商店街グランドリオン
劇団バルスキッチン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
バルスキッチン初観劇。登場人物がやけに多い割に、話が混乱することもなく楽しめた。
アダルト≒チルドレン
表現集団 式日
麻布区民センターホール(東京都)
2024/09/13 (金) ~ 2024/09/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
少しわかりづらかった部分もありましたが、大人とは何か、心の傷を癒すのは大衆の物語だけではなく、個人とどう向き合うか、そんなことを考えながら拝見していました。私なりの解釈で面白かったですよ。国選脚本っていうのも面白いですね。鋼の…かと思いました。確か旗揚げも拝見していて、コンセプトは変わらない感じがしましたが、もう少し簡単な設定にしてもよかったかもですね。でも、若い皆さんの元気な演技良かったです。次回も期待ですね。
法王庁の避妊法
ロデオ★座★ヘヴン
「劇」小劇場(東京都)
2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
オギノ式の産みの苦しみを感じる舞台で、興味深く観る事が出来た。
とてもナイーブな話を逃げること無く正面から捉えた作品に感じました。
ゆうまぐれ、龍のひげ
虚空旅団
ウイングフィールド(大阪府)
2024/09/13 (金) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
満足度★★★★
あらゆるものの栄枯盛衰 変化すること(変化しなければならないこと)
実体験を交えながら、人間模様だけでなく、死人まで登場させて、人生や人間関係等々の儚さを感じさせてくれる とても良かった❗次も予約してもた
フィストダイバー
幻灯劇場
THEATRE E9 KYOTO(京都府)
2024/09/13 (金) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
満足度★★★★
発想が凄いし、それを形にしていることがまた凄い
主に2つの話が交互に演じラレながら、最後に組合わさる
①おじいちゃんが有名な猟師(またぎ?)の孫が、猟師の仕事が無く、クレーム処理のコールセンターでアルバイト と ②動物園の熊の飼育係の話 最初はこれらがどう繋がっていくねんともやっと感を覚えるが、最後にはパズルが見事に出来上がっていくがごとく進んで行く 幻灯の代名詞の身体表現はほぼ無かったものの、とても面白く拝見できた❗外せない劇団ですね
路地裏の舞台にようこうそ2024
一般社団法人アラヤシキ
EARTH,新世界 ZAZA POCKETS,HOMEビル,旧 自由空間『Aloha』,日の出湯はなれこいさん路地,成田屋,SPACE★HOUSE,ホテル the b 大阪新世界,ロック亭,SUCHSIZE,喫茶コスモス(大阪府)
2024/09/13 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了
満足度★★★
らしさ満載 ただ、隣のイベントが丸聞こえで、集中できず…せっかく良い内容でも…
ヘッダ・ガブラー
ハツビロコウ
シアター711(東京都)
2024/09/10 (火) ~ 2024/09/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
思いがけないアレンジに驚かされたが、その結果作品は大きく転がり
”イマドキの話”として私のすぐ横に座っていた。
「度胸が無いだけで、同じこと考えてるくせに」とヘッダが笑っているようだ・・・。
ネタバレBOX
劇場に入ると、薄暗い舞台上にひとりの女性が、こちらに背を向けて座っている。
時折奥の方から赤ん坊の泣き声が聞こえる。
やがて彼女の手にピストルが握られているのが見えた。
暗転のち開演・・・。
まあ次から次へと人を傷つけるような言動を繰り出すヘッダ・ガブラーよ。
半年に及ぶ新婚旅行から帰ったばかりのヘッダと学者テスマンの家。
冒頭、新婚の夫が敬愛する叔母の帽子を、それと知りながら口汚くこき下ろす。
