akiの観てきた!クチコミ一覧

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テレビが一番つまらなくなる日(2013年版)

テレビが一番つまらなくなる日(2013年版)

劇団 東京フェスティバル

駅前劇場(東京都)

2013/06/19 (水) ~ 2013/06/24 (月)公演終了

満足度★★★★

リアルさにニンマリ
昨日の都議選レベルはそんなことはないけれども、衆院選・参院選となると、確かに夜のテレビ各局は選挙一色。興味をもてない人にとっては、バラエティやいつもの連続ドラマをつぶされ、まさに「つまらない」日に。でも、実は裏側で、自局と特色を打ち出して他局に勝とうとする人々は、人間関係のしがらみなんかもごちゃまぜになり、こんなふうに右往左往している…のかも?
そんなふうに思いながら、ニンマリする思いで、ワンシチュエーション・ノンストップな勢いある展開に、前のめりで観ました。
登場キャラが各々の役者さんの持つ雰囲気にぴったりハマっている感じ。
特に、女子アナにセクハラな評論家(案外ホンキ?で純情っぽさも)さん、さすがな味でした。

ネタバレBOX

スピード感はあったんですが、放送開始時間が迫っていく、だんだんだんだん増してくる緊迫感…が、ちょっと表現しきれていなかったかなぁ。観ているこちらの心拍数もだんだん上昇していくような…。
と、他局はこんなふうに動いているらしい、とか、政党の選挙事務所側からの動き、とか、そういう動きはちょっとリアルに感じられず。大テレ内部、登場するキャラたちだけでの大騒ぎという雰囲気で広がりが薄い気がしたのが、ちょっと残念でした。
月の岬

月の岬

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

人間の強さと脆さ
確かな実力を持つ俳優陣およびスタッフの、プロの仕事としての作品をじっくりとみせていただきました。
田舎に生まれながら、高校卒業と同時に上京して、以来長く周囲と没交渉な都会に暮らしていると、この物語世界の人間関係の濃さ…互いへの愛憎への郷愁を感じつつも息苦しくなり。同じ女性として、やはり佐和子の心に添って、息を詰めて彼女の行く末を見守りましたが…余韻の中で、やはりつらく、けれどウソのない現実的な終わりに、納得できたようにも思います。
思い返すとまだまだいろいろな想いが脳裏を行き交う秀作でした。
暗転と音が醸し出す、劇場に満ちた空気感が美しかった。

「ホテルニューパンプシャー206」(3月)

「ホテルニューパンプシャー206」(3月)

劇団6番シード

Geki地下Liberty(東京都)

2012/03/22 (木) ~ 2012/03/27 (火)公演終了

満足度★★★★

脚本力!
いやぁやっぱり6Cさんは面白い。幕開けからラストまで駆け抜ける疾走感…集中がとぎれることもなく、置き去りにされることもなく、観ている側も一緒に走り抜けられる感じ…もちろん役者さんの力演も評価しますが、何より、松本さんの脚本の力の確かさだなーと思います。
誰かひとりが主役という訳ではない個性豊かな登場キャラそれぞれの状況が、ちゃんと、こじつけでなく、将来へ向かって開けていく爽快感。
この後の作品たちも楽しみです。
松本さんの早期のご快復、お祈りしています。

プラシーボ

プラシーボ

LUG HUB

上野ストアハウス(東京都)

2012/02/03 (金) ~ 2012/02/12 (日)公演終了

満足度★★★★

余韻…
印象的な言葉を駆使して会話を繋げ、時間と空間の狭間を、もがきながらも必死に生きる人間たち…こういう芝居に挑みたいという創り手(作・演出、演者含め)たちの、じんわりと、でも奥底の方で強く燃える炎のようなものを感じる作品でした。
…でも、産みの苦しみは一際すごそうな。役者さんも、台詞を自分の中に通しきって本番に挑むまでの過程は、苦しいだろうなぁ。
とっつきは、観る側にとっても難解かなぁというイメージがありましたが、観ていくうちにそんなことはなく、ひきこまれました。

初めての劇場でしたが、スタッフさんの対応含め居心地の良い空間でした。

ネタバレBOX

終盤に謎が解けてスッキリ、という評もありましたが、あくまでも個人的な好みとしては、その「謎解き」のような部分が蛇足のように感じました。
…つまり、結局はこうだったということ?いやでもこう?のようにいろいろ模索でき、そして答えにたどり着けないようなもの…作品にとってはそれが消化不良に繋がるけれど、この「プラシーボ」に関しては、その、答えにたどり着けなさが良い意味での余韻になったのでは?と感じたので。
リコリス ~夏水仙~

