パラサイトパラダイス
ワンツーワークス
ザ・ポケット(東京都)
2016/06/23 (木) ~ 2016/07/03 (日)公演終了
満足度★★★
やや隔世の感あり
エンジェルにもなっているくらいですので、この劇団の昔からのファンです。
この芝居の初演は、13年前とのことで、大変面白くはあったのですが、やや時代遅れな雰囲気を感じました。
パラサイトはパラサイトでも、今はもっと深刻で、切実な気がしてしまいます。
コメディとしては上出来な舞台ですが、もし問題提起の側面があるのなら、この作品のこの時期の上演には、やや違和感を感じてしまいました。
Tell Me on a Sunday サヨナラは日曜日に
ホリプロ
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2016/06/10 (金) ~ 2016/06/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
素敵な一人ミュージカル
演技力のある役者さんの一人芝居は最高!
シンプルな舞台、映像やイラストをうまく使って、とても洗練された小粋なミュージカルでした。
ほとんど歌だけなのに、エマの心象風景を見事に体現する濱田さんの演技力には、恐れ入りました。
できれば、もう一度観たくなる素敵な作品でした。
演出の市川さんにも、今後大注目したくなりました。
ただ、一つ残念なのは、覇気のないバックコーラスは、ちょっと余計な気がしたこと。せっかくの濱田さんの名演をぶち壊した気がします。
渋谷・コクーン歌舞伎 第十五弾 「四谷怪談」
松竹/Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2016/06/06 (月) ~ 2016/06/29 (水)公演終了
満足度★★★
如何にも串田ワールド
これは、私の想像に過ぎませんが、勘三郎さんが亡くなって以降、コクーン歌舞伎は、全て、串田さんの意のままで、上演されている気がします。
だから、どんどん歌舞伎色が薄まって、串田ワールド色が色濃くなっている感じがします。
これからは、本来の歌舞伎ファンには、敬遠されがちなコクーン歌舞伎になりそうな予感。それが、吉と出るか凶と出るかは、まだ私にはわかりません。
天一坊十六番
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2016/06/10 (金) ~ 2016/06/20 (月)公演終了
満足度★★★
脚本に難ありの感
始まって間もなく、しまった!私、矢代さんは苦手だったと思い出しました。
このところ、ヒット作連作だった青年座ですが、残念ながら、今回は、あまり面白くありませんでした。
役者さんにも、腑に落ちていない演技をしている方が数名。特に、女流劇作家役の津田さんには、終始迷いながら演じている様子を如実に感じました。
長台詞が多く、時々眠くなりもしました。
ただ、若い金澤さんの演出力には、驚嘆します。
彼女の大学時代の恩師達が、スタッフとして助力されたようで、きっと、誰もが、彼女の才能に心的投資をされているのだろうなと感じました。
近藤さんの振付、日高さんの音楽、加納さんの衣装、どれも、ポップで、楽しかったのが救いでした。
神田陽子さんの講談は、良いお口直しになりました。
アフタートークの司会の方が、声が通らず、喋りも明瞭でなく、ちょっとじれったくなりました。青年座は、マイクを使わず、声が通る数少ない劇団なので、できれば、司会も、声が届く方に依頼して頂きたく思います。
天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~
東宝
帝国劇場(東京都)
2016/05/22 (日) ~ 2016/06/20 (月)公演終了
満足度★★★
開演前のイベントは不要
初演は楽しかったので、映画版ファンの友人を誘って観劇。
友人は、帝劇初体験で、開演前の売店見学なども楽しみにしていましたが、市のアマチュアゴスペルグループのパフォーマンス準備のために階段の通行が規制されて、彼女の期待は潰えました。
始まってみれば、アマチュアの歌はやはりそれほどのものではなく、途中で、通りにくい反対側の階段を苦労して、移動し、誰もいない喫茶室に入りました。
行政の無料イベントではないのだから、開演前のイベントは、あくまでも、高いチケット代を支払って、舞台以外の楽しみも加えて足を運ぶ観客スタンスで、企画してほしいものだと強く思いました。
舞台の方は、初演の村井神父が素晴らしかったので、ちょっと、期待外れな点も…。
でも、カテコでの一体感は文句なく楽しかったです。
8月の家族たち August:Osage County
Bunkamura/キューブ
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2016/05/07 (土) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★
迫力が凄かった
何しろ最前列でしたので、家族バトルの迫力が凄かった!
