竜 公演情報 TinT!「」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    ドイツの認知症老人ホーム、介護士のユダヤ人デボラ(さかい蜜柑さん)が面倒を見ている。元SSのハンス(佐川和正氏)、同じくヴァルター(桝谷裕氏)。ハンスはいつも右手に小さな銀のスプーンを握り締め片時も離そうとしない。スノードロップの花を見ると摘んで捨ててしまう。そこに訪ねて来る配管工ゲオルク(木場允視〈こばまさみ〉氏)。孤児として育ったが最近父親がクラウス(木場允視氏二役)という人物だと連絡を貰い、両親を知る者を捜しに施設に来たのだった。

    大戦末期のドイツ、レーベンスボルンで産まれた自分の赤ん坊に醜い赤い痣があった。処分される前にクラウスは孤児院でもある教会に密かに預ける。赤子を受け取ったシスター・マリア(染谷歩さん)。同僚のハンスはクラウスがコソコソ教会に通っているのを不審に思う。

    モビール(ベッドメリー)を思わせる天井から吊り下げられた装飾。赤ん坊をあやす為の物。

    桝谷裕氏の佇まいが好き。佐川和正氏は熱演。木場允視氏は父子を演じ分けた。

    ネタバレBOX

    客席は20人ちょっと。居眠りも多い。演出も脚本も拙い印象。照明頼りの演出は素朴とも言えるが。脚本がジュブナイル過ぎ、浦沢直樹の漫画のエピソードみたい。このテーマを扱うにはもっと違う方面からの理詰めの攻めが必須。ガチガチに羅列された事実でリアルに構築するか、幻想的なうたかたの一篇の詩にするか。舞台設定も弱い。戦犯として捕まったが医療刑務所にいるとかモサドの監視下だとか現実性が欲しい。レーベンスボルンを卒論にした大学生や題材にした作家が調査するような。

    ハンスがアンナとクラウスを殺し、ヴァルターと庭に埋める。赤ん坊は置き去りにしてきたというのがイマイチ。何故だか泣き喚く赤ん坊を救けて何処か安全な場所に運ばないといけない。何であんなことをしたのか今でも判らない、みたいな。

    正義と悪とでこの世を一刀両断しているから理解し易いが嘘臭い。その二つはそれぞれどちらをも内包しているから。ナチスを信じた者達の言い分も納得させないと片手落ち。

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    2024/12/12 06:43

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