『ニュー俺ラップ~韻フンデミル?~』/『心優しき野郎ども』
すわいつ企画
テアトルBONBON(東京都)
2016/09/21 (水) ~ 2016/10/02 (日)公演終了
満足度★★★★
心優しき男たち
如何に女が強くなったか、痛切に感じる内容。そしてなんとも情けない男たち。現実を背中に貼り付けたまま、合宿ノリで暮らす男たち。なんとも情けない限り。しかし、集団生活は人が増えれば増えるほど、厄介なものになり、マイペースのご近所さんに乱される。このご近所さんの屈託のないずうずうしさがマジにイイ!実際自分のご近所さんなら勘弁して欲しい存在だが、舞台のキャラクターとしては実に面白い!話を面倒にしたり、軌道修正したり、あっちにこっちに首を突っ込む、困ったチャン。男たちの個性も様々、良いバランスでした。
Infinity
ハグハグ共和国
萬劇場(東京都)
2016/09/07 (水) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★
シャボン玉のような
光を浴びて、シャボン玉が虹色に輝いているような舞台でした。背中にある現実をひととき忘れ、あこがれや切なる願いに輝いた人たち。かれらの苦しみより、夢みる力に心動かされた気がします。奥行きのある清潔感あるセット、ファンタジックな雰囲気まで生み出していたと思います。物言わぬ人たちの存在、イイ演出でした。
かえってきた不死身のお兄さんー赤城写真館編ー
演劇企画ハッピー圏外
Route Theater/ルートシアター(東京都)
2016/09/26 (月) ~ 2016/10/02 (日)公演終了
満足度★★★★
とても味のある舞台でした、が。
ハッピー圏外らしい、人の想いの温かい舞台。しっかり作りこんだ舞台、清楚な妹、しっかり者の叔母、とても良い雰囲気を出していた。賑やかに飛び込んでくる隣人達も個性豊か。しかし、話の中心にある“不死身のお兄さん”にそれらしき人を超越した存在感がないのが残念!裏庭から人の出入りが多かったが、そのバックが黒というのに、なぜか違和感を持った。
ブロードウェイミュージカル『スウィート・チャリティ』
ネルケプランニング
天王洲 銀河劇場(東京都)
2016/09/23 (金) ~ 2016/10/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
知英チャーリー
原田薫さん出演なので、ハズレても原田さんのダンスが観られれば・・・くらいの気持ちで観劇。しかし、意外にかわゆいチャーリー!!踊りにはもう少しキレが欲しかったが、芝居は予想外に良かった!一生懸命、素直で茶目っ気あるチャーリー、幸せにはなれなかったけど、屈託なく前を向いて歩いていくチャーリーにバッドエンドがハッピーエンドに変わった様に感じた。また、それを囲むメンバーがイイ!私の好きな原田さんの歌声も良かったが(ダンスシーンはもっと欲しかった!)、なんと言っても岡さんのオスカーは品良さと生真面目さが感じられ、そのくせ、割り切れない神経質な部分をよく演じていたと思う。物凄い大作ではないが、観る側を充分楽しませてくれる作品だと思う。
【公演終了】CONNECT 『ご来場ありがとうございました!』
劇団C2
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2016/09/15 (木) ~ 2016/09/19 (月)公演終了
満足度★★★
苛苛
世界観は結構好きな話なのだが、その世界に落とし穴的な説明不足が多い。登場人物も、人と鬼、どちらのものなのか?はっきりした見分けがない。そして、何よりイライラするのは「美意識」の足りなさ!以前拝見した時より、女性陣はレベルアップしていた(役によっては足りないものがあるが)、しかし、男性陣の衣装がひどすぎる!こういうファンタジックなものでは、やはり衣装はものを言う。中途半端な丈のジャケット、くたくたのシャツ、ありえない位置のベルト、体型をカバーするのではなく、体型を崩してしまう衣装と着こなしには終始イライラさせられた。更に言えば、二年前に観た時から演技力の成長があまり見受けられない。あと、殻二枚破るくらいの表情が欲しい。
チャンバラ音楽劇幕末スープレックス
劇団子供鉅人
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2016/09/17 (土) ~ 2016/09/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
ええじゃないか!
