満足度★★★★★
凄まじき女の戦い
二度ビックリしました。
ネタバレBOX
囚人と看守に分かれ、それぞれの役割を実践するゲームを行う中で表現力を見て次回の創作バレエのプリマドンナを決めるというオーディションの話。
オーディションに勝ち抜くための凄まじい女の戦いがありました。人の弱みにつけ込んで味方にさせるなど超リアルで、暴力シーンも想像以上の迫力でした。
そして、明らかになったこと。小学5年の発表会ときに潤の衣裳が切り刻まれた事件は潤の自作自演でした。先を行くライバル美鈴の靴紐を切り、自分の衣裳を切り刻んだ過去がみんなに知れてしまいました。
そして、潤がパニクっている最中、もう一人のライバルであり親友の美嘉が潤に突然のキス。美嘉が潤を愛していたことが分かり、二度目のビックリでした。
満足度★★★
早い者勝ち
東北の話ですからね、気持ちは分かりますが後追い感ありありでした。
ネタバレBOX
同時上演中のNAT『阿Q外傳』にも藤野先生のエピソードが出てきましたが、それをもう少し具体的にした感じの話。
医学は人を殺すとか、血管図は美しく書くのではなく正確に書くべきとか、友人が妬んだことへの誤解を解く話など魯迅と藤野先生の交流の話だけでは間が持たないようで、校舎の水漏れの話と白い謎の建物の話がありました。
業者が直しても直しても水漏れが続き、しかも実際に舞台上に水が垂れるというのは、まさに劇団チャリT企画『ニッポンヲトリモロス』(2013/10/25~10/30)と全く同じでした。東北の話ですから原発事故の話を加えてみましたという印象を受けましたが、こういったものは早い者勝ちですね。そして、早い方を見た立場としては後追い感が拭えませんでした。
後半のテンポの良い台詞とダンスの組み合わせは心地良かったです。
満足度★★★★★
これが悲劇だー!
劇中のカンパニーは意外にいいカンパニーでした。
ネタバレBOX
前半はそんなにトラブルも無く進みタイトルに偽りありと思いながら観ていましたが、後半のマッチ売りの少女がマッチねだりの少女になった辺りから面白くなりました。
後半のバックステージにおけるドタバタ振りと前半で練習したシーンが頭の中で見事に繋がりました。例えばマッチ売りの少女が籠を忘れて出て行って困り果てている様子や彼女を突き飛ばす荷車のシーンは目に見えるようでした。
先日、新国立劇場で『リゴレット』を観てきたばかりなので、娘の境遇や尻軽男に教会で見初められるなどの共通点もあって嬉しかったです。
越路吹雪ばりの大女優の場を繋ぐ機転の利く対応は素敵でした。
ベテラン俳優の拘りにも感心しました。「これが悲劇だー!」と歌うだけのラストのワンフレーズとはいえ何ヶ所も刺されて歌が歌えるか、しかし首がはねられてから歌うのは死者として、物語の語り部として歌う意義があるという解釈は素晴らしかったです。
一発花火を上げようという作家を主体とした歌による全員でのフィナーレはいいとしても、作家と演出助手のしんみりした話は衣装替えのための時間繋ぎだとは思いますが余計でした。このミュージカルは素晴らしい仲間意識で結びついたカンパニー全体の話です。全員の活躍でドタバタしながらも無事最後まで辿り着いたというところで終わってほしかったです。
満足度★★★★★
復活!
棒立ち、下手ウマが戻って来ました!
