先生と呼ばれるほどの教師でなしの観てきた!クチコミ一覧

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ハナコトバ -朗- for spring

ハナコトバ -朗- for spring

Daisy times produce

アトリエファンファーレ東新宿(東京都)

2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Bグループの朗読劇を観せていただきました。朗読劇については、「演技ではないのだから、格は下では」と見くびっていたのですが、いやいや、これは一つのジャンルとして、立派に成立するのだなという、反省、発見の日になりました。
みなさん表現読みがすばらしく、単にうまく読めばいいという姿勢ではなく、練習で何度も何度も読みこなしたことがわかるほど、素晴らしいものでした。
しかも、私の観た回は、まったく「噛む」ことも、「棒読み」になることもなく、観客を魅了していたと感じました。すてきな公演でした。
 二つほど懸念。
 会場に入ると、客の9割方が男性。会場のまわりの壁にたくさんのプロマイドが貼られている。ああ、みなさん、お目当ての俳優さんがいるのだなと。豈図らんや、開幕前にグッズやらプロマイドの販売(たぶん)がされている。結構売れている気配。劇団の財政事情もあるのだろうが、(たしかに座長さんのような魅力的な方もたくさんいるのだが)それだけに邁進することはないことを。
2つ目は、長い目で見て。短期決戦でないのなら、男性、年配者も入れることを視野に入れてみては、と感じました。たしかに、今回のような演目なら大丈夫でしょうが、全体が「アニメ声」ばかりですと、演じるものがどうしても限られてしまいます。幅広い世代、男女の入り交じる世界を背景にしたものには、今の布陣では厳しいかなと。ただ、これは主宰者の考えが最優先です。
グッズやプロマイドの、よき購入者にはなれませんが、引き続き注目しています。
疲れ気味だった週末に、生気をいただきました。ありがとうございました。

人形の家

人形の家

劇団東京座

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

上演時間が延長されたことを知らずに行ったため、休憩時間に中座しなくてはならなくなり、こちらの確認のミスで、申し訳なく思っています。
前半の、いわば「波乱までの仕込み」部分の鑑賞でしたが、コメントの皆さんのおっしゃるように、長いセリフをしっかりと覚え、それだけでなく、自分の役のものとしていたことは、すばらしいなと感激しました。
ノラの心境の変化の場面を見ることができなかったことは、返す返す残念でした。
この劇場は、たしか三度目なのですが、やはり舞台が狭いですね。(笑)
劇団のみなさんの力量からして、もう少し大きな舞台でやらせてあげたかったなあと。(まあ予算のこともあるでしょうが)
しばらく注目していたい劇団となりました。次回も足を運びます。
今日は三月というのに、28度の東京。ジャスミン茶のサービスも感謝です。

長谷川圭一事件簿 ~Episode Zero~

長谷川圭一事件簿 ~Episode Zero~

劇団Cheminèe

エリア543(東京都)

2024/02/23 (金) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

四年ぶりの公演、おめでとうございます。
第一印象は、「とにかくみんな若い」ということです。パンフレットを見たら、「高校生で劇団を旗揚げ」と書いてありました。納得。
さて、劇評になりますが、まだ若々しく、所々、せりふを滑らせたり、間合いが今一つ遅れたりしたりしていて、萌芽木期の劇団という印象でした。しかし、それゆえに伸びしろも大きいといえるので、公演の回数を重ねる中で、どんどんと演技に磨きをかけていってほしいと期待します。
それにしても高校生の旗揚げということに尊敬の念を抱きます。私が演劇に興味を抱いたころに、すでに旗揚げを考えていたとは。すばらしいですよね。
できれば、このメンバーの中に、一人でも二人でも、ベテラン風のメンバーが入ればとも思います。今回の推理&コメディーでは、どうしてもみなさんの演技が軽くなっていましたから。知り合いの劇団から「引き抜き」(笑)でもできませんかね。そうでなければ、しばらくは学校の「お楽しみ会」の劇くらいの軽さになってしまうと思います。劇団の構成メンバーのバランスというものも軽視することはできません。
これからの伸びを期待しています。見守っていきますね。

