ペンギンアートの観てきた!クチコミ一覧

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ヤマモトさんはまだいる

ヤマモトさんはまだいる

東京演劇アンサンブル

あうるすぽっと(東京都)

2024/09/12 (木) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/09/12 (木) 19:00

価格4,300円

創立70周年記念にベルリン芸大出身の劇作家、デーア・ローアーさんが本劇団の為に書き下ろした世界初演に出会えた事は非常に光栄。音楽監修には国内でクラシック音楽を学んだ事がある人なら誰もが知っているであろう池辺晋一郎氏。台詞の中に、間に絶妙な楽器の効果音。単に大きく盛り上げる訳でもない「品のある」丁寧な音響効果。回転する4つの舞台装置。まさに「アンサンブル」として、優れた芸術の世界を垣間見ることが出来ました。

ネタバレBOX

前衛的劇作家デーア・ローアーさんの作品を観るのは初めて。
まず感じたのは、ドイツらしい哲学的な台詞のやりとり。どのような感情表現で観客側に訴えかけるか…と言う意図よりも、デーアさんの持つ世界観そのままを私たちが見つめている。詩の中で役者が動きを付けるようなアカデミックな系統に向かった作品に感じた。
思わずソーントン・ワイルダーの「わが町」を思い出し、この2時間15分を集中して観るものもいれば、何だかよく分からず寝てしまうものもいるだろうな…と評価が二分する印象。

芝居に関して、役者は非常に注意深く台本と向き合っているように感じました。
台詞で魅せる…という事が性質上難しいので、目線や間の使い方、距離感など色々練りながら創っていった作品だと思います。お客様目線というより、役者自身すごく学びになる舞台だったんじゃないかなと。特に学校で演劇を専攻している人には観てもらいたいですね。
パンフレットは買いました♪
『大洗にも星はふるなり』

『大洗にも星はふるなり』

ゴツプロ!

「劇」小劇場(東京都)

2024/08/28 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/08/29 (木) 19:00

価格4,500円

ゴツプロ青春の会!台風に負けず観劇して参りました。
「江の島」だけど、舞台は茨城県の大洗の「海の家」です。ひと夏の思い出には「恋」がつきもの。
海の家に共に働く「江里子」に惚れこむ7人の男たちが繰り広げる妄想バトルは必見です。
物語の随所に笑いのエッセンスが散りばめられていて、思春期男子が考えそうな想像力を見事に体現してくれていますよ。

ネタバレBOX

舞台となる海の家「江の島」がしっかりと作り込まれていて好印象。
思わずアイスが食べたくなるような、シーズンぴったりのお芝居だったと思います。
キャストも個性豊かな雄雄しいメンツ。癖が強くて、皆ボケるわ騒ぐわで大混戦‼くだらない事で大笑い出来る温かさが魅力的。手紙で江里子に呼び出されたメンズは「誰が江里子と結ばれるか」で彼女への愛をユーモアいっぱいに語りだします。ストッパー役だった弁護士もまさかのキャラ変。配役が持つ理想と現実への対比が上手です。

初見の劇団でしたが、内容はとても分かりやすく雰囲気の良い空間を作り出していたと思います。
脚本に関しては、笑いで盛り上がって熱量が上がっていく半面、妄想・勘違いにピントが当たり過ぎて、微妙な間が生まれてしまったり、独りよがりな演技が長いと観客側も飽きてしまうかな…と懸念点がありました。
ゴシック

ゴシック

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2024/08/14 (水) ~ 2024/08/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/08/15 (木) 19:00

価格4,000円

真夏の夜に涼しさ際立つ悍ましき物語でした。
キャスト全体のクオリティ。舞台製作・演出も見応えする作品だったと思います。
怪奇的な「ゴシックホラー」をイメージした本作では、会場が「楽園」ということもあり
客席が分断されて舞台が中央にも出捌けできる仕様になっているため、
暗闇のシーンが多い中、空間全体を上手く魅せているな…と言った印象。

