山兄妹の夢
桃尻犬
シアター711(東京都)
2019/06/26 (水) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/27 (木) 19:30
不思議な芝居だったけど、それがいつもの桃尻犬だと思う(^_^;)。オープニング、別れ話をする兄とその元カノを、妹とその友人が回想する、というシーンで30分使うあたりがすごい。不条理のようでいて、筋が通っているようでもあるが、やはり不条理。回収されないエピソードも出てくるのだが、全体が不条理なので、それが気にならないで、最後まで飽きずに観ることができた。終わり方がスガスガしい。
トリコロールスター
X-QUEST
王子小劇場(東京都)
2019/06/15 (土) ~ 2019/06/26 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/25 (火) 19:30
『なにもない空間の男』を見た。そもそも3本立てなる企画そのものが無謀とも言えるのだけれど、それをやりきるのがスゴイ(*_*)!。本作のみ新作で、他の2作とは全く傾向が違う。劇作家の男を軸とした物語は、単純に見えてそうはいかないあたりがトクナガらしい作りで巧妙(^_^)v。衣装もシンプルで、ストーリーも分かりやすく、1日で一気に観たが、これが最後で良かったという気がする。
トリコロールスター
X-QUEST
王子小劇場(東京都)
2019/06/15 (土) ~ 2019/06/26 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/25 (火) 16:00
『ベニクラゲマンの憂鬱』を観た。面白かった。これも2014年の作品の再演で、初演も観ているが、たしか、このときには既に現在の四角いリング型式に移っていたと思う。ベニクラゲの細胞を埋め込まれた男(ベニクラゲマン)を軸とした物語だが、トクナガらしい台詞の美しさと、ダンス&アクションが光る。エンディングは、少し切ないあたりもなかなかいい。
トリコロールスター
X-QUEST
王子小劇場(東京都)
2019/06/15 (土) ~ 2019/06/26 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/25 (火) 13:00
『金と銀の鬼』を観た。良かった(^_^)v。初演は、2004年のザ・ポケットだったと思うが、観て、野田チェイサー的だったトクナガらしさがよく出た、言葉遊びと動きが印象的な作品だったと思った記憶がある。プロセニアム型式の劇場で数回上演し、現在の四角いリング型式に移ってからも何回か、少しずつ変えて上演されているが、やはりよくできた戯曲だと思うし、それがメンバーが変わってもキチンと作れる力量は流石だと感じた。
雪女
URARA
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/06/24 (月) ~ 2019/06/24 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/06/24 (月) 20:00
URARAこと、大沢由加子による一人芝居。1ステージのみの公演だが、興味深い舞台だった。ストーリーはよくある雪女の物語だが、岸田理生が歌語りの形で書いたが上演されなかったと言う作品なのだそうで、歌が入るのが特徴。URARAは路上一人芝居を中心に活動しているらしく、一人という点では慣れているように思う。開演前に、世田谷シルクの堀川炎に会ったのだが、堀川のソロユニットだった頃の世田谷シルクに似ている印象を持った。
Rock Opera『R&J』
ネルケプランニング
日本青年館ホール(東京都)
2019/06/14 (金) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/19 (水) 13:00
『ロミオとジュリエット』をロック・オペラにするという試みを、鈴木勝秀の脚本と演出というので、観に行った。かなり面白かった。時代を近未来にして、2つの家の対立を、不良と警察(国家権力)という構造にしたことで、現代的な解釈も加わった。主人公の2人、ロミオとジュリエットの性格が、通常のものとは大分異なっているけど、そこが逆にロック・オペラというスタイルに合ってる。若手も頑張っているが、陣内孝則・コング桑田などのベテラン勢の存在感と活躍も嬉しい。
こっちみてるの、しょうこ
やみ・あがりシアター
小劇場 楽園(東京都)
2019/06/12 (水) ~ 2019/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/16 (日) 17:00
やみ・あがりシアターの作品は、会話劇ながら、会話のズレを巧く使うところが面白いと思って観ているのだが、その意味で本作は相当程度成功してる。ファッション・ショップの店長の「しょうこ」とガラス職人で工房の社長の男の、奇妙な一致感による共闘の顛末を描いているのだが、この2人と周囲との落差が大きく、演劇的な面白さがいっぱい含まれている。作・演出・主宰の笠浦の作品は、妙に懲り過ぎることがしばしばあるのだが、本作は程良くアレンジされていて、分かりやすい。
キネマと恋人
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2019/06/08 (土) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/13 (木) 18:30