浅草の仲見世のような、どこかチープな華やかさ、賑やかでたくましく、遊び心に溢れている。登場人物の表情が良く出ており、くだらなさ満載なのに、惹きつけられてしまう!これだけ強気の馬鹿騒ぎ、ええとじゃないかと拍手した。個人的には花魁の動きの良さ、お松のイキイキした表情がとても好きだ。
硝子の途(再演)
劇団ヨロタミ
あうるすぽっと(東京都)
2016/09/16 (金) ~ 2016/09/19 (月)公演終了
満足度★★★★★
教育に携わる方に観劇してほしい。
確かにイイ話だと思った。当事者も双方の親も、それにかかわりを持つもの全てに、背負ってしまうものが有り、それは決して消えないが、それでも前を向いていくことは出来る。ヨロタミさんらしい温かな作品。こういう作品を教育委員会や学校の先生方に、そして、子供を抱える親御さんたちにぜひ観て欲しい。多分子供達には理解できないと思う。幼い感覚では立ち直る彼らの気持ちを理解するまでには行かないと思う。しかし、子供たちが先生方をどう見ているか?如何に親が子供を見落としているか、それを知って頂くには良い作品だと思う。自分でも心当たりが有り、少々母としては痛い気持ちになった。
テレーズとローラン
地人会新社
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2016/09/09 (金) ~ 2016/09/19 (月)公演終了
満足度★★★★★
美しき絵画
役者がいい!実に味のある芝居を魅せてくれる。これだけのレベルの方たちではないと演じるのが難しいと思われる作品。木場さんの円熟した演技、銀粉蝶さんの体から滲んでくる感情表現も見応え有り。奥村佳恵さんの危うさ
、浜田学さんも魅力的だ。
でも、それだけイイ役者がいても私の一番の印象はセット!
両サイドは暗闇のまま、その額縁の中のそれを観ている。何でもなさそうなシンプルな空間がものを言う。最初の血を思わせる真っ赤な照明、ラストの真っ白な明るい照明、斜めに入る陰ですら一枚の絵を思わせる。ひとつひとつの空間を絵画のように描くセット。そこには簡素なテーブルと椅子があるだけなのになんと意味有り気で美しいことか!ただただその美しさに圧倒されてしまった。
ストーリーは二人が死んでしまった所から始まり、徐々に時間が遡って行く
たいていの場合、始めに結果が有り、その後にストーリーが始まる。これは逆戻りしていく作品。なのにその説得力は半端ない!ひと場面ひと場面が
繋がれた絵画のようで、実に美しい眺めだった。その一枚一枚に込められたひとの感情や想いも、しっかりとそこに封じ込められたように感じた
家族の基礎 ~大道寺家の人々~
森崎事務所M&Oplays
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2016/09/06 (火) ~ 2016/09/28 (水)公演終了
満足度★★★
家族への皮肉
確かにとても面白い舞台だったのだけど、なぜかこころに食い込んでこなかったのは何故だろう?歪んだ家族であることは間違いない大道寺家。その歪みを直そうとしてますます壊れていく家族。親と子の見解の相違。子の辺りがまどろっこしく、救いがないせいか?不幸がひとつ起こって、ようやくひとつになるかと思えば、また波紋は続く。最後のあの図には家族像への皮肉が見えたような気がする。作者はそんなつもりはないだろうが。
新版 国性爺合戦
30-DELUX
THEATRE1010(東京都)
2016/09/14 (水) ~ 2016/09/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
女の陣
ムチャクチャ面白い!長い話を誰にでもわかる短さにし、始めから謎を振りまく。考えれば答えは見つけられそうなのだが、目の前の舞台に惹きつけられて、考える事を忘れてしまった。佐藤アツヒロの人としての葛藤、森大の存在感、断トツに印象に残ったのは女性陣の良さ!滑らかであり、説得力のある、大湖せしる・緒月遠麻の語り口と美しい動き、名塚佳織・川口莉奈の演技もイイ。男性もりりしく素敵でしたが、女性陣がひときわ光る舞台に感じました。殺陣に唄に演技に、充分堪能させて頂きました!
