Koujiの観てきた!クチコミ一覧

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In The PLAYROOM

In The PLAYROOM

DART’S

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/04/27 (火) ~ 2010/05/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

さらに内容が深まった名作!
昨年12月に開催された公演が、半年もたたずに同じメンバーで再演される、それだけでもこの公演の評判がわかるというもの。

去年観て、今年観て、芝居のストーリーは大きな変化はないものの、作品の質は激変した。昨年の作品がかっこいいサスペンスドラマだったのに対し、今回の作品は奥の深い心理ドラマになっている。見応え感がすごい。

舞台装置もほとんどない、照明も音響もほとんどない、役者の演技力だけでこれだけの舞台が出来るというお手本のような作品

雨とカエルと、ラブストーリー オン・ザ・コンクリート

雨とカエルと、ラブストーリー オン・ザ・コンクリート

早稲田大学劇団木霊

劇団木霊アトリエ(東京都)

2010/04/23 (金) ~ 2010/04/27 (火)公演終了

満足度★★★

斬新な演出と大胆な演技
とても刺激的で、とても挑戦的な舞台。しかしその内容は重く、時に目を背けたくなるようなシーンもある。

カーテンを使った演出が秀逸。舞台をクロス上に4つの空間に仕切り、その中央部に別世界を象徴する空間を産み出している。このカーテンが開いたり閉じたりしながら、さまざま場所を見事に表現している。

キャストは主役の福家匠人以外、一人複数役をこなし、舞台袖では常に着替えが行われているという状態。しかも着替えながら台詞をしゃべったりする。ブレヒト流の異化効果を狙っているのか、ちょっと意図が把握しかねたが、斬新な演出であることは確か。

随所にみずみずしい感性を感じさせながら、芝居としては未完成部分が多いと言わざるをえない。ただ、随所に演出家のこだわりが見え、その志の高さは評価したい。

役者では湯口光穂が熱演。体を張った演技で芝居を引っ張っていた

ネタバレBOX

最高にシリアスなシーンで、会場から笑いが起こることが2、3回あった。信じられない。とても笑えるようなシーンでない場所でだ。

役者の友だちか何かで、普段と違うシリアスな演技に思わず笑ってしまったのかもしれないが、芝居の緊張感を大きくそいだ。非常に残念だった。
真っ盛り

真っ盛り

手作り工房錫村

タイニイアリス(東京都)

2010/04/21 (水) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★

二階堂瞳子の体当たり演技に拍手。
不思議な芝居だ。

普通より三割は早いと思われる台詞テンポで、普通より三割は多いと思われる台詞を役者ははき続ける。そしてそのリズムは劇中、どんどん加速していく感じだ。

猫を売る女と、居酒屋の物語をからめながら、現代の病巣を象徴的に描いている。

ストレートプレイのようであり、アングラのようであり、さまざまな顔を見せながら少し消化不良のまま、突然終わってしまったという感じを受けた。

二階堂瞳子の体当たりの演技には拍手を送りたい。

鼻唄ビーバップ

鼻唄ビーバップ

早稲田大学演劇倶楽部

早稲田大学学生会館(東京都)

2010/04/22 (木) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★

役者の個人技を前面に出す。
 相変わらず、エンクラの芝居は安定して面白い。今回が初演出の内田明伸はエンクラの伝統を守りながら、随所に新鮮な表現をプラスしていっていた。そして役者の持ち味を生かしながら、全体としてのストーリーをまとめあげている。

 ストーリー的には破綻している部分が多々あるが、中心的な役者の技量が高く、個人技で客席を引きつけ納得させてしまう。大したもんだ。本筋のストーリー自体の深さはそれほどでもないのだが、役者個々の持っているものが深いので、結果として奥の深い作品に仕上がっている。

 500円は安い。安すぎる。

 役者では佐藤あい子の成長が著しい。彼女にしか表現出来ないスタイルで、独特の魅力を発揮しだした。ラスト近く、彼女が新(あらた)に愛情表現をするシーンは名シーンとなった。

背伸び王(キング)

背伸び王(キング)