ネタバレBOX
途中ちょっと中だるみ感はありましたが、これぞGORE GORE GIRLSの真骨頂と言える作品でした。
独身としてでしか生きられない男たちの集まるシェアハウスで、独身の権化の一人と思われた男が結婚相手を連れてきたことから起こる騒動。元々の彼らは会話する女性といえば大家さんだけで、その大家さんもモテる男女は好きではないといった感じの女性でした。
クソメンたちのモテないことへの鬱屈とした自虐ネタが、棒立ち、下手ウマで緩く表現されるところに何とも言えない味わいがありました。
彼らの持つ独身力は独身を誓った血判状を丸めたボールをキャッチボールするときのパワーに比例します。ベテラン男性は凄いです。シェアハウスに入って一年の青年は弱いボールしか投げられませんでしたが、結婚が何だみたいな言葉をブツブツ吐いてから投げると少しパワーがついていました。入籍したばかりの男も投げてみると物凄いパワーがありました。
独身力の高まった彼らは妖精に昇華するというバカバカしい展開があり、暗転後にこの世に残っていたのは入籍した女性と未練のあった青年という皮肉なオチには入籍した男が可哀想でちょっと後味の悪さはありましたが、いい伏線の回収ではありました。
満足度★★★★★
うるっと来ました
まるで正十二面体のサイコロが緩やかに転がっているようでした。
ネタバレBOX
正五角形を六個繋げたオブジェは宇宙船の先頭部分のようでした。そしてこの形状は正十二面体の一部でもあります。
ケケケとしゃべる宇宙人が見えて遊んだり、過去の思いでのシーンがあったり、いじめられていた生徒といじめに加担していた生徒が実は逆だったり、それでも怪我をしたのは自分で他の人が傷つかなくて良かったなと思ったり、でもそのときの後遺症で意識障害になって眠り続けているのは自分だったのかと気付かされたり、ようやく意識が戻ったり、と思ったら全ては若年性の癌に冒された少女の描いた絵本の世界の話だったり、正十二面体のサイコロを転がして出た面をシーンにしたように様々な局面が描かれていました。
不思議感覚にもちょっとマンネリ感はありましたが、色々な真相が明らかになるに連れうるっと来て、さすがはアンティークスだなと思いました。
満足度★★★★★
愛すべきクソメン、クソガール
表情豊さんの経験が活かされているようでした。
ネタバレBOX
クソメン、クソガールの話。巨漢で胸の谷間を見ると死ぬと言われていた中学時代の女子柔道部員デスバレーの話などは、表情豊さんのことかと笑ってしまいました。
イケてる奴らの輪に入りたいのに入れないのがクソメン、クソガール。頭の良さや見た目ではなく性格的なものです。正におぎやはぎのメガネびいきの世界で、オールナイトニッポンというよりはJUNK系という感じでした。
卒業して10年も経つと、イケメンで外資系に勤めていて彼女連れで参加したタキザワやラッパーになっているハラグチなどは本当にイケてる側になったのかと思いましたが、初対面の人や何年振りかの人に対して見栄を張ろうとする立派なクソメンでした。やはり自分から女性に積極的に行けるタイプではありませんでしたが、それでも二人ともかつてのデスバレーや今現在のデスバレーから好かれる男に成長していました。
ひょんなことからクソガールだけど可愛いカヤシマと付き合えることになりそうなオリモトですが、性格がクソメンですからまだまだ厳しい道程があると思います。
カヤシマのお兄さんもクソメンでしょうが、クソメンは決して変態ではありません。お兄さんの話はエピソードとして語られるだけでも良かったのではないかと思いました。
満足度★★★
全てが
チグハグな印象を受けました。
ネタバレBOX
今では大人になっていますが、一番将来が不安な発達障害のような子どもの夢をみんなで応援しようとすること自体は結構なことですが、その夢が占い師とは何をか言わんやです。軌道修正してやってよとは思いましたが、結果インチキ占い師の手口を教えてくれて、こんな被害に遭わないようにとの啓蒙面は評価します。
その他は、占い絡みでなんで拉致騒動が必要なのか、誰も働かないくせに養護施設を再建しようとしている、それでいて過去の殺人犯として自首しようともしている、お局の指示だったとは言え女子社員のツンデレ振り、全てがチグハグで意味不明でした。