リコリス ~夏水仙~

東京ストーリーテラー

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2011/08/17 (水) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

ぶれない優しさ
他者に対し、表面的にだけ優しく接することはある程度容易だし、誰しも、できることならいつも優しい人でありたいと思うだろう。けれども、喫茶店「リコリス」のマスターのように、真の優しさで、真摯な眼差しと誠実さで他者と向き合い続けることは、決して容易ではないことだと思う。ヤワではダメ、芯が強くなければ。たとえ、自らは傷つくことになろうとも、それを怖れずに。
物語が佳境に入る前から、主人公の、そして彼を巡る登場人物たちの、ひいては作者の眼差しのあたたかさと真摯さと、ぶれない優しさが胸に迫り、気づいた時には涙ぐみながら作品世界にひきこまれていました。
東京ストーリーテラーさん、初の観劇でしたが、是非次作も観たいと思います。

ネタバレBOX

マスターの左手薬指に控えめに光る結婚指輪。
そして、マスターの優しさが、おそらくは彼本来の性質でありつつ三年前に大切な人を看取った経験を経てのものなのだと気づいていく…。
そういう繊細な世界観が伝わる緊密な空間で、優しい物語の世界に浸ることができました。
理想論だとかキレイゴトだとかいう見方もあるかもしれないけれど、私は、最後に地面に頭をこすりつけて号泣する轢き逃げした彼も含め、悪人の登場しない物語、好きです。
久間さんの冒頭のご挨拶と、マスター役・牧島さんのカーテンコールでの皆さんの想いを集約しているのだろうなと感じた「一期一会」のご挨拶を含め、あたたかい気持ちで劇場を後にすることができました。

喫茶店「リコリス」を舞台にマスターとげんちゃん(彼女の想いむくわれなさそうだなぁ…マスターそのへん鈍感そうで)の続編、是非お願いします、久間さん!
『十二人の怒れる男』/『裁きの日』

『十二人の怒れる男』/『裁きの日』

劇団チョコレートケーキ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/05/25 (水) ~ 2011/06/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

裁きの日
客席の配置(中央の机=アクティングエリアを囲む形式)が、観ている側にも適度な緊張感をもたらし、2時間弱の静かかつ熱い会話劇にひきこまれました。脚本・役者陣の実力(セリフまわしやその間)が確かで、始まってすぐに、芝居を観ている感覚ではなく現実に起こっていることの中にとりこまれてしまった感がありました。
改めて、人間の思考は本当に十人十色なのだなぁと。都度、いろいろなキャラクターの心情に添ったり添えなかったりしながら、おそらくは向かい側の客席からは百面相のように見える表情をしながら観ていただろうなぁ、自分。
映画や他ユニットの公演で観ている「十二人の怒れる男」の方を、チョコレートケーキさんで観られなかったのがつくづく残念。
にしても、この芝居は劇団の名前(とのギャップ?!)と共に、長く記憶に残るものになることは間違いナシです。

準備ヨシ!

準備ヨシ!

東京AZARASHI団

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2011/04/05 (火) ~ 2011/04/10 (日)公演終了

満足度★★★

初日観劇
この時期ながら盛況な客席、オーソドックスな笑いどころをおさえた、堅苦しくなく笑えるコメディでした。登場キャラも、割とありがち?な設定ながら、うまく配されていて、それぞれの役割を過不足なく演じていて、最後まで飽きずに笑えました。

ネタバレBOX

うーん、細かいことを言うと。

いくらなんでも、「周囲が完全に包囲されている」感があまりにもなかったり。…刑事のあのキャラはキャラとして、ここまでひとりの刑事に任せきりで外からのアプローチはないの?とか。

実行主犯格の網干が、なぜ前職を捨て、現金強奪を実行するような状況にいたったのか(元同僚との絡みがあるのに、あまりにも想像できない)とか。

二段落ちを褒めている評があったけれど…実は主犯な神父の言動にもうちょいメリハリがあってもいいのになぁ、もっと「えっ!」と思いたかったなぁ、とか。

コメディとはいえ、このあたりの裏付け?脚本の描き込み、キャストの演じ方?に更に深まりがあったら、もっと笑いにもメリハリが出て、どっかんどっかんおもしろくなったんじゃないかなぁ、と、生意気ながら感じました。

初日だったので、進化するかなぁ。
カルナバリート伯爵の約束

カルナバリート伯爵の約束

メガバックスコレクション

荻窪メガバックスシアター(東京都)

2011/01/15 (土) ~ 2011/02/06 (日)公演終了

満足度★★★★

集中!
約2時間の上演中、展開への興味が途切れることなく集中して、劇中の世界観にひきつけられました。作りこまれたリアルなセットが素晴らしい。配役も適材適所で、呼吸も合っていて、じっくりと練り上げられた作品だなと。出会えてよかった、今後も注目します!

