jokermanの観てきた!クチコミ一覧

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しあわせな日々

しあわせな日々

双身機関

こまばアゴラ劇場(東京都)

2016/02/05 (金) ~ 2016/02/07 (日)公演終了

満足度★★★

丁寧な上演
ベケットの不条理劇を丁寧に上演したという感じ。老夫婦ウィニーとウィリーの物語なのだが、事実上は妻ウィニーの一人芝居で、夫ウィリーは時折後ろ姿で搭乗したり、見えないところからセリフを発したりするのみ。1幕70分は天井から吊るされたいくつかの小道具を使いながら、ある種平凡な日常を淡々とウィニーが語る。2幕20分では、吊るされているのは拳銃だけとなり、日常を語るというより、それに対する「思い」の語りに変化する。不条理ではあるが、そこに残る感触は悪くない。松本演劇祭でも見た同劇団だが、不条理の扱いに慣れているようには思った。

元禄港歌-千年の恋の森-

元禄港歌-千年の恋の森-

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2016/01/07 (木) ~ 2016/01/31 (日)公演終了

満足度★★★

優れた商業演劇
秋元松代が蜷川幸雄のため80年に書き下ろした作品の上演。物語は一定程度壮大ながら、極めて分かり易く、ある意味でそれほど感動的ということではないのだが、これだけの達者な役者陣を集めて演じると、芝居として非常に完成度の高いものになる。商業演劇というのはこうあるべき、と思えるような作品であるとは言える。

罠

ジェットラグ

紀伊國屋ホール(東京都)

2016/01/08 (金) ~ 2016/01/11 (月)公演終了

満足度★★★

巧妙……なのはいいんだけど…
入籍を明日に控えたカップルが同棲する部屋へ、カレシの留守中にその友人と称する女が4人やってくる。結婚式でのカレシへのサプライズということで、カノジョにいろいろ話を聞きつつ皆で飲み始めるのだが、そのカノジョが苦しみ出して…、というところから始まり、次々と様々などんでん返しが続く、実に巧妙に作られた作品。元宝塚の緒月遠麻に、宝塚退団後初舞台の華耀きらり、舞台での活躍が続く井端珠里などを加えて、役者陣もしっかりしている。ただし、さまざまな場面で唐突に奇妙な言葉遊びが繰り出されているのは、やややり過ぎているように思える。物語だけでしっかり見せられる作品なのだから、そこを信頼しておけば良いのに、とも思う。とは言え、エンターテインメントとしては非常に良くできていると思う。

深沢ハイツ302~もう一つのニュートンの林檎~【ご来場有難うございました!】

深沢ハイツ302~もう一つのニュートンの林檎~【ご来場有難うございました!】

Sun-mallstudio produce

サンモールスタジオ(東京都)

2016/01/07 (木) ~ 2016/01/11 (月)公演終了

満足度★★★★

よく考えられている
2009年に上演された作品の再演。タイムスリップとパラレルワールドを扱ったSFサスペンス的な作りだが、笑いあり、緊迫感ありで、非常によく考えられている。役者陣も皆しっかりしており、特にメインの今村美乃と、対する川添美和という、私好みの女優が大活躍しているのが嬉しい。部分的に無理に辻褄を合わせた感じもあるけれど、エンターテインメントとして優れた舞台になっている。

「遠い町 知らない町 でも、誰かの故郷」~浪江町と南相馬市、避難地域の今~朗読公演

「遠い町 知らない町 でも、誰かの故郷」~浪江町と南相馬市、避難地域の今~朗読公演

tea for two

キッド・アイラック・アート・ホール 3Fギャラリー(東京都)

2016/01/09 (土) ~ 2016/01/12 (火)公演終了

満足度★★★★

写真の重みを演奏と朗読で
昨年の7月に、同劇団主宰の大根とカメラマン片倉が取材した浪江町・南相馬市の「情景」を、荒野愛子のピアノ演奏をバックに西尾早智子が朗読で浮かび上がらせる。演劇ではないが、見つめるべき状況の「生」を感じることができる。同種の企画は決して少なくはなく、それらはそれぞれに価値を持つのだろうと思うが、本作もそのようなものの一つの切り口として意味がある。今回の会場と写真と演奏と言葉と声のマッチングはステキだ。写真を確実に見せたい故に参加者をしぼった意図も評価できる。