亡きガブラー将軍のひとり娘、プライドと退屈がドレス着て不満ではち切れそうな女。
叔母も夫も使用人も、ヘッダの顔色を見ながら行動している。
歳の離れた夫の元から学者エイレルトを追ってこの町へ来たテアは
ヘッダとテスマンの昔なじみ。
エイレルトはテスマンのライバルであり、ヘッダの昔の恋人だ。
酒で学者としての未来も人生も失い、同時にヘッダも失った。
テアはそのエイレルトを助けて本を完成させ、今やその本が高い評価を受けている。
エイレルトは酒を断って立ち直っている。
ヘッダはテアに、まるで尋問のように問いかけ、テアにありのままの心情を吐露させる。
エイレルトとの共同作業を通して自信と自我を取り戻し、自分の意思で家を出たと言わせる。
この”普通の女”テアの、長い時間をかけた自我の変遷を丁寧に見ていくと
ヘッダの突飛な行動も、根は同じなのだと気づかされる。
テアが長い時間をかけて取り戻した自由を、ヘッダは瞬時に奪われまいと行動に移す。
結論を急ぐあまり激烈な手段に出て、結果相手に致命傷を負わせる(心理的に)。
例えばエイレルトに別れを告げる際、ピストルを向けて迫る、といったような。
酒で失敗した恋人に見切りをつけ、手近な所にいた生真面目な学者と結婚したものの
今やかつての恋人はテアの協力を得て社会的に復帰、夫テスマンが得るはずだった
教授職さえ奪おうとしている。
逃した魚も大きいが、その魚を立ち直らせた平凡な女も憎らしい、この程度の事で
仕事のチャンスを逃す夫も不甲斐ない、おまけにこんな時に限って自分の妊娠が発覚、
ったく何一つ思うようにいかない。
こう見ると結構よくある話で100年前も今も苛立ちの種はよく似ていると思う。
ヘッダの「自分の人生を変えられないなら他人の人生を変えたいの」(確かこんな意味)
という強引な理屈は、特権階級によくある”退屈で傲慢な人間の、他者への執着”だと感じる。
エイレルトに執拗に酒を勧めて再び人々の信用を失墜させたり、
原稿を失くして憔悴しているエイレルトに、原稿はここにあるとはおくびにも出さず
ピストルを渡して「最期まで美しくね」なんて言い放つヘッダ。
この根性悪は確かに度を越しているが
相手の大切にしているものを奪って、私の存在価値を再確認するがいいという構図。
ただ物騒なものをちらつかせる辺りが、こじらせヘッダの”他者への執着”の異常さだろう。
それはそのままヘッダ自身の行き詰りを意味している。
自分の人生を変えればいいのに、その勇気も手段も持たないヘッダは、
”もはや他人の不幸を見ることしか楽しみが無い”という苛立ちと閉塞感の真っただ中。
意に反してエイレルトが”美しく”死ねなかったこと、
ブラック判事がこの先ヘッダの自由を奪うのだと悟ったこと、
この2つでヘッダの結論は一気に加速、実行に移される。
今回エイレルトを女性に変えたことで、100年前の作品をぐぐっと現代に引き寄せた。
スキャンダルの大きさと傷の深さをまざまざと見せつけるには実に巧い設定だと思った。
エイレルトの声が聴こえた時は「ん?!」と思ったが、舞台に姿を現した途端
その秘密の度合いも緊張感もダダ上がりせずにいられなかった。
フライヤーの写真が素敵でとても惹かれる。
ショウウインドウの向うで作業している美しいまとめ髪の女性、
その後ろ姿に、ヘッダが一度も経験することの無かった普通の人々の時間の流れを感じた。
『ミネムラさん』
劇壇ガルバ
新宿シアタートップス(東京都)
2024/09/13 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
シュールでセリフが絶妙で演者も良かった おもしろかったです。
そして下北沢で我々は
片岡自動車工業
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2024/09/12 (木) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
商店街グランドリオン
劇団バルスキッチン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
目当ての演者さんはとくになし。