ネタバレBOX

どこでもないどこか、な世界観が良かっただけに、冒頭で語られ、パンフレットにも書かれている「1953年」という具体的な年の設定が唯一不可解でした。何か、歴史的な出来事と絡むのかと思いながら観ていたけれど、私には読み取れなかったので。いつでもないいつか、で、良かったような気が、個人的好みとしては感じました。
おにもつ

おにもつ

東京マハロ

笹塚ファクトリー(東京都)

2010/09/03 (金) ~ 2010/09/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

夢を語れる幸せ…
正直、週末日にちょっと力を抜いて笑えればラッキーだな、くらいな軽い気持ちで予備知識まったくなく出かけたのですが。
こんなに笑えてこんなに泣けて。登場人物たちもみんなリアルで生きていて。
いつのまにか、自分も安西運送の一員になったかのような気分で、一喜一憂していました。
こんな職場で働けたら…いやちょっと暑苦し過ぎな面もあるけど…でもきっと楽しい!

ネタバレBOX

毎朝の朝礼で、社長がひとりひとりに、「○○、夢は何だ?」という問いかけ、それに答えていく場面。
現実的に自分に置き換えてみたら、なんだかやっぱり照れくさいし。
でもなんかいいんだよなぁ、夢を声に出して語り、それをお互いに応援しあうことができる環境。
ありそうで、ない。でも、あって欲しい。
冒頭での各人の答え=夢と、ラストでの答え=夢…一緒なんだよね。変わらない。それは、まだ叶っていないってことで。だからこそ求め続けるってことで。
ベタだけど、素直に心をあたたかくしてくれる物語でした。
絢爛とか爛漫とか

絢爛とか爛漫とか

祈プロデュース

劇場MOMO(東京都)

2010/04/22 (木) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

この、心地よい郷愁。
初日、モダンボーイ版を鑑賞させていただきました。
いやぁ、さすがに素晴らしく練りこまれた脚本ですね。芝居好きにはたまらない、みごたえたっぷりな佳作でした。
その優れた脚本を生かす、演じ手四人の絶妙な役柄へのフィット感が素晴らしい。たっぷりなずっしりな台詞、とりかわされる会話の呼吸。
四季の移り変わりの表現も情緒的で、あぁ日本人で良かったぁみたいな素直な気持ちになれたり。この心地よい郷愁。
芝居の醍醐味が凝縮されたようなこういう作品って、観る側の充実感はもちろんのこと、創り手の皆さんの充実感も…そこへ至る苦しみも並大抵ではないでしょうけれども…さぞや!と。
モダンガール版も是非観たいところながら、この日程では厳しいなぁ。
近いうちに是非再演を!

忘れ人 -公演終了しましたありがとうございました-

忘れ人 -公演終了しましたありがとうございました-

play unit-fullfull

「劇」小劇場(東京都)

2010/01/21 (木) ~ 2010/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

不思議な錯覚…
事前にこちらで読んだあらすじ(説明)がかなり書き込まれていたので、実際の舞台として、役者さんの肉体を通して立体感を持った作品に仕上がっているのか、それとも、作者の意図を体現しきれずに終わってしまうのか…と、少々の危惧を持って客席に座りましたが、私には、前者でした。
よくあるような設定といえばそうだし、ものすごく盛り上がりがあるかといえばそうではないんだけど…なんでしょう、客席にいながらふと、自分も周囲の観客も、登場人物たちの一員として物語世界に参加しているような…溶けこんでいるような、不思議な、そして心地よい錯覚を味わいました。
それぞれのキャラクターが、自然に無理なく生きていて。
人と人が繋がっていくって、大変で、時には痛くて、でも大切なんだなぁなんて、素直な気持ちになれました。
次回作にも注目しています!