ネタバレBOX

良い舞台でしたが、話の内容が分かりやすくクライマックスも想像しやすい。
その分、パンフレットで御厨家家系図を見なくても役者の台詞で容易に想像することが出来た。
ご共感下さる方いらっしゃるかもしれませんが、まるでTVやPCのサスペンス系ゲームを舞台化したような…そんなイメージの物語。全体的なクオリティが高い分、もう少し尖ったストーリー性・場面があっても良いのかなとは思います。
かわいいチャージ’24

かわいいチャージ’24

人間嫌い

シアター711(東京都)

2024/07/24 (水) ~ 2024/07/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/07/25 (木) 19:30

価格4,200円

10周年記念という事で再々演の「劇団人間嫌い」の鉄板舞台を観劇しました。
配役が等身大で、現代を生きる女の子たちのリアルを生々しくも、上手に舞台作品に落とし込んでいると言った印象。内容がとってもシンプルであまり芝居を観たことがない方にもお勧めです。
日替わり彼氏の存在も、キャストが変わるとどういった変化が起こるのか気になりますね。

ネタバレBOX

Xにも書かせて頂きましたが
メイク術やパーソナルカラー、骨格のタイプやインフルエンサーとしての写実的な感性に触れ、これはお芝居ではなくドキュメンタリー?目から鱗の体験でした。女の子として誰しも意識した事があるであろう「かわいい」は、お芝居であっても共感ポイントが沢山あったはず。和気あいあいとした稽古だったんじゃないかと想像しております。
脚本や演出に関しても捻りだした…と言うより、伝えたい事をストレートに表出した舞台だったので、嫌みがなくスッと心に入ってきます。この世界観が好きな方には嵌ると思います。
カミノコノミカ

カミノコノミカ

劇団さいおうば

シアター711(東京都)

2024/06/13 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/06/13 (木) 18:00

価格3,000円

オイティオ‼ 今年2回目のシアター711。
神の子のミカ…とあるアクシデントをキッカケに、タヤット神教の御言葉が聴こえるようになった修道女のミカ。この「神のお告げ」を聞きつけた信仰者や多信教徒たちの噂はあっという間に広がり、煩悩を引き金に次々と堕落した生活が浮き彫りに。そんな中、戒律を破った修道学院へ異端審問が行われ…。
本作は若い俳優陣のチームワークがよく表れていたと思います。130分の芝居に、笑いのエッセンスを含んだコメディ要素と後半に連れ、宗教問題のシリアスな要素を上手く嚙み合わせて構成された舞台だったと思います。

ネタバレBOX

前半の修道院内のドタバタ劇に関しては、
個人的には物語の進行が、後半と比べてかなり遅く間延びした感じがしました。
異端審問会が現れて物語が加速して行くまでは、もう少しテンポ感を揺らして場転や舞台効果をオーバーに使っても良いんじゃないかな…と感じました。
タヤット教のシスター&ブラザーは同調しやすい役作りなのか…キャラクタは異なる性質ですが本質は似ているように思います。ブラザーオーエンの両極端な演技とブレインの冷徹そうで温かい気質を持った二人が加わる事で、いよいよ作品が尖り始めてきたな…といった印象でワクワクさせて頂きました。
最後のダイバ教からの迫害。ドクタードミーの「死んで欲しかった」が、グサリと突き刺さるパワーワードで、この上げて落としての落差は創り手の上手さを肌で感じられる瞬間でしたね。
本作のキーとなっているシスターミカは、高いトーンでの台詞回しが他の役者と被らないので、とても聞きやすく配役として分かりやすかったです。これからも劇団のご活躍を祈り申し上げます。
マクベス

マクベス

演劇ユニット King's Men (キングスメン)

座・高円寺2(東京都)

2024/05/14 (火) ~ 2024/05/16 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/05/16 (木) 15:00

価格3,500円

W.シェイクスピアの四大悲劇の一つとなるマクベス。
将軍マクベスが妻と共謀して主君を暗殺。王位となるものの、その重圧に耐えきれず次々と錯乱し暴君と化し、最後は貴族や王子らの復讐によって滅ぼされてしまう。
そんな名演目の旗揚げ公演をじっくりと観劇させて頂きました。
往年の舞台・古典作品の概念にとらわれず、演劇の自由そのものを捉えなおす…この意図は、パンフレットの厚さを見ても一目瞭然。主催側の熱い想いが伝わってきました。
また共生社会の形成にも積極的な劇団であり、障がいの有無(近年では特性と言われてきました)に関わらず、意欲ある人のチャンスの場として演劇を通じた社会参加を行う意義は素敵だなと。
以下、感じた事を忌憚なく書きます。

