やっぱり!おれたちにあすはないっすネ
なかないで、毒きのこちゃん
ザ・スズナリ(東京都)
2018/10/01 (月) ~ 2018/10/02 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/10/01 (月) 18:00
再演だが初演は観てない。スズナリの受付の階段に並ぶと、階段の下で大声で話しているのが聞こえ、あ、芝居が始まったのか、と分かる。受け付けてロビーに入ると、そこでも芝居が始まっていて、スズナリ全体を使っての芝居が始まる。メタ演劇にこだわる、毒きのこちゃん、らしく、随所で役者が芝居をしていて、全部を観るのは無理だが、奈落に降りて芝居を観られたのは良かった。試みとしては興味深く、面白くもあるのだが、次から次へメタの手法を考えるのは、なかなか大変だと思う。
トップガールズ
道頓堀セレブ
コフレリオ 新宿シアター(東京都)
2018/09/28 (金) ~ 2018/09/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/09/28 (金) 19:00
フェミニズムの視点を持つ女流英作家キャリル・チャーチルの作品に、関西女優陣のユニットがチャレンジしたが、面白い舞台だった。2011年にシス・カンパニーが寺島しのぶ主演で公演した同戯曲を観たが、それとは全く違った舞台になっていた。2幕のやや長い作品なのだけれど、セリフを被せたり一部切ったりしつつ、関西弁に直して上演するなどの工夫で2時間におさめた。そして、シス・カンパニーの作品は最終場に向かって収束していくような演出だったのに対し、道頓堀セレブの本作は、最終場までネタが分からないという演出になっていて、こちらの方が秀逸だと思う。重い役を背負う山本香織・宮川サキの2人を中心に役者陣が見事だ。
2年前の『楽屋』フェスティバルに参加するために作ったユニットだそうだが、今後も活動を続けてほしい。
父が燃えない
箱庭円舞曲
浅草九劇(東京都)
2018/09/26 (水) ~ 2018/09/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/09/27 (木) 19:30
私の好きな箱庭だった(^_^)v。火葬場の待合室を舞台に、父が亡くなり、兄妹弟と兄嫁、叔父など親族が集まり、火葬が終わるまでの会話を丁寧に紡ぐ。父を巡る思い出やら、家族の有り様やらの会話だが、ありそうもない話題や設定でもありそうに思わせる所が古川らしいところで、その古川マジックが炸裂し、葬儀の話なのに笑いが起きる。役者陣も見事に古川ワールドを再現しているが、微妙なポジションの役所を演じる井上が面白い。エンディングは、私の箱庭史上、1・2を争う美しさで見事だった。
なお、亡くなった「父」の年齢が私に近く、若干身につまされるような感触も残った(^_^;)。
あじのりの神様
あひるなんちゃら
ザ・スズナリ(東京都)
2018/09/26 (水) ~ 2018/09/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/09/26 (水) 19:30
いつもながらの「駄弁芝居」だが、珍しく時間軸が前後する。現代のケンイチ(根津),ミツオ(小野)を軸にした場面と、彼らの子ども時代、つまり、その親の世代の場面が交互に登場する。微妙にズレてる人達のゆるい会話と、実際にはいないだろうな、と思えるような人達の言動が、いつも通り面白く、80分ノンビリと過ごした。ただ、以前は70分を目指していたように思うが、近年80分と伸びているのは、何か理由があるのだろうか。
ドキュメンタリー
劇団チョコレートケーキ
小劇場 楽園(東京都)
2018/09/26 (水) ~ 2018/09/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/09/26 (水) 17:00
フリージャーナリストが雑誌の依頼で、非加熱製剤に関する内部告発を緑十字(劇中では「グリーン製薬」)社員の話を聞く内、731部隊に関する話題を聞かされ、かつて731部隊にいた老医師の話を聞き、記事にしようとするが…、という物語。いかにも、の題材を、劇団員だけで緊張感ある85分にまとめてあるが、やや中途半端な印象は免れない。11月に上演するという『遺産』とのセットで評価されるべき作品だと思う。
出口なし
シス・カンパニー
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2018/08/25 (土) ~ 2018/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/09/24 (月) 14:00
東京千穐楽に3度目の観劇。テンポがどんどん良くなり、78分ほどになっていた。力量ある役者のやり取りを観るだけでも面白いのだが、メインで2人が会話しているときの3人目の表情が興味深い。そこまで計算されて演出されているのだろうと思うと、演出の小川の力量も見事だ。大竹・段田のべてらん勢に負けない多部の演技力にも驚かされてしまう。
上空に光る
やしゃご
アトリエ春風舎(東京都)
2018/09/13 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/09/21 (金) 19:30