飯縄おろし

飯縄おろし

世の中と演劇するオフィスプロジェクトM

タイニイアリス(東京都)

2009/11/06 (金) ~ 2009/11/11 (水)公演終了

満足度★★★★

余韻…
悩んだ末に、同性である女子高生バージョンを観劇。
タイニイアリスの濃密な空間で、役者さんひとりひとり、お互いの台詞の間を確かめ合うようにじっくりと大切に繰り広げられる物語。
丁寧な目線での作品作りに、好感。
私も高校生までを田舎で過ごし、今は東京で生活している身であり、しかも、エンジのラインのセーラー服が自分の母校(中学ですが)の制服によく似ていて。なんだか、登場人物たちの顔が友人の顔と重なるような…。
ただ、方言のイントネーションが強すぎ、「自分」と重なってどっぷりと浸りきれるところまではいけなかったのは、個人的には残念でした。
男子高生バージョンも観たかったなぁ。

サダオのサダメ

サダオのサダメ

劇団たいしゅう小説家

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/08/19 (水) ~ 2009/08/25 (火)公演終了

満足度★★★★★

笑って泣いて
物語の設定は、ありがちといえばありがちなんだけど、この物語ならでは!と思える独特な味わいに満ちていて、吉村ゆうさんの描く世界、好きです。
今回も、楽しく笑い、しんみり泣き、堪能しました。
人が人を思いやる気持ちに素直に共感できます。
そうだよ、みんなそれぞれ、がんばってるんだよ。
このシリーズ、無理のない展開で今後も続編ができるといいなぁ。

信長 -NOBUNAGA

信長 -NOBUNAGA

劇団め組

吉祥寺シアター(東京都)

2009/07/31 (金) ~ 2009/08/04 (火)公演終了

満足度★★★★

王道
以前からチラシを目にするたびにどんな感じなんだろう?と気になっていた「劇団め組」さん、初めてみせていただきました。

全体的な印象は、歴史劇の「王道」なんだなぁ、と。衣装(髪も含め)や音楽、そしてダンスでの表現など、ひとつひとつは現代的にアレンジされているふうでありながら、柱としては重厚な台詞劇で、日本人として一般的に知っている(イメージしている)「信長」にまつわる史実を忠実に、丁寧に描いている感じが好印象でした。

エピソードと登場人物が多く盛り込まれているがゆえに、焦点をズバッと絞りにくいかなぁというのが、涙するまでには繋がらなかった理由かな…。観客側の想像力に委ねる部分がない感じが惜しいです。
勝手な好みを書けば、もう少し、光秀との関係性を色濃く描いて欲しかったな。いえ、もちろんきちんと描かれていて、役者さんも表現されていたとも思うので、あくまでも勝手な「もう少し」なのですが。

ネタバレBOX

「史実に忠実」というイメージのなかで、信長が「山道の猿」と邂逅する場面がとても印象的で好きでした。
(私が無知なだけで、あるいは有名なエピソードなのかもしれませんが)

初観劇な身で、よくわからないながら…。
こういうのが「め組」さんのカーテンコールの定番なんでしょうか?
ノリのいい音楽にのせて、作品世界とは一転して明るいご挨拶で…重厚な終焉にぐーっと浸っていた余韻をぐわっともぎ取られた感がして、そこまでに抱いていた感想とはちょっと別物になってしまった感があり、個人的には残念でした。
かといって、ぐーっと重く終わり過ぎるのもツラいものがありそうだから、これでいいのかなぁとも迷うところ。
多くの作品を上演されてきた劇団のようなので、これが「め組」さんのスタイルっていうことなのでしょうね。
ガラスの家族

ガラスの家族

劇団朋友

俳優座劇場(東京都)

2009/06/04 (木) ~ 2009/06/10 (水)公演終了

満足度★★★★

生き生き!
20年以上前から再演を積み重ねてきただけあるしっかりと力のある脚本を元に、キャラクターたちが生き生きと躍動していた、素敵な作品でした。
ギリーもウィリアムも、可愛くて。自然に感情移入し、涙してしまいました。
スタッフではなくアンサンブルの役者さんたちが自然に動いて場面を変えていく装置の転換も、スムーズ。
先生や隣人や友人たちの言葉も、沁みました。
そして、すべてを受け入れてくれるトロッターさんの大きな愛!
血のつながりだけではない、人と人とのつながりのあたたかさ、素晴らしさを改めて感じる2時間でした。

時効を待ちながら

時効を待ちながら

東京おいっす!