境界

境界

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2024/01/06 (土) ~ 2024/01/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

まず、11もの演目を5人でやりきったことに敬服しています。「境界」をテーマにした、バライティ豊かな短編を、楽しむことができて、私には素敵な年明けとさせていただきました。ありがとうございました。
ほとんどの劇団が、経営的に苦しい中で、ずっとずっと頑張ってほしいと心から願います。
今回出演した5人の役者さんは、私の見る限り、「劇は三度の飯より好き」のようですので、ずっと応援をしていこうと思っています。
役者さん、それぞれが個性的で、代わるがわるの役を、よく演じていたことも追記します。

宮城野(東京公演)

宮城野(東京公演)

劇団あおきりみかん

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2022/02/11 (金) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

この劇団は4年ぶりの観劇となる。
前回は「鏡の星」。情けないことに、記憶は定かでなく、「あおぎりみかん」の響きが、かつての観劇の好印象を残していたため、また観てみようと決めることにした。自分のブログにあたってみたが、やはりおもしろかったという感想が書かれている。内容については何もなかったが。
さて、今回の「宮城野」。ちょうど、私が車谷長吉の「赤目四十八瀧心中未遂」を読んでいたからかもしれないが、この二つがちょうど共鳴するかのようで、しっとりと観賞することができた。
また、矢代静一の戯曲。私が大学生時代に、よく耳にし、そのいくつかは観ていたはずで、その懐かしさも含めて、足を向けるようになったものだ。
生きることの切なさ、重さ。言葉にしてしまうと、なんとも軽々しくなるのだろうか。出演の2人は、それを見事に体現していたと思えた。内容上、仕方なかったが、舞台照明が暗く、できれば俳優の表情も併せて見てみたかった。
とはいえ、行ってよかったと思えた好演。

私たちは全力でホラーに挑みます!

私たちは全力でホラーに挑みます!

ライオン・パーマ

駅前劇場(東京都)

2020/09/23 (水) ~ 2020/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

下北沢の駅前が、ぐんと広くなる工事の最中のようで、駅を出たとたんに方向を一瞬見失ってしまった。
駅前劇場は、初めて。本当に駅前だ。

さて、『私たちは全力でホラーに挑みます!』。
最初は、オムニバスコントなかと勘違い。進行するにつけ、それらのひとつひとつが結びついていて全体を構成していることに気づく。
たくさん案内メールをいただいたにもかかわらず、この劇団も初めての観劇。1人1人の個性が豊かであり、劇全体がいい味を出しているといった印象を持つ。ああ、もっと前から注目していれば良かったと反省。
劇は、ホラーと呼ぶには程遠く、どちらかというとコメディーでしょうと、見ながら苦笑。しかし、それがかえって好印象を与えてくれる。
客席からわき出るのは、悲鳴ではなく、爆笑の連続。うまく笑いのツボを押さえている。怖い場面は・・・ひとつもなかったと思う。
2時間15分は、このコロナ禍の中で、さらにマスクをしている私の酸欠状態では、少し長かったが、それも杞憂であった。
楽しい(笑)ホラーを見せていただいた。感謝。

√ ルート

√ ルート

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/09/04 (水) ~ 2019/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

