ITOYAの観てきた!クチコミ一覧

381-400件 / 533件中
男と女と浮わついた遺伝子

男と女と浮わついた遺伝子

熱海五郎一座

サンシャイン劇場(東京都)

2010/06/18 (金) ~ 2010/07/04 (日)公演終了

満足度★★★★

『イワシの頭も信心から!』
『イワシの頭も信心から!』

「伊東四朗一座」の思い、軽演劇芸・東京喜劇をそのままに、
三宅座長が始めた「熱海五郎一座」。

いつもは中盤から出演、マイペースでかき回す役目の
春風亭昇太師匠が、今回はメイン。
しかもゲストの水野真紀さんとのラブストーリー。

昇太師匠の微妙にズレた浮いている可笑しさ、
水野真紀さんのまじめでも天然な演技。
この配役が大正解。

この二人を中心に、新興宗教「いわし信心教」の巨大な陰謀と
それを阻止せんとする「警視庁公安課」の攻防を
歌と踊りと笑いで描く。

喜劇の持つ、作り込まれた「わかりやすい笑い」が、
ホットして安心できて、なんとも面白い。

特に、随所に織り込まれた、アドリブのような、
でももしかしたら台本にあるのかもしれない、
笑い。(テイク2のショートコントとか。)

「伊東四朗一座」と「熱海五郎一座」公演は、
大好きで、数年前から欠かさず観ています。
前座として「5分前」に毎回ショートコントをする
東MAX(今回は玉置×青田だったか!)を始め、
おなじみのメンバーによるファミリーな笑いが楽しい。

今回は、ラサール石井さんが欠席。
このため、「警視庁公安課」は、渡辺リーダー、
東MAX、小倉さんらのボケを、唯一まともな課員である
河本千明さんが一人で突っ込んで、大熱演、大活躍でした。

大奥

大奥

明治座

明治座(東京都)

2010/06/02 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

美味でございますぅ~。豪華絢爛な衣装。愛憎・謀略渦巻く女の牢獄。時の流れの儚さ。チーム大奥,浅野座長!
2003年のドラマは、総集編ぐらいしか観なかったのですが、
2007年の同じく明治座での初演も楽しんで、今回再演。
「大奥総取締役瀧山」は浅野ゆう子さんの転機にもなった
あたり役。颯爽としていて気持ちがいい。
数少ない可笑しい場面が楽しい。
名コメディリリーフ、大奥スリーアミーゴスも健在。
安達祐実ちゃんも28歳なのに、初々しい。

『舞台』といっても肩肘張らずに、
ドラマ同様にみんなで楽しめればいいかも。

豪華絢爛な衣装に、愛憎・謀略渦巻く女の牢獄も、
時代の大きな波に流されて、かつての幾多の出来事も
ただ夢のように消えてしまう儚さ・・・。

江戸城無血開城のとき
「大奥で初島とこのまま歳をとるのを楽しみにしていた」
という瀧山のセリフがいいです。

本日は明治座東京公演千秋楽のため、特別カーテンコールでは、
入口でもらったペンライトをみんなで振りました。
舞台上には、出演俳優、チーム大奥51名が並んで
浅野座長がひとりずつ名前を呼んで、
メインキャストはひとりずつごあいさつ。
浅野さんは、「プラチナ何とか打ちかけ」をご披露。
(衣装とはいってもカテコで見せるだけ)
初日は、1億円でしたが、この日は、ダイヤ80個が増えて
1億2千万になったそうで!!
良く取れて落ちたりしないなぁと・・・。

終了後も、舞台の奥から何本締めかコールか何かが
聞こえてきて、座長を中心にチームワークの良さが
伝わってきた楽しい舞台でした。

不滅

不滅

鵺的(ぬえてき)

「劇」小劇場(東京都)

2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

一見救いの無い展開でも,実は希望に向かっているという,めちゃくちゃ深い「凄い」話だった。

初「劇」小劇場、初鵺的。
女子高生のアップのチラシの前回公演時のコメントを読むと、
かなりシリアスな内容だったらしい。
迷った結果、覚悟の上で観劇。

脅したり、からんだり、上辺だけあわせてやり過ごしたり、
人の嫌な面を前面にさらして、
限られた人数と小さな舞台上に問題を提示する。
非常に無機質に変な温情を加えずに描いているのがイイ。