「劇」小劇場(東京都)

2009/05/26 (火) ~ 2009/06/02 (火)公演終了

満足度★★★★★

そーとー面白かった!
いやぁ面白かったです!どこがどうというんじゃなく、全体が面白かった。まず脚本が面白いし、キャラの個性もきっちりしてるし、流れもいいし、伏線の張り方と拾い方も絶妙だし、役者さんたちも巧い!
観劇後の居酒屋で、友人と「面白かったー」を何回言い合ったかわからないくらい。
ここでのチケットプレゼントでご招待いただいたんですが、もうもう、次回以降の公演はちゃんとお客さんとして見させていただきます宣言します!
なにせ、以前の公演のDVDまで購入してきちゃいましたから。
ネタバレに書きたいことも山ほどありますが…とにかく観てみて!

愛のルーシー

愛のルーシー

北京蝶々

OFF OFFシアター(東京都)

2009/05/20 (水) ~ 2009/05/26 (火)公演終了

満足度★★★★

内容と空間がマッチ!
初日に観せていただきました。
北京蝶々さん初体験でしたが、さすが、CoRich舞台芸術まつり2009春 最終選考作品。役者さん同士の台詞や動きの表現の間合いがしっかりと相手の呼吸をとらえていて、自然に物語に集中できました。
作品によっては、物語の進行とは乖離して、まずは登場人物の紹介をすべく説明的な流れで始まって、観客側に「早く解れよ」という押し付けを感じてしまい、かえって人物の個性や関係がなかなか掴めないものもありますが、この作品は、きちんと物語の進行に沿って各人物の個性が徐々にかつ絶妙に浮かび上がって、興味をそがれませんでした。

以下、ネタバレにて。

ネタバレBOX

それぞれの事情や性格で社会に溶けこめずに背を向け、この計画に参加してきた男性4人女性4人の被験者たちと、それを観察する2人の研究員。
しかし、人が人と関わりを持って生きていく以上、そこはやはり彼らが以前に所属していた社会の「縮図」であり、自給自足の厳しい毎日のさなかで、お互いの間に生まれる喜怒哀楽の感情が、ほんの少しずつ熱を帯びていく。
常に環境の劣化を防ぐことに神経をはらわねばならず、空腹感に苛まれ続け、心が乾燥してついむき出しの感情をぶつけてしまったり…逆に、相手の思いがけない言動や自然がもたらす恵みに心が潤って笑顔になったり。

満腹に食べられない日々が続いて皆痩せてきていて、女性は肌荒れを気にしたり、なのが、リアル。決して大きな声で発声する訳ではなく、力が抜けた声での会話が続くのに、きっちりと台詞が会話として聞き取れるのは、役者陣の実力が安定し拮抗しているからでしょう。
とはいえ、これ以上大きな劇場であれば観客席全体に声を届かせるのは厳しいでしょうが、OFFOFFシアターという濃密な空間が選ばれたことで、少ない人数で構成された「社会の縮図」の閉塞感を絶妙に醸し出し、が、座席はゆったりめで詰め込まれた感じがなく、集中しやすかった。
こちらもいつしか研究員のふたりと同じように、彼らの日々の変化をじっくり見守るような感覚になっていき…なので、本来は影響を及ぼさずにただ「観察」するべき立場なふたりが、ついに禁を破り彼らの社会に足を踏み入れていく終盤の流れは、納得。

…彼らふたりが被験者側に加わったことで、10人を観察する別の研究員が配され、その研究員もいつしか被験者側に加わり、だんだん人数が増え、あげくは現代社会そのものになっていく…?などど、帰り道に想像力を刺激されたのも、面白い体験でした。
テンリロ☆インディアン

テンリロ☆インディアン

劇団6番シード

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2009/04/18 (土) ~ 2009/04/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

すみませんでした!
BOYS2、観ました。
今までこんなにおもしろい劇団を知らなかっただなんて、私ってなんてバカ!すみませんでした!と謝っちゃいたいくらい、おもしろかったです!
張り巡らされた伏線に、わざとらしいこじつけさもなく破綻もなく、物語の流れもスムーズで。
休憩なし2時間くらいな作品って、けっこうおもしろくても、途中で(今どのくらい経ったかな?)とかふと気になるタイミングがあったりするんですが…この作品に関しては、そんなふうにふと意識が途切れることもなく、ずうっと集中しておもしろがりながら観ていられました。
登場人物9人(+警官1人)、それぞれのキャラクターも生きていて。
あぁ全バージョン、観たい~!