「悪法も法なり」すでに現場では教科としての道徳が始まり、あちこちで「混乱」を生み出しています。親からも疑問の声が上がっているには上がっているのですが、事情を知らない親、そして情けないことに周りの教員すら、「今までと同じではないか」「道徳は必要ないのか」といった楽観的な見方も蔓延しています。そんな中での観劇。よくもこれだけ丹念に取材したなと思えるほど、現場、現状に近い展開がなされていて、それだけでも感激しました。国家主導に「闘ってきた」老教師、「ヒラメ」のように上の意向ばかりを伺う教師、子育て中の母親教師、権威を誇示し、権威に弱い管理職・・・本当に学校の中は、こんな感じなのですよ。
今、目の前で起きていること、しかも黙っていれば、このまま押し切られてしまうような理不尽な事象を、ここまで正面から迫り描いていただいた劇団の皆様に敬意を表します。現場でもがんばらないといけませんね。
役者のみなさんも、それぞれの個性を発揮され、役のコントラストの表出が見事でした。
ついでに、思ったことをふたつ。
一つ目は、道徳の教材を、「手品師」に変えてみてはどうかと。私たちの現場では、一番「支持」され、そして一番「矛盾だらけ」の教材文です。ほとんどの教科書に採用されている高学年向けのものです。すみません、えらそうに。
ふたつめは、記者会見。うーーん、これはあり得ないかなと。望月記者のような親がいてこその展開ですね。ただ、あり得ないからこそ、劇で実現させる、いや、これが本来の姿なのだということもあるでしょう。観ていて、私なりにスカッとはしましたが。そう私が感じてしまうほど、現場は上意下達の、小心者の集団になっています。
初めて「Pカンパニー」さんの劇を観、これまで百本以上も劇を観てきた私の迂闊さに気づきました。今後、注目していこうと思います。
今日が楽日ですね。たくさんの方が訪れることを心から願って。
昨日は、刺激的な時間を、ありがとうございました。

昭和歌謡コメディVol.11〜ツキジーヒルズ青春ハクション〜

昭和歌謡コメディVol.11〜ツキジーヒルズ青春ハクション〜

昭和歌謡コメディ事務局

ブディストホール(東京都)

2019/09/05 (木) ~ 2019/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★

とりわけ第二部では、思わず一緒に口ずさんでしまうくらい、なじんだ歌の連続。はじめは、拍手もせずに、「なんだ、中学生のお楽しみ会の延長程度だな」と、達観していたのですが、後半は、自分の思い出と重なる歌が続々でてきて、ついつい「理性」をかなぐり捨ててしまいました。
江藤さんが、あのズートルビの「江藤くん」とはつゆ知らず(久しぶりの顔でしたので、あまりの変わりように、失礼)、驚いています。
お客さんは、本当に心から楽しんでいたようで、あほらしいコントながらも、雰囲気に押されて笑いこけている自分がありました。
まあ、こんなのもありかな。

ひまわりの見た夢

ひまわりの見た夢

雀組ホエールズ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2019/05/29 (水) ~ 2019/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★

ひとつの家庭内に、加害と被害とが同居するという、非常にデリケートな問題を、劇としてていねいに創りあげたという印象です。台本もそうですが、役者さんが、それぞれの「読み込み」を深めているようで、みなさん好演であったことも、いっそう充実させた劇となっていたように思えました。見はじめたときは、「どう終末を迎えるのか」と心配していましたが、登場人物1人ひとりに光を与えてくれました、重苦しいもの一辺倒にさせなかったことに安堵。すてきな劇をありがとうございました。

つぎとまります

つぎとまります

セツコの豪遊

Ito・M・Studio(東京都)

2019/05/11 (土) ~ 2019/05/12 (日)公演終了

満足度★★★

今日はありがとうございました。代々木上原が、こんなにも坂道が多い街とは知らず、這々の体で会場にたどりつきました。
下りた駅も、劇場も、劇団もお初。それなりに楽しませていただきました。
さて、劇の方です。
今回は、すでに出来ていた台本を再上演ということでしたが、やや複雑な思いの感想となりそうです。
「メッセージ性が露骨に出ている劇」が、白けてしまうことは自明なことですが、反対に、何も訴えるものが感じられないもの、またはあまりに「高度」過ぎて、評することがえらく困難である劇(不条理も含めて)は、私はとても苦手です。この劇は、前者に類するものでしょうか。展開が流れるように進められるにしたがい(つまり役者さんは2人とも、なかなかの演技力なのですが)、どうも劇中に心が入っていけないのです。
言葉遊びのような掛け合いから、「流しそうめん」に関する比喩から、メッセージが吹き出しているだと言われれば、私の力量の問題なのですが、となりの男性が、途中で居眠りをしていたことを考えると、受け手だけの問題ではなさそうです。
設定の面白さとは裏腹に、私には「観てよかった」といった感慨が持てなかったこと。少し残念な思いでした。
ただ、劇団の目指すものがあることに対して尊重はしていきたい私でもあります。それについて、興味が湧いてきました。

what's your destination?

what's your destination?

