朝霞と夕霞と夜のおやすみ(ご来場ありがとうございました)
FUKAIPRODUCE羽衣
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/05/09 (土) ~ 2009/05/20 (水)公演終了
満足度★★★★
自分は好きです!
賛否両論分かれているようですが、自分は気に入りました。
最前列で桟敷だったのでとにかく腰が痛かったけど、目の前で全力で走って歌って飛び回る役者さんたちの楽しそうな様子を見ていたら、自分にも元気を分けてもらったようでした。
年配の藤一平さんが若い人たちと同じように動き回って大活躍。
途中に深井さんとふたりで繰り広げるバカバカしい踊りとセリフの応酬のシーンではブレイクダンスな動きも見せてくれて、それがうまくない所が微笑ましかったです。
冨士山アネットのEKKYOでしか見た事なくて、その時はあまり面白いと思わなかったのだけど、今回はグイグイ引き込まれました。
ネタバレBOX
静かなシーツに包まっての朝のシーンから始まった後、一気に全員での豪快な歌と踊り!
上手いとか下手とかじゃなくて、勢いで一気にもってゆくのが凄いし、何より舞台上の役者さんたちが心から楽しんでいるのがこちらにも伝わってきて良かったです。
全体にひとつの物語のようなものはなくて、小さなエピソードをひとりあるいはふたり芝居で紡いでゆく。
ふらりと山へハイキングに訪れた男性。
最初は心晴れ晴れと山を登っていたのに、途中からガラッと哀れな感じになるのが良かった。
山は登ったら下りなきゃいけないんだよね。
藤一平さんと深井さんのシーンは何だか滑稽で楽しい。
内容は大したことないのだけど、何となく微笑ましかったです。
ここで一気に動き回ってエネルギーを出しきったのか、藤さんはその後こっそり舞台上から姿を消していました。
田舎からミュージシャンを夢見て出てきて、今では小劇場で役者をやっている男性の夢見心地な弾き語り。
全然内容はない。
飽きるひとは飽きてしまうのだろうけど、ゆるりと見れてしまうところが良かったです。
HOTELのシーンはEKKYOでも上演していたものをそのまま持ってきたのでしょうか?
EKKYOで見た時は面白いと思わなかったのだけど、今回はそこまでの積み上げがあったからか、楽しく見る事ができました。
役者さんは皆さん汗だくで、一生懸命楽しんでいる感じでした。
まるでスポーツのよう。
やはり藤一平さんが印象的でした。
あと高橋さんの表情豊かな演技、掘出者の澤田さんの透明感のある存在が良かったです。
無頼茫々
風琴工房
ザ・スズナリ(東京都)
2009/05/10 (日) ~ 2009/05/18 (月)公演終了
満足度★★★★
力作
風琴工房は史実と向き合って、それを舞台の上で役者が演じる事で、見ている観客にも「生きた人が目の前で体験している事」の様に感じさせてくれるのがとても優れていると感じます。
今回も大正デモクラシーという西欧思想と報道の自由のために戦う時代を描いた力作でした。
ネタバレBOX
貧困と抑圧の中で、人々は米騒動を各地で起こす。
国からは米騒動の報道を規制される。
そんな時代の中で報道の自由のために戦う若いジャーナリストたちの熱い姿を描いています。
思想が思想として成立していた時代。
思想のため、信念のために戦う姿は現代人が忘れている、忘れてしまったもの。
それを役者さんたちが目の前で立ち上げてくれるので、その世界に見入ってしまうのでした。
木目の床と2枚の後方パネルでシンプルに組まれたセットは次々と場面を変えていきます。
ちゃぶ台を出すだけですっかり茶の間になってしまうのは流石です。
力のある役者さんたちが、力のある戯曲に正面から挑んだ力作!
見ていてパラドックス定数「インテレクチュアル・マスターベーション」が何となく思い浮かんだ。
チェリーボーイ・ゴッドガール
ゴジゲン
OFF OFFシアター(東京都)
2009/05/02 (土) ~ 2009/05/10 (日)公演終了
満足度★★★
長い・・・、けど笑えた!