これだけの、名優揃いで、舞台を堪能したのも、久しぶりな気がします。
村井さんの出番が少ないのが、ちょっと残念!
常盤さんの美しさに魅了されました。
未見の映画を、是非観てみたくなりました。
1789 -バスティーユの恋人たち-
東宝
帝国劇場(東京都)
2016/04/09 (土) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
小池、神田、花總、東京楽日
約一か月振りの観劇。神田オランプは初見でした。
神田さんの父方の祖母である旭輝子さんに可愛がって頂いた過去があるので、ずっと、神田さんの活躍を楽しみにしていて、彼女が、立派に主役を務められる女優さんになられたことが嬉しくてなりませんでした。
小池さんは、ずいぶん、歌唱力が向上されたと感じます。
小池さんと、神田さんの声の相性が良く、二人のデュエットは、聴きごたえがありました。
それにても、このカンパニーのダンス力には、惚れ惚れします。
フェルゼン役の広瀬さんの成長も著しく、花總アントワネットとの格の差がなくなり、二人の恋情を信じられるようになったので、物語の深みが増した気がしました。
もう少し、ストーリーを骨太にして、是非また再演してほしいと思います。
翼とクチバシもください
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2016/05/11 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了
満足度★★★★
いつもより、大人でシュールなクロムでした
いつもは、もっと毒があり、ハャメチャで、毒の強い疾走感が、魅力的な劇団ですが、今回は、やや落ち着いて、大人の雰囲気のクロムでした。
これはこれで好きですが、個人的には、もう少し、毒気が強い方が、クロムらしさを感じられて、良かったのにと、やや消化不良な部分もありました。
でも、今回は、役者さんに力不足の方が皆無なので、心静かに、舞台に集中することができて、大満足でした。
とかげさんが、とても魅力的で、同性ながら、うっとりしてしまいました。
あの台詞、皆さん、どうやって覚えたのかと、この劇団の役者陣の力量に、ただただ脱帽します。
「乳房」~天上の花となった君へ~
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
俳優座劇場(東京都)
2016/05/07 (土) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
波瑠さんが適役過ぎ!
言わずと知れた、あのお二人のご夫婦だった時の闘病記。
作家である、夫の視点で、描かれているので、妻である女優さんのファンであった私にとっては、複雑な心境で、観る場面も多々ありました。
波瑠さんは、以前ドラマも、この女優役を演じていましたが、本当に、今、彼女の役を演じられるのは、波瑠さんを置いて、他に思い当たらない程、適役でした。
たとえば野に咲く花のように
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2016/04/06 (水) ~ 2016/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★
戦争の愚と、庶民のバイタリテ―
鄭さんの舞台は、ずいぶん久しぶりに拝見しました。
馬木也さん観たさに行きましたが、昔は、苦手だった、ともさかさんと、小飯塚さんが、いつの間にか、素晴らしい演技力を備えた女優さんになられていて、ビックリ!
康雄の婚約者あかねのキャラクターにどうも納得が行かない部分はあったものの、朝鮮戦争当時の、社会事情も、丁寧に描いて、見応えのある舞台でした。
フォーカード
劇団青年座
紀伊國屋ホール(東京都)
2016/04/15 (金) ~ 2016/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
劇作力と、演技力の見事なコラボ
久々の鈴木聡さん作の青年座の芝居。楽しみにしていた反面、正義感の強い自分には、不向きな作品ではと、内心危惧していましたが、杞憂でした。
面白いの何の!
それに、うまい具合に人情喜劇になっていて、改めて、鈴木聡さんの劇作力脱帽!