コマツ企画

小劇場 楽園(東京都)

2010/04/21 (水) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

文句なく5つ星!
 いつもコマツ企画の作品は頭がおかしくなりそうなくらい深く、精神分裂になりそうなほどに素敵なのだが、特に今回の作品はひねりにひねった作品だ。男性4人のみという少人数だが、コマツ企画の場合、少人数で企画員をたっぷり見せる方がいいと思う。今回はコマツの役者陣が実力を見事に発揮し、彼らがいかに変なやつらであるかを再確認した。(もちろんいい意味で。)それが素敵だった。

 そして出来るなら一度小松美睦瑠(こまつみつる改め)の頭の中を覗いてみたい。きっと他の人の百倍入り組んでいて、百倍どろどろしていることだろう。天才が作った作品に凡才が批評をすることなど筋違いだ。ただ、5つ星を献上して、感謝の意を述べるだけだ。

ネタバレBOX

 最後のどんでん返しも見事だ。まさか鞄の中にあんなものが入っているなんて。そしてクライマックスの歌、絶妙のはずし具合だ。あれ以上はずしたら、聞いてられないし、あれ以上うまく歌ったら魅力がない。さじ加減の見事さが随所に感じられ、

欠点をあげるとしたら、小松美睦瑠(こまつみつる改め)が出てないことくらいか。
それでも、ボクのアイドル

それでも、ボクのアイドル

はらぺこペンギン!

「劇」小劇場(東京都)

2010/04/21 (水) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

誰でも楽しめる人情コメディ!
 昨年のこの時期には笑いの起こるシーンなど一箇所もないという重苦しい芝居を見せてくれた劇団、その劇団が今回はうって変わって会場を笑いの渦にする。その劇団としての幅の広さにまずは感動。

 今回の芝居は主宰、白坂英晃の思い入れもたっぷり入って、随所にマニアとしてのこだわりが見える。劇団としても肩の力が抜けて、全員がいきいきと芝居を楽しんでいるのがいい。客席と舞台が一体になって心から楽しめた。

 主役晴男を演じた園田裕樹の芸達者ぶりを再確認した。かつてのアイドル真由美を独特の個性で演じたザンヨウコ、晴男の身重な妻、その妻の健気さと強さを体全体で演じきった伊藤真奈美、いずれも好演だった。また立浪伸一がこんなにコメディが上手いとは思わなかった。新たな発見である。

 劇団としては色々な芝居が出来る劇団を目指しているのだろうが、劇団のカラーというのは大事だ。この路線もなかなかいいのでは?

美しい手紙

美しい手紙

ライオン・パーマ

王子小劇場(東京都)

2010/04/22 (木) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★

心温まる友情の物語
コメディ劇団が、コメディの味付けを少し抑え、心温まるドラマを情感たっぷりに演じて見せてくれた。従来からこの劇団はとてもロマンティックな芝居を作っていた。しかし、笑いが7、シリアスが3くらいのバランスだったものを、今回はシリアス7,笑い3と逆転させている。

従来のコメディを期待して、たっぷり笑わせてもらおうと出かけると、少し肩すかしな感がする。しかし、今回はストーリー展開が秀逸。あたかも謎解きのように学生時代の秘密を解き明かし、全てがわかったときには心温まる感動を与えてくれた。チャー・アズナブルの作劇は見事だ。

ネタバレBOX

いつも指摘することだが、役者の一部に滑舌の悪い者がいる。そして初日のせいか、台詞を噛むのが目立つ。それがなければさらにさらに素晴らしい芝居になるのにと思うのだが、滑舌の悪い役者に限っていい味を出したりするので、それがこの劇団のカラーとあきらめるしかないか。

頑固なラーメン屋など硬派な役を演じた柿杉満州男が面白かった。メルヘンの尻尾にも出ていたあやさんが相変わらず素敵だった。
PerformenⅤ~Purgatorio~

PerformenⅤ~Purgatorio~

電動夏子安置システム

ザ・ポケット(東京都)