前作が評判良かったけど見れなくて悔しかったので今回はしっかり見てきました。
ここでの評価も高くて期待大。
童貞であることへ悩む事のおかしさ、愛らしさをストレート過ぎるほどストレートに描いていて、最初から大笑いの連続で最後まで行くのがスゴいです。
上演時間は実際は120分。
そのせいでその後の予定が大幅に狂ってしまったのだが。。。
ネタバレBOX
ある一室に集まり童貞をこじらせている男子7人の集団。
舞台には男子しか登場しないけど、それが女性への幻想を抱かせて良かったです。
筑波にあるある理工系の大学生で、寮か同じ安アパートに暮らしている先輩後輩の関係にある7人。
「ドラゴンさん」と尊敬を集める人が雄弁にSEXについて語るが、彼もやはり童貞というのがおかしかった!
「童貞力」をみうらじゅんが提唱してから、童貞、DTを扱うものはサブカルの分野で沢山見られる。
映画「童貞をプロデュース。」でそれは決定打となって、それからも早くも2、3年は経っていて、今更感のあるテーマだと思っていました。
でも、演劇では意外と扱わる事が少ない題材だと気づいた。
なので、テーマひとつで走りきるわりに最後まで楽しむ事ができました。
ただ、やはり長いです。
もっとスッキリ70分くらいの作品に仕上げたら、もっと密度が濃くて面白くなったと思います。
段々「いつ終わるのかなあ」という気になっていってしまったので、テーマに対して適した尺を考えることも必要だろう、と感じました。
関数ドミノ
イキウメ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2009/05/08 (金) ~ 2009/05/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
めずらしく★5つ。
イキウメは「散歩する侵略者」の再演から見ているのですが、あれを超える作品はなかなか見れるものではないと思ってました。
その後のイキウメの作品も見ているけど、短編集が素晴らしかったけど「散歩する侵略者」の衝撃はさすがになかったです。
でも、この作品で扱っている概念の面白さと、それをストーリーとしてうまく構成した手腕にゾクゾクしました。
自分は★5つはあまり付けないようにしているのですが、この舞台は久々に5つ付けます!
まだ改善できる点はあると思うけど、この作品で描いている人間の欲望と無力さ、そして最後のどんでん返しが素晴らしかったです。
ストーリーで勝負する作品なら、こういった人間の根源を丁寧に独自の解釈とアイデアで描いた作品が大好きです。
演出はとてもオーソドックスで技巧に走っていない分、演劇を見た事がない人にでも安心して勧められる作品だと思います。
惜しいのは、これだけオーソドックスにまとめられると、別に演劇でなくても、むしろ映画にした方が面白い作品に出来あがってしまったかもしれない、というところでしょうか。
観劇予定の方はネタバレは決して見ないでください。
ネタバレBOX
ある事故で男性が轢かれた。
と思ったが男性は無傷で跳ね飛ばされたのは車の方だった。
その事故を目撃した男(マカベ)は、轢かれそうになった男性の友人(モリオ)が道路脇で「やめろ!」と叫んだ瞬間に車が撥ね飛ばされたのを目にしており、マカベはモリオが「ドミノ」であると確信する。
「ドミノ」とはどんな望みでも、心に思う事で実現出来てしまうという、正に神のような存在。
それは期間限定で、本人も「ドミノ」である事は気づかない場合が多い。
もしそれに気づいた場合は、かつてヒトラーがそうしたようにその力を使って世界を支配する事も考えるかもしれない。
神なのか悪魔なのか、それはその「ドミノ」が何を思うかによって変わってしまうし、周りのひとの捉え方によっても変わってしまう。
「ドミノ」であるモリオに好きだった片思いの女性を取られたと思うモリオの友人は彼を「悪魔」と呼ぶ。
モリオによってHIVウィルスを消滅させる事が出来た男性トロは、彼は「神」だと言う。
しかし、「ドミノ」は自分がドミノである事は気づいていない。
実はモリオが「ドミノ」であり、彼によって奇跡が起こされているというのもマカベの心の中で思っていた奇跡であり、マカベが真の「ドミノ」だった。
彼はその事に気づいていなかっただけで、ネガティブな思考は全てネガティブに実現されてしまう、というのも「ドミノ」の力によるもの。
世の中には何をやっても上手くいってしまうひとがいる。
そんな人の陰には何をやっても上手くいかないひと達がいる。
「自分がうまくいかないのは奴のせいだ」と思ってしまう。
「ドミノ」という概念はとても深い。
そして恐ろしい。
SFではあるけど、これは人間誰もが心に抱いている考えを概念がしたもの。
その描き方のうまさとドンデン返しの巧みさには舌を巻きました。
役者さんも、まだ公演が始まって間もないけど、しっかり役を自分のものにしていました。
PerformenⅣ~Inferno~
電動夏子安置システム
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2009/05/07 (木) ~ 2009/05/12 (火)公演終了
満足度★★★★
楽しい!面白い!