2016年にトラムで初演されたものの再演だが、初演は観てない。ケラの映画への愛着が微笑ましく感じ取れる好作品である。ウッディ・アレンの「カイロの紫のバラ」という映画へのオマージュということだが、その映画は観てない。映画がサイレントからトーキーへと変わりつつある時期、とある島を舞台に、映画が生き甲斐のハルコ(緒川たまき)の喜びと哀しみを描く。ヒモのような亭主をもつハルコにとっては、島で唯一の映画館で映画を観るときだけが心休まる時間だが、ある日、いつも通り映画を観ていると、映画の中から登場人物の寅蔵が抜け出して来て…、というストーリー。無理矢理な設定とも思えるが、さまざまな出来事が起こり、それぞれに筋は通っている。だが、最後は切なく終わるけれど、何故?という疑問はちょっと残るなぁ(^_^;)。休憩込み3時間25分は、さすがに長過ぎる。
黒 白 珠 KOKU BYAKU JU
キューブ/サンライズプロモーション東京
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2019/06/07 (金) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/06/12 (水) 19:00
元グリングの青木豪による書き下ろし。1994年の長崎県大村で真珠の加工会社を舞台とした物語だが、青木の本らしい特徴が出ているなと思うと同時に、久々に青木の作品を観たことに気づいた。対照的な双子の兄弟を軸に、2人が幼い頃に失踪した母と叔父の秘密やら、さまざまな伏線を丁寧に張りつつ、基本的に時間軸に沿って物語は流れ、徐々に伏線が明らかになる流れは悪くない。ただし、90年代に設定した意味は今一つ明らかではないし、被爆の話はやや唐突に思えるあたりは惜しい。役者陣は若手もベテランも好演しているが、序盤で長崎弁が滑らかでないように感じる。
「ボードゲームと種の起源・拡張版」
The end of company ジエン社
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/05/29 (水) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/06/06 (木) 19:30
不思議な芝居だった。開場すると、ステージでは俳優が「魔女の村に棲む」というボードゲームをやっている。開演すると、その一人、東京から地方に移ってボードゲーム・カフェを開こうとする男(須貝)とそのパートナーやゲームデザイナーなど、周辺の人々の物語が展開される。物語と書いたが、明確な筋が明らかになるわけではなく、何となく流れが分かる、という程度で、ややイライラする。会話なのか、誰との会話なのか、よく分からない発話も少なくないし、私のテイストではないが、80分は長く感じない。
らぶゆ
KAKUTA
本多劇場(東京都)
2019/06/02 (日) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/06/02 (日) 18:00
活動を休止していたKAKUTAの2年半ぶりの公演は、豪華な客演陣を迎えて本多劇場進出。良い物を見せてもらった(^_^)v。観るべし。刑務所で知り合った5人が、福島の田舎で過去を隠して共同生活を始める。過疎化に悩む村の人も受け入れてくれるが、それぞれの事情が徐々に明らかになりつつあるときに…、という物語。この間、数多くの賞を受賞した主宰・作・演出・出演の桑原裕子だが、一見無関係な物語が収束する手法で作る作品が多く、本作もその作風が味わいを紡ぎ出す。KAKUTAとしては初の休憩を入れ、全体で2時間40分の大作だが長さは感じない。観ないと勿体ない作品だと思う。
ハッカ
ハダカハレンチ
王子小劇場(東京都)
2019/05/31 (金) ~ 2019/06/04 (火)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/05/31 (金) 19:30
初見の劇団。良くある劇団の「書けない」ネタだが、勢いもあって、それなりに面白く観ることができた。小劇場から徐々に評価され始めた劇団ハッカだが、アイドルの初舞台を引き受けたけれど、主宰の三軒茶ヤスヲがとにかく脚本が書けず…、という物語。現実逃避的妄想や幻想や回想が重なって、本筋が見えにくいし、よくある話なのだけれど、何だかリアル感があり、一定の緊張感を持って観た110分だった。
ざくろのような
JACROW
座・高円寺1(東京都)
2019/05/29 (水) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/29 (水) 19:30
2015年にサンモール・スタジオで上演されたものを改訂しての再演で、初演も観てるが、バージョンアップしている。松下による三洋の買収劇を題材に、起こりえたかもしれないことをフィクションとして上演する。会社の方針や技術者としてのプライドなどがぶつかり合う様を描いて、同劇団の転機となったと言うだけあって、クオリティの高い戯曲だが、慣れた役者陣と、広がりのある舞台を得て緊張感ある115分だった。初演になかった笑いの要素も加え、エンディングも見事。
同じ浄土に咲く花で
ZURULABO
喫茶茶会記(東京都)
2019/05/25 (土) ~ 2019/05/31 (金)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/26 (日) 20:00