バルスキッチンさんの舞台観劇は7本目、再演を除くと5本観劇してます。いつも笑いが絶えない、楽しい時間です。
3年前の初演と同じ役は劇団員の尾上恭平さんとズドンさんだけ。勇者だった河合健太郎さんが主人公の浩太に。精霊リオンだった井坂仁美さんは魔王側の魔法使いに。その他は劇団員の方が別役で出られているくらいで、ほぼガラリと変わってました。
当日配布のチラシ(白黒コピー)に演者さんの役名が書いてあったのが嬉しいです。初演を思い出しながら今回と比べることができました。
勇者側魔法使い役の五十嵐かいと さん、5月に「BAN&COLORS」という舞台で拝見しました。そのときは演目の内容のせいかもしれませんが、アイドル的な方と思ってました。今回あらためて拝見するとかなりしっかりした演技をされていて、印象が変わりました。
ネタバレBOX
前回30人で今回31人。増えたのは「渡辺」ですかね。
若松春奈さん、まともにビンタされてましたね。演技に対する本気度を感じます。ガングロは衝撃的でした。あらかじめ把握してないと誰だか分からなかったでしょう。
なお、ズドンさんが「昭和」と表現されてましたがさすがに平成かと。細かい話ですが。
これまた細かいかも知れませんが。公式のイントロダクションにあるこの一文。
>勇者は偶然の事故から時間を移動する手段を発見し、時を越えて様々な時代を行き来する中で、自分達に降りかかる問題を解決していく。
「時間を移動」「時を越えて様々な時代を行き来する」が舞台の話と無関係だったのでちょっと合わないと思いました。
あめつち工場カランコロン
彗星マジック
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2024/09/13 (金) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
凄い話やった!物語は宇宙やけど舞台美術が殆ど無く設定がゲストハウスなんで会場が全然宇宙っぽくないのが面白い✴️いやむしろ会場全体が真っ暗闇の宇宙のようで色キラびやかな衣装をまとい動き回る役者陣が無数の星々のように見えて「これ会場全体が宇宙そのものやんか」と妙に納得してしまった☆
そしてそれが狙いなんちゃうか⁉️と想像すると勝山修平氏恐るべしやで‼️🌌
ストーリーは「これぞ彗星マジック‼️」て感じで「エンタメ×ファンタジー×理数系学×人間学×思想(宗教)学×時代小説」みたいな重厚な物語🌟彗星マジック観た後って頭良くなった気分になるのはそのせい?小難しい話も「面白かったらええやん」て良い意味で開き直れるのが彗星マジックの魅力で置いてきぼりにされたとしてもそれすら心地良いみたいなね♪今作もそんな魅力に満ち溢れた素晴らしいお芝居でした🎶
『ミネムラさん』
劇壇ガルバ
新宿シアタートップス(東京都)
2024/09/13 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了
宇宙に缶詰
兵庫県立ピッコロ劇団
ピッコロシアター (兵庫県)
2024/09/14 (土) ~ 2024/09/18 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
一人の男の人生を脳裏に焼き付けたデータがある惑星に着陸した。それは宇宙を超え、永遠に語り始める、、。
なんて、壮大でまさしく宇宙ロマンであります。このストーリーを聞いただけで泣けてきます。子供時代の他愛ない出来事、女性とのロマンス、それらは何ら私たちの人生の綴りと変わらないのだ。彼が惑星で想い、語り始めていることはすなわち私たちの人生でもある。
ということは、人は死んだからと、残された人の記憶から抜け落ちても、このように永遠に宇宙で生きていることが可能なんだ。ある青春がすがすがしく、そのまま幻灯機に生きているようだ。
悲しい話なのかなと思っていたが、全然そんなことはない。死んでもなお、人はどこか宇宙で生きているなんて思えてきて、何か素敵な話であります。
大道具からして、いつもの凝ったピッコロ風ではなく、そこにあるのは詩情漂う素朴な惑星光景だ。すこし傾いた冷蔵庫など、いかにもサリngROCK風造作である。