板倉美穂さんの厳しい表情と感情、
鵺的の平山さんの感情を内面に抑えた演技が印象的。

救いのない悲惨な行動に、逆に光を見出す二人という
何とも皮肉で、特殊な展開に驚きながらも、
見ているほうも希望を感じるという、めちゃくちゃ深い、
最近珍しい「凄い」話だった。

ネタバレBOX

結局は、反抗しながらも、殺人という手段で
親子を意識している娘に喜ぶ父親と、
以前は示さなかった意思と感情を
殺人という手段で表現しだした男の行動に喜ぶ女。
こういう発想は今までなかったと思う。
電車は血で走る(再演)

電車は血で走る(再演)

劇団鹿殺し

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/06/18 (金) ~ 2010/07/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

 劇団鹿殺し初観劇!まさか「泣けるファンタジー」とは!!観てよかったよ(;;)/
「劇団鹿殺し」初観劇です!前から観たかった。
やっぱり普通、この劇団名から「鹿を殺すような」アナーキーな、
半裸の男優が叫びっぱなしとか、罵倒しあうとか、
そういうイメージになりますよね。

まさか「泣けるファンタジー」とは!!
青山円形劇場で観れば良かった!

電車が好きだった小学校時代の友人「鉄彦」との再会に、
そのころやった芝居の感動を思い出し、大人になって
やめようとしていた演劇の感動と情熱を取り戻す男の物語。

電車を楽隊で表現し、歌も随所に織り込んで、
劇中劇に、つかこうへいさんの芝居(蒲田、熱海)のパロディ
を盛り込みつつ、「やりたい芝居をやり続ける熱い想い」を
歌い上げた元気いっぱいのファンタジー!!

鉄彦を演じた、演出の菜月チョビさんの小学生の演技が
面白くて、味があって、とってもよかった。

観てよかった!おすすめです。

露出狂

露出狂

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2010/05/19 (水) ~ 2010/05/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

今公演2回目の鑑賞です。 「柿喰う客」ならではのナンセンスパワーが炸裂!しかも14人全員女性! 女子高サッカー部の異様なパワフル・ガールズトークストーリー!
今公演2回目の鑑賞です。
青春バクハツ!
女子高サッカー部の異様なパワフル・ガールズトークストーリー!
「柿喰う客」ならではのナンセンスパワーが炸裂!
しかも14人全員女性!

今日も最前列。
でも今日は劇中ネタで「ハッピーターン」をもらっちゃいました。(^^)
あと、劇中一発芸「欽ちゃんの仮装大賞・お好み焼き編」は、
アドリブとか日替わりネタとかではなかったんですね。

そして、最前列だとキックが当たりそうで怖い。
迫力満点。
舞台上の熱気がむんむん伝わってきます。
濃すぎて「湯あたり」しそう…^^)

日替わりアフタートークは、代表+コロさんとマイマイ役の山脇ゆいさん。
ヨーロッパ企画所属だけあって?あの登場人物の中では一番ふつうの役だったような。

アウェーインザライフ

アウェーインザライフ

プロペラ犬

赤坂BLITZ(東京都)

2010/06/04 (金) ~ 2010/06/18 (金)公演終了

満足度★★★★★

今公演2回目の観劇! カテコのアンコールでは総立ち!千秋楽「水木一郎」を観たかった(;;)ゼーット!!
今公演2回目の観劇!
ゲストは池田鉄洋さん。(思いっきり噛んでた)

やっぱり学生時代の水野・ソニン兄弟の演技が楽しい!
二人のデュエットもカワイイ。

「演劇だから立っちゃ駄目」が合言葉でしたが、
今回、カテコのアンコール「踊るダメ人間」では
水野さんが「立ってもいいよ!」と言って、
全席スタンディングで大ノリでした!
(先週はそのまま座ってた)
カテコも3回も4回もやってましたね。

-----------

いよいよ18日(金)が千秋楽!しかし昼間なので観れない!
そして、ゲストは何と「水木一郎」だゼーット!!
盛り上がり必至!!
行きたかったーっ!