ネタバレBOX

「新しい栄誉は新しい衣服のようなものだ…」
こんなセリフが劇中にあったかと思いますが、文学的な台詞回しの多い古典劇を上演するという事は、その本質や様式を入れた上でどう壊していくか・自由であるかを考えなくてはいけない。
素舞台の劇場で、色んな特性を持った役者陣。それをまとめる演出兼役者。そこにプロフェッショナルさを見出すのは、未だ新しい服が馴染んでいないのと同じこと。

まず、台詞が長いので滑舌や末端の発語の処理が単に場のテンションで終わってしまい、素人感のぬぐえないバラつきが違和感を生み出します。特に長ゼリを自分の言葉として舞台で活かす…というのは、役者自身の能力が大きく左右されますから大変な事だと思います。
個人的にはシェイクスピア劇に拘らず、別の戯曲を扱っても良かったんじゃないかと(内容が難しい)。

またプロジェクタを用いた背景ですが…どう考えても劇作風景にかみ合わない写真が気になりました。背景は朝・夜などを考慮して、あとは照明の変化だけで十分じゃないかと。BGMは突然大きく表れたかと思えば、ミュージカル風の歌唱とダンス…取って付けた感が否めません。
全体的にプリモとプリマのお二人で主な動きの中心を担っていますが、箱が大きいのか視界的には小さくまとまっている印象。かと言って、派手なパフォーマンスは全体を俯瞰すると浮いてしまうので、ここも役者全体の足並みを揃えると言う意味では難しいです。
手話を使ったシーンも良い意味で「間」が生まれて良かったですが、折角プロジェクタがあるので何を言っているのか「台詞の投影」をしても良かったんじゃないかと感じました。

制約があるからこそ、自由が生まれる。
何をしても良い・何を着ても良い…これは私の感じる自由とは少し異なるように観させて頂きました。この団体で多様な特性を持つ役者がどんどん育っていく事を深くお祈り申し上げます。
風と共に去りめ

風と共に去りめ

かーんず企画

シアター711(東京都)

2024/05/02 (木) ~ 2024/05/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/05/02 (木) 19:00

価格3,500円

初日公演:シアター711で観劇させて頂きました。
独特なセンスの笑いがツボに刺さる人は結構いるようで、全体的に暖かい雰囲気で見守っていらっしゃる客層だったのかなと。初見の団体でしたが、今回はスカーレット・オハラの出てくる某作品とは全く異なるもので、どちらかと言うと新海監督の「君の名は」から、インスピレーションを受けているのかな?位に感じました。以下、忌憚のない意見を書きます。

ネタバレBOX

ひとつの舞台上に各々4つの世界が作り出されていて、
そこにキーマンとなる主人公が物語の共通点となり、彼の通ってきた人生がパラレルワールドのように交差する…ここで鍵となるのは、どの世界に於いても「2025年に隕石が降り注ぐ」という事実。作り手の考えはワードからまとめても伝わるのですが…いかんせん内容が面白くない。
所々にシュールな小ボケが入るのは良いとして、この4つの物語の中身が薄い感じがします。1時間20分ほどの舞台だったので何とか集中しましたが、2時間このふわっとした内容が続くようだと、お客さまは飽きると思います。もっと色んな要素を詰めて、尖った演出があると良いのに…と言うのが正直なところ。クライマックスに舞台から出て、叫びながら一周回って帰ってくる…あの自暴自棄で病んだ感じを出すなら、他にも色々遊べたんじゃないかなって感じます。
絶望という名のカナリア

