満足度★★★★
ハムレット
壮大なメッセージを伝えようとする制作側の意欲と、レパートリーシステムの醍醐味を感じることができました。ハムレットがいう「この世の関節がはずれてしまった」(福田訳)のを元に戻そうとするようなエネルギー。このエネルギーが舞台に発散されるようになったら、観る者の人生に大きな影響を与えるすごい演目になるだろう。、まだできたてほやほやの新作なので、まだ今は試行錯誤するプロセスだと思うけど、これからどんどんいい方向へ変化していく作品であると期待。このような大作を予感させる演目の制作過程をみられるのも、この劇団の特徴のひとつであり、面白い。鑑賞側は、単に俳優によって演じられる役にフォーカスするだけではなく、役を演じている俳優そのものにフォーカスするからだ。「ハムレット」を演じる俳優とともにハムレットを探求しながら、自分の人生と投影させていく。今までの成熟した当劇団の演目を見るよりも、あ、これがレパートリーシステムなんだなという感じが妙に落ちて、俳優との距離が縮まる、そんな気が少しした。期待も含めて4つ星。