遊々団★ヴェール

TACCS1179(東京都)

2018/10/03 (水) ~ 2018/10/07 (日)公演終了

満足度★★★★

清涼感のある劇、また劇団です。ラストは「できすぎ」の感がありますが、そこに至る展開が、それをチャラにしています。したがって、お隣の女性が、ラストで涙していたように、感動的なものとして終わることができたと思いました。下ネタなしの一貫性も好感が持てました。
台本のストーリーが、やや荒いことが気になりますが、個性豊かな俳優陣が、埋め合わせしてもくれました。
清々しく、そして「生と死」とを真摯に表現しようとする意欲。買っています。

鏡の星

鏡の星

劇団あおきりみかん

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2018/06/08 (金) ~ 2018/06/10 (日)公演終了

満足度★★★★

あっ、すみません。勘違い。
鹿目さんが「作」でした。
パンフレットを横に読みすぎてしまったミスでした。
うーん、言い訳できない。
鹿目さんの、セレブとの交換場面も素敵でした。(なにか言い訳じみていますが、ほんとうです)

鏡の星

鏡の星

劇団あおきりみかん

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2018/06/08 (金) ~ 2018/06/10 (日)公演終了

満足度★★★★

最終公演を観せていただきました。とにかく奇想天外で楽しい劇でした。まっ、あり得ないものなのですが、けっこうリアリティがあり、社会風刺も、また人情劇の要素も絡めながら、あっという間の2時間でした。
個人的には(笑)、川本さんばかり見とれていましたので、もしかすると全体のこと、 些細な工夫など見落としていたかもしれません。申し訳ない。また、帰ってからパンフを見ていたら、その彼女が「作」だということを知りました。うれしいやら、私の眼力の強さに惚れ惚れした一日となりました。
ついでに、劇自体、登場人物のそれぞれに個性とドラマを装備させた点で、川本さんの劇作に対する姿勢に共感を覚えました。そして、その期待に応えるような役者陣の好演も快かったと思えました。
愛知から、わざわざ出向いての公演。私の周りの席では、女子大生とおぼしき二人組が、「面白かったねえ」と、心からの讃辞を交換していました。
すっきりとしていて、工夫された舞台装置もなかなかよく考えられたものだと思えました。
ありがとうございました。北九州でもご成功を!

人間になったらしい

人間になったらしい

サッピナイ

ひつじ座(東京都)

2018/03/24 (土) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

最初の会を観劇しました。
ひさしぶりの事ですが、私の感性、経験、知識では、この演劇をコメントできる場に立てませんでした。
たわいもないショート・ショート程度に見ていいものか、またまた、もっともっと深いテーマが隠されているのか、「どう感じるかはご自由に」の世界なのか、見ている最中も、見終わったあとも、よく分からなかったというのが正直なところです。
すみません。

舞台『想咲の結』(そらのむすび)

舞台『想咲の結』(そらのむすび)

ヒエロマネジメント

ウッディシアター中目黒(東京都)

2018/02/20 (火) ~ 2018/02/25 (日)公演終了

満足度★★★

なにか微妙な評価になりそうです。
親の期待と子ども達の反発。
長女としての「義務感」。そしてそれを理解されないもどかしさ。
「ダサイ」父親の愛。
そんなよくある家族の物語です。
それぞれの登場人物の葛藤・・・それはそれでいいのですが、観ているうちに、
「男はつらいよ」を思い出していました。
家族愛・・・それ自体はなんの反駁もありませんが、それをある意味、「これでもか」
というくらい劇中で繰り返されると、ちょっとうんざりします。
「はいはい、分かりました」「家族って大変だよね」
とでも言いたくなります。「ちょっと押しつけがましくない?」
そんなことをつぶやきたくなるのです。
そして、それは「寅さん」映画にも通じるものです。