背信 | ブルールーム

背信 | ブルールーム

PLAY/GROUND Creation

シアター風姿花伝(東京都)

2016/01/07 (木) ~ 2016/01/10 (日)公演終了

満足度★★★

可愛らしい…すぎる
『背信』/昨年、葛河思潮社での同作品の上演を観たが、それにくらべれば、シンプルでストレートな演出は分かりやすい。時間軸が逆上る作品なのだけれど、そういった難しさも乗り越えているとは思う。ただ、如何せん役者陣(の見掛け)が若い。演技が下手とか、そういうことではなくて、芝居の設定に見合った視覚的印象がちょっと、と思ってしまった。オープニングは40がらみの男女の会話で始まるのだが、特にエマ役の松本みゆきがあまりにも「可愛らしい」のでそうは見えず、男女の奥深い関わりだとか紆余曲折とかの表現が難しかったと思う。時間軸が逆上った最終場での美しさ(いや、もう本当に美しいのだよ)は見事なのだけれど。

背信 | ブルールーム

背信 | ブルールーム

PLAY/GROUND Creation

シアター風姿花伝(東京都)

2016/01/07 (木) ~ 2016/01/10 (日)公演終了

満足度★★★★

ワークショップから、らしい仕上がり
『ブルールーム』/何回かワークショップを繰り返した中での上演ということだそうだが、それらしい仕上がりになっていると思った。輪環的に男女の2人芝居が10場続く戯曲だが、男女各5人計10人の登場人物を男優と女優が1人ずつ演じ分けるという形が通常なのを、戯曲に指定がないということで、10役を男優5人女優5人に振り分け、ワークショップから積み上げた3チームで上演する。私が観たのはBチーム。通常の上演形だと男女は同じ役者が演じているのだが、それと同様の効果を10人の役者陣が見せられるだけ、それぞれがフラットに力を発揮していたと思う。これは『ブルールーム』か、という声が終演後の会場から聞こえたが、そういうことに拘らなければ、非常に面白く観せてもらった2時間5分だった。

idiot

idiot

青年団若手自主企画 vol.64 山内企画

アトリエ春風舎(東京都)

2016/01/05 (火) ~ 2016/01/10 (日)公演終了

満足度★★★★

不条理劇入門?
当日パンフにあるように、ゴドー的不条理劇をイマドキの女の子でやってみるという試みは興味深いし、一応は成功していると思える。2人の女の子がパーティに呼ばれるのを待っている、という状況の中で語られる会話は確かに今の女の子らしいものだし、電話という存在が待っていることの象徴としてしっかりと意味を持っている。ただ、終わり方はこれでよいのか、という気がしないでもない。ある感触を作りたくてやっているとは思えるけれど、もっとバッサリ終わってしまってよいような気もする。
藤松さんの身体性はなかなかの見応え。照明と音響(音楽)の使い方は見事だと思った。

新年工場見学会2016

新年工場見学会2016

五反田団

アトリエヘリコプター(東京都)

2016/01/02 (土) ~ 2016/01/05 (火)公演終了

満足度★★★

長過ぎる
5グループ、毎年のことながら、新年らしくユルーく面白いものをやってはいるのだが、いかんせん長過ぎる。休憩15分こみの、予定が3時間30分で実際は3時間45分は厳しい(^_^;)。昼の回にしてよかった。面白いんだけどね。

ネタバレBOX

獅子舞で見せた兵藤久美の人形振りは実に見事で、相当な見物だった。ポリスキルも毎年やっているけど、ポリスキル・ガールズがほぼみんな30代っていうのは驚いた。
ブスサーカス

ブスサーカス

タカハ劇団

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/06/26 (水) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

再演でも見事
初演も観たが、再演でも初演の勢いはなくなっていなかった。5人の「ブス」が置かれた状況が、緻密に計算されたセリフの積み上げの中から浮かび上がってくる前半。そして、+1の女であるノリカに起こる事件をきっかけとして、それぞれの個性に応じた行動から、謎解きのようにして様々な真相が浮かび上がってくる後半。そもそもの脚本がよくできているのだが、女優陣が自分の役割を確実に担っていて、おそらく余人を以て変え難い配役だと思う。満足。