いつも主要な役柄をしている俳優陣が大勢、脇役に徹しているのもなかなか面白い光景で、私は一人一人くまなくじっくり見てしまう。この劇団はチームワークもすこぶるいいことがわかる。
主役の谷口遼が若者、いや一人の人間像を深くさわやかに演じていてとても印象に残った。
シャイシャイマンションシャンソンショー
劇団美辞女
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2024/09/12 (木) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
歌もダンスも素晴らしく、話のテンポが良いので見ていて元気の出る舞台でした。
フランスパンの使い方・・・嫌いじゃないです。
観劇後今まで興味がなかったのですが、シャンソンを聞いてみたくなっています。
8人の女
劇団しゃれこうべ
シアター風姿花伝(東京都)
2024/09/13 (金) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
1950年代のフランスの郊外、かつて成功を収めた実業家マルセルの屋敷。大雪が降り積もる中、ロンドンの大学からクリスマス休暇で帰郷して来た長女(一歳ナンギさん)。笑顔で出迎えるのは乳母として彼女を育てた女中の安田美忍(みお)さん。新人女中の原島千佳さんはやる気がなく不貞腐れている。気位が高くきつい物言いのマルセルの妻、和泉美春さん。高校生の次女、與儀千聖(よぎちとせ)さんは精神年齢が低くまだかなりガキっぽい立ち居振る舞い。
妻の母親と妹が居候、車椅子の眞野さよさんと持病持ちでオールドミスの田村祐子さん。
なかなか起きて来ないマルセルの部屋に入る原島千佳さん、血塗れのベッドの上でうつ伏せに横たわり背中にはナイフが突き刺さっている。悲鳴絶叫。皆がその様子を確認すると與儀千聖さんは部屋に外から鍵を掛ける。「警察を呼ぶまで現場をこのまま保存する」と。番犬が全く吠えなかったことから犯人は侵入者ではなく、この中にいる可能性が高い。疑心暗鬼の7人、そして8人目の女もやって来る。
ネタバレBOX
いよいよ訪れる8人目の女、マルセルの妹の鈴木佳さん。彼女しか知らない屋敷の者達の裏の顔。電話線が切られ雪で屋敷の外には出られず番犬は毒殺されマルセルの部屋の鍵はすり替えられ拳銃は紛失。迫り来る死の恐怖に怯え周りの人間全てを疑ってかかる8人。
個人的MVPは安田美忍さん。何か複雑な表情が文学。彼女の存在が場を作ることに重要で、後半いなくなってから空間がフラフラしてしまう。
原島千佳さんはそうとは気付かない程、色気のある役をこなしていた。
和泉美春さんと鈴木佳さんの二股かけられた女の罵り合いも見せ場。
普通に面白いのだがどうも話が頭に入って来なかった。演出の切り取り方を間違えたような。重要なのはフーダニット(犯人捜し)ではなく、緊急非常事態の状況に追い詰められた人間達が曝していく本性。恐怖と焦燥に苛つき、上っ面の社会的役割の仮面を放り捨てていく素顔の遣り取り。今まで役割として演ってきた人間関係を引っ剥がしていく面白さ。
フランスの劇作家ロベール・トマの1961年の戯曲。63年前のどんでん返しネタでは流石に誰も驚かない。観せるべきはそこではなく、8人の女優の血反吐を吐いた取っ組み合い。誰もが誰もを罵倒し憎み嘲り、その内に一周回って妙に清々して解り合う。全く理解出来なかった“他人”という自我との奇妙なる連帯感。その後に現われる真実。他人は鏡だ。自分の醜さを映し出す鏡。
昨晩の各々の証言を時系列に再現させてもよかった。段々嘘がバレて食い違っていく面白さ。
「誰がマルセルを一番愛していたのか?」「それは私だ!」と與儀千聖さんが胸を張ってドアを開けた瞬間、響き渡る銃声。その絶望感。與儀千聖さんのキャラをエキセントリックに描き過ぎていて観客の気持ちがついていかない。
寿歌二曲
理性的な変人たち
北千住BUoY(東京都)
2024/09/12 (木) ~ 2024/09/17 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
「渦中に響く芸能讃歌」