絶望という名のカナリア

甲斐ファクトリー

小劇場 楽園(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/04/23 (火) 19:00

小劇場「楽園」と本作品の「絶望という名のカナリア」
劇中には天国の下りと、巧みな関連付けが上手いです。
上手いと言えば、劇場内の狭い空間を上手く利用した対角線上の舞台と客席。
オムニバス形式にすることで場転の多さをカバーしていて、嫌みのない暗転が良いです。
本公演が10回目という記念に観劇出来ましたが、物語自体は新興宗教や風俗営業など、どろどろしたブラックコメディな内容。
決してすっきりする物語では無いものの(好みもあるので)、お芝居のクオリティとしては惹きつけられるものがありました。

ネタバレBOX

配役の個性が光る舞台。
自殺から宗教、修行と称して殺されかけたり、数学の専門領域を駆使して答を導き出したりと、鈴木カズオの数奇な物語は、観る者に強いインパクトを残します。
それと、カナリヤって黄色いんですね。
勝手に想像の中では白色をイメージしていました(文鳥か)。
世迷子とカンタータ

世迷子とカンタータ

9-States

駅前劇場(東京都)

2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/04/13 (土) 19:00

価格4,300円

前作「みんなのえほん」から2度目の観劇と巡り合う事が出来ました。
9-Statesらしい陰の部分と日常の暖かさや笑いのエッセンスを取り込んだヒューマンドラマです。
今回はけやき峠温泉にある旅館「湯鳥」で働く従業員、西野海斗の心の葛藤を視覚的に舞台転換や照明などで効果的に表現した当劇団の十八番とも呼べる作品。
今回も出版に関する内容で大きく展開されていく人間模様…序章~終盤に至るまで、少しづつ散らばった言葉のピースが頭の中で嵌っていくのは楽しいです。
20周年おめでとうございました!!

ネタバレBOX

今回の表紙デザインも好みの出来栄え!グッと期待感が高まります♪
役者陣は個性派揃い。各々が色んな色を持ってて分かりやすい。
前回もそうでしたが、チケットがステッカーになっているのもお気に入りだったりします。

個々で観ると舞台セットもテロップも、突然始まる歌謡演出や照明効果も一つ一つ丁寧で
良作なのですが、いまいち2時間10分の公演に没入していく集中力が、私にはなかったです。
これは舞台ドラマとしての日常が、やけに遅く感じて平和ボケしてしまうから?と考えます。
肉付けしている感…と言えばいいかな。過去が深堀りされていき、文芸部との決裂に至るまでの経過が長い。旅館での出来事(小川家のくだりとか)は削って、代わりに小説の内容や魅せ場(旅館らしい歌唱や踊りなどのパフォーマンス)を増やして、観客側の視点を逸らす演出も有りかなと思いました。
ギラギラの月

ギラギラの月

プレオム劇

ザ・スズナリ(東京都)

2024/04/03 (水) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/04/04 (木) 19:00

価格5,000円

19年前に書かれた故中島淳彦氏の脚本。
劇団も脚本も初見での観劇となりましたが、昭和観あふれる舞台の上で本当に生活しているかのような女優たちの自然な演技。スッと大泉サロンの世界に入り込んでしまいました。
その役の個性や人物描写が色濃く描かれるだけで、他人の心は温かくなったり、興味関心がどんどん湧いてくる。それを見事なクオリティで上手く魅せている作品です。

ネタバレBOX

指定席が舞台の目の前の席…幸運でした。
暗転時は三日月に照明を照らし、畳に陰影をつける演出が良いですね。
大泉サロンの各部屋にも小さな三日月模様がついていて、本作品のタイトルにマッチングさせている様子が見て取れます。この二階の部屋から階段・廊下のスペースで出はけを円滑にしていて、視覚的にも見やすかったように思います。

そして、ハートランドからプレオム劇時代を築いた役者たちの歴史の様な、重みを感じます。
良い環境で芝居が出来るってこういう事なんだろうな…と帰路につく間考えました。
ミュージカル版 『五色ロケットえんぴつ』〜気がつけば恋の話〜

ミュージカル版 『五色ロケットえんぴつ』〜気がつけば恋の話〜

劇団帰燕

高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)

2024/04/04 (木) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/04/04 (木) 16:00