時代絵巻AsH 特別公演 『白瓊〜しらぬい〜』
時代絵巻 AsH
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2016/09/08 (木) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
じわっと・・・・・
会津出身の私としては、会津人を会津魂を、潔く美しく描いて頂いた事、実に嬉しい限りです。“こづゆ”とか“飯盛山”とか懐かしい単語も心そそられました。
いつも思うのですが、こちらのお話に悪人はいません。登場人物たちは否応なく押し寄せる時代の波に翻弄され、戦っている。その立ち向かわなくてはならない彼らの姿勢がいつも美しい。それがこの劇団の大きな魅力だと思います。今回も少年達のあまりにも真っ直ぐな想いに涙がじわっと溢れてきました。前回は使いこなせていなかった舞台の大きさも、今回はしっかり使いこなしていたようにも思います。
あえて、難を言えば、舞台栄えを考えると少年らしい白があれば(襷でも鉢巻でも)、もっと映えるのではないかと。また、その彼らの苦難が短すぎる気がしたのは、彼らが素直すぎる少年だからなのでしょうか?もう少し出撃から自刃するまでにもう少しボリュームが有ると良いのではと感じました。
雨の日と月曜日のレヴュー
劇団回転磁石
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)
2016/09/02 (金) ~ 2016/09/04 (日)公演終了
満足度★★★
今の自分達だから出来る作品を
低予算でよく頑張ったセットだと思った。またレビューシーンも綺麗なお嬢さん揃いで、絵になる。しかし、肝心のストーリーの方は浅くて甘い。マリーとルイ、そしてマリーを愛する男。愛情が感じられない。各キャラの掘り下げが足りない。何故こういう行動をするのか?もっと突き詰めて物語を作っていくと、もっと深い世界が造れるのではないかと思うのだが・・・。背伸びをせずに今の自分達だからこそ出来る表現をした方が良いのではないかと思う。
Back Stage~REBOOT~
TEAM空想笑年
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2016/09/08 (木) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
笑った!
こういうバックステージもの、以前2本くらい観た記憶がある。このタイプの作品としての“お決まり”、役者がいない・セットが壊れた・ストーリーがどんどん変わっていく・そして役者の暴走・更に登場しないはずの人間が舞台に出る、なのに結局、話はなんとか繋がり、幕を迎える。それが満載ではあったが、その暴走振りがかなりのもので、思わず声を出して笑ってしまった!個性的な登場人物のバランスも良し!意外な歌声もいい清涼剤になっていた。これまでこちらの劇団の作品3作観せて頂いた。どれもまったく違うタイプの舞台。次回はいったいどんなものを観せてくれるのか?期待度が上った。
撃鉄の子守唄 2016年版
劇団ショウダウン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2016/09/01 (木) ~ 2016/09/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
満足!