ナンシー

ナンシー

Doris & Orega Collection

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2010/06/11 (金) ~ 2010/06/19 (土)公演終了

満足度★★★

タイトルの「ナンシー」とは!?あったかく締めくくるドタバタコメディー。
田舎の銀行人質立てこもり事件を舞台に、犯人と人質、
警察署長を巻き込んだ、ややこしい大騒動。

ありえない無理やりなシチュエーションの連続ではありますが、
バラエティーに富んだ出演者のやり取りを、ゆるく楽しんで
いくと、あったかい結末に辿り着く。

「DORIS&OREGA」の公演は、Vol.3「コースター」
Vol.4「どんまい マインド」も観みましたけれど、
企画制作もしている西村雅彦さんの人柄もにじみ出ている
ような「可笑しくて優しい」「不器用でかっこよくない」
ところが、いいところです。

西村雅彦さんは、虚勢を張りながらがんばりつつも
右往左往している姿がなんとも可笑しい。
飯島直子さんは初舞台、背負い投げは微妙?
岩佐真悠子さんは、ポイントポイントを抑えての好演。
「ヨーロッパ企画」の本多力さんは、見かけによらず
普通の役!一生懸命さにどこかペーソスがにじむ。
もっと他での芝居、もっと違った役を観たいですね。
デビット伊東さんは、銀行のしがない支店長。
部下を心配している体で、自分の立場を心配している
小心者というのも良くあってます。

アット・ホーム・アット・ザ・ズー

アット・ホーム・アット・ザ・ズー

シス・カンパニー

シアタートラム(東京都)

2010/06/17 (木) ~ 2010/07/19 (月)公演終了

満足度★★★★

有名な「動物園物語」に40年後に追加された一幕目は本邦初演。堤X小泉,堤X大森の二人芝居
この豪華で面白い顔合わせで小劇場という贅沢。
そして、二人芝居×二幕という構成。
シンプルな舞台装置の会話劇。

有名な「動物園物語」に40年後に一幕目を追加して、
二幕構成の作品にするという作者の勇気と挑戦に
驚きます。
そして、堤×小泉、堤×大森の二人芝居が見物。
とはいえ、堤さんは受けの演技が中心(特に二幕目は)。

第一幕「ホームライフ」は、夫婦の会話劇。
あの二幕を前提にこういう内容を書くとはどういう発想だろう。
平凡な幸せに、より刺激のある幸福を望む妻。
はっきり言って、ニューヨーカーの贅沢な悩みだ!

それに相反するように、第二幕 動物園物語(出演:堤、大森)が来る。
都会の孤独と狂気を感じつつも、どこにでもある話しにも思う。
…途中までは。

会話の積み重ねで、表面は平穏なニューヨークという都会の、暗い部分を抉り出すようだ。

キャンディード

キャンディード

東宝

帝国劇場(東京都)

2010/06/02 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

満足度★★★★

「新妻さんの歌が素晴らしい!」王道!東宝ミュージカル!作曲:レナード・バーンステイン×演出:ケアード×出演:市村+井上+新妻!

純真な好青年キャンディードの放浪の旅。

作曲が有名なあのレナード・バーンステイン!
演出が「レ・ミゼ」のジョン・ケアード!
キャストに、市村+井上+新妻の揃い踏み!
これぞ王道!東宝ミュージカルです!

ステージは円形に近く、今回オケピはステージの奥。

冒頭、貫禄の市村さんに操られて一人また一人現れる
キャラクターたち・・・。
その舞台の形に合わせて、大きな円形の輪が吊るされて、
これからめぐる世界を表している様子。
その登場人物たちの、波乱の人生を歌に載せて描く冒険劇です。

市村さんをはじめ出演は、ミュージカルの常連スターばかり
という豪華キャスト。

しかし、何といっても新妻さんのソロが素晴らしい!
まさに独壇場で、光っていました。
(役の人生は波乱万丈、性格も悪いという…)

そして、井上くんは純真な青年がホントによく似合う。
阿知波さんの老婆はもっと悲惨な人生で、そこは
ミュージカルでなく、歌でなく、ただただ語る。

登場人物、皆不幸な人生を生きて、たどりついた先は…。
原作になるべく近づけようとしたというジョン・ケアード氏
ですが、人生・人間の描写の深さはさすがです。

モリー先生との火曜日

モリー先生との火曜日

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2010/06/03 (木) ~ 2010/06/15 (火)公演終了

