満足度★★★
とにかく不条理
ボリス・ヴィアンの遺作である戯曲を、音楽ユニットであるアンサンブル室町が、石丸みち子を演出に迎えて、演劇的に上演する。ヴィアンだから、そもそもが不条理な物語で訳が分からないのだけれども、追い詰められていく家族の漠然とした不安/恐怖は巧く提示されていて、音楽がそれを効果的にフォローしていると言うことはできる。特に、エンディングの曲は、ひたすら上昇する家族の状況を音楽的に表現していたと思う。だが、演劇的に見て音楽が必須か、と言うと、そこには疑問がないとは言えないし、そもそもが音楽の側からの企画なのだから必須なのだけれど、不条理なだけに冗長感を感じる面もあったことは確か。舞台美術等、見るべきところはいっぱいある。
遅れて来た観客を、上演中の舞台を遮る形で案内するのはいかがなものか。