電動夏子安置システムは毎回面白い試みをしてくれて、それをしっかり笑いに仕上げているあたりが好きです。
今回は「Performen」の4作目らしいですが、自分はこのシリーズ初見。
でも、そんな事は関係なく楽しませてくれます。
役者さんは20名以上参加されていて、そういう場合大きく扱われる方とアンサンブル的な扱いの方に分かれるかと思いきや、皆さん個性豊かで印象的でした。
「カレ」という男の子を演じていた片桐はずきさんのボーイッシュな魅力と身の軽さを生かした躍動感ある演技が良いです。
劇団員では安定感のある道井さん、なしおさん、演出も兼ねる高松さん、小原さん、「チョナンカン」ネタで笑わせてくれた澤村さん等など安心して見れました。
特に渡辺美弥子さんが、端正な顔立ちながら表情豊かで、軽快に動き回って印象的でした。
当日パンフが中6ページでカラー刷りという豪華さで、役者さんひとりひとりも詳しく書いてあるし、今回の作品についてもちゃんと解説されていて、好印象です。
舞台美術も、シンプルながら趣きのある舞台で、衣装も揃られていて、オープニングやクライマックスの全員で揃った動きをする時の見栄えがとても良かったです。
ネタバレBOX
「人間は点と線で描ける」という芸術家と「人間を描く時に輪郭線を描くのはおかしい」という芸術家の議論から幕が開く。
人間を点と線で描けるというのは人間の仕組み、人間の設計図を描く事であり、それは神の領域だとか何とか・・・。
この辺りは概念的な議論で、ちょっと聞いてるだけだと良くわからなくなってしまう。
人間は毎日同じ事、同じ動作を繰り返していて、そんな世界の姿を探りに行く「カレ」がリネアという、芸術家の弟子と共に牢獄を探ってゆくというのが全体のストーリー。
で、「カレ」が訪れる牢獄がそれぞれ伝夏お得意のロジカルコントで描かれているのでした。
【配線】
舞台上手と下手で別々の話が同時進行するのだけど、片方の登場人物の動作がもう片方の話の登場人物の動作に移ってしまうというルール。
下手では銀行強盗に対する刑事。
上手では旦那の両親が訪れて対応する妻。
なしおさんの銀行員が面白い!
【吹替】
覗きが趣味の男が、覗いているシーンに勝手にセリフを当ててしまう事で、実際に演じられている家庭の様子とセリフのギャップを笑う話。
覗きがどんどん増えて、吹替え勝負になってしまう強引さが面白い。
【範囲】
あるマンションで隣り合って暮らす男女。ふたりはお互いのいる、ある一定の範囲しか離れる事ができなくて、目に見えない紐のようなもので結ばれて自由に行動する事ができない。
女性が見合いをする事になって、男性はその見合い会場のレストランでウェイターをやっているが、半径5mくらいしか離れる事が出来ないためお互いに落ち着かない。
特にウェイターは客が入ってきても客の前まで行く事が出来ず、5mくらい離れてメニューを見せたりとか、じょんさんのドタバタぶりが楽しい!