ですから、素朴に「よかった」「感動した」「涙が止まらなかった」という感想から、
「ちょっとくどくない?」「愛の押し売りのようだ」といった感想まで、評価は2つに分かれる
のではないでしょうか。

私は作者にもっと冒険してほしかったと思います。
この劇の中の「愛」は、昔から「言い古された」ものです。何度も何度も見てきた構図そのものです。
「それはそうだ。でももっと別の切り口はなんものか」 そう思うと、なんともつまらぬ劇となってしまいます。
それをもっと掘り下げた作品としてほしかったと思います。

もう1つ。
家族の絆が得られる契機について。
それが「血の繋がりがないこと」「病との遭遇」など、ある意味「特殊」なことに設定することの是非です。
私は、上の2つを抜きにした「家族愛の深まり」を描いてほしかったと思います。
なにか特別なことがなければ、家族愛は育たないのでしょうか。
上の2つがなくても、愛は育つのだという「冒険」してほしかったと思います。

けっこう辛口となってしまいました。
しかし、この劇団の「誠実さ」については好感が持てますし、嫌いではありません。
役者さんの真摯な表現も然り。

それだけに「冒険」「斬新な切り口」がほしいのです。

いずこをはかと

いずこをはかと

PocketSheepS

TACCS1179(東京都)

2018/02/08 (木) ~ 2018/02/11 (日)公演終了

満足度★★★

階層の差はありながらも、どちらも「閉じ込められ」、閉塞し、鬱積した悶々たる気分をもつ2人が惹き合い、共に生きようと決意する。
 劇中は、テンポ良く展開し、その中での「笑い」と、逼迫した2人の行く末が両輪となって進む。
 すまないと思うが、前半は、上演予定時間が早く過ぎないかと祈るばかりだった。それは、筋書きが・・・ということではなく、俳優さん
の台詞がも、あまりにも早く、それでいて語尾がはっきり聞こえない滑舌の悪さ。そしてそれ以上「退屈」にさせたのが、「間」のない、
単調な台詞のかけあいだ。
 だから、個性的な俳風のみなさんが、みな同じ顔に見えてきてしまう。
 前半は、そんなことを考えながら、何度も腕時計を見てしまった。

 それでも後半は持ち直してきた。ストーリーがめまぐるしく展開されはじめてきたことが要因ではあるが、この主人公の2人がどうなるのか、気になってきた。
 しかし、2時間10分はきつかった。

 2つ注文。
 ①やはり、早口で饒舌のオンパレードは飽きてしまう。「間」が必要な劇団だと思った。
 ②笑いをもっと発掘してほしい。①とも関連するが、大きな声、が笑いをとる1番の手腕では、飽きられるのも早いと思った。

 注文ばかりで申し訳ないが、個々の俳優の演技力は、かなり高いと思う。
 さらに輝くためには、上の①②が必要だろう。
 最後に。物語自体は嫌いではないです。ぜひ、もっともっと背伸びしてほしい。

スピークイージー

スピークイージー

やみ・あがりシアター

荻窪小劇場(東京都)

2017/12/23 (土) ~ 2017/12/28 (木)公演終了

満足度★★★

禁酒条例が出た都内の居酒屋。
酒無しの忘年会で、酔うに酔えない苛立ちと、はたまた冷静な議論とが交錯する。
施行前と後とに場面は繰り返し交代しながら、そこに集まった社員たちの人間模様が、徐々に明らかになっていく。

役者の演技も悪くない。個性的である。
そこそこ、笑いの場面で私もクスクスと、周りにつられてしまう。

戯曲を書いた人は、きっと優しい人なんだと思う。
登場人物は、それぞれがそこそこの痛みを持ち合わせ、そしてそれと同時に優しい心を周りにふりまこうとしている。
だれもが、「未完」ながらも「善良」であろうとしている・・・と、思う。