断色~danjiki~

断色~danjiki~

ヴィレッヂ

青山円形劇場(東京都)

2013/06/14 (金) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★

予想外の感触の作品
青木豪の脚本をいのうえひでのりが演出する3人芝居。元々はユニット「おにぎり」に書き下ろしたものを改訂したのだそうだが、役者の雰囲気が全く違っているので、オリジナルが想像できない。死んだ母が残したクローンと住むことになった男を堤真一、母の若い頃にそっくりのクローンを麻生久美子、クローンを造り管理する会社の田中哲司という配役が絶妙である。ちょっとダメな感じの堤と、感情があるんだかないんだかの麻生、仕事熱心なようでいて裏に何かありそうな田中が作り上げる物語は、近未来の日本の有り様を提示しているようにも見えて、円形の独特の舞台感とも合わせて、不思議な感触の作品になっていた。舞台経験が少ないはずの麻生は、初舞台でもそうだったが、そうとは思わせない実に見事な存在感である。

Shut up, Play!!~喋るな、遊べ!!~2013ver.

Shut up, Play!!~喋るな、遊べ!!~2013ver.

オリジナルテンポ

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2013/06/21 (金) ~ 2013/06/22 (土)公演終了

満足度★★★

初めて観たけど…
大阪を本拠とする、ノンヴァーバル・パフォーマンスが東京に進出、ということで観に行った。映像と身体的表現を組み合わせ、音楽的な処理で全体を繋げ、観客を巻き込んでの舞台は今まで観たものとは少し違っていると思った。ただし、全体を繋ぐコンセプトみたいなものが感じられなくて、いくつかのシーンがややブツ切りになっている印象は否めない。セリフがないので、海外で評価されるというのは分からなくないが、少し分かり易くしすぎたのではないか、という印象が拭えない。

きれいなお空を眺めていたのに

きれいなお空を眺めていたのに

こゆび侍

王子小劇場(東京都)

2013/06/19 (水) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

こゆびには珍しい感触の群像劇
教師の父、美容師の母、引きこもりの兄、女子高生の妹、という4人家族のさまざまを描く群像劇。家族のそれぞれが抱える問題や事情や感触は巧みに絡み合い、独特の世界観を描く。こういった群像劇は、こゆび侍には珍しいのではないか。しかし、エンディングに見せる「美しさ」は彼ららしいものをしっかりと残す。
娘役の小野寺ずるが特に印象的。

バイト

バイト

カスガイ

テアトルBONBON(東京都)

2013/06/12 (水) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★

勿体ない
前科者ばかりが「バイト」で働く製紙工場。職員寮で、ワンマン社長の愛人だった女が死体で発見され、10人の「バイト」の中から犯人を決めろという命令を受けての会議で、慌てたり憤慨したり当惑したりするバイト達のさまざまなやり取り。登場人物のキャラクターは描き分けられているし、会議の中での緊張感ある演技にも見応えはあるのだけれど、そもそもの設定に相当な無理があるように思う。小劇場系では有名なシッカリした役者陣をこれだけ集めて、このストーリーは勿体ない。緊張感がなければ、もう少し評価は下がるかもしれない。

マリオン

マリオン

青☆組

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/06/15 (土) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★

いつもと少し違うけど、やっぱり青☆組
セーシェルゾウガメの物語を演じる旅役者の一座、を思い出している、その中の一人の女と、その女と一夜を共にした男が、翌朝語る会話、というスタイルで、三重構造で物語は展開される。ゾウガメの話は現代(より少し前?)だが、他の2つは、世界が果ててしまった「いつか」の未来、ということで、やや幻想系の感触もある。三重構造や物語の題材など、いつもの青☆組とは少し違ったテイストで芝居は展開されるけれど、ベースにある人間への信頼と失われていくものへの哀しさは吉田小夏らしい感触をしっかり残している。
軸になる大西玲子の成長が著しい。

不道徳教室

不道徳教室

森崎事務所M&Oplays

シアタートラム(東京都)

2013/06/08 (土) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★

岩松流「不道徳」
川端康成の「みずうみ」をベースにしたそうで、高3女子と恋愛に落ちる「不道徳」教師が、道で擦れ違った風俗嬢(?)と語るシーンから始まって、高3女子にありそうな展開を含めつつ、岩松了の世界が展開される。ストーリーはそれなりに分かりやすいものの、言葉の選択が岩松ならではの味を持ち、独特の雰囲気を醸し出している。強烈に面白い、とかではないが、何だか不思議な2時間弱。
女子高生役の女優陣はなかなかいい。

劇作家女子会!