松本寛子さんは2時間サスペンスドラマに出てくる主人公の脇を固めるおばちゃん役に適任だと思いました。いい味出しそうです。
満足度★★★★
全員ひどい
為政者も大衆も勢いがつくとひどいことをするものです。
ネタバレBOX
お調子者阿Qが、勢いにノセられて行き着くところまで行ってしまった話。
公開処刑が大衆の楽しみだった時代があったのですね。江戸時代の日本もそうだったのかもしれないし、北朝鮮じゃ強制動員もあるのでしょうが、今でも明日は我が身の怖さ半分、楽しみ半分なのかもしれません。文化大革命の頃に見掛けられた罪人を人前に立たせて晒し者にする行為などもその名残なのかもしれません。韓国では今でも犯人が警察に入る前に記念写真を撮られています。芸能人の謝罪会見などもそのような面がありますね。
調子に乗り過ぎて革命軍の名を騙った阿Qが、革命軍の仕業と見せかけた強盗に間違われて処刑される段になっても、大衆は、知り合いたちも含めて誰一人助けようとはしませんでした。なかんずく阿Qが蓄えを譲ると言った、過去に言い寄られたことのある女性ですら、アリバイなどと大げさなものではなく単にそんな大それたことをする人間ではないと一言申し出れば良かったにも拘わらず何もしませんでした。
執行側も彼が無実だということを知っていながら、とりあえず誰かを犯人にする必要があるということで事が進行していく様に、全員人道的にどうなのよと思いましたが、いったん大衆に火がつくと一方向へ向かう勢いを誰も削ぐことができない、そんな時代だったのかなと思いました。
場面転換の際のダンスはお粗末で無意味でした。
満足度★★★★
同じピアノなのに
プロと素人ではあんなに音色が異なるものかと改めて痛感しました。小原孝さん、素晴らしかったです。
ネタバレBOX
鍵盤に番号を振って、弾き順を番号で覚えるやり方でもやはり三日では大変だと思いましたが、その昔夫からその方法で手ほどきを受けていたのを思い出していたんですね。
スイートメモリーが途中で弾けなくなり、ひびきがパニックに陥ってから、それまでそんなバカなと思われていたことが一気に解決していきました。
とても劇的な展開で話が引き締まりました。
あんな素晴らしいピアノの音色を親戚の叔父ちゃんたちは聞いていなかったことになるのですからああ勿体ない、勿体ない。例えひびきの妄想だろうと、聞こえた私たちは本当に幸せでした。
満足度★★★★
理解が進む
ノラが独立する理由により説得力がありました。
ネタバレBOX
夫の病気療養のための借金をする際に父親が保証人になる必要が生じたものの、そのとき父親が病気だったこともあって無断で父親の署名を捏造したノラですが、借入目的が正しく、当然保証人になってくれるはずの父に無用な心配を掛けさまいと、むしろ正しい行動をしたと彼女は信じていました。
それが法律違反だとつけ込まれ、夫の態度も法律違反に対処するもので、人道面を主張したノラを擁護するものではありませんでした。
ノラは法律に無知だったことを悟りながらも、人道的に良しと思ったことが法律違反とされた現実に、本当に今の現実が正しいのか、別の法律で覆せるのではないか、もしそういった法律が無ければ人道面を優先した法律を作るべきではないか、それには自ら勉強しなければならないと考えるに至り、可愛い可愛いで済まされていたこれまでと決別するためにも家を出る決心をしました。
家を出る理由がものすごく前向きで、一歩踏み込んでいて、説得力があり理解が進みました。
満足度★★★★
戦争を利用する側の話
二つの国を巡る大人の寓話。
ネタバレBOX
一国一核となった世界では戦争が無くなったそうです。切り札の核弾頭を一回使うともう使えないので対立が生じたときに慎重に対処するということでしょうか。そんな世界で、月国と星国が雨島を巡って対立します。月国が日本、星国が韓国という構図でした。
戦争が無くなって失業中の星国の戦場カメラマンの捏造写真が元で対立がエスカレートしていき、核シェルターとミサイルを製造している星国の会社がより強い矛と盾を交互に作りながらせっせと儲けるという大人の寓話。
ほこ×たてがヤラセだということに月国の人も星国の人も気付くべきでした。
自分やごく親しい人の生命や財産に悪影響がない限り、雨島の所有権を主張し続けるというのは至極当然で、このままでは解決する見通しは立ちません。