客がこっそり北の国からの五郎さんを演じてたのも楽しかったです。
【伝言】
携帯が電波の異常で使えなくなってしまったので、代わりに伝言屋(?)が伝言リレーでメールの内容を伝えてゆく。
出会い系で出合ったふたりのメール交換だが、実は女性と思ってメールをしていた相手は男で、騙していた。
そんな複雑なふたりのメールのやり取りを更に複雑にしてくれる伝言屋たち。
金で買収されるし、勝手に内容を変えるし、耳が悪くて正しく伝えられないし。
このコントが相当面白かったです。
【空白】
ある事件の起こる前と、起こった後。
その間の空白の時を埋めるために、辻褄合わせに右往左往して何とか無理やり空白を埋めてゆく。
もうここまで来ると理屈とかはどうでも良くなってきます。
渡辺さんが面白かったです。
【条件】
電車に乗って座りたい男性。
空いてる席に座ると必ず邪魔が入るので座れなくなって席を立って次の車両へと移ってゆく。
すると次の車両も全く同じ人たちが座っていて、同じ出来事が同じ順番に起こってゆく。
ルールを理解した男性はそれを見て「このタイミングでここへ座れば良い」と試してゆくけど、何回繰り返してもうまくいかない・・・。
道井さんが舞台の裏(最後の方は舞台の見えるところ)を走って何度も行ったり来たりで大忙しの大活躍でした。
全体としてはコントの連作なのだけど、それを包み込む「人間とは」という大きな命題。
それらがうまくかみ合って機能していたかは疑問なのですが、ひとつひとつのクオリティーが高くて楽しめました。
針
メタリック農家
駅前劇場(東京都)
2009/05/06 (水) ~ 2009/05/10 (日)公演終了
満足度★★★
美術に圧倒される!
メタリック農家、駅前劇場進出ですね。
しかもチケット完売。
会場に入ると、今まで駅前劇場で見た中では最も美しい舞台装置が迎えてくれます。
これが素晴らしいデキ。
品があって、美的感覚を刺激されます。
舞台中央のベッドにはお姫様のような女性が開場時から横たわっています。
ネタバレBOX
で、格調高いセットなのでその後も期待されるのですが、そこから肩すかしの連続!
まず、舞台となっている作品世界の設定が良く分からず混乱。(まあ、これがオチにつながってゆくのですが)
そして、せっかく美術が素晴らしいのに、衣装の統一感のなさがガッカリ。
肝心のお話も、いくつかの話が描かれますが、どれも魅力がないです。
美術に対して、小さい話が多くて、しかもイマイチ入り込めない話が多くて。
体に有刺鉄線を巻きつけた男など、スゴく不快なキャラで、その不快ぶりが話の中でどう生かされるのか見ていても大したことはないし、病気を抱えた少女と王様の話はちょっと話としては温まるけど。
服の仕立て屋と王女の話もスゴくありきたりな感じ。
それに、登場人物たちに人間的な魅力が乏しいような。。。
役者さんが悪いのではなく、作・演出が良くないように思います。
最後に仕立て屋が王女を抱きしめつつ、後ろにハサミを手にしていたのもどうなんでしょう?