昔、映画の「スティング」にワクワクした自分を思い出しました。
時事ネタもうまく織り込み、それが、この芝居の裏テーマにもなっているおつな趣向。
役者さんは、新劇の養成所出身のフォーカード役の4人は、もちろんのこと、喫茶店に集う客全員が、パーフェクトの演技で、またしても、青年座は凄い!を実感しました。
明治座 四月花形歌舞伎
明治座
明治座(東京都)
2016/04/02 (土) ~ 2016/04/26 (火)公演終了
満足度★★★★
浮かれ難い「浮かれ心中」と幽玄美の舞踊
夜の部、観劇。
「浮かれ心中」は、今でも、勘三郎さんと三津五郎さんが、如何にも楽しげに演じていた舞台が、昨日のことのように、鮮やかに思い出されます。
息子さんの勘九郎さんが、どれだけ、お父上の愛した演目を軽妙洒脱に演じて下さるかと、期待しましたが、残念ながら、持ち前の生真面目さが邪魔をして、まだ懸命に、演じている様子が見えてしまって、舞台を弾けさせるだけの芸の余裕が感じられませんでした。
一方、舞踊の「二人椀久」の方は、幽玄美と、優美さを如実に、表出した、傑作舞踊に、しばしの憂いを忘れて、堪能させて頂きました。
菊之助さんと七之助さんのコンビの舞台は、今後もどんどん上演してほしいと思いました。
ミュージカル「グランドホテル」
梅田芸術劇場
赤坂ACTシアター(東京都)
2016/04/09 (土) ~ 2016/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★
グリーンチーム観劇
中川さんの方が観たくて、グリーンチームを観劇しました。
シナリオの書き方で、「グランドホテル」形式というネーミングがあるくらい、群像劇として、有名な物語で、各人の事情がうまくシナリオに表現されているストーリー構成はさすがです。
以前観た舞台より、演出が的確だった気がしました。
男爵役の俳優さんが、もっと演技派でいらしたら、更に感動的な舞台になったろうとその点が残念でした。
1789 -バスティーユの恋人たち-
東宝
帝国劇場(東京都)
2016/04/09 (土) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★
群舞が主役のミュージカル
小池ロナン、夢咲オランプ、花總アントワネットを観劇。
どうも、フランス産ミュージカルって、いつも人間ドラマの掘り下げがイマイチな印象ですが、今回の作品も、同様でした。
ロナンとオランプが惹かれ合う必然性があまり感じられないのが残念でした。
楽曲も、それ程、耳に残るメロディでもないし、ストーリーの深みがないので、各登場人物に、役が立つだけの造形がないのも惜しい作品でした。
でも、アンサンブルの群舞は圧倒的!アンサンブルこそ、ダブルキャストにしてあげたらと思う程、このミュージカルの根幹を成していて、見事でした。
ダンスは、きっと加藤ロナンの方が見せるのでしょうけれど、小池さんのあの輝く瞳は、類稀な宝物。こんな、漫画の星の瞳のような輝く目で、主役を張れる役者さんは思い浮かびません。
身長の低さを払拭するだけの、舞台役者としての存在感に、嬉しくなりました。
エドウィン・ドルードの謎
東宝
シアタークリエ(東京都)
2016/04/04 (月) ~ 2016/04/25 (月)公演終了
満足度★★★
ルパート・ホームズファンとして
昔昔、毎晩、ルパート・ホームズのアルバムを聴いて、眠りに誘われていた私。彼のコンサートに行って、そのアルバムジャケットにサインして頂いた時の感激は今も忘れません。大きな手で、握手もして頂きました。
そんなわけで、彼が手掛けたミュージカルがあると聞いて、ずっと、この目で観たいものだと思っていましたが、念願叶い、ラッキー!