戦争を愛していたのか、失業中ではなくて廃業であるべきだったという戦場カメラマンの言葉は印象に残りました。
そして、お金こそが人の気持ちを引き出すことができる、即ち人の気持ちを写すことができる一番のカメラだという事務所の男の言葉も凄い名言でした。
満足度★★★
戦争で被害を被った側の話
二演目で60分。
ネタバレBOX
『残跡』 ごく短編。前半は椅子に座ったままのダンス。水牛の鳴く声のような、あるいは迫り来る飢えた軍人たちの鼻息のような音が響き、田舎で元慰安婦から話を聞いたときの様子のようにも思え、また自由の利かない境遇を表現しているようにも思えました。後半は動きのあるダンス。腕を組んで上下に何度も何度も振る動作が悲しさ、怒りの大きさを表現しているようでした。
当日パンフレットに書かれた10代で日本軍に誘拐されたという言葉にはどうしても引っ掛かりを覚えました。最初は繊維工場で働かないかと言われたそうですが、軍がそんなこと言うと思いますか。本人は誘拐だと言っているのかもしれませんが、実際に高額支給を謳った新聞広告だってありました。例えば親にお金を渡してブローカーが強引に連れて行ったことも考えられます。一日20人から40人、週末は200人を相手にさせられたというのは本当だと思いますが、仕事の内容と経緯は別物のような気がして仕方ありませんでした。
『ユダヤ人種の妻』 夫の許を離れアムステルダムに逃れるユダヤ人女性の話。トランクに淡々と衣服を詰める動きに、女性って宙で衣服をたたむのが上手いなと感心しきり。BeSeTo演劇祭なので仕方ないのかもしれませんが、韓国人女優が出た意味は良く分かりませんでした。
ユダヤ人妻が去ることが自分の職場で有利になることを本心では喜んでいるのか等々、夫役のドイツ人出演者の表情や言葉のイントネーションからは何も窺い知ることはできませんでした。
戦後二人はどうなったのだろうと気になりましたが、あの夫の無表情さを見るとそれっきりだったような気がします。
満足度★★
敵前逃亡
やり散らかして逃げやがったなという感じ。
ネタバレBOX
三日後にオリンピックが始まると聞いて大笑い、おもてなしや、コントロールされているなどの時事ネタにさらに大笑い。そして尖閣諸島に右翼が上陸したことで中国がオリンピックをボイコットするという事態になって期待は高まりました。
ホテルの水漏れは続き、謎の宿泊者がいて、いやいないのか、そして意味は良く分かりませんでしたが棒が盗まれ、さあどうなるんだというところで、支配人がホテルから逃げ出して行ったように、お芝居はあっけなく終わってしまいました。
それが意図だったのは重々承知の上で、たったの60分では、手を広げたものの収拾が付かず台本が続かなかったので天井から大量の箸のような棒を落としてごまかして逃げたとしか思えませんでした。根が正直なのかもしれませんが、敵前逃亡してどうするんだ、そんなんじゃお客さんはとりもろせないよ、とよもいました。
あと20分あったらグダグダで終わったような気がします。そして、2万年先のことが想像できないのに、原発を作るだけ作って使用済み核燃料棒の処理に困って逃げ出すしかない自分勝手な現代人を描き切ってほしかったです。
満足度★★★★
良く分かった
この二ヶ月でアンドロイド版も含めて三人姉妹は三本観ましたが、一番原作に近いように思われました、多分。
ネタバレBOX
きょうだいは、上から長女オーリガ、長男アンドレイ、次女マーシャ、三女イリーナの順でした。当日パンフレットに書いてあったように当時女性が専門的な職業に就けなかったことを考えると、アンドレイは一番上ではありませんでしたが家長的地位にあったことは難くありません。
パーティの席などではその他大勢のお客さんもいたはずですが、そういった人たちは省略され登場人物は限られており、それぞれの特徴もはっきりさせていたので、そうか、男爵の決闘相手はあいつだったのか、言いがかりをつけそうなタイプだったなどと良く理解できました。
全員が舞台上に待機していて、登場しないときは椅子に座ってじっとしていました。面白い手法だとは思いますが、アンドレイの妻になるナターシャなどはピンクの服で結構目立つのに始まってからしばらくは動かずじまいで気になりました。参加しているのかしていないのか分かりづらい面もありました。かと言って、こまつ座風に脇に座っているのも芸がないし、これはこれと思うようにしました。