一番好感だったのは、カーテンコールでカエル役だった役者さんが被り物を脱いだときの、一生懸命やりきった!という感じのひたむきな表情でした。
役者では古市さんの存在感が光っていたと思います。
あとこういうオレノグラフィティさんは見たことなかったので新鮮でした。
アントン、猫、クリ♥KR-14【篠田千明】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/16 (木) ~ 2009/05/04 (月)公演終了
満足度★★★
細分化された風景の言語化
篠田さんの作品は快快を数回見てますが、最近は神出鬼没なためなかなか追えずにいたので何だか久しぶりに見たような感覚。
毎回決まった形の舞台は作らないのでどのような舞台になるのか想像がつかなかったのですが、今回は実験演劇と言っていいような、全く新しいアプローチでした。
少なくとも自分はこのようなスタイルの演劇は見たことはないです。
なので、最初はとっかかりが見つけられずにちょっと戸惑ったのでした。
ネタバレBOX
中村真生さんが舞台上にひとりで単語を口にして情景を作っていきます。
最初は物語性も一切なく、見ていて感情の入る隙もないまま展開してゆくので、演じている役者さんは大変だろうな、と思ってしまいました。
セリフと段取りを頭に入れて、キッカケやタイミングを意識しつつ、たった一人で見せなければならないのだから、頭の中はフル回転では。
でも、中村真生さんという女優さんの魅力がそこはかとなく出ていて、何となく見れてしまうのです。
途中からもうひとり男性が入ってきます。
カワムラアツノリさんが入ってきても、最初はあまり交わらず、個々に勝手に言葉を並べているという感じなのだけど、「落ちたパンツを返す」という辺りの男の葛藤のあたりが滑稽で、またこれを返される中村真生さんの恥ずかしげな様子がおかしかった!
この舞台上の人間をつないでいるのは「アントン」「クリ」と呼ばれる猫なのだけど、その存在がそんなに重要かというとそうでもなくて、ゆるやかーに関係性を繋いでゆきます。
全体的に実験性に富んだお芝居で、面白いとか感動したとかの感覚は得られませんでした。
ちょっとしたシーンを見るだけでも篠田さんの人間を描く繊細さは見て取れるのだけど、それを敢えて中心に持ってこないで、実験的な手法を試したこの作品は「興味深い」作品でした。
篠田さんのこの作品に対する考えや込めた思い等を聞いてみたいです。
【筆に覚えあり入選!】家族のこと、その他のたくさんのこと
ロロ
王子小劇場(東京都)
2009/05/02 (土) ~ 2009/05/03 (日)公演終了
満足度★★★
これから始まる物語
舞台は前説から始まる。
当たり前の事なのだけど、この舞台では前説が物語の一部となっている。
初戯曲・初演出という若手の作家、演出家さんの舞台を王子小劇場がバックアップしての上演。
舞台装置もしっかりしていて、初舞台とはいえ力の入り方がうかがえるし、集めた役者さんも掘出者の板橋さんやひょっとこ乱舞の中村さんなど、期待できる面々で、ワクワクしながらの観劇となりました。
ネタバレBOX
不思議な生き物に常に雨を降らされている男や、拾ってきた人間が新たな家族として加わる等、話はファンタジー的な要素が強いです。
途中母親が帰ってくるたびに姿を変えて、カエルになったりオランウータンになったり。オランウータンになって帰ってきたときの息子の「人間に近づいてきてる」には笑ってしまった。
不思議な生き物は道路の一面に水をまき続けています。
赤、青、白のカラフルなバスタオル(?)のようなもので頭から腰下まで身を包んだその生物が、アスファルトの下の草花(とおじいちゃん)よ生えてこい!と水を撒いているのですが、これが最後に「お花畑」という幻想的な演出へと結びついていきます。
死んでしまう友人、お父さん、拾ってきた弟、家出してしまう母親、等などに囲まれながら生活する長男。
でも、それが話の主軸を形成しているかといえばそうでもなくて、話がブレにぶれて、どこに軸を見出せば良いのか、困ってしまいます。
戯曲でうならせた、という作品という事だけど、正直なところ戯曲としても飛び道具的な言葉や展開に頼っている感じなので、もっとワンシーンを丁寧に書いて良かったのではないかと思った。
いきなりの戯曲で100分はやはり難しかったんじゃないかな。
なので、次に出るという「15minites made」での挽回を期待します。
演出は、やりたい事がたくさんあって、それをとにかく詰め込んでみましたという感じで、逆にひとつひとつが軽く扱われてもったいなかったです。
演出ももっと丁寧である必要があるけど、どのような演出の方向を目指そうというのかも、この作品だとイマイチ掴みづらかったです。
現代口語劇の中に、遊びを沢山入れるという方向性なのかな?