2010/04/21 (水) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★

なんとも不思議な感動。
電動夏子安置システム初見。不思議な芝居を観た感じ。あたかも聖書の中の物語のような荘厳で暗示に富むファンタジーと、シュールなサラリーマンコントがひとつの舞台の中に共存することに最初戸惑った。

特に前半は初日ゆえのばたばた感もあり、芝居に感情移入出来ない点があった。しかし中盤から盛り返し、最後にはその違和感が心地よいものに変わっていった。これは癖になりそうだ。

シリアスなシーンではなんと言っても主演の石井千里が圧倒的によかった。この女優を今まで知らなかったことを後悔したほどだ。存在感といい確かな演技力、特に台詞の力強さといい、まれに見る才能の持ち主だ。そして共演の武田真由美が美しい。

コントシーンでは道井良樹が素敵だ。芸達者で一人でシーンを支える力量を持っている。

随所に5つ星を与えたくなるような輝きを見せてくれたが、ちぐはぐなシーンもいくつかあり、それを差し引いて4つ星とした。

『星合(ほしあい)』

『星合(ほしあい)』

innerchild

シアタートラム(東京都)

2010/04/17 (土) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

幻想的なSFファンタジー!
壮大なSF歴史ファンタジー。おとぎ話の物語と現実を見事にシンクロさせてスケールの大きい物語を2時間20分たっぷりと見せてくれる。舞台美術・音楽・照明、全てが素晴らしいが、特にアイズの榊美香が手掛けた照明は衝撃的なくらい美しかった。

やや時間が長かったこと以外は大満足。

チェーホフ短編集1+2

チェーホフ短編集1+2

華のん企画

あうるすぽっと(東京都)

2010/04/17 (土) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

チェーホフ好きには必見の舞台。
チェーホフブームであちらでもこちらでもチェーホフなので、あまり期待もせずに観に行った。ところがこれが大当たり。大変面白かった。観たのはチェーホフ短編集1の方、チェーホフの6つの短編をひとつの家族とその周囲の人々というふうに絡めながら、全体として旅回りの一座のような設定をしている。

 この6つの短編の中には既に知っているものや他で観たことがあるものもあったが、全てが新鮮。何より力量のある役者が全身全霊で演技をしている。そのことがびしびし伝わってきた。

 役者は全員素敵だったが、中でも三咲順子の凜とした強さにしびれた。短編集2も観たいのだが・・・・観る時間がないのが悔やまれる。

ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

elePHANTMoon

サンモールスタジオ(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

はりつめた緊張感の果てに・・・。
日常の中から劇的なシチュエーションを切り抜くうまさ、そしてその劇的な状況に、さらに衝撃的な結末を用意する演出のうまさ、マキタカズオミの作劇術は円熟味を増している。今回は自らSFというとおり、まだ日本の現実ではありえない話も混ざっているが、非現実的な感じは全然しない。

作品としてはドナー編の方が完成度が高く、レシピエント編は、若干細部に感情移入しづらい部分があったが、それでも作品の質は高い。

75分と60分という、通常の芝居に比べると短いが、その間、はりつめた緊張感を維持するのは並大抵のことではない。エンターテイメントとは全く逆の道を進む、エレファントムーンの姿勢が潔い。

『ハチクロニクル』 (公演終了)

『ハチクロニクル』 (公演終了)

劇団鋼鉄村松

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/04/16 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

詩的で哲学的なコメディ。
 大変感動した。いやこれは好みの別れる作品だろう。正直私もスタート直後は少し付いていけないものを感じた。しかし、どんどんのめり込んで2時間が短く感じられた。

 この作者は間違いなく頭がいい。出てくる台詞出てくる台詞が全て象徴的で奥の深い言葉だ。しかも詩人で哲学者でもある。その哲学者が漫画を素材にコメディを書いたらこんな作品が出来たという感じ。

 また役者がみなうまい。うまいというより魅力的と言った方がいいだろう。ダン池田役のムラマツベスと、犬役の村松かずおは1回でフアンになった。その他の登場人物も皆、個性的で魅力的だ。

 「はちみつとクローバー」という漫画をモチーフにしているらしい。知らない人にも楽しめる作品なのだが、読んでないことをこれくらい後悔したことはない。明日本屋に行って、全巻買おう、そういう気持ちにさせるくらいの作品だった。