父親が死に、期待された長男はどんどん凡人になっていき、長男の妻がのさばり出す、長男に子どもが生まれ家の実権がどこにあるかはっきりしていき世代交代が進んでいく、どこにでもある疎外感、特に王室や旧家では顕著だと思います。他の者は生きていくため次のステップに踏み出すしかありません。
満足度★★★★
自分自身とは
江頭2:50さんは悪くて、韓国の劇団なら許されるのか。
お笑いはダメで、演劇ならいいのか。
それとも、それでしか表現できない必然性のあるゲージツならいいが、単なる勢いだけではダメなのか。
ネタバレBOX
字幕は上手側にしか無いため見にくく、文字数が多いため素早く変わります。両側に設置してあったらと思いました。
というわけで細かいところは置いといて、地下の国トロルへ行ったり神様に会ったりしての自分探しの旅。結局、故郷には年老いても待ってくれている女性がいたのに、そんなことも忘れて自分探しを続けていたペルゥ。韓国語ではペールじゃなくてペルゥ・ギュンという感じでした。
そして自分自身を見つめて晒すことで心が開放されました。スケールの大きな冒険譚は伝わりました。
さて、先日観た演戯団コリペ『小町風伝』もそうでしたが、女性が胸を出すシーンがありました。日本でもたまにありますが、ここ一、二年は見ていません。韓国ではそうでもしなければ客が集まらないのかと思っていたところ、今度は男性が全裸になって局部を見せるシーンが二回もありました。
自分自身を晒すとは男性自身を晒すことなのか、ゲージツ表現上必然と捉えているのか、女性客を取り込むための韓国演劇界の実態なのか、それとも女性の胸も含めてゲージツと称するパワハラがまかり通っているのか、韓国は一周遅れていると感じました。
不特定多数の前で全裸になることが公然わいせつ罪に該当することはエガちゃんの事件で明らかになりました。これでいいのか、韓国の劇団に日本の法律をきちんと説明したのか、日韓関係を気にして何も言えないのか、運営側はどう考えているのでしょう。
満足度★★★★★
素晴らしい!
何層構造にもなっていて、知的好奇心がくすぐられました。
ネタバレBOX
豊田商事事件を彷彿させる富田商事事件、殺されたはずの首謀者永野と名乗る人物が現れ精神病院に収容されているというシーンからスタート。考えられることとして、彼は実は生きていた、誰かが永野だと嘘を付いている、あるいは誰かが永野だと思い込んでいるなどが挙げられ、真偽を確かめるために中条医師を中心に演劇療法が実施されました。ロールプレイングの結果、中条医師演ずる中山弁護士の活躍によって被害額の90%が回収できたというところで、ちょっとおかしい、途中からやり直しということになって、新たな真実が浮かび上がりました。本当の被験者は中山弁護士でした。中山弁護士は事件の背景に政治家5人がいたことを知りながら、自身のスキャンダルのため公表できず、そのため被害額の10%しか回収できなかったことに悩み、精神を病んでいたのでした。
狂ったように猛進する永野の目ヂカラは迫力がありました。生々しい勧誘の実態には見入ってしまいました。
そして本当の真実、生き証人である中山弁護士を手札に持つ精神病院の内野院長による政治家5人への支援要請と称する恐喝まがいの実態が続いていることが明かされました。
何層にもなった構造の妙に感動しました。
永野は中山弁護士にだけ見える妄想で、他の人には見えていませんでした。負った傷口の数が一致していたことなどの辻褄が解消され、さらに彼の影がちらつくことでこうした老人を狙った詐欺事件が今もなお存在し続けることを象徴していて素晴らしかったです。
満足度★★★★
役者だねえ
顔色を窺っただけでは分かりません。
ネタバレBOX
下手奥から上手手前、客席出入口までが公園脇の道路になっていて、人々が日々往来しています。そんな中で起こった事件、全員が嘘を付いているという話。
舞台の上手端にモニターがありましたが、クレタ島の住民の一人が言った言葉についてはお客さん全員が見たのかなあ。見たと見ないでは心構えが変わりますからね。
のら猫の世話をしていること、通り魔に襲われたこと、通り魔犯、痴漢の冤罪、警察の捜査まで、みーんな嘘っぱち。
わざわざ事件にすることもなかろうと穴を埋める警察官。鑑識が何か言うだろうと思いつつも笑ってしまいました。
