jokermanの観てきた!クチコミ一覧

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グレーのこと

グレーのこと

ONEOR8

浅草九劇(東京都)

2017/11/29 (水) ~ 2017/12/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/30 (木) 19:30

今回はファンタジーを書いてみたと、作者の田村が当パンに書いてて、実際、死者の生まれ変わり先を決める会議という「グレーゾーン」での会話と回想を扱った作品だが、それでもしっかりONEOR8の作品になっていた。会議のシーンと回想シーンが交互に出てくる作りも巧いし、ちょっと変わったキャラを演じる伊藤が回想シーンにより納得できるなど、田村らしい巧妙さが際立つ。だが、何と言ってもエンディング前のシーンのインパクトが強烈だ。12年ぶりの舞台という羽田美智子だが、そうとは思えぬ存在感は見事だ。

一枚のチケット~ビートルズがやってくる!~

一枚のチケット~ビートルズがやってくる!~

演劇女子部

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2017/11/27 (月) ~ 2017/12/03 (日)公演終了

満足度★★

鑑賞日2017/11/29 (水) 19:00

 ハロー・プロジェクトの演劇セクション的なポジションで、C-ute 解散後に矢島舞美が初めて舞台をやるということだが、個人的には福永マリカ・上野なつひ、あたりの存在感を楽しみに出かけた。ビートルズ招聘に成功し、また、武道の聖地とされていた武道館でのコンサートを行なった、永島達司という実在の人物の物語と、当時の雰囲気や、ファン(の代表としての女子高生)の熱狂などを、歌とダンスを交えて舞台化した。女子部、というだけあって、女性出演者が多く、男役も男装しての演技には少し違和感を感じるし、物語の起伏も予定調和的に完結してしまうあたりは不満がなくもないが、エンターテインメント作品としてギリギリかなぁと思う。

管理人

管理人

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2017/11/26 (日) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/27 (月) 19:00

 ハロルド・ピンターの出世作となった不条理劇を日本で初演だとか。不条理と言っても、ピンターのは、ベケットとは違って、日常の会話としてありうるものなのに不条理という奇妙な舞台だった。ピンター作品は『ダム・ウェイター』『背信』くらいしか観ていないが、かなり多いセリフが実は何の意味も持っていないという不条理も感じる。温水洋一が、ホームレス寸前から兄弟の部屋に住まわさせてもらっている立場から、段々と偉そうに語っていくというポジションの変化を巧みに演じていたが、若い2人も独特の雰囲気を醸し出して名演と言える。

ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2017/10/30 (月) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/11/26 (日) 14:00

 3度目のロズギルは千秋楽。菅田の、とてもゆっくりとしたセリフ回しから入り、段々とテンポを上げていくという、メリハリの効いた演出がやや目立った。今回も生田のボケ的ポジションが活きているなぁ、と思え、また、半海の「道化」的な演技が冴えていて、3幕に短く区切ってあるせいもあるが、全く飽きない2時間半だった。しかし今回も、本来の『ハムレット』を(とくにエンディングを)知らない観客はどう思うのが、気になる舞台だった。

グランパと赤い塔

グランパと赤い塔

青☆組

吉祥寺シアター(東京都)

2017/11/18 (土) ~ 2017/11/27 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/11/18 (土) 19:30

 懐かしい芝居だった。昭和44年、祖父母の家が取り壊されるということで久々に訪ねた母娘達が、一緒に暮らしていた昭和33年を回想する。ボイラー会社を経営する三世代の家族と、従業員やら居候やら女中やらの群像劇だが、当時7歳だった長女(今泉舞)をヒロインのように描くのは、青☆組では珍しい。東京タワーが建っていくのに連れて、物語は進み、余韻を残して昭和44年に戻って終わる。135分という上演時間も本劇団にしては長いが、それが意味を持つ長さになっている。私自身が、同じような三世代が同居した家に育ち、東京タワーの完成を見ているので、何だか懐かしい感触にとらわれた。しかし、そうでない世代が見ても、人間を暖かい視線で見る同劇団の本作品は、暖かい気持ちになれるだろう。

三人義理姉妹

三人義理姉妹

年年有魚

駅前劇場(東京都)

2017/11/15 (水) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/11/17 (金) 20:00

 政治家の家に住む、長女、長男、次男。父が死んで、一周忌の日に末弟の次男が後を継ぐ宣言をしようとするシーンから始まり、政治家の家の特殊性やら、それでも人間は同じだ、というメッセージやら、様々なものが入れ込まれた物語。タイトルは、長女、長男の妻、次男の妻の、3人の義理の姉妹の物語という意味だと思うが、それは物語の軸にはなっていない印象がある。辻川は、人間ならぬものであるのは途中で分かるのだが、それを明らかにして終わるエンディングがいい。
 本劇団は、本作で活動を休止するというが、人間を信じる作風の劇団がなくなるというのは何とも寂しい。

ファンタジアック

ファンタジアック

フロアトポロジー

ギャラリーLE DECO(東京都)

2017/11/15 (水) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/11/16 (木) 19:30