さくら餅キャンディ♡

さくら餅キャンディ♡

はちみつシアター

劇場MOMO(東京都)

2010/04/14 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★

素敵なエンターテイメントショー!
徹底したエンターテイメント。演劇というよりショーという感じだが、たっぷりと楽しませてもらった。最後に繰り広げられるダンスショーが素敵で、どちらかと言うと、そのダンスショーを見せるためにそれまでの芝居があるような感じもしないではないが、それもありだと思う。脚本演出の巣鴨五反田は徹底的に観客を楽しませようとしている。そのエンタメの中でもラストシーンのおはぎの台詞には涙があふれ出た。

そのおはぎ役の秋元佐和紀がかっこいい。エグゾイル役の田渕恭子、ようかん役の山川多恵も好演だった。

ドライビング エンゼルフィッシュ

ドライビング エンゼルフィッシュ

劇団6番シード

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2010/04/08 (木) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★

迫力あるエンタメ芝居。
総勢29人が舞台狭しと暴れ回る。それを観るだけで気持ちがいい。これだけの人間を混乱なく使って、それぞれに見せ場を作って、芝居全体としても破綻させない、それだけで松本陽一の手腕を感じる。

お茶目なエンターテイメントとして楽しめた。この路線も私は好きだ。

春の海

春の海

世田谷シルク

シアター711(東京都)

2010/04/08 (木) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★★★

過去と現在の二重構造のバランスが見事。
世田谷シルクの舞台は絵画的だ。詩的な言葉、想像力をかきたてるシーン構成、リアルなシーンの間に幻想的要素を組み入れ、物語を多重構造にし、奥行きを広げている。

途中ところどころで入る世田谷シルク独特のダンスがいい。どこでも見たことのないダンスで癖になりそうだ。新しい世田谷シルクの売りになるかもしれない。

役者ではタラミ役を演じた山本映子が田舎の凛とした女性を好演していた。また堀越涼がネタバレになるといけないので詳しく書かないが、難しい役を見事にこなしていた。相変わらず芸達者だ。

ネタバレBOX

始まってからしばらくは、子供役を大人のかっこのまま無邪気に演じる役者たちに少しついていけないものを感じたが、途中からはそれが逆に面白くなっていった。ここら辺、演出家の狙いだろう。

堀川炎が描こうとしているテーマはとても面白く、またその描き方がとても斬新だ。随所に魅力があるのだが、全体としては未完成感もあった。

核となる登場人物、核となるエピソード、ここら辺が際立ってくるとさらに素晴らしい作品になりそうだと思った。たぶん、まだまだ堀川炎は手を入れてくるはずだ。これからもっともっと面白い作品になるはず。楽しみだ。
『ウツセミウツラ』ご来場ありがとうございました!!

『ウツセミウツラ』ご来場ありがとうございました!!

タテヨコ企画

ザ・スズナリ(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★★★

抜群の安定感。
いつも安心して観られる安定した劇団。自然な演技、自然な日常の描写の中に突然、異物が飛び込んでくるという面白さを見せてくれる劇団。

今回もお坊さんの修行の場に、さまざまなハプニングが起こる。ひとつひとつをとりあげるとちょっとありえないような設定なのだが、それまでの描写がていねいなので、ついつい楽しんでしまう。

今回は客演の郷志郎さんが坊主姿もよく似合い、素敵だった。 中心的役者の舘智子さんが、少し喉を痛めているようで、かわいそうだった。

FUKAIPRODUCE羽衣LIVE Vol.2

FUKAIPRODUCE羽衣LIVE Vol.2

FUKAIPRODUCE羽衣

Club ROOTS(東京都)

2010/04/06 (火) ~ 2010/04/07 (水)公演終了

満足度★★★★★

魂を揺さ振るコンサート!
演劇以上に演劇的な羽衣のコンサート。糸井幸ノ介の音楽的な才能にしびれる。FUKAPRO(羽衣のこと)にはもっともっと演劇とコンサートの融合を目指してもらいたいものだ。