劇作家女子会!

劇作家女子会×時間堂presents

王子小劇場(東京都)

2013/06/13 (木) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★

面白い企画ではある
4人の女子劇作家が短編を書き、時間堂が黒澤世莉の演出で上演する企画。 黒川陽子の「彼女たち」はオープニングで第1部、エンディングで第2部と分かれるが、ありそうでなさそうであるかもしれない女2人の展開を面白く描く。第1部が笑い中心で、第2部は少し切ない感を出しているのが面白い。キャラの全く違う女優2人も好選択。 オノマリコ「Compassion」 とモスクワカヌ「バースデイ」は、どちらもそもそもが不条理系の作品を書く作家で、訳が分からないところはあるけど、それぞれある感触を残す。 坂本鈴「親指姫」 は、小学校3年生という予想外のベースに、メール・ラブレターを代筆する親指姫と仇名される女子と、一旦繋がった男女の縁を切らせて新しい付き合いを作り出す代筆男子(名前が秀逸)、という設定が実に巧み。存分に笑わせてもらった。
感触の異なる作家を集めた企画は面白く、時間堂の役者陣も成長を見せて、楽しい舞台だった。

帝国の建設者

帝国の建設者

アンサンブル室町

北沢タウンホール(北沢区民会館)(東京都)

2013/06/12 (水) ~ 2013/06/12 (水)公演終了

満足度★★★

とにかく不条理
ボリス・ヴィアンの遺作である戯曲を、音楽ユニットであるアンサンブル室町が、石丸みち子を演出に迎えて、演劇的に上演する。ヴィアンだから、そもそもが不条理な物語で訳が分からないのだけれども、追い詰められていく家族の漠然とした不安/恐怖は巧く提示されていて、音楽がそれを効果的にフォローしていると言うことはできる。特に、エンディングの曲は、ひたすら上昇する家族の状況を音楽的に表現していたと思う。だが、演劇的に見て音楽が必須か、と言うと、そこには疑問がないとは言えないし、そもそもが音楽の側からの企画なのだから必須なのだけれど、不条理なだけに冗長感を感じる面もあったことは確か。舞台美術等、見るべきところはいっぱいある。
遅れて来た観客を、上演中の舞台を遮る形で案内するのはいかがなものか。

ヒットパレードvol.10

ヒットパレードvol.10

tea for two

キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)

2013/06/10 (月) ~ 2013/06/11 (火)公演終了

満足度★★★★

手慣れた造り
この劇団の連続レパートリーであるシリーズだが、久々の上演だった。『まちぶせ』は妄想癖のOLが「まちぶせ」する物語を西尾早智子が巧みに演じる。『守ってあげたい』は再演で、男女の2人芝居だが、ダメ男を演じさせたら小森は巧く、今回の相手の天野が良い存在感を見せてる。『家族になろうよ』は、少しダメなサラリーマンを大岡が演じるが、これも巧い。
曲が変わることで、作り方は変化するのだろうけれど、いつも一定レベルをしっかり保つ、手慣れた作品群だと言える。

つく、きえる

つく、きえる

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2013/06/04 (火) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★

何だか難しい
いわき(と後で分かる)海沿いのホテルで、不倫し合う3組の夫婦と、ホテルをやっている青年、その青年とメールで繋がっている彼女、ら、が、それぞれの状況や感情を主としてモノローグで綴る物語。ドイツ人作家から見た3.11の断片という作品なのだけれど、不条理な感触も多く、分かりやすいとは言えない。シンプルな舞台美術に映像を重ねたヴィジュアルは見事だし、役者陣が役割をしっかりと演じていたことは確かだが、単純に面白い、とか、良かった、とかは言い難い作品だった。

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