満足度★★★★★

絶賛!ただただ静かに沁み入るような感動。「大事な事は普段から伝えるべきだ」
モリー先生との毎週火曜日の授業。
会話の中にあふれる、大切な言葉の数々。

大事なことは、最後には聞けない。伝えられない。
大事なことこそ普段から直接言っておくべきだ。

事務所創立30周年記念作品は、奇しくも3本とも先生を
演じることになった加藤健一さんは、常に凄い数の
戯曲を読んで、次回の公演作を選んでいるそうですが、
本作も日本初演で、実話に基づいた話。

舞台装置もピアノと机・椅子、ベッドなどの家具、
ベンチや枯れ木などいたってシンプル。

加藤健一さんと、高橋和也さんの二人芝居。

何の飾りもケレンもない真正面から取り組んだ芝居。
濃縮された時間・セリフ・演技。
舞台・芝居の根底にある面白さを改めて味わいました。
これ見よがしな悲劇ではなく、明るくてユーモアもあって。
ただただ、沁み入るような感動。

まさに、加藤健一さん、加藤健一事務所30周年記念に
ぴったりな作品だと思いました。

罪と、罪なき罪

罪と、罪なき罪

リリパットアーミーⅡ

座・高円寺1(東京都)

2010/06/05 (土) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

女中役の谷川未佳さんと福井千夏さんが光る!!リリパットアーミーII 25周年記念公演・再演。
明治24年司法の夜明けを告げるある”事件”の話。

2008年スズナリでの初演を観て、それがリリパットアーミーII
・ラックシステムとの出会いでした。
今回はその再演。

関西の劇団ですが、わかぎゑふさんとをコング桑田さんを
中心に、笑いに包まれ楽しく観ながら、急にシリアスに
泣かせる展開がとっても意外で、この劇団の懐の深さを感じます。

いつもながらコングさんの強烈なキャラクターと、ぐだぐだな
アドリブには、ヤラレてしまいます。
シリアスな泣かせの部分に対する照れ隠しにも観て取れます。

今回も、女中を演じた谷川未佳さん、福井千夏さんが光ってます。
出番は少なくとも、谷川さんの野田さんとの信頼感、
後輩を諭す様子や、誰にも話せない秘めた想い、
福井千夏さんの方言丸出しでぶっきらぼうな物言いと、
終始怒った表情が、なんとも素朴でかわいらしくいじらしく、
素敵です。

この時代にして、女中に読み書き・英語を教えるという、
その主人を演じる野田さんとのやり取りもとっても
微笑ましくて温かい気持ちになれます。

初演のスズナリでは、狭い中でも立体的に工夫された
舞台装置で、その狭さがとっても良かったのですが、
今回の座・高円寺の舞台は、ちょっと広過ぎた感じが
しました。

アウェーインザライフ

アウェーインザライフ

プロペラ犬

赤坂BLITZ(東京都)

2010/06/04 (金) ~ 2010/06/18 (金)公演終了

満足度★★★★★

コメディエンヌ水野美紀、ソニン大活躍!
「どこに行ってもアウェーなら、ここをホームに変えてやる!」

水野美紀×楠野一郎のユニット「プロペラ犬」の特別企画!!

見事に織り込まれた「筋肉少女帯」の歌の数々にのせて
繰り広げられるガールズ・ロックバンドの苦闘と復活の物語!

プロペラ犬は全部観てますが、さすが水野美紀さん。
小劇場、2人の演劇(コント)ユニットが、
今回は、ロックで『赤坂BLITZ』に進出!
いい根性してます!
やっぱり体育会系は違います。

コメディ演技の水野さんは輝いてて、
いつも観ていて楽しくて仕方ない。
そして、ソニンちゃんがヴォーカル(と影マイク?)と、
ドラムに挑戦して大活躍!
木野花さんは決して動じないキャラで貫禄の演技。

そんな多彩な俳優さんたちと筋少のロックナンバーと
生演奏を見事にまとめあげてしまう演出の河原雅彦さんの
手腕は凄い!!

もう1回観ます!