1979年の初演以来シリーズ化され上演が続いている北村想の代表作である。作品世界の時系列に鑑み『寿歌Ⅱ』『寿歌』の順に二本立てで、「明星」「夕星」の2チームが上演した。私は夕星チームの初回を鑑賞した。
ネタバレBOX
星々がまたたく大空の下、核戦争前夜の荒野を大きなリヤカーを引きさまよう九重五郎吉一座宣伝隊のゲサク(滝沢花野)とキョウコ(廣田高志)、カリオ(谷山知宏)の3人は、耳は聴こえるが喋れないクマ(小林春世)と出会う。身振り手振りでコミュニケーションを図る彼らは自作の劇や歌を披露して喧しい。ようやく町に着こうかという段になると、クマが宣伝隊の悪評を流そうとした裏切り者の容疑をかけられてしまう。近くを恐竜が通りかかり放射能の影響で雲が燃えるなかでの4人の道中が、巧みな言葉遊びを交えて描かれていく(『寿歌Ⅱ』)。
核戦争後の荒野を彷徨うゲサクとキョウコの元に現れたのは、茨の冠と白い腰布をまとった貧相な身なりのヤスオ(坂本七秋)である。ヤスオはその場にあるものを増やす能力を持っていて、残り少なくなっている食料や水に飢えていたゲサクとキョウコに重宝され行動を共にすることになる。遠くの方でミサイルや爆弾の光がまたたき地鳴りが響き渡る3人の道中から戦禍の喪失を感じるものの、概して明るく騒がしいのは変わりない。ようやく町に到着した一座は人々の前で芸を披露し、ゲサクはロザリオを増やして配りだすが……(『寿歌』)
銭湯を劇場に設え直したBUoYの空間は、古ぼけたタイル張りに使い古された洗い場と大風呂が目を引く独特のものである。これだと特別にセットを組まなくとも戯曲の設定に合致していて違和感がない。過去の「理性的な変人たち」の公演ではやや声が大きくテンションが高すぎると感じられた俳優の芝居も、荒野のなかさまよう芸人たちという設定によく合っていた。ゲサクとキョウコの息のあった漫才にはじまり、滝沢花野の絶唱に唸るプッチーニの「私のお父さん」の替え歌、谷山知宏が魅せるカリオの女形や、器用な小林春世によるクマの身振りなどさまざまな芸が詰め込まれ、それぞれの俳優に見せ場が作られていた。演出の生田みゆきの面目躍如といったところで十二分に堪能したし、芸能はいついかなる時でも不要不急ではないという讃歌にも見えた。
冷戦下で発表された作品が、初演から40年以上経った現在の世界情勢を反映して新たな見え方をしているというのも発見である。坂本七秋演じるヤスオだけでなく、一座に石を投げつける町の人々など、作中のいたるところに仕込まれているキリスト教的な文明と、一座に象徴される流浪の民との対立と邂逅は、生田が昨年演出したフェルナンド・アラバール作『建築家とアッシリア皇帝』に通じるところがあった。
『緑園にて祈るその子が獣』
キ上の空論
本多劇場(東京都)
2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
「支配と被支配を行き来する男の半生」
ある宗教二世の流転の半生が支配と非支配の関係性を浮かび上がらせる秀作である。
ネタバレBOX
離島にある新興宗教の家庭に生まれた丸琥(久保田秀敏)は、幼少時から母(藍澤慶子)に厳しく躾けられる。友人たちから奇異な視線を浴びており鬱屈していた丸琥だったが、教室での悪ふざけで怪我を負わせた英(日向野祥)から過剰な被害要求を受けた腹いせにブチギレたことが契機となり、あたかも母が自分にしているかのように弱者を支配する術を身につける。
やがて上京した丸琥は島での息が詰まる日々を発散するかのように放蕩を尽くす。夜の街で職を得た丸琥は、路上で詩を読んでいたレイ(富田麻帆)と結婚し長女のノコ(高柳明音)を授かると、上司の中村(久下恭平)の紹介で地方の工場に就職する。過重労働により支配される側に立った丸琥の脳裏には、島で自分と似たような境遇にあったキリコ(齋藤明里)のことが過ぎる。やがて過去の腹いせで英らがノコを誘拐したという連絡が届き……
本作の魅力はスピーディかつ先行きの読めないストーリー展開である。大仰なセットを組まず、メインキャスト以外は数役兼ねる手際の良さが映えていた。扱いにくい題材で暴力的な場面も少なくなかったが、緊張感を持続させながらところどころギャグを入れ込んでいく鮮やかさは大したものである。