で、一晩で4キロも痩せるかいって。でも昔の写真を見ると太っていましたね。小麦アレルギーの件は嘘か真か分からなくなりました。
満足度★★★★
30°さん
特徴を言い表しています。
ネタバレBOX
須貝英さんのシナリオの作品で、電話に出ようか出まいかの葛藤は一人芝居だと思うのですが、電話の向こう側と話すのは果たして一人芝居と言えるのかと考えてしまい、ちょっと集中力がおろそかになってしまいましたが、あの抑えた演技こそが待ちに待っていたものでした。
アフタートークで空想組曲のほさかようさんが、夜中のハイテンションで書いたシナリオを、普通だったら修正するのを小玉久仁子さんは一字一句忠実に演じてくれるとおっしゃっていました。やはりキワモノとしての彼女に期待するケースが多いのだろうとは思いますが、作家や演出家の方には是非とも普通のお芝居の中でもああいう抑えた役で使ってみたらどうかと思います。
女優フウウンジキョウコの話は、突き抜けたテンションが村上誠基さんの面白さと相まってとても良く出来たコントでした。しかし、しんみりとした終わり方は二人芝居と銘打っているからでしょうか、何か中途半端でとことんコントに徹した方が良かったのではないかと思いました。ただ、次回もあるぞ的な感はありました。
マンネリ化の心配もありますが、良くも悪くもスーパーお母さんのようなシリーズ化されたキャラクターもできたようです。
肉球ならぬ仁久Qのゆるキャラも良かったのですが、30°のアゴのゆるキャラ30°さんも捨てがたかったです。
満足度★★★★
【太陽とサヨナラ】観劇
アマアマファンタジーという感じでした。
ネタバレBOX
戦争か災害かで親を亡くしたり子を亡くしたりした人々が新しい家族を構築して生きている集落での話。
砂嵐が頻繁に起こる集落にやって来た謎の生命体は恐竜のような動きをしていましたが、実は太陽でした。住民が少しエネルギーをわけてくださいと言っているところを見ると、自然エネルギー重視を謳っているようでもありました。
太陽さんありがとう、あと50億年頑張ってください、そして水素の核融合反応が終わったら赤色巨星になって地球をも包み込んで我々地球上の生き物全てを滅ぼしてください、みたいなラストのメッセージは、太陽にも寿命があっていずれ地球は滅亡するという私の憂鬱の種と同じだと共感はしましたが、あまりにも情緒的でストレート過ぎて子供っぽくて、小っ恥ずかしくなりました。
当日パンフレットに元ダンサーの盛りを過ぎた娼婦とあったマダラ役の田中美甫さんは今が絶頂期という感じで全然盛りは過ぎていませんでした。とても可愛くて嬉しい限りなのですが、こういうのって作家の意図に反していてやはり役作り失敗と言うのでしょうか。
満足度★★★★★
大好物
単なるクソメンならどうでもいいのですが、ストーカー気質の男の嫌らしさには本当にイライラさせられました。でも大好物です。
ネタバレBOX
粘着質でDV、ストーカー気質の男と逃げると何をされるか分からないので付き合い続けている女、妻が別の男と逃げた婚姻届を出していない関係の夫婦、そして仮面夫婦の三組のカップルのゴタゴタの様子と、三組のそれぞれの男を拉致し、女たちに殺してあげると迫る謎の男の話。
他人事なのでイライラを楽しんでいましたが、三鷹ストーカー殺人事件があったばかりでもあり、ああいう男に付きまとわれたら本当に大変だと若く可憐な女性に同情しました。
若い女性はこの際殺してもらいたかったようですが、結局は正論を通す仮面夫婦の妻が警察に通報したということなのでしょうか。
アフタートークで作演さんやゲストの方が随分と3.11の地震と津波のことに拘っていましたが、私は3.11のことは全く眼中にありませんでした。それよりも、仮面夫婦の夫はぐっすり寝ていて地震に気付かなかったということと、仮面夫婦の妻も地震の話題におやっという表情をしたことが気になりました。
警察の事情聴取があったのは謎の男が接触してきた翌日、即ち男たちが開放された日なのでしょうか、あるいは翌々日、気持ちが落ち着いてからなのでしょうか。翌日解放後にすぐあったとすれば、仮面夫婦の夫は拉致されていても平気な顔して寝ていたことになりますが、もし翌々日だったとしたら、夫婦は地震にも気が付かないほど揺れていたのではないかと、意外や意外ということも考えられると邪推しました。