東京ノーヴイ・レパートリーシアター
TOKYO NOVYI・ART
東京ノーヴイ・レパートリーシアター(東京都)
2008/12/18 (木) ~ 2009/05/30 (土)公演終了
満足度★★★★★
ワーニャおじさん
「永遠」。この作品にはこの言葉が本当によく似合う。100年以上前の、しかも違う国の人間の話なのに、現代を生きる僕達の心の底に痛切に響き渡ってくるのはいったいなぜだろう。僕達が日々忙しく生活する中で見失っているもの、ないことにして、見過ごしているものなのかもしれない。この演目を見るのは、3回目だが、見るたびに、登場人物に対する共感が、どんどん広く、そして深くなりつつあることを感じる。これから先を生きる人間のために、何ができるのだろうと考えるのだけれど、あまりにちっぽけな自分に気づいて切なくなってしまう。ああ、僕も人間なんだなあ、と。時代を超えて、永遠に変わらないものってなんだろう。そんなものを求める人には、ぜひ見て欲しい演目。
ワーニャ伯父さん
華のん企画
あうるすぽっと(東京都)
2009/02/19 (木) ~ 2009/03/01 (日)公演終了
満足度★★
拍子抜け
下北沢で、チェーホフの四大戯曲を上演する、東京ノーヴィレパートリーシアターhttp://www.tokyo-novyi.com/で「ワーニャおじさん」を見てから、チェーホフは僕にとって特別な作家。今公演も、有名な俳優さんが出るということだったので、楽しみにしていたのだけれど、うーん、こういう解釈もあるのかなあと、頭に言い聞かせながら、見てました。色恋の部分が前面に出すぎていて、チェーホフの思想の至高性があまり伝わってこない。まあ、大きな劇場でやるとなると、演出も色々な人が見やすいものにしなくてはいけないので、仕方がないことなんでしょうけど、今日の内容なら、東京ノーヴィレパートリおでーシアターの方がいいかなと正直思いました。でも、やっぱり最後のワーニャおじさんとソーニャのやりとりはいいですね。あれで少し救われました。チェーホフはすごいです。
ハムレット
TOKYO NOVYI・ART
東京ノーヴイ・レパートリーシアター(東京都)
2008/12/18 (木) ~ 2009/05/30 (土)公演終了
満足度★★★★
初めてのハムレット
演劇に親しみはじめてから、まだ日が浅いため、ハムレットを見るのは、今公演が初めてで、楽しみにしていました。今シーズンからの作品で、まだ試行錯誤という感は否めないのですが、この劇団の特徴でもある、観客の心に訴えかけるようなエネルギーが、舞台から放出されかかってうごめいているような葛藤を、主観的ではありますが、私は、いくつかのシーンで体験できた気がしています。演出に関しては、初心者にはわかりにくい点もありましたが、強い意欲を感じます。制作者は、この公演を通じて、ハムレットのせりふにある「この世の関節がはずれてしまった」状態を、元に戻そうとする人間の心的体験を観客に提示しようとしているのかもしれません。だとすれば、観客の命に、新しいいぶきを吹き込むような、観客の人生に大きな影響を与えるような、すごい公演になることを期待せずにはいられません。そんな期待感とは裏腹に、その作品の制作過程における、俳優を初めとした制作者の葛藤を想像すると、緊張せずにはいられません。制作過程を、制作者と観客が深いレベルで共有できるのが、レパートリーシステムの醍醐味かも。期待も含めて4つ星。
東京ノーヴイ・レパートリーシアター
TOKYO NOVYI・ART
東京ノーヴイ・レパートリーシアター(東京都)
2008/12/18 (木) ~ 2009/05/30 (土)公演終了
満足度★★★★
ハムレット
壮大なメッセージを伝えようとする制作側の意欲と、レパートリーシステムの醍醐味を感じることができました。ハムレットがいう「この世の関節がはずれてしまった」(福田訳)のを元に戻そうとするようなエネルギー。このエネルギーが舞台に発散されるようになったら、観る者の人生に大きな影響を与えるすごい演目になるだろう。、まだできたてほやほやの新作なので、まだ今は試行錯誤するプロセスだと思うけど、これからどんどんいい方向へ変化していく作品であると期待。このような大作を予感させる演目の制作過程をみられるのも、この劇団の特徴のひとつであり、面白い。鑑賞側は、単に俳優によって演じられる役にフォーカスするだけではなく、役を演じている俳優そのものにフォーカスするからだ。「ハムレット」を演じる俳優とともにハムレットを探求しながら、自分の人生と投影させていく。今までの成熟した当劇団の演目を見るよりも、あ、これがレパートリーシステムなんだなという感じが妙に落ちて、俳優との距離が縮まる、そんな気が少しした。期待も含めて4つ星。
東京ノーヴイ・レパートリーシアター
TOKYO NOVYI・ART
東京ノーヴイ・レパートリーシアター(東京都)
2008/12/18 (木) ~ 2009/05/30 (土)公演終了
満足度★★★★
曽根崎心中
純愛です。クライマックスに至るまでは、ややわかりにくいところもありましたが、竹薮(?)の中で心中に至る場面では、感動して、思わず涙しました。愛し合っているはずの二人が心中してしまうという状況はとても悲しい現実なのだけれど、心中することで、二人は心の奥底から結ばれたのだと思うと、不謹慎かもしれないけど、微笑ましくも、喜ばしくも思える。でも彼岸でしか結ばれないなんてと考えだすとまた泣ける。そんなループにはまりながら、高みまで心は上っていくのでした。徳兵衛と九平治のやりとりも、腐敗した時代が反映されているようで、なかなか面白いです。