秀逸な作品だった!青年団若手伊藤企画が、青年団リンク「やしゃご」となっての旗揚げ公演。津波被害に遭った大槌町の民宿を舞台に、死者と語り合う「風の電話」のエピソードも交えて、経営する姉弟妹、宿泊者、その他の周辺の人々の「今」を描く群像劇は、前半は、ドタバタも含めて、ある意味で淡々と進むが、半分進んだところで物語が急に動く。全体として、忘れてしまうこと、忘れてしまいたいこと、忘れられてしまったこと、そして、忘れてはいけないことなどを考えさせられる芝居になってる1時間50分だった。
役者はそれぞれ見事だが、軸となる坂倉奈津子がいい表情の演技を見せる。彼女の初舞台の初日を観たものとして感慨深い。
四天王~エレメンタルフィクサー~
X-QUEST
シアターサンモール(東京都)
2018/09/20 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/09/20 (木) 19:00
いつも通りのダンス&アクションなのだが、物語にも凝ってる気がした。孫悟空、アラジン、ピーター・パン、桃太郎という小説の登場人物のその後が語られるが、それは改竄されたものだった、というネット社会を巧く利用した展開は、4人(グループ)の特性を活かして、物語を動かす原動力になっている。ダンス&アクションのクオリティもいつも通り高く、楽しめる2時間だった。
出口なし
シス・カンパニー
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2018/08/25 (土) ~ 2018/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/09/18 (火) 19:00
2度目の観劇。初日よりスピード感が増して、セリフの応酬のテンポが速くなっている。その分、観客が笑えるシーンも増え、全体で80分。面白い芝居だが、割高感がやや勿体ない。
チキン南蛮の夜
くによし組
ギャラリーしあん(東京都)
2018/09/19 (水) ~ 2018/09/20 (木)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/09/19 (水) 19:00
くによしワールド炸裂の大傑作だった!可奈子,チキン南蛮の霊,インコのピースケ,二股男の佐山の4人(?)のキャラがしっかり立ってて、スピード感ある物語を展開される。チキン南蛮の霊がストーリーを語ったためか、展開がとにかく早いが違和感がなく、どんどん苦笑させられたり爆笑させられたりの1時間だった。エンディングも途中で振ったエピソードの回収になっているし、セリフも計算されている。特に、インコのピースケを演じた小林は登場した瞬間に、インコかな?、と思わせる風貌と演技力が見事だが、セリフのキレは、この人ならぬインコのが最高だと思う。
とにかく傑作だが、平日2日で夜の回が1回しかないというのは、何とも勿体ない。
the rat 13-11
キコ qui-co.
駅前劇場(東京都)
2018/09/13 (木) ~ 2018/09/17 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/09/17 (月) 17:00
「13」の続編で新作の「11」を観た。壮大な研究の跡地の周辺にどんどんアパートメントが建ち、「13」は大分前のこと、などと語られる未来の物語。AIやsingurarityなどが普通に語られる芝居は、「13」で感じた、そんなことができるのか、という疑問が一層大きくなるような内容で、やや不満を感じつつ観たが、エンディングは悪くない。小栗が本当にそう思っているのかが良く分からないのだが、人間を信じた終わり方は、そうあってほしい未来になっている。
Curtain Up!
Stargazy
Route Theater/ルートシアター(東京都)
2018/09/14 (金) ~ 2018/09/17 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/09/16 (日) 18:00
イギリスの翻訳コメディを女性5人でやるというので観に行った。不足感はあるものの、面白かった。荒廃した劇場を相続した男が亡くなり、その関係者の女性5人が相続して再建しようとする物語。娘が最も頑張るが、母と義母が対立するなど、さまざまな困難を乗り越えようとする辺りはイギリス・コメディらしいストーリーで、それ自体は面白い。残念ながら演出が一本調子で、大声を張り上げるシーンが多く、やや飽きる。男の母の老女が、再建する内に元気になっていくのは、実際にありそうで面白い。
全体に冗長感があるのは、元の戯曲に忠実なのだろうけれど、思い切って短くすることで、より緊張感がある舞台になったのではないか。
星の王子さま
Project Nyx
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2018/09/16 (日) ~ 2018/09/21 (金)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/09/16 (日) 14:00
本ユニットを初めて観たのが09年のザムザでの本作初演だった。その後、10年の吉祥寺での再演を経て、今回、再々演だが、徐々にグレードアップしていく印象である。寺山修司の作品をアレンジして、美女劇として上演するスタイルを固めた作品だが、会場が大きくなるのに合わせて、アングラテイストをも残しつつ、丁寧に計算された舞台作りになっている。楽しい135分だった。
the rat 13-11
キコ qui-co.