『ムサシ』 ロンドン・NYバージョン

『ムサシ』 ロンドン・NYバージョン

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2010/05/15 (土) ~ 2010/06/10 (木)公演終了

満足度★★★

メッセージがよりシンプルに。初演に比べ、武蔵も小次郎も少しシリアスに、コメディ色も抑えられた感じでした。
「命を大事にしろ」というそぎ落とされた、
本当にシンプルなメッセージを、
誰にでも観やすいように、
わかりやすい可笑しさで包んで伝えている。

武蔵・小次郎決戦後日談で、他にも名だたる人が
同じ寺で修行しているにしては、
あまりに無邪気な展開にしているのは、
かなり意図的に感じます。

初演では、多少やりすぎ感もあった五人六脚のシーン
(あのぐだぐだな感じもとっても好きでしたが)
も含めて、コメディ色は全体的に多少抑えられたように
感じます。

武蔵があまり笑わない。
小次郎も笑わないし、スマートさがなく
少し荒れた感じなのは必死に武蔵を探して
きて苦労したせい。

鈴木杏ちゃんの落ち着きぶり、
白石加代子さんの蛸の能も見事でした。

吸血鬼

吸血鬼

ネルケプランニング

PARCO劇場(東京都)

2010/06/04 (金) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★★

都会の孤独。「あのときあの人と、一晩過ごしていたら、人生は変わっていたかもしれない」切なく、甘い、思い・・・。
初演は、既に解散した「グリング」による青山円形劇場公演でした。
演出も、作者の青木さんから茅野さんに代わり、
同じ役で出演された平田敦子さんを除いて、キャストも一新。

都会のアパートの一室で、1人の女性が死体で発見された…。
自殺と思われたが、どうしてもふに落ちないかつての同級生は、ひとりで犯人を捜しを始める。
やがて、彼女の意外な素顔が浮かび上がりはじめた。


あのとき、ああなっていたら・・・
別の道が開けていたかもしれない。
切なく、甘い、思い・・・。

クライマックスで、まさかの突然のどんでんがえし!!
そして、そのときと、そこに至るまでの砂羽さんの演じわけが見所で、
終盤に向けての「締めくくり方」と、終わり方が、
ちょっとあったかい実に繊細な演出。

初演の青山円形劇場は小さく、円形囲み舞台。
床の高さ、目線の高さ、も客席とほぼ同じだったため、
間近に感じる迫力がありましたが、それとは違う大きめの普通の舞台。

PARCO主催ではないので、看板も無く、パンフレットも物販も無く、空席もあったかも。
砂羽さんが主演している以外は、渋谷PARCOにしては「かなり地味な興行」でした。

裏切りの街

裏切りの街

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2010/05/07 (金) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

やられた.これはオレだ.逃げてばかりのダメな男女,ダメな大人のメルヘン.この二人が愛おしい.主題歌も沁みる.
アイタタタ・・・。
やられた・・・。
ハマりました。
千秋楽狙いだったんですが、もっと早く観てたらリピートできたのに。
ざんねん。
でも、だらだらと繰り返し観てしまったら、こっちがダメになってしまいそうな・・・。


出会い系ダイヤルで知り合った、同棲中でヒモ同然のフリーターと
中年専業主婦が、密会を重ねた末にたどり着く先は…。

やめるにやめれない。
お互いにばれてしまったのに、会うと帰れない。
帰るのが怖くて、ずるずると朝を迎えてしまう。

要するに、一緒にいて気が楽な関係だから。
お互いにすべてを受け入れている関係。
おまけになんだかんだ言っても、起きる問題も自然と回避できてしまって。
何の責任もなく、ただデートを繰り返すだけのよう。
確かに楽だし、理想かもしれないです。

だんだん彼らが愛しくなってきて。
そこへ来て、また、ラストが愛らしい。

その先の「面倒で嫌な現実」を描かずに終わるのも、
この物語の世界観からは正解であるし、
それこそ「逃げている」わけでもあるのですが。

やっぱりダメ人間は、だらだらと昼間からテレビを見っぱなし
(いいともから・・・)で、バラエティやお笑いが趣味
(特にブラマヨ?)というのが特長らしい。
現代での当たり障りのない共通の話題で、常識的な大人から
みるとバカにされるようなところがダメな部分の象徴かも。