内容は、だから何だ!と言った感じでしたが、とにかく、客席を巻き込むエンタメ性が、娯楽の楽しみを実感させて頂けて、大変居心地の良い、観劇タイムでした。
瀬戸カトリーヌさんのハッチャケ振りが愉快でした。
最近暗く不安なニュースばかりだから、たまにはこういう、ただ愉快な観劇タイムは、必要かもしれないと思いました。
期待のルパート・ホームズの楽曲は、アンサンブルの男の子が歌う歌が、意外と名曲でした。
二人だけの芝居―クレアとフェリース―
劇団民藝
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2016/04/04 (月) ~ 2016/04/21 (木)公演終了
満足度★★★★
テネシーウイリアムズらしい芝居
「ガラスの動物園」や「欲望という名の電車」などで、知られるテネシーウイリアムズに、こんな戯曲があることを、今まで知りませんでしたが、奈良岡さんと岡本さんの二人芝居に興味をそそられ、観に行きました。
なるほど!彼の作品には、脆い精神の姉がよく登場しますが、この作品も、同様でした。
年齢差や芸歴の差を物ともせず、奈良岡さんと岡本さんのコンビネーションは、抜群で、やや難解な進行も全く苦にはなりませんでした。
また、このお二人で、何か二人芝居を上演して頂けたらと、次回共演を大いに期待します。
ETERNAL CHIKAMATSU
梅田芸術劇場
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2016/03/10 (木) ~ 2016/03/27 (日)公演終了
満足度★★★★
小春とハルの対比
ルボーの作品に出演する七之助さんを観たくて、劇場に伺いました。
七之助さん、なかなか登場しません。(笑い)
でも、登場されるやいなや、見事に、舞台世界が進化しました。
七之助さんの演技に奥行きの深さを感じ、嬉しくなりました。
できれば、もう少し、七之助さんの小春をメインにしてほしかった気がします。
会場は、立ち見も出る満席で、久々に、劇場の熱気を感じることができました。
同じ夢
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2016/02/05 (金) ~ 2016/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★
現実の細やかな不条理の連鎖
現実の細やかな不条理に折り合いをつけて、生きる人々の日常の一コマ。
何も打開策があるわけでもなく、人生が激変するわけでもない。
捉え方次第では、事件化するような事項や、鬱になりそうな懸案が山積みな人達。
案外、どこの家族や隣人達も、似たり寄ったりの生活をしているような気がします。
結局は、ほとんど何も起こらない、2時間を、何故か、卑近に感じて、見入ってしまう観客が、多数いるように感じました。
やはり、日常を描かせたら、赤堀さんの右に出る人は、そうは見当たりません。
映像の世界では、いつも魅力を放っている麻生久美子さんは、舞台でも、輝いていました。
俺の酒が呑めない
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2016/01/22 (金) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
劇作家を観る目の確かさに感服
このところの青年座は、他で活躍される劇作家の選択眼が素晴らしいと常々感じていますが、今度は、箱庭の古川さん。
この座組が発表された途端に、素敵な舞台を観られるに違いないと確信しましたが、当たっていました。
元々才能ある劇作家の作品が、青年座という、全てベテラン勢揃いの劇団で、より作家としての花を咲かせる様を見るのは、観劇人間にとっての醍醐味でもあります。
セットの、細部に亘る崇高さにも、惚れ惚れしました。
芝居を観ただけで、日本酒の知識もたくさん増え、何だかホッコリ、得した気分になれるお芝居でした。
熱海殺人事件
ホリプロ
紀伊國屋ホール(東京都)
2015/12/08 (火) ~ 2015/12/26 (土)公演終了
満足度★★★★★
原型演出に感謝
物心ついた時から、招待券で演劇を観る幸運に恵まれていた私が、生まれて初めて、プレイガイドに並んで、お小遣いで買って観た芝居が、紀伊国屋ホールで上演した「熱海殺人事件」でした。
当時は、消防法がうるさくなかったから、通路に座って、観劇しました。
あの時の興奮が忘れられず、その後再演される度に、観ていましたが、時代と共に変容して行く「熱海」に付いて行けず、いつか、私にとっては思い出の中の作品になっていました。
それが、つか信奉者のいのうえさんによる演出、あの風間さんと平田さんが同じ役を演じて下さり、ハナ子役は、つかさんのお嬢さん。
これを期待せずに何を期待したらいいの?という感じで、待っていました。
あの当時の原型を留めた演出に、とにかく感無量でした。
ただ、できることなら、金太郎は、加藤さんで観たかったなあ。