価格3,500円

脚本家の園田英樹氏が手掛けるミュージカルプレ公演。
五色ロケットえんぴつ…略して「ロケミュ2024」を観劇してきました。
エンタメ性が全面に出ている本作品は、若い役者たちのパフォーマンスから
衣装チェンジまでの視覚的要素が大きく、今どきの「きゅん」ポイントが沢山詰まった
可愛さ溢れるステージ。お芝居と言うより、歌と台詞付きのライヴを見ている感覚かな。
4チームの内、今回はBチームの舞台を楽しませて頂きました。

ネタバレBOX

このパンフレットの挿絵がグッと期待感を膨らませています。
会場に入ると前説の勉強でしょうか…各チーム開演までトークがハラハラw
エキサイティングシートに興味あったけど、ペアで座った方が良いよね…見送りましたw

肝心のお芝居ですが、内容は単純且つパフォーマンス要素が強いので
物語へ引き込まれるというより、歌やダンス、ネタや衣装で客観的に楽しむコメディ作。
若さ全開でぶつかっていく姿勢は良いのですが、どれも中途半端という印象が否めません。
例えばどの楽曲も割合低音から入るので、歌詞がこもりやすく観客からすると聞き取りにくい。演技も台詞や動作の間、役者同士の距離間など粗削りな感じがします。衣装替えはアヒルやメイドスタイルなど面白かったですが、全体を通して着替えが多いかな。分かりやすい色の服装を使って5色カラーを強調しても良かった様に思います。場展時も黒子とは言え、どうしても目立ってしまう所が気になりました。

今後どういう風に劇団帰燕が旗揚げ本公演に繋がっていくのか、楽しみにしています。
また、急な時間変更にも関わらず丁寧に対応して下さりありがとうございました。
ナマリの銅像

ナマリの銅像

劇団身体ゲンゴロウ

新宿スターフィールド(東京都)

2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/28 (木) 19:00

価格4,000円

中心人物となる「天草四郎」をモチーフとして、一揆から島原の乱が起きる背景を綴った本作。
身体ゲンゴロウの舞台公演を前作に続き、再び観劇させて頂きました(前作は過去コメントを辿って下さい)。今回は完全な歴史劇かと思いきや、農家がパチンコで持ち金を増やそうと奮闘したり、四郎がホーン型マイクで演説ばりのパフォーマンスを披露したりと現代的な視点を調和させながらも、またそれが嫌味ではない感覚で印象的な物語でした。
四郎役の初鹿野さんが17歳の少年を演じる訳ですが、不思議とあどけなさを持った俳優(濱田岳のような)で、役どころにハマっていたのも良かったです。

若きスターに視点を置きながらも、彼の周りを取り巻く仲間たちや時代背景がきちんと描かれている辺りが、観る側からすればグッと作品へ感情移入させやすいものにしている…と感じます。
2回目のご招待ということで、初めて物販でポストカードを購入させて頂きました。4月の長崎公演も更なるご活躍をお祈り申し上げます。

ネタバレBOX

神格化されていく四郎を象徴するかのような、バッハ・カンタータの147番が使われるところ好きです。

「身体」と名の付くように「身体表現に重きを置いて演じている」とアフタートークでありましたが、全体の動きの面では前作同様ワチャワチャ?した印象を受けました。
限られた空間の中で役者が一斉に思い切りの良い演技をする為、観客の視線が追い付きにくいと思います(熱量は伝わるんだけども)。もっと大きな空間にするか…あるいは動きの流れ方に対し更に意識を向けると、舞台上での荒っぽくないダイナミックさがより際立つんじゃないかと考えます。
星の王子さま

星の王子さま

劇団三日月座

横浜国立大学 第1食堂下 共用室3(神奈川県)

2024/01/21 (日) ~ 2024/01/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/01/22 (月) 19:30

価格0円

新年初観劇!行ってきました横浜国大。
羽沢横浜国大から降りて結構歩きました。坂道が多いので余計にそう感じるだけかな;
サン=テグジュペリ原作の「星の王子さま」。フランス語では「小さい王子」と読みます。
異なる脚本ではありますが、私自身「星の王子さま」の舞台に何度か出演したことがあるので、非常に思い入れの深い作品だったりします。
あの頃の思い出が台詞と共に巡り巡って、最後はウルっと来てしまいました。

