満足度★★★★
現代劇として、タイムトラベル・幽霊・超能力を封印してたどりついた世界は…。
本年の25周年公演で唯一の新作。
現代劇として、タイムトラベル・幽霊・超能力を封印してたどりついた世界は…。
※このポイントは大きい!
「一定期間の記憶がなくなる」という熱病が世界的に流行。
16歳からの記憶を失ったに主人公は、同じ境遇の人々が
集う「学校」に通い始めるのだが、記憶が戻る確率は
ほとんどないというなかで、クラスメートたちの年齢も
状況もさまざま。
16歳以降の、就職に至った思いも、結婚も子供の記憶も
失い、見知らぬ家族に戸惑い、リハビリする苦悩。
見かけは大人・青年や老人であるのに、記憶は16歳で
急に家族を養う立場だったり社長だったり、
今に至る「過程」がすべてなくなったときに、
どうやって折り合いをつけるか、あるいは
新たな人生に踏み出すのかという仮定を描いています。
ほとんど治らない記憶喪失のような病気が
世界的に流行したために、同じ境遇の人が多く存在して
見かけは違っても同じ年齢の「学校のクラスメート」
がいることが話のミソですね。
中年のおじさんもおばさんも、若者も、みな16歳に
戻って、同じ年齢として付き合う様子がとても
微笑ましく映ります。
映像を映したり、パフォーマンスを挿入したり、
舞台装置が抽象的だったり、脚本段階で役者の
大内さんが参画したり、というようなことが
劇団にとっては初の試みだそうで、
普段とは”少しだけ”違った雰囲気になりました。
(演るほうの挑戦する意気込みも、観る側にとっては
それほど大きなインパクトではなかったかも。)
もちろん、ハートウォーミングな部分はキャラメル
のままなので安心できます。
大きく新たに挑戦する作品と、従来の延長での
進展と、両方の作品を観たいと思ったのでした。