70年代後半の日本の青春映画のけだるさも感じる。

上演時間休憩入れて、まさかの3時間15分!
+カーテンコールの峯田さんの弾き語り+三浦さんのご挨拶
トークで、ゆうに3時間30分を超えたと思うけれど、
峯田さんの弾き語りが、これまた泣けるんだなぁ。
叫びのような歌い方と「坂を登れば、あの人に会える…」
っていう歌詞とか。

家の内臓【作・演出 前田司郎】

家の内臓【作・演出 前田司郎】

アル☆カンパニー

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2010/05/21 (金) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★★

温泉宿の一夜。なんでもない会話に人の本心や性格が垣間見れる。
3月の前回公演『罪~ある温泉旅館の一夜~』は
モダンスイマーズの蓬莱竜太さんの作・演出でしたが、
今回は五反田団の前田司郎さんという人選が、
まずはすごい。
平田さんと井上さんは、若い作家と積極的に
組もうとしているのでしょう。
そして、前回と全く同じ「温泉旅館の家族」という
シチュエーション、同じく平田満・井上加奈子夫妻
が夫婦役・元夫婦役という連作。

中小企業の慰安旅行、温泉旅館での一夜。
来た社員は、元夫婦とその娘+ほか2名。
深夜の狭い旅館の一室で、
特に事件が起きる訳でも無く、ただただ
どうでもいいような、とりとめの無い話が続く。
しかし、零細企業の親密な人間関係に加えて、
家族でもあった微妙な思いが、
会話の合間に言葉の端々に漏れ聞こえる。
それは、家族ゆえの近すぎる嫌悪であったり、
表には出ない思いやりや心配であったり。
そのような細かいところに、人の心の動きや
やさしさが出てくる。

平田さんのぐだぐだとした父親の感じや
仲良くなりたい気持ちやちょっとしたことに
すごくかわいらしくうれしがったりとか、
井上さんの元夫をわかりきっていて
結構きついところとか、
橋本さんの娘としてちょっとしたところで
父親に気を使ったりとか、
小林さん、西園さんのいかにも小さい会社
(工場?)の社員らしいちょっとけだるい
だめな雰囲気や閉塞感とか、
俳優さんたちの距離感・空気感のようなところ
が見物でした。

露出狂

露出狂

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2010/05/19 (水) ~ 2010/05/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

青春バクハツ!女子高サッカー部の異様なパワフル・ガールズトークストーリー!柿喰う客の女子祭り作品。
青春バクハツ!!
女子高サッカー部の異様なパワフル・ガールズトークストーリー!
四天王を名乗る天才新入部員1年生が、上級生部員をその実力で
凌駕して大活躍するも、部の運営に悩みながら卒業にいたるお話。

総勢14人オール女性キャスト、全員が女子高生を演じてます。
14人全員のキャラの描き分けがしっかりしていて、皆キャラが立ってるのも凄い。


表現と格好はハチャメチャで凄いし、言ってる事やってる事も
ど派手なんですが、ストーリーの芯では、
チームワークを語ったり友情を語ったり、先輩・後輩の関係など
「体育会の部活の話」。
サッカー部だけれどサッカーボールは使わないで、
身振りのポーズと勢いだけ!まぁ、それで十分!


そして、バカを続けている割には、ラストは感傷に浸ってしまう。

舞台装置もコンクリ打ちっぱなしの螺旋階段のようですが、
実はそうではなくて「猿山」を表している(アフタートーク中屋敷氏)らしい。
この上で全員が演技、そして全員舞台上からハケない!(露出狂だから!)のも面白い。
(出番ないときは、後列で待機)

痴人の愛~IDIOTS~

痴人の愛~IDIOTS~

metro

神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)

2010/05/20 (木) ~ 2010/05/25 (火)公演終了

満足度★★★★★

「いま」普通に理解できる恋愛話に生まれ変わった.ナオミの視点,月船さんが素晴らしかった!
月船さらら×出口結美子のユニットmetroの第3弾!
応援してます。
今回はなんとこの有名作に挑戦!