小野寺ずるの一人ユニットの旗揚げ。興味深い舞台だった。mizhenの藤原佳奈の作・演出だが、チラシにもあるように、セックスと幽霊という2種の混合が、小野寺の持ち味とフィットして、面白い舞台になっている。冒頭10分弱、全くセリフなく表情と動きだけで演技する場面に小野寺の成長が見られ、物語と、同じセリフを多様に語る演技力も、小野寺の実力を発揮しているように思える。会場も初めて行く場所だが、住宅街の中にある雰囲気の良いスペースで、芝居に合っていたように思う。
10分間2019~タイムリープが止まらない~【ご来場ありがとうございました】
中野劇団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/05/24 (金) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/05/24 (金) 19:00
初見の関西の劇団で、再再再演というから一種の代表作と言えよう。面白いとは思うが、期待したものとは大分テイストが違ってた。10分間を繰り返すことになった女性の物語だが、最初は繰り返しを丁寧にやっているものの(「エベレ、エレベータ」という言い間違いまで繰り返す)、1時間ほど経ったところから大きく変化してしまい、繰り返しの意味が薄れてしまう。最後はいい話で終わるところも悪くはないのだが、あえてタイムリープを持ち込んだ意義はよく分からなかった。
比べても意味のないことだが、例えば電夏なら同じ主題をどう扱っただろうかと考えると興味深い。
やまいだれにやまいだれ
久保と人間
サンモールスタジオ(東京都)
2019/05/14 (火) ~ 2019/05/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/15 (水) 19:30
活動休止中のクロムモリブデンの久保貫太郎が立ち上げたプロデュース公演で、クロムのアオキヒデキが作・演出をやっている。クロムとはちょっとテイストが違うが、クロムっぽい印象の舞台だった。松本紀保をはじめとする客演陣が充実してて、若手からベテランまで役割をしっかり演じ、不思議だけど楽しい舞台になっている。物語的には、一種の夢落ちと思えないこともあるのは、ちょっと勿体ないかもしれない。個人的には、國吉咲貴演じる「アイドル」が面白かった。
死んだら流石に愛しく思え
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2019/05/09 (木) ~ 2019/05/15 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/09 (木) 19:30
2015年に初演したものを大幅改訂しての再演だそうだが、初演は観てない。実在のシリアル・キラーの実話をモデルにしているのだそうで、事前に少し調べていったために、他の人が笑ってる場面でも笑えない感じを持ってしまった。MCRにしても、かなりダークな話だが、伊達香苗演じる母の存在感が特に見事だった。
尾を咥えたり愚者の口
電動夏子安置システム
駅前劇場(東京都)
2019/05/07 (火) ~ 2019/05/12 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/07 (火) 19:30
ロジカル・コメディの雄、電夏だが、本作では社会派の色合いを出しているのが興味深い。帝銀事件と思われる戦後の時代を背景に、出版社のさまざまな対応をコミカルに描きつつも、メディアの役割を問うかのような作りは珍しい。一種の夢落ちとも言える部分はあるけれど、電夏らしい「擦れ違い」「ダブル・ミーニング」を活かした作劇は相変わらず巧み。演出にレトロノートの中村公平を招いて、若干テイストが変わった印象もなくはないが、楽しめる112分だった。新たな劇団員も頑張ってて、良い意味での新陳代謝が進んでいるが、久々に出演した、なしお成の健闘が嬉しい。
H&ERO
Peachboys
シアター711(東京都)
2019/04/23 (火) ~ 2019/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/05 (日) 19:00
初見のユニットだが、ただただひたすら下ネタと下らないことを徹底してやるのは、逆に思いきりというか、潔さを感じた。女優陣も、よくやるなぁ、というレベルまで頑張ってるのも見事。
「日本国憲法」を上演する
die pratze
d-倉庫(東京都)
2019/04/30 (火) ~ 2019/05/13 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/05 (日) 14:00
「Ammo」と「ノアノオモチャバコ」を観た。
Ammoは、近未来、自民党(劇中では民自党)の改憲案が国会を通ることが決まってしまった局面で、小党が1行だけ付け加えさせてやる、と言われて、その案を考えるという会議劇。学者に協力を求めても、ほとんど相手にされない中で、小党が考えたのは…、という展開は面白い。なぜ小党に1行付け加えさせるのか、とか、途中から出てきた肉の話はどういう意味があるのか、等の疑問はあるのだが、劇として熱を感じる。政治家の空気が読めない妻を演じた松葉祥子が、最後の決め手となるというのも巧い。
ノアノオモチャバコは初見の劇団だが、亭主関白の父が決めた家訓に反対する家族の反発を、憲法になぞらえての芝居。笑い中心の劇団のようだが、ちょっとやり過ぎの感があり、憲法の話との親和性は今一つの感じがあった。