同じ夢 公演情報 世田谷パブリックシアター「同じ夢」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    現実の細やかな不条理の連鎖
    現実の細やかな不条理に折り合いをつけて、生きる人々の日常の一コマ。

    何も打開策があるわけでもなく、人生が激変するわけでもない。

    捉え方次第では、事件化するような事項や、鬱になりそうな懸案が山積みな人達。

    案外、どこの家族や隣人達も、似たり寄ったりの生活をしているような気がします。

    結局は、ほとんど何も起こらない、2時間を、何故か、卑近に感じて、見入ってしまう観客が、多数いるように感じました。

    やはり、日常を描かせたら、赤堀さんの右に出る人は、そうは見当たりません。

    映像の世界では、いつも魅力を放っている麻生久美子さんは、舞台でも、輝いていました。

    ネタバレBOX

    庭の隅に、うず高く、積もった落ち葉。一日何度も、上空を行き交う自衛隊の飛行機。

    煙草を、健康に悪いと知りながら、換気扇の下で、遠慮がちに吸い、缶ビールや発泡酒で、喉を潤し、コンビニのおつまみで、何度注文しても来ない鮨を待つ間に、腹ごしらえを余儀なくされる人々。

    それぞれ、結構ハードな日常を、打開策もないままに、過ごしていて、トイレさえ、自由に入れない、本当に、思い通りに生きられない、市井の人々。

    唯一元に戻るものと言えば、掃除機のコードだけだし、解決したことは、食堂の主人の、片方の靴下がみつかったことぐらい。

    夢を語り合えるような若さも、自由も失った、中年男達は、換気扇の下で、遠慮がちに煙草を燻らせながら、共に、「いつでも夢を」を歌うしか、為すすべはないのです。

    それが、この芝居のタイトルの所以なのでしょう。
    ある意味、非常に切ない、日常のリアルさに、観客の私も、共に、諦観して観てしまい、心がかなり、疲労しました。

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    2016/02/19 02:38

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