ちょっとスタンスが中途半端に見えてしまいました。
笑わせる演出を沢山入れていたのだと思うけどあまり笑いが起きなかったのが、その中途半端さの証じゃないかな。
いまいちノれない感じ。
役者さんは、学生の方とそれ以上の方で演技に大きく差があって、掘出者の板橋さん、ひっとこ中村さん、変な生き物の両角さんなどは深みがあって良かったです。
ただ、拾ってきた弟等の学生さんの演技と差がありすぎて、学生さんは可愛そうと言う感じでした。
今後どのような作品を作って、役者さんは誰を起用するのかによっていくらでも化けてゆくと思います。
期待の若い演劇人のはじめの一歩を見届けられた事を今後自慢できるように、成長してください。
可能性を多分に感じさせる作家さんでした。
グァラニー ~時間がいっぱい♥KR-14【神里雄大】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/17 (金) ~ 2009/05/05 (火)公演終了
満足度★★★
愛らしい
神里さんの作品は「三月の5日間」「リズム三兄弟」を見ていたので、もっと変わったアプローチで来るのかな、と思ってました。
でも、思いの外繊細に描かれた戯曲と演出。
「14歳」というキーワードよりも、転校して初めて異文化に触れた時の違和感や悩み、疎外感といったものが丁寧に描かれた素敵な作品でした。
ネタバレBOX
前半はかつて父親の仕事の都合でパラグアイに越していった男性が、その当時を思い出しながら語る。
語る訳だから当然モノローグが大半になるわけだけど、これが厳しかったです。
ちょっと役者さんの負荷が高かったのと、役者さんのひとり語りにそれだけの長い間惹きつけるだけのものがなかったので、かなり飽きてしまいました。
「チャコ」の話とか、部分部分面白かったし、オープニングで女性たちが着ていた白いドレスを広げてスクリーンにして映像を映す辺りは面白かったけど、演劇的な面白さではなくて残念。
でも、宇田川さん演じる少女がパラグアイから帰国してからの後半の話はとても繊細で、神里さんの作品を見ているのではないような、しっとりとして穏やかな感じが良かったです。
ここでもやはり独白が多いのだけど、ここではそれが全く気にならなくて、コミュニケーションの難しさや疎外感が丁寧に描かれていて、それでも叱咤激励する母の姿が力強くて、素敵でした。
後半の作りで前半も構成されていたら満点の舞台だったのだけど、前半の退屈さが勿体なかったかな?
前半、後半で話が大きく断裂されすぎているのも気になりました。
前半が「パラグアイへ転校した少年」、後半が「パラグアイから転校してきた少女」と構成はわかるのですが、それならカラーも統一して欲しかったところでした。
14歳の国♥KR-14【杉原邦生】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/21 (火) ~ 2009/05/04 (月)公演終了
満足度★★★★
今日もポカーンと・・・
この間「すご、くない」を見た後のアフタートークで演出家6人が集まって話をしていた時、杉原さんが「ドンドン良くなってる、って手ごたえは感じてたんだけど、3回目の上演の時は全く拍手がなくて客がポカーンとしていた」と語っていたけど、今回も超満員のアゴラの客席からは、かろうじて程度のパラパラの拍手しか起きなかったです。
そんな光景を見てクスクス笑っていたのですが、それで良いのだと思います。
確かにこの舞台は見ていて呆気に取られます。
前半は比較的遊びが少なくて、戯曲に忠実に進めてるのではないでしょうか?