 記憶を抽出して他人の脳に埋め込む手法を発見した天才女子科学者が、自分の娘と姉を「生かし続ける」という物語。それが可能か、とか、埋め込まれた人は本当にその人になるのか、という問題は置くとしても、記憶が人格の全てを決めるわけではないという芝居(『プライムたちの夜』)を一昨日観たばかりなので、奇妙な一致感から不思議な感触に囚われた。姉との関係には秘密があるようで、それが明確にならない辺りにはやや不満がないでもない。もう少し分かり易いとよいのだが...。女優が多い芝居で、眼福ではあるし、役者陣もしっかりと役割を演じているのはよいが、若い劇団なので、小崎ととみやまが母と娘の関係に見えない(見えにくい)という問題はあるように思う。

骨と肉

骨と肉

JACROW

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/11/15 (水) ~ 2017/11/20 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/15 (水) 20:00

 大塚家具の父娘対決を題材にした緊張感ある会話劇。ここ数作で実話ベースの作品にシフトしたJACROWらしい作品と言え、実際にこういうことがあったのかな、と思わせてしまう物語の巧さは流石である。父を演じる谷仲恵輔と娘を演じる川田希の対決シーンは、ちょっとやり過ぎではないかと思うほどだが、だからこそタイトル通りの骨肉の争いが際立つ。エンディングもなかなかに秀逸である。役者陣も過不足なく存在感を示し熱演だが、宍戸香那恵の使い方はやや勿体ない印象である。

散歩する侵略者

散歩する侵略者

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2017/10/27 (金) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/14 (火) 19:00

 イキウメの代表作の一つだが、以前にも観て、前川作品でも最も救いのない作品に思えていた。今回観て、そうでもなかったのは何か変わったのだろうか。ただし、大窪の気持ち悪さは、前回と全く同じ印象で、この辺は彼の力量の為せる技と言えよう。内田慈が演じる妻が切ない。

プライムたちの夜

プライムたちの夜

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2017/11/07 (火) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/14 (火) 14:00

 人間そっくりの会話もできるアンドロイドが発明された2062年という近未来を舞台に、人間であることの意味や、AIとの接し方、さらに存在意義を問う日本初演作。夫を母を妻を失った人々を救うためのアンドロイドが、かえって違和感をもたらしてしまうというのは起こりそうな話だが、それらの数々を経てのエンディングは秀逸。人間とアンドロイドを描き分ける役者に2人いるが、演出の力もあるのだろうけれど、見事だった。浅丘ルリ子恐るべし。

風紋 ~青のはて2017~

風紋 ~青のはて2017~

てがみ座

赤坂RED/THEATER(東京都)

2017/11/09 (木) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/13 (月) 19:00

 1933年、花巻と釜石を結ぶ交通の難所、仙人峠にある花巻軽便鉄道の駅舎兼旅籠を舞台に、宮沢賢治の晩年の3日を描く。と言っても、雷雨で峠の山道が塞がれ閉じ込められた形の、「居場所」のない人々を描いた群像劇として、優れた舞台だった。人物それぞれの「漂い」感が切なく、それらの中での賢治のポジションが絶妙な印象だが、やはり旅籠の女将役の石村みかの存在感が軸になっている。ただし、テンポにメリハリがなく重く長い印象になるのは惜しい。これは、てがみ座の公演でしばしば思うので、演出の問題というより、脚本の問題なのかとも思う。
 なおアフタートークで長田は「賢治は〇〇だと思われているが、実は××だったという視点で描きたかった」という言い方を何回かしているが、〇〇だと思っていない人にとっては、どうなのだろうという疑問が湧いた。

ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2017/10/30 (月) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/11/11 (土) 19:00

 2度目の『ロズギル』。改めて、小川の演出の見事さを実感した。生田・菅田両名に力量があるのは確かだが、『ハムレット』を知らない人でも、翻弄される2人に焦点を当てた作りが巧い。また、改めて「座長」役の半海一晃の存在感を感じた。

HOTSKY『ときのものさしー帰郷ー』

HOTSKY『ときのものさしー帰郷ー』

HOTSKY

シアターシャイン(東京都)

2017/11/09 (木) ~ 2017/11/12 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/10 (金) 19:30

 「老い」というテーマを真っ向から扱って、重くならないのは巧い。認知症の問題とか、いかにもな「あるある」エピソードを軸にしながら、軽やかに扱うという難しさにチャレンジしているが、それは一定程度成功していると思う。主演の伊藤ゆきえもそうだが、高3だという若い三谷あかねも含めて、役者陣の力量はしっかりしている。『ときのものさし』というタイトルは意味深だが、介護職員に語らせるというのは、ちょっと私のテイストではない。この辺は演出の好みがでるところだろう。

墓掘り人と無駄骨

墓掘り人と無駄骨

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2017/11/08 (水) ~ 2017/11/13 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/08 (水) 19:30