駅前劇場(東京都)
2018/09/13 (木) ~ 2018/09/17 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/09/15 (土) 19:30
再演の「13」を観た。死刑囚と人ならぬ物を使った、壮大な研究に関するSFストーリー。アパートメントの平凡そうな生活の場面から始まって、その研究の全貌が徐々に明らかになるストーリーは面白いが、分かりやすくはない。本当にそんなことができるのか、という疑問もあるけど、エンターテインメントとして許容できる範囲かと思う。
6つのchapterに分かれていて、それぞれに有名なSF作品をもじったタイトルが付いているが、1だけ"memories for Algernon"(本当は"flowers …")となっているのは、何か意味があるのだろうか。
ふくしゅうげき <東京>
ブルーエゴナク
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/09/13 (木) ~ 2018/09/17 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/09/13 (木) 19:30
北九州の劇団の代表作だそうだが、不思議な感触の芝居だった。長く続く中華料理店「半月」で働く人や客の群像劇。抽象舞台上で展開される物語は、それぞれが、それぞれに、こじれた思いを抱きつつ進むが、時間軸が前後したり、場所が特定できなかったりする。マイクを使って、各登場人物の独白を入れるなどして、それぞれの思いの絡み合いを展開するが、途中から始まる奇妙な動きとか、何が言いたいのか、とか、不思議な思いに捕われる90分だった。
死旗
鵺的(ぬえてき)
ザ・スズナリ(東京都)
2018/09/12 (水) ~ 2018/09/18 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/09/12 (水) 19:30
丁寧に作り込まれたB級ホラー演劇というような趣きの芝居だった。いつ、どことも分からん世界で、人とは思えぬ男たちと犯され翻弄される女たち、という基本形から、さまざまな男と女が現れ、新たな生命が誕生する…、という物語。いろいろなホラー系ストーリーが絡まって、奇妙な世界観が出現する。生々しいシーンが出てくるので、演出と役者への負担は大変だったろうな、とは後で思った。照明が秀逸である。一方で、笑いも取ったり、エンターテインメントも忘れていないなど、豪華で緻密なB級作品という印象を繰り返しておこう。
贋作 桜の森の満開の下
NODA・MAP
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2018/09/01 (土) ~ 2018/09/12 (水)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/09/07 (金) 19:00
久々に芝居を観て泣いた。それほどの出来だった。遊眠社時代の89年の初演、92年の再演、2001年の新国立劇場プロデュース、そして昨年の歌舞伎座公演と全て観ているのだが、野田地図での再演を心待ちにしていたせいもあり、最後の妻夫木の「まいった、まいった」で、本当に「まいった」になって涙がこぼれてきた。初演の感動と比べるというのは適切ではないと思うが、初演が若さの勢いの芝居だとすれば、本作は計算された円熟の舞台だと思う。もちろん、野田の年齢も立場も全く違うわけだが、現状で最高と言える座組での公演は大満足だった。
ロマン
水素74%
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/09/06 (木) ~ 2018/09/10 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/09/06 (木) 19:30
チラシ等に書かれたように、結婚、というより、誰と一緒に暮らしていくか、という話題を、さまざまに展開しているようだが、誰の視点で観ていけばよいのか、ぼやけているのが惜しい。セリフや演技は、それなりに工夫されていると思うが、兵藤久美が母親役というのは、先日の『日本文学盛衰史』との落差に驚いた。
「Dの再審」
かはづ書屋
小劇場 楽園(東京都)
2018/09/04 (火) ~ 2018/09/09 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/09/04 (火) 19:30
一昨年の旗揚げ公演の再演で、初演も観ている。相変わらず面白い。明智小五郎が初めて出てくる「D坂の殺人事件」を題材に、法廷劇の形で改めて検証するというもので、江戸川乱歩の小説が、推理小説というより娯楽小説として書かれていることを確認するような芝居になってる。登場はしないが明智小五郎が実在の人物として描かれているなど、乱歩の世界観を活かしつつも、新たな視点を出すなどフィクションとしてエンターテインメントとして、良質な芝居を提供してくれている。
会場の構造から、見切れるシーンが出てくるのが惜しい。
「LOVE」Chapter4
シンクロ少女
OFF OFFシアター(東京都)
2018/08/31 (金) ~ 2018/09/04 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/09/01 (土) 19:30
シンクロ少女の「LOVE」シリーズもchapter4に入って、すっかり安定の作風になっている。今回は、武田・ユミ,たんちゃん・ヨシノ,大岡・陳さんの3組のカップルに、武田の姉とその息子が入り、いつものドタバタを演じる。4部まで観て、これは愛と執着を扱った作品なのだなぁ、と、今更ながら思った。単独で観ても面白いとは思うが、やはり1~3を観ていた方がいいなと思う。ただ、これはそろそろ終局させてくれないと、観ている方もシンドクなってきたように思う。