宮沢章夫さんの戯曲への敬意か、作戦のうちか。。。
僕は杉原邦生さんがどのような舞台を作る方か知りませんでした。
「すご、くない」のアフタートークで神里さんが他の演出家の作品として、この「14歳の国」にこだわって話をされていたので、凄く気にはなっていました。
今回の企画の中で唯一作品傾向を知らない存在だった演出家さんですが、後半の遊びっぷりにはグッとひきつけられてしまった。。。
ネタバレBOX
会場は、ベースはこの企画共通の、鉄パイプで組まれたオブジェと白テープで床に描かれたマス目。
そして、所狭しと並べられた学校机。
それにモニターが左右、正面と3台。
モニターは、袖に固定したカメラで舞台上の様子を映していました。
快快の山崎皓司さん以外は結構年配の方も含む年齢層の高い役者陣。
これが「14歳の国」という宮沢章夫さんの不思議な戯曲を丹念に立体化していて、間の抜けた会話で構成されています。
舞台は体育で空になった中学の教室。
そこに教師が集まって持ち物検査をしているのだけど、やる気の感じられなさや、会話の滑稽さにゆるーい感じで淡々と話が進みます。
途中ブレイクして、杉原さん自身がそれまで舞台袖に固定していたビデオカメラを持ち出してきて、舞台下手の机の上に向けてセットします。
ここからが遊びの時間の開始で、広げるノートに描かれている、中学生レベルのいたずら書きがセリフとシンクロして更にバカバカしく滑稽なものにしてくれます。
クライマックスに向けて大人たちが真顔で良い話をしている辺りで遊びはどんどんエスカレートしていく。
劇中「似てる」という言葉が出てきた時など、ノートには水嶋ヒロの写真が張ってあって、山崎皓司さんが髪型を水嶋ヒロっぽくして「似てる?」とポーズしてみたり。。。
間の抜けた空気から、段々話がまともになってゆくにつれて子供っぽい遊びが増えてゆくのは、中学生の姿を良く現していると思いました。
またこれが本当にくだらなくって、単純に笑ってしまった!
最後は生徒の鞄からナイフが見つかって、それを若い教師が手にして、教師のひとりを刺してしまって。
でも、それは現実ではない様子で。。。
ラストは激しい音楽に合わせて、14歳でもこんなにはしゃがない、というくらいに山崎皓司さんが暴れまわって、金色の紙ふぶきが舞って、散々騒ぎまわってエンド。
役者さんに「ありがとうございました」と言われても、そりゃ客はポカーンとしますよ。
拍手のタイミングは確実にわかったのでパラパラと拍手は起こってましたが。
自分は後半の滑稽さとラストに込められたパワフルさに打ちのめされていました。
ここでの評価はあまり高くないようですが、個人的には後半の本当に頭の悪い中学生的なギャグの連続と、ラストの無意味な破壊力に魅了されたので、もう一回見たいです。
杉原邦生さんの次回作や、ディレクターをされるサミットへの期待も一気に上がったのでした。
Dolce!
O-MATSURI企画merrymaker
シアター風姿花伝(東京都)
2009/04/25 (土) ~ 2009/05/03 (日)公演終了
満足度★★★
楽しかったです!
約2時間弱、疾走するように全力で喋って舞台を駆け回る役者さんたち。
舞台というよりアトラクションを見ているような感じでした。
話としてはちょっと救われない感じで暗いはずなんだけど、印象としては決して暗くならないのは、役者さんたちの元気のおかげでしょう。
正直なところ、最初から最後まで全力疾走のような舞台は見ていて疲れてしまったし単調だなと感じてしまったけど、でも楽しかったです。
これから緩急を操れるようになったらこの劇団はもっと良くなると思いました。
舞台としての楽しさは、役者さん、スタッフ含め関係者が一丸になって楽しんでいるからなんだろうな、という空気がひしひしと伝わってきました。
ネタバレBOX
「ドルチェ!」というのはイタリア語で「甘いもの」ということらしいですが、この舞台では人間の血となってます。
大正時代を舞台とした探偵もの、というだけではなく吸血鬼ものの話になっていくのがちょっと強引だけど面白かったです。
せっかく大正時代を舞台にするなら、もう少しその設定を生かして欲しかったかな。
後半の音楽はPia-no-jaC(ピアノジャック)でした。
好きなアルバムの曲がふんだんに使われてて嬉しかったです。
スローからアップテンポに変わる部分が効果的に使われてたりして。
『Wing Breeze』
風凛華斬