 MCRの作品には、少し壊れた人と真当な人が混在していて、それが醸し出す不思議な感触が魅力である。本作も、そういった男女の出会いと、一方で、全く違った展開の話が交互に流れ、途中で繋がりは何となく分かるのだけれど、どう収束させるのか、興味深く観た。珍しく(と言ったら、櫻井は怒るだろうか?)ハッピーエンドと言ってもよさそうな終わり方になっていたのは、やや意外だった。ただし、セリフのキレは相変わらずだし、伊達香苗の暴力的な肉体の見せ方とか、楽しめる100分だった。

『50ans,j’yvais!(サンコントン ジヴェ!)50歳の私が20代の彼と結婚する方法』

『50ans,j’yvais!(サンコントン ジヴェ!)50歳の私が20代の彼と結婚する方法』

Sky Theater PROJECT

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2017/11/07 (火) ~ 2017/11/12 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/11/07 (火) 19:30

 50歳になる女子大の女子寮の管理人が、28歳のイタリアン・レストランのオーナーシェフにプロポーズされるが、実は37歳と偽っていたので…、というシチュエーションコメディ。嘘を嘘で塗り隠そうとする上に、言葉の取り違いからくる勘違いも重なって、物語は思わぬ方向に向かっていく、という、プロット的にはよくできた舞台だった。ただ、登場人物が多すぎて、余計な(というか無理矢理な印象の)エピソードがあるように思うのが残念。

この熱き私の激情

この熱き私の激情

パルコ・プロデュース

天王洲 銀河劇場(東京都)

2017/11/04 (土) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/11/06 (月) 19:00

 ネリー・アルカンという名前は知らなかったが、高級娼婦が自分の実話とも取れる小説を発表してベストセラーになったという話は聞いたことがあった。その壮絶とも言える人生を、彼女の書いた小説をつないだテキストを用いて、6人の女優と1人のダンサーで上演する。2段×5つの10ブロックに分かれた舞台美術が目を引くが、それぞれの部屋が彼女のさまざまな側面を表わしているようで、1部屋に1人の女優がいて、若干シンクロする場面はあるものの、基本的にはモノローグで構成される。かなり抽象性が高いセリフと、ダンス的なムーブメントでの舞台は、理解するというより、感じることを要請しているように思える。

「表に出ろいっ!」English version”One Green Bottle”

「表に出ろいっ!」English version”One Green Bottle”

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2017/10/29 (日) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★★

野田秀樹と故・中村勘三郎の唯一の共演作で、黒木華の出世作となった作品を英語版で上演する。役者は、NODA・MAPでお馴染みのキャサリン・ハンターとグリン・プリチャードの2人を使って、大竹しのぶ・阿部サダヲによるイヤホンガイドも付く。英語版になってみると、全く違った作品になる、っていうのは、ある意味当たり前だが、今回サブタイトルに付いた "One Green Bottle" (イギリスのわらべ唄 "Ten Green Bottle" から取ったもの)の持つ重みが強い。面白いけれども、やはり英語のフィルターを通すと、笑えるまでの距離は少し遠くなるが、それでも哲学的な意味も含めて「信じる」ことというテーマは活きているなぁ、と思う。

間の女

間の女

めがね堂

RAFT(東京都)

2017/10/31 (火) ~ 2017/11/01 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/10/31 (火) 19:30

 永井久喜のランジェリー姿というサービスショットで始まり、一人の男と関わる2人の女を永井が演じ分ける55分。江戸川乱歩の「お勢登場」をテキストに混ぜ込み、悪女は誰か、を探らせるような作りも巧い。だが、何と言っても永井の力量が強烈。ハッキリと結論づけないエンディングも面白く、2ステージしかやらないというのは何とももったいない。

ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2017/10/30 (月) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/10/30 (月) 19:00

 『ハムレット』に登場する端役2人の立場から『ハムレット』を見直す、的な感触のの不条理劇だが、人気俳優2名の競演で、ちょっと不思議な雰囲気の中での舞台だった。実は初めて観る戯曲だが、少し面白いオープニングで始まり、、38分(10分)50分(10分)42分という3幕に区切られたことで、緊張感を持って観ることができる2時間半だった。笑わせる場面も多く、何だか分からない内に死んだことにされてしまう2人の不条理は興味深い。半海一晃演じる「座長」が、ストーリーテラー的な役割をしているのだが、実に巧い。人気があるだけでなく、生田・菅田ともに、それなりの実力はある役者だと思った。

富嶽百景/きりぎりす

富嶽百景/きりぎりす

monophonic orchestra

live space anima【2020年4月をもって閉店】(東京都)

2017/10/24 (火) ~ 2017/10/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/10/27 (金) 19:00

須貝英と岡田あがさによるユニットの久々の第2回公演。太宰治を題材に取り、岡田が「きりぎりす」を、須貝が「富嶽百景」を交互に読む形式のリーディング。そもそも力量のある2人が異なる作品を読み合わせたことで、ちょっと独特の感触を醸し出していたのが興味深い。2人とも声がよいことを改めて認識。おまけリーディングとして、須貝作の「その夜」を2人で読んだが、これは須貝らしいトリッキーな感触の物語で、面白かった。

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