他方で話の展開がやや拙速で俳優の芝居を堪能する場面が少なかったことは残念である。特に冒頭、丸琥が英を静かに恫喝し支配する側に立つときに襲われる狂気であるとか、キリコの幻影に苛まれるという物語の核になる場面はサラリと流される程度で終わってしまった。藍澤慶子演じる母が丸琥を言葉で虐待する場面は鬼気迫るものがあったため惜しい。
シャイシャイマンションシャンソンショー
劇団美辞女
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2024/09/12 (木) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
楽しませるを前面に出した公演。マンションの老朽化、居住者の高齢化、子供の減少など、どこかで見聞きしたような状況が観て取れるが、公演は あくまで前向きだ。その演出として、明るく元気な様子をダンスや歌(シャンソン)で観せ聴かせる。
物語は1999年と現在(2024年)を往還し、その時代の特徴を表し 入居者同士の交流、そして地域との関りが大切だと伝えているよう。
ただ、卑小だが気になることが…。
(上演時間20時間 休憩なし)
ネタバレBOX
舞台美術は段差を設え、上段中央にエレベータードア、左右は壁だが 色は青・赤と補色にし印象的に見せる。上手に窓、下手に高層ビルの張りぼてと椅子2つ。シンプルな作りだが、ダンス・歌を披露するためには ある程度広いスペースが必要。
先に気になることを記す。舞台となるのは日向が丘に建つアパルトマン、そして劇中(当日パンフの用語解説にも記載あり)で「中江戸線」や「なんとか不動産(ホールディングス)」と言っていたが、説明にも そして台詞でも その場所は「東京のはずれの『練馬区』で『埼玉県』との境」と具体的な地名をいう。勿論 笑いネタのシャレで蔑みでないことは分かる。場内も一部の(失)笑だけ。練馬区は豊島区の隣接区、池袋演劇祭は「より多くの人たちに演劇にふれてもらう場」を標榜している地域密着型のイベントだ。物語では、なんとしても地域の祭にシャンソンで参加するのと同じようなもの。そこで多くを暈した地名・鉄道名にしているにも関わらず、敢えて区名や県名を実名で喋らなくても…堅すぎるかな。全部架空でも良かったんじゃないか。
公演の魅力は、ダンスとシャンソン その観せ聴かせ楽しませること。そこには1999年の若く華やかであった頃を懐かしむ、郷愁のような感じもする。しかし2024年の現在も決して落ち込まず、明るく前向きに描く。劇団美辞女(みじめ)が贈る劣化した街であり女を示唆しているが、時を経ても人との関係がうまく築けるか否か。このマンションの管理組合メンバーの活動は、煩わしく苦労も多いが 人間関係は良好のよう。そこに現実とはかけ離れた舞台ならではの面白さがある。
もう一つは、入居者の個性豊かな言動と行動を描き、そこに夢と希望を語らせる。そしてこのマンションに掛かる なんとか不動産(社員)の街づくりへの熱い思い、その内外の人々の喜びと悲しみが伝わる。その意味では遣り甲斐と成長譚を描いた公演とも言える。
次回公演も楽しみにしております。
探偵ハ物語
映像劇団テンアンツ
小劇場B1(東京都)
2024/09/11 (水) ~ 2024/09/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
松田優作さんの作品は見てなくてイメージから入りましたがとても楽しめました。上西さんの映画を観た事がありお芝居をされているまでは認識していましたがいつの間にか記憶の彼方に。今回、来てハッとしました。実力のある方だと再認識致しました。純粋に楽しめました。
シャイシャイマンションシャンソンショー
劇団美辞女
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2024/09/12 (木) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
とても、楽しめたお芝居です。女性ばかりの人数も圧巻です。元気になれるお芝居でした。そんなマンションが有ったら最高!