ネタバレBOX

白壁一色。舞台上に色箱がいくつか。
これで座る・乗る・作業台など、狭い空間の中でも有効活用しながら物語を進行させていく。
瀬戸山さんの脚本はやや現代寄りの台詞回しで、すんなり耳に入ってくるのが印象的。
今回はAキャストを観劇しましたが、コロナ感染者によるマスク使用で鼻から上までしか表情が読み取れず残念;作品としては、ボクも王子さまもとにかく可愛いんです…演技も台詞も、もっと雄々しい部分があって良いんじゃないかなって。大人になってしまったボク。真面目に怒るときも当然ある。王子も決して頼りない訳ではないんですよね。心の強さがもっと欲しい!
全体的に、品の良い役者の揃う学生らしい舞台だなと感じました。
第78回「a・la・ALA・Live」

第78回「a・la・ALA・Live」

a・la・ALA・Live

阿波おどりホール(座・高円寺内) (東京都)

2023/12/25 (月) ~ 2023/12/25 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/12/25 (月) 19:00

価格4,000円

荒山氏の主宰するパフォーマンス・ライヴに初見で行きました。
公演日が25日ということで、演奏も芝居もクリスマスに関する内容が多かったかな。
内容は軽演劇(一人芝居)、アコーディオン演奏や南京玉すだれなど盛り盛りの1時間50分。
今年1年の観劇生活にも感謝を込めて…

ネタバレBOX

劇場参加型の本公演では、
会場の真ん中に客席。出演者や演出内容によって観客側が横を向いたり背面側を向いたりと面白い空間の使い方をしていました。席の間にも演者が移動できる通路があり、最後列の観客が最前列で観られる状況を作り出したり、出演者の舞台を360度使えるという点でも良い魅せ方だと思います。

各回によってパフォーマンス編成の異なるアラカルト寄席ですが、
どうしても「出演者目線」に寄せて演芸が行われる為、観客側が気持ちを切り替えて、次々に観て楽しむ…というスタンスになります。今回はクリスマスですので、折角360度ある舞台を有効に使うのであれば、舞台装飾もあって良かったかなと思いました(殺風景で少し寂しいかな)。色んな形式の表現があってもLIVE全体を通した世界観が出ますし、終演後の撮影も映えます。より視覚から入る情報も楽しめるかなと。
Strange Island

Strange Island

Nakatsuru Boulevard Tokyo

サンモールスタジオ(東京都)

2023/12/13 (水) ~ 2023/12/20 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/12/18 (月) 19:00

価格5,500円

新宿のサンモールスタジオ。今年もお世話になりました♪
今日の公演はお客さんの数か、座った位置なのか、舞台セットなのか…いつもよりこじんまりとした印象を受けました(ストレンジ現象なのか)。
このストレンジアイランド…確かに表町と裏町に住む奇妙な住民のいざこざ社会に巻き込まれる政治コメディなのですが、2時間半の長編作を配役独自の視点で違和感なく作り上げらえています。世界観はファンタジーだけど、根幹は政治政策。格差社会を生きる人々が現市長を引きずり下ろすために、この世界を生き抜くために闘う物語です。

ネタバレBOX

『どんどん』先が気になってしまう…これは、登場人物の持っている正義と悪。
役の印象が見方・捉え方によって、物語が進む毎に変化していくという点。そして観客側も共感するであろう現代社会にも挙げられる「税金」「心の貧困」「ルッキズム」など、タイムリーな話題。こうした身近な話題を演出意図に組み込んでいる所に関心します。
役者陣も癖の強いキャストから正統派女優までバラエティに富んでいてバランスが良く、魅せ方が上手です。小劇場ならではの強弱をつけた声量・台詞の抑揚やトーン。こういった役者たちの中で揉まれていくと若手も『どんどん』上手くなるだろうなぁ。
UverEATS「姥喰」

UverEATS「姥喰」

劇団 枕返し

遊空間がざびぃ(東京都)

2023/12/14 (木) ~ 2023/12/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/12/14 (木) 18:00

