、演出、音楽、俳優、殺陣、外連味、熱量などの要素をひたすら合体させて創りあげる「巨大合体ロボ」的なものだと考えているのですが、今作はそれらがガッチリ噛み合う総合力の高さがうかがえました。「さすが新感線」と言いたいです。

ネタバレBOX

主演の生田斗真さんの存在感が一際輝いている。そして、あの熱演をほぼ毎日、多い日は2ステ、日々務めているのは本当にすごい。物語は、登場人物たちによる裏切りの連続が紡ぐ盛者必衰の物語と言え、流転する展開に引き込まれました。ハードロックも実に新感線らしく、劇団が目指す完成度は十分達成していると言えるでしょう。
朝日のような夕日をつれて2024

朝日のような夕日をつれて2024

サードステージ

紀伊國屋ホール(東京都)

2024/08/11 (日) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ゲーム開発メーカーを舞台に、AIやVRなど現代の最先端の話題を存分に盛り込み、まるで新作である。心理学の分析やら、2・5次元病やら情報量が凄い。それを早口にまくしたて、次々に話題が変わっていく。そこにもう一つ、「ゴドーを待ちながら」がオマージュされて織り込まれる。このゴドーシーンは、二人が遊ぶ小道具が面白い。ドッジボールでボールがどんどん大きくなって行ったり、フラフープも巨大化し、ダーツ投げは客席にまで。これならゴドーもばかばかしいコメディとして笑える。

ダジャレも見事だし、コントの連続のような作り、一瞬すべてが精神病院の治療劇のようにどんでん返しするのは「日本人のへそ」のよう。また流行歌を織り込んだり、セリフを早口にまくしたてるのは、つかこうへいに似ているところもある。若さと才能の輝きを失わず、長いキャリアでさらに磨かれた、見事な処女作の再生だった。

星を追う人コメットハンター

星を追う人コメットハンター

劇団銅鑼

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/08/28 (水) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇団銅鑼はいくつも見ているが、まずはずれがない。とくに誠実でひたむきに生きるドラマが得意だ。小さいながら良質な劇団である。今回も夢を追うことの素晴らしさが、登場人物たちを通して素直に伝わってきた。

実在のコメットハンター・本田実(池上礼朗)が物語の中心。その生涯を、夢を失いかけた現代の若者(山形敏之)に、ミノル君の親友を名乗る老人(舘野元彦)が語って聞かせる。語りたい老人に、青年が渋々付き合わされるうちに、先を聞きたくなっていく。この仕掛けがうまくいった。舘野の老け役が見事で、一瞬、本当に80すぎの老人に見えた。セリフ回しとともに、歩く時の体の揺らし方にかぎがありそうだ。

ネタバレBOX

戦後、すい星を初めて単独発見した時のシーンが素晴らしかった。新すい星かどうか確認するために、通信手段の乏しい中、世界の人々がチームワークを組んで、ついに南アフリカの天文台が本田の発見を追検証する。舞台狭しと並べたいくつものいすのうえに、何人ものひとがたちあがり、連携し、喜び合うシーンはぐっと来た。
旅芸人の記録【9/8(日)13時・9/9(月)14時・9/11(水)・12(木)公演中止】

旅芸人の記録【9/8(日)13時・9/9(月)14時・9/11(水)・12(木)公演中止】

ヒトハダ

ザ・スズナリ(東京都)

2024/09/05 (木) ~ 2024/09/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

おもしろかった。鄭義信ワールドを満喫した。足の悪い男、愛を求めてるのに喧嘩ばかりの素直でない親子、在日朝鮮人(今回は話に出るだけ)。ラストの旅立ちと紙吹雪は「焼肉ドラゴン」のラストと重なった。戦争中、時流に合わない女剣劇の大衆劇団。俳優もそれぞれに所を得て好演。女形の伯父役の怪演が見ものだった。太ってて吉原の花魁のなりが全然似合わないのが笑える。1時間45分休憩なし。

ネタバレBOX

全体は切なさを絡ませつつ、笑いが基調である。1カ所、感極まってぐっと引き込まれるのがラスト。ズボンの切れ端しか入っていない長男の骨壺を抱いて、こらえきれずに号泣する浅野雅博のシーンが心に残る。
アイーダ

アイーダ

東京・春・音楽祭実行委員会

東京文化会館 大ホール(東京都)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/20 (土)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

迫力というより
荘厳さを感じたッス

呼び声

呼び声

極星号

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2024/09/07 (土) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

目指したのは
星の王子さま みたいな
ファンタジーだったようだが
色々と説明不足と説得力不足で
作品世界の理解が辛かった

ネタバレBOX

いやぁ
五万年も宇宙を旅して
同胞いるかもって
いきなりアトモスフィアに突入するかい
惑星の軌道上空に待機して
降下船がーって展開でしょう
さもなきゃ転送しなければ!
SFの基本でしょうに

不時着場が一面砂漠なのに
唐突に出てくる生命体って
いろいろついていけなかった
スープラに乗って

スープラに乗って

東京マハロ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/08/30 (金) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

開演前から舞台にはスポットライトを浴びた赤い自転車
「生き物で逃げたら怒られるのは人間だけや」と人には逃げろと言っておきながら、自分は逃げない主人公スープラ
源氏名が車の名前の大阪のソープランド
ポルシェ、アウディ・・・
子連れの男に逃げられ、風俗で働きながらそのなさぬ仲の娘を育て・・・
それでもみんなに愛想をふりまきつつ胸を張って生きている
常に明るく生きるから周りは味方だ
まあ悪人は登場しない
弱みを持った人間がほとんど
時々阪神ネタのギャグが笑いを誘う
赤い服の主演福田ユミが赤い自転車に乗って、舞台の4本の建設鋼材の周りを走る
セットはこの鋼材と枠だけの箱状のもの
鋼材は途中大阪万博のパビリオン建設現場で上に鋼材を橋渡されるが、出展中止で取り壊される
キャスティングが良い
福田はある意味突っ張って生きているスープラを上手く表現していた
娘役の若い佐竹桃華も世界最年少ハリポタを演じただけのことはあって福田にあうんの呼吸で絡んでいた
個人的には寮母役のベテラン小林美江の演技が好きかな
しかし自転車で狭い舞台を走るのも大変だろうが、母娘の4本の柱の周りの追いかけっこは速かったな
ラジオ体操のダンスは皆良く揃ってた
スープラに元気もらったよ

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