満足度★★★★★
「いま」普通に理解できる恋愛話に生まれ変わった.ナオミの視点,月船さんが素晴らしかった!
月船さらら×出口結美子のユニットmetroの第3弾!
応援してます。
今回はなんとこの有名作に挑戦!
舞台は二人が会って数年後。愛憎劇の場面から始まり、
ワンシーンごとに時代をさかのぼって描いていきます。
その合間合間に、舞台上に小さな人形劇のステージが登場。
二人の馴れ初めを、こちらは順を追って「人形劇」で!
語られていきます。
そして、最後は折り返し地点、最も幸福であったかも
しれない時、切ないシーンで幕を閉じます。
なかなか凝った構成ですが、はじめわからず、
断片的にランダムに演っているのかと思いました。
月船のナオミは最初大人の雰囲気で怪しい色気で、
だんだんと遡るに従って、小悪魔的な幼い色気に
変わっていくという、とても難しい演技でしたが、
見事に演じ切っていたと思います。
いわく「ナオミにも言い分があるはず」という
思いも伝わり、長年のナオミの雪辱も晴らせたのでは?
今回、metro常連、おなじみの怪優・鴇巣さんは
なんと人形つかいで人形劇を演じるという(姿、顔は
出てます)驚き。
それでも、あのたたずまいですから、十分な存在感。
1924年(大正13年)にこんな凄い話が書かれること
自体が、今考えると驚きです。
当時の貧しい家庭、女給だったナオミが、
芸者に売られる寸前だったことや、
芸者になった悲惨な姉の存在などに当時の
社会背景が垣間見れます。
男の一方的な支配と、ナオミに対する非常に幼い
思い、願望には、その頃の女性に対する男性の
封建的な考え方も見えます。
しかし、今作においては、普通のラブストーリーに、
ロマンチックに、”メルヘン”にすら思える。
ラストのエピソードに集約される作者の思いが
見事に伝わってきました。