価格3,500円

姥が喰らうと書いて「ウーバーイーツ」
お久しぶりの西荻窪で、山姥(やまんば)の出てくる「ホラーサスペンスなコメディ風演劇」を観劇しました。自由席でありがたい事に最前列に鎮座します(チケプレなのに)!
距離がとても近く、役者の表情・演技・迫力のある声量を楽しめました。

初見でしたが、この手の芝居は脚本家のやりたい事で盛り盛りになって行き、オチや筋道が迷子になってしまう事が多いように思います。シュールな笑いと妖怪の持つ独創性を誘う劇団ではありますが、芝居の質を俯瞰してみると物足りない部分は多いかな…と言うのが、正直なところです。

ネタバレBOX

物語が進むと、回想シーン=場転となり、また現在の立ち位置に戻ることが多いです。
流れは悪くないですが、分かりにくい。なんでもないシーンでも身振り手振り前面に出てしまう役者さんがいて、作品全体が稚拙に感じてしまう要因になったかなと感じました。
特にシリアスな場面であっても、恐怖におののく様な場面であっても、殺人を目撃しても、基本的に大きくテンションが変わらない。空気感が変わらないのは勿体ないです。
(小劇場なので小さな演技・台詞回しも全然アリだと思います)
舌があまり器用に動かない役者さんも居て、台詞の聴きやすい位置に居るとラ行が特に詰まった感じに聞こえるのも勿体なかったかな。

台本にも寄るのかもしれませんが、
各作品に妖怪を出すというのは一貫性があって劇団のカラーになっています。
けれど、良くも悪くも似たようなタイプの客演やキャストで個性がちょっと被る…もう少しファン投票を決めやすくして欲しかったですw
俺(たち)が居ないと世界は平和

俺(たち)が居ないと世界は平和

南京豆NAMENAME

OFF OFFシアター(東京都)

2023/11/29 (水) ~ 2023/12/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/11/30 (木) 19:30

価格4,000円

「宇宙の広さに想いを馳せる会」に所属する4人の若者たち。
慣れ合い過ぎず、深入りせず、友人と呼べるほど親しい間柄でもないが、孤独に潰されないよう「程よい関係性」であり続ける。そんな見知ったサークルメンバーに起こる突然の死。
過去・現在・未来をつなぎ合わせた、各々の登場人物の葛藤や愛をテーマにした青春群像劇。
独特の視点にクスリとした笑いを秘めた泥臭い演劇は小劇場ならでは。
地味でほっこりする温かみを感じさせる舞台公演(虫チーム)でした。

ネタバレBOX

賛否両論あると思いますが。
個人的にこの舞台は笑いの感性、心に潜む共感性、台本の持つ独自性を感じるものの
起承転結のハッキリした物語の中へと入り込める強いメッセージ性や展開力に欠けていて、75分の芝居にも関わらず少々間延びしたイメージを持ちました。
配役のイメージは違和感なく、奇妙で変人感を満載にした芝居は面白かったです。
ただ、作品全体を考えると少々物足りない点はあったように感じました。
あなたはわたしに死を与えたートリカブト殺人事件ー

あなたはわたしに死を与えたートリカブト殺人事件ー

ISAWO BOOKSTORE

小劇場B1(東京都)

2023/11/08 (水) ~ 2023/11/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/11/09 (木) 19:00

価格5,000円

今年は小劇場B1にご縁があります笑
「トリカブト」という植物の根から抽出される毒と「クサフグ」から抽出される毒を利用して、保険金をかけ殺害するという…実話を元にしたトリカブト殺人事件。
昭和の事件で私も記憶がなかったのですが、サスペンスものとして上手に舞台化されている印象。

今回の舞台。
総じて場転を細かく使って空間や時系列、人の立ち位置などをコントロールしているなと感じました。この照明さんの細やかさ…絶対大変だろうなと思って観ていましたが、正直やりすぎ?とも感じました。やや世話しない印象を持ったからです。
また、会話劇がメインのせいか、集中力が切れてしまうと役者自身も簡単な台詞回しで言いまつ違えが生まれたり、大切なシーンで言葉が転んでしまうと何だか観客側の集中力も冷めてしまいます。分かりやすく、テンポ感もあるだけに少し残念でした。