 だから、見終わったときの気持ちは温かい。
 
 しかし、しかし、やはり何か物足りないのである。
 
 そのひとつに「社会性」を表現する姿勢がある。

 社会運動に参加している社員がいる。
 その動機が私には不満である。
 行動自体がどうもファッションとしてしか描かれていないのだから。

 やさしさが、同心円のように広がっていく。その波形のありようが社会的な行動と言えはしまいか。
 劇団の描くものは、個人の趣味である。
 「今は、そんなものなのよ」と言われたら返す言葉もないが。

 BGMは、全て私の生きてきた「年表」に位置が確認できるほど、懐かしいものだった。
 これは嬉しい。

 可能性。そんな言葉が頭をよぎる。
 また、温かな、そしてできれば、「鋭い」劇を、と期待。

袴垂れはどこだ

袴垂れはどこだ

劇団俳小

シアターX(東京都)

2017/12/13 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★★★

まだ日が残っているから現時点なのだが。
今年に観た演劇では群を抜いて心に残った。

この戯曲が、1964年に作られたというのを知り、納得した。
安保闘争が山を越え(うまい言葉が見つからない。決して無くなったわけではない)、世の中は東京オリンピック一色になっていた時期。
しだいに経済成長の「恩恵」が、国民を覆っていく時代だ。闘争になにかしら主体的に関わったものとしては、安保も、戦後処理も、日韓の問題も、なにも解決していないままで歴史が楽天的に進んでいることに我慢ならなかったはずだ。
そんな空気がひしひしと感じられる戯曲だけに、これを半世紀たった私たちが、どう表現し、どう受けとめるか、興味深くして赴いた。
俳小の役者の力量が十分に分かっている。
あとは演出家の技量だろう。
結論は、期待を裏切る? いや、期待通りの演劇であった。
戦術と戦略の、理想と手段の葛藤。
私はこんなことばかり考えながら観ていた。
蜷川演出に影響され、「金に糸目をつけない」舞台装置(これは私の偏見かもしれない)のかと思っていたが、予算の関係もあるのか、これは杞憂(笑)
手堅い演出、そんな印象だった。

なによりも私が感銘を受けたのは、戯曲の選択。
劇団の時代の読みの鋭さだ。

あらためて、私たちの日常で、理不尽な現実を前にした闘いで、感性の部分で触発されたことが嬉しく思えた。
1964年と2017年。
問題がいくつも置き去りされたままだ。

煙が目にしみる

煙が目にしみる

パンドラの匣

TACCS1179(東京都)

2017/11/15 (水) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/16 (木) 19:00

「質朴」という言葉が似合う演劇を、久しぶりに観た。同時に、残る短い人生を、何かと、または誰かと深く繫がれないものかと喘いでいる私にとっては、ひどく胸に突き刺さるような内容のものでもあった。
 劇の内容自体は、よくある人物像の「良き姿」回顧のものだが、それが演技として、人物同士が絡み合うと、不思議と笑えて、そして泣かせるものとなる。敢えて「質朴」を追求した演出家のなせる業だろう。
 役者さんの滑舌の悪さが、やや気にはなったが、それをもってしても、温かな気持ちで帰宅できる劇をいただいた。

Short Cuts 5

Short Cuts 5

劇団ガソリーナ

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2017/10/11 (水) ~ 2017/10/15 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/10/14 (土) 14:00

ABチームのAを観る
圧倒的に言葉が舞台に溢れた劇だ
感心し、感銘を受けたのは、役者がその氾濫する台詞を、しっかりと消化し、演じていることだ
例外なく7つの舞台に、レベルの高い台詞と演技が繰り広げられていた
圧巻は最後の「光の国」の植野祐美さんの一人芝居
声の質も練習の賜物だろう
歯切れの良さ、流れるような言い回し、表情、抑揚の妙など、15分くらいだろうか、引き込まれるように魅せられた
団員は少ない小さな劇団だろうが、また観に行くことになるだろう

日曜日までの公演
お薦めです

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