復讐回帰

復讐回帰

劇団銀石

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/03/30 (火) ~ 2010/04/04 (日)公演終了

満足度★★★

偉大なる未完成作品。
 最近はプロデュース公演というのが幅を効かし、一人劇団というのが多い中、これだけ才能の集まった劇団は少ない。

 それらのメンバーが佐野木雄太を中心に刺激しあい、相乗効果を生み出している。今回の公演でも予習復習回帰という特設ページを作っている。
http://gekidan-ginseki.com/revenge.html

 この内容は全ての劇団に真似してもらいたい内容だ。そして、公演中にUSTREAMで情報を流すなど、やることがいちいち斬新だ。これからどう発展していくのか楽しみでならない。

ネタバレBOX

 佐野木雄太の詩のような言葉、刺激的な照明、挑戦的な音響、そして舞台美術、衣裳、小道具、ありとあらゆるところに宝石が散らばっているような公演だ。しかし、個々の宝石にばかり目が行き、公演全体としてはちぐはぐさを感じた。ここら辺にもどかしさを感じる。

 公演を観ながら何故なんだろうとずっと思い続けていた。見終わって感じたことは、やりたいことが多すぎる、そして求めるところが高すぎる。それゆえの破綻だと感じた。

どんなに素晴らしい宝石を体中につけても、だからと言って美しくならないと同じだ。しかし、そこまで考えたとき、若手の伸び盛りの劇団が小賢しく調和やバランスなどを考えてもしょうがないと思った。色々と未完成の部分、アンバランスな部分、それらを残していることが銀石の伸びしろだ。

 いつか佐野木雄太が自分のやりたいことをやり遂げたとき、どんな素晴らしい舞台が誕生するのか楽しみに待ち続けたい。
『クロノス・ジョウンターの伝説』~『ミス・ダンデライオン』『南十字星(サザンクロス)駅で』~

『クロノス・ジョウンターの伝説』~『ミス・ダンデライオン』『南十字星(サザンクロス)駅で』~

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2010/03/12 (金) ~ 2010/04/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

演劇界のスタンダード、そして徹底したサービス精神に脱帽!
 これだけ安心して観られる劇団が他にあるだろうか?芝居の質、内容、役者の演技、どれをとっても常に満足いく水準だし、恋人を連れて行っても家族を連れて行っても誰でも喜んでもらえる。今年は25周年だそうだが、今やキャラメルボックスはスタンダードになったと言ってもいい。

 役者の安定した演技はもちろんのこと、照明、音響の見事さ。そして何よりクロノスを舞台上に実際に設置した舞台美術に感動。あのタイムマシーンを小説の読者に失望することなく表現出来る劇団が他にあるのだろうか?

 そして何より、徹底した観客サービス。どうして若い劇団はもっともっとキャラメルボックスを観に行って、キャラメルを超える観客サービスをどうやったら実現出来るかということを真剣に考えないのだろう?

夕焼けとベル

夕焼けとベル

カムヰヤッセン

王子小劇場(東京都)

2010/04/03 (土) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★★

奥の深い血のドラマを、刑事ドラマ風に見せてくれた。
 古い因習の残る島、そこから逃げだそうとする人とそこに残る人の物語。北川大輔の物語を構築する能力は相変わらず巧みだ。今回もちょっと変わった題材をていねいに描いて見事なドラマに仕上げている。

 初日ゆえのドタバタが何カ所かあったが、それはこれからどんどん良くなるだろう。随所に想像力を刺激するきらめきがあった。

 女刑事役の永島美穂がかっこよかった。島の警官役の松下仁も好演だった。

ネタバレBOX

 個人的には前回、素敵な女医をかっこよく演じた甘粕阿紗子の活躍の場が少なかったことが残念。

 今回、役者が年齢の離れた役を演じるということが多かったが、長津田家の父親役は若い世代では演じきれない役だろう。そのため、物語的には感動したものの、演劇的には感情移入しづらかった。逆に幼い役を演じた静香役の重実百合と拓役の金沢啓太には面白い魅力を感じた。

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