舞台は二人が会って数年後。愛憎劇の場面から始まり、
ワンシーンごとに時代をさかのぼって描いていきます。

その合間合間に、舞台上に小さな人形劇のステージが登場。
二人の馴れ初めを、こちらは順を追って「人形劇」で!
語られていきます。

そして、最後は折り返し地点、最も幸福であったかも
しれない時、切ないシーンで幕を閉じます。

なかなか凝った構成ですが、はじめわからず、
断片的にランダムに演っているのかと思いました。

月船のナオミは最初大人の雰囲気で怪しい色気で、
だんだんと遡るに従って、小悪魔的な幼い色気に
変わっていくという、とても難しい演技でしたが、
見事に演じ切っていたと思います。
いわく「ナオミにも言い分があるはず」という
思いも伝わり、長年のナオミの雪辱も晴らせたのでは?

今回、metro常連、おなじみの怪優・鴇巣さんは
なんと人形つかいで人形劇を演じるという(姿、顔は
出てます)驚き。
それでも、あのたたずまいですから、十分な存在感。

1924年(大正13年)にこんな凄い話が書かれること
自体が、今考えると驚きです。
当時の貧しい家庭、女給だったナオミが、
芸者に売られる寸前だったことや、
芸者になった悲惨な姉の存在などに当時の
社会背景が垣間見れます。

男の一方的な支配と、ナオミに対する非常に幼い
思い、願望には、その頃の女性に対する男性の
封建的な考え方も見えます。

しかし、今作においては、普通のラブストーリーに、
ロマンチックに、”メルヘン”にすら思える。
ラストのエピソードに集約される作者の思いが
見事に伝わってきました。

バイ・バイ・ブラックバード

バイ・バイ・ブラックバード

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2010/05/13 (木) ~ 2010/06/06 (日)公演終了

満足度★★★★

現代劇として、タイムトラベル・幽霊・超能力を封印してたどりついた世界は…。
本年の25周年公演で唯一の新作。
現代劇として、タイムトラベル・幽霊・超能力を封印してたどりついた世界は…。
※このポイントは大きい!

「一定期間の記憶がなくなる」という熱病が世界的に流行。
16歳からの記憶を失ったに主人公は、同じ境遇の人々が
集う「学校」に通い始めるのだが、記憶が戻る確率は
ほとんどないというなかで、クラスメートたちの年齢も
状況もさまざま。

16歳以降の、就職に至った思いも、結婚も子供の記憶も
失い、見知らぬ家族に戸惑い、リハビリする苦悩。

見かけは大人・青年や老人であるのに、記憶は16歳で
急に家族を養う立場だったり社長だったり、
今に至る「過程」がすべてなくなったときに、
どうやって折り合いをつけるか、あるいは
新たな人生に踏み出すのかという仮定を描いています。

ほとんど治らない記憶喪失のような病気が
世界的に流行したために、同じ境遇の人が多く存在して
見かけは違っても同じ年齢の「学校のクラスメート」
がいることが話のミソですね。

中年のおじさんもおばさんも、若者も、みな16歳に
戻って、同じ年齢として付き合う様子がとても
微笑ましく映ります。

映像を映したり、パフォーマンスを挿入したり、
舞台装置が抽象的だったり、脚本段階で役者の
大内さんが参画したり、というようなことが
劇団にとっては初の試みだそうで、
普段とは”少しだけ”違った雰囲気になりました。
(演るほうの挑戦する意気込みも、観る側にとっては
それほど大きなインパクトではなかったかも。)

もちろん、ハートウォーミングな部分はキャラメル
のままなので安心できます。

大きく新たに挑戦する作品と、従来の延長での
進展と、両方の作品を観たいと思ったのでした。

一人芝居&自主企画発表会

一人芝居&自主企画発表会

虚構の劇団

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2010/05/15 (土) ~ 2010/05/16 (日)公演終了

満足度★★★★

劇団俳優による自主企画。もちろん前売1500円以上の価値あり!
「虚構の劇団」の皆が通る道という「一人芝居」の作・演出・出演。
大杉さほり さんの「一人芝居」プロジェクトに、
他の劇団俳優たちの作品を集めた自主企画です。

みんな、これまでに観た役とは違う一面が見れて面白かったのと、
各作品のレベルの高さに大満足でした。

次回、虚構の劇団 第5回公演は「エゴ・サーチ」。
(9月、紀伊國屋ホール)
今から楽しみですね。

このページのQRコードです。

拡大