始まりに登場する兄妹、ここからキャラの完成度が高い!脇役にしても各々見事なセンスで彩られている。小劇場の枠越えの見事さ!衣装より芝居が脚本が演出が大事・・・などおっしゃる方たちはいるだろう。勿論、それらも大事だが、その世界観を表す、言わば物語りに観客を引き込む導入部として衣装はとても大事だ。小劇場の場合、予算面にしてもセンスとしても、それが満たされない場合が多い。言わば“小劇場の弱点”。それを克服したものであった。そして肝心のストーリー、これがまた実に楽しい!ガンマンに政治屋に占い師、妖精に守りし一族と冒険活劇としての要素はたっぷり(少々まどろっこしさはあるが)!出演者も粋がイイのがそろっている(確かに少々のムラはあるが)。荒がないわけではないが、満足感たっぷりの舞台であった。
天使は瞳を閉じて
虚構の劇団
新居浜市総合文化施設 あかがねミュージアム 多目的ホール(愛媛県)
2016/08/20 (土) ~ 2016/08/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
人間の愚かしさ
観終わった後、とても空しい気持ちになってしまった。人とはいったい何だったのだろうと、暫し放心状態になってしまった。そこにあるものに始めは満足しても、次第にもう少しもう少し、それがもっともっとになり、人間の欲は膨張して、やがて破裂していく 。唄ありダンスあり、遊びもいろいろありの楽しい舞台だったが、あっさり衝撃的なラストがそれらを消し飛ばしてしまった。現実にそんな日は来るのだろうか?完全に否定は出来ない。人間の欲には際限がないから。それでも、この舞台を観た全ての人が、面白いだけでなく、この“愚かしさ”を考えて欲しいと
切に思う。
舞台「インフェルノ」
CLIE
シアターGロッソ(東京都)
2016/09/03 (土) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
好みです!
設定が実に面白い!メイン二人の不思議な親子関係と絶対的な信頼、それに関わる男たちの思惑。うわべだけの優しさ・隠し切れない敵対心・打算・駆け引き・そして第三者の存在。イケメン、それも芝居が達者で、動きの美しい出演者が多く、見応えあり!
魔族会議
たすいち
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2016/08/27 (土) ~ 2016/09/04 (日)公演終了
満足度★★★
何の為の造りなのか?
随分と人間臭い魔族たち。会話や発想に面白いものはあった。吹っ切ったキャラも面白かった。しかし、ステージが中央、両サイドに客席という劇場の造りが納得できない。しかもせりあがったものではなく、客席より低い。これにより見えない部分が増える。また、中央のセットを中心にする動きが多い分だけ、登場人物の顔が見えない部分が多過ぎる。背中ばかり見えているキャラが何人か、横顔ばかりのキャラも。演出の狙いはわからないが、観る側としてはストレスが溜まる。結構楽しいストーリーと会話ではあったが(オチがわかりすぎる気はするが)、見る側の感覚も考慮する事をお勧めする。
8月のウィークエンド・プロフェシー
空飛ぶ猫☆魂
駅前劇場(東京都)
2016/08/24 (水) ~ 2016/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
面白いっちゃ面白いが・・・
出演者はみな安心できるレベルの方たちなので、それに関しては問題ないのだけど、「デスノート」を思わせる展開にはちょっと“ズルイ”気がした。確かに話のつくりは上手いし、構成もいい。でも謎がこういう感じって・・・もう少し意外性が欲しかった。
狸御殿
松竹
新橋演舞場(東京都)
2016/08/01 (月) ~ 2016/08/27 (土)公演終了
満足度★★★★★
夏祭り
子供からご高齢の方まで、どなたでも楽しめるわかりやすい舞台。しかも盛りだくさん!オペラに島唄、日舞に和太鼓にダンス、松也さんの甘くて響きの良い歌声、えりさんの貫禄ある存在感、城さんと翠さんの唄の戦い、とお楽しみたっぷりの舞台。エンターティメントってこうでないと!と思わせる舞台。個人的には城さんの“さくら”、こころに染み入りました。
かぜのゆくえ
ナイスコンプレックス
ザ・ポケット(東京都)
2016/08/10 (水) ~ 2016/08/14 (日)公演終了
満足度★★★
和製シザー・ハンズ!?
始まってすぐに話の展開がまったく同じことに気づいた。多分ベースにはこれがあったのではと思う。それに震災の被害や残されたものの悲しみをうまく描いている。シンプルな影絵、めくるページのようなセット。一冊の絵本がそこにあった。淡々と多少盛り上がりに欠ける気がしないでもないが、優しい物語であった。