内容としては、加害者と被害者の心理言動以外にも、それを取り巻く色んな登場人物の背景を知れて良かったと思います。昭和感のある服装や髪形も合っていて、ちょっとした配役にも方言が混ざっていたりと繊細を感じました。他の事件版も観てみたいですね♪

ネタバレBOX

トリカブトの花言葉。「あなたはわたしに死を与えた」
なるほど!だから作品名にしたんだと劇中に知りました笑
この舞台を観てから、改めてネットでトリカブト保険金殺人事件について調べました。
殆どが実話通りに出来ていますが、大野助教授(当時)の出身校である東北大学と加害者の神谷の父が東北大学で教授をしているという接点に、これも何かの縁かと感じました。
他人が見ている自分というのは一面に過ぎない。罪を犯している自分も本当の自分であるし、周りから良い印象を持たれている自分もまた、本当の自分である。
今回の作品を通じて、人の感情について。それを作ってきた環境について。色々考えさせられました。
ロリコンとうさん

ロリコンとうさん

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/09/02 (土) 19:00

価格3,900円

小児性愛=ロリコンをひた隠しするも、世間の認識や偏見てこういうもの。
世の中のロリコンはロリコン当人にしか分からないもの。
そんな僕らが、この社会でどう他人を愛して行けば良いのか。
少数派のセクシュアルな意見を、明るくポジティブに捉えて観客に訴えかける。
ポップなネーミングだけではない奥深さに、思わず良い意味で期待を裏切られる…そんな名作の誕生です。

ネタバレBOX

作品名から、実は全く期待していなかった私ですw
会話のテンポ。特にキャストが本当にロリコンなんじゃないかという生々しさに驚き。
主役・脇役関わらず平等で強い個性。
何故、小学生役がおじさんの配役をしているかという終盤での伏線の拾い方。
実際のロリコンの方に会って取材したという情報の強みも相まって、単なるロリコン好き作品ではない
一本筋の通ったイトウシンタロウ氏の劇作品です。想像より斜め45度を行ったかな。
所々のキャッチ―な台詞・不意に来る笑いのエッセンスも、作り手の性格がよく出ているように思う。
キャスティングも粒ぞろいで楽しく観劇させて頂きました。ブラボー♪
新・ワーグナー家の女

新・ワーグナー家の女

Brave Step 

アトリエ第Q藝術(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/08/31 (木) 14:00

価格5,000円

ジークフリート・ワーグナーの妻であるヴィ二フレッド・ワーグナー。
彼女の証言を聞くため、バイロイトで開かれた委員会。
そこには証言台に立つ娘のマウジ(フリーデリント・ワーグナー)と再会し、
当時ヒトラーのナチス政権、ユダヤ人迫害などの真実を独自の視点で物語る。
ピアノの生演奏とR.ワーグナーの楽曲が散りばめられた、クラシックファンにも嬉しい世界観が広がります。上演時間は休憩なしの2時間ちょい…少し長かったかな。

ネタバレBOX

今作品は自身もクラシック音楽をしている影響からか、
主演女優2人(ワーグナー家)の長ゼリフも心地良く感じました。
独白に関しては台詞の古典的な言いまわし。この台本が好きですね。
滑舌の良さもさることながら、テンポ感が良い。
観世さんの品のある低声域と新澤さんの少し鋭った強めの発語が舞台全体を引き締めます。

特に良かったのは、小劇場の狭さを感じさせない照明の使い方。
ピアノの音響効果とリンクして、非常に繊細な光の魅せ方なんです。
場転から最後のシーンまで、効果的にキャストの配置や当てるポイントを工夫されています。
細部にこだわった視点から、例えばトスカニーニとフルトヴェングラーの序盤の登場ですが、
照明時に指揮を振りながら登場するのであれば、ピアニストと呼吸を合わせて
アイコンタクトやテンポ感をもっと同調させるように演じるともっと良かったかな。
のちにフルトヴェングラーの指揮も相まって、
ライバル達の指揮とピアノから、周りのキャスト陣のパフォーマンスを更に広げて…と言うのも、
舞台に拡がりが出来てくるように思う。

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