いいだせなくて

いいだせなくて

カラフル企画

SPACE107(東京都)

2009/04/01 (水) ~ 2009/04/14 (火)公演終了

満足度★★★★

心がほんわか
お人好しな主人公のもとに集まる、個性的な面々。実はそれぞれが心に傷を持っていて…。人と出会い、人と交わり、不器用でも自分の想いを言葉にしようとすることで、理解しあい、支えあえてゆく。
笑いもふんだんで、ほんわかあったかい、あぁ観てよかった~と思える作品でした。
確かにちょっと長過ぎだけど…登場人物を整理するというよりは、笑いのコネタ等をもうちょっと整理する方向で、ぎゅっと凝縮して欲しいです。

役者さんがそれぞれのキャラに絶妙にはまっていて、とにかく笑えました。
あれだけの人物が入り乱れることでの面白さ。ただのドタバタに終わらずストーリーを組み立てる力量はさすがです。

正直、タイトルとチラシのデザインは古っぽい感じだったので、実際に観て「想像していた以上に面白い!」感があり得した気分でしたが…今後はもう一工夫欲しいところ。

ネタバレBOX

未来が実は8年前に亡くなっていて、夫・俊太郎にしかその存在が見えて(聞こえて)いないということは、二幕の冒頭にわかるしくみ。
もちろん思い返せば一幕にいろいろ伏線アリなんですが、ここで「あ!」とわかるのが正解!というか、作者の目論見なのだと思います。
ただ、そうとわかってから一幕のやりとりを見て、不自然なところが本当にないのかなぁというと、ちょっとどうかなぁ?

他にも書いている方がいますが、家の中で靴?が、最初から違和感あり、最後までぬぐえませんでした。強引でも何かしらのちょっとした理由付けがあればですが。日本の日本人の家庭で靴履きは…しかも、このほんわかした性格の主人公の家なのに、なんかくつろげていない感が。
単に、登場人物たちが家に入ったり出たりの際の脱ぎ履きの芝居をなくし簡略しするため…としか感じられなかったのは、残念。
じゃあ足元に触れないならばともかく、俊太郎は「足の爪のにおいを嗅ぐと落ち着く」と言って、いちいち靴下を脱いで嗅いだりするし…?!
芝居好きは、こういう細部のリアリティが気になる人って多いと思いますよ。
刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ

刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ

ACTOR’S TRASH ASSH

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/04/01 (水) ~ 2009/04/05 (日)公演終了

満足度★★★

もりだくさん…
ASSH初見、タイトルがまず印象的だったのと好みな内容だったので、楽しみに観劇させていただきました。(客演メンバー主体の「我」ですが)
登場キャラクターが多彩ながらわかりやすいストーリー運びで、テンポもあり、最後まで飽きませんでした。
シアターグリーンも初めてだったのですが、傾斜があり、一番上の席でも見易く、良い空間体験でした。
面白かっただけに、個人的には細部でもうちょい!みたいなところも…既に公演終了しているのですが、以下ネタバレにて。

ネタバレBOX

共に虐げられる運命を背負った、白狐丸とシズカ。この二人の出会いと愛を軸にしたストーリー展開は、面白かった。時代背景等もわかりやすかった。
この鬼伝説を調べる現代の大学生を登場させたのは、常套手段ではありながら観客側に物語を整理させつつみせてくれるという役割を担い、悪くはないのだが…この現代の若者たち側、ハジメも、いじめ(差別)を受けていたという設定は、逆にもりこみ過ぎな感があった。…観る人によってはそれこそが巧い!という観方もあるとは思うが。そして更に「顔なし」なるキャラクターを登場させたのは、冗長過ぎるのではないだろうか?
「一晩経つと、昨日の出来事を忘るる奇病」のシズカと、この顔なし、どうしても最近の既存のメジャーな作品のキャラクターにダブり、せっかくのオリジナリティを損なっているように感じてしまうのは、もったいない。

最後列の席からだと、鳥居が邪魔になって「白髪神社」の文字と狐面が見えなかったのは、ちょっと残念。
背景の流れる文字も、平坦な面ではなかった(カーテン地)ので、部分的に読みづらかったのも残念。文字を流しつつ、登場人物…外道丸あたり?…に、朗々と読み上げて欲しかった。

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