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2009/05/01 (金) ~ 2009/05/04 (月)公演終了
演出が古い・・・
プロ志向の集団ではないのであまりアレコレいう事もないのですが、脚本が中学生レベルなのと、演出が学芸会レベルなのはちょっとキツいです。
プロ志向の役者さんでなくても、きっちり本を書いて、丁寧に演出すれば味わい深い作品は作れると思うけど、全体的に大雑把で、テーマも漫画みたいで大人の鑑賞に堪えられる作品ではないと感じました。
役者さんが可愛そう・・・。
すご、くない。♥KR-14【白神ももこ】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/18 (土) ~ 2009/05/06 (水)公演終了
満足度★★★
身体を見せる
ダンスカンパニーということだけど、あまりダンスらしいダンスはみられなくて、役者の身体を見せる事に重きを置いた作品でした。
それゆえに、特に「14歳」というテーマにも縛られず、自由奔放に作られていると思います。
ただ、演劇村の中に突然これが入ってくると、その異質さについていけないという感じで、会場はポカーンという感じが強かったです。
でも、個人的には愛らしくて楽しい時間でした。
少年B♥KR-14【柴幸男】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/19 (日) ~ 2009/05/06 (水)公演終了
満足度★★★★
繊細な戯曲が心地よい
今まで演出技法に目が行っていた柴幸男さんの作品は、とても繊細な戯曲の心地よさに身を委ねられるような作品でした。
凄く好きです!
今回の作品に「14歳」という冠が付いていたから、過去の自分を振り返る的な内省的な方向へ向かうのは作家としては正しいと思います。
柴さんの作品は例の酒鬼薔薇の事件的な香りを漂わせつつ、他の年代が14歳だった時とは違う、本当に「その頃の柴さん」に問いかけるような作品になっていたかもしれないけど、でもそれがあまりにも普遍的な題材を取上げているので、見ている人だれもが共感できるような懐かしさのある作品に仕上がっていたと思います。
ネタバレBOX
学校襲撃のシーンとかは明らかにブルース・リーを意識した動きでバカバカしいのだけど、柴さんの年代だと中学生の時にブルース・リーに心酔するというのは無いよなあ、と思ってみていたら、最後は37歳の「自分」に辿り着く。
なるほど、確かに今37歳ならブルース・リーもありえるね。
37歳というのは多分主演の岡部さんの年齢なのだと思いますが、柴さんとは年齢に開きがあるのに、37歳の人生崖っぷちで最後の決断を迫られているような感じが最後に良く出ていました。
そんな中、自分が参加できなかった合唱祭に参加して皆で歌う部分はグッと来てしまいました。
でも、一番グッとくるのは、思い出の場所が巨大マンションになっていたりとか、時が経つだけでなく、風景まで変わってしまうというという中で、自分だけ取り残された様な状況に焦りを見せる、終盤の主人公そのものかな。
演出的には色々な事を試しているけど、「これ」というひとつに絞らないで、あくまで戯曲ありきの演出で、演出中心から戯曲中心にシフトしつつあるのか、今後の柴幸男さんの作品が楽しみです。
ヴェニスの商人 ~逆襲のシャイロック~
あなざーわーくす
遊空間がざびぃ(東京都)
2009/04/16 (木) ~ 2009/04/19 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しいシェークスピア
ビフォートーク、アフタートークのあるあなざーわーくすのシェークスピア。
あなざらしく、会場に入ると役者さんが笑顔で席へ誘導してくれます。
とりあえずがざびいのフロアー全てを開放して、壁周りにお客さんは最初座らされてるけど、それは一時。
トークの時には壇の周りに誘導されたり、芝居の時にはアクティングスペースの中央の資格の空間を取囲むように座るいつものスタイル。
トークの時は自然に拍手や笑いが起こって、芝居の時は役者さんに誘導されるままに何かの役に扮したり、掛け声をかけたり、凄く和やかなムードでした。
お客さんを優しく自然に取り込む技術がさすがです。
トークが長いので、全部で約2時間半。
ネタバレBOX
今日のトークゲストはあなざ事情団のおふたりでした。
主催わたなべさんとのトークも弾み、良い感じでした。
ビフォートークは作品解説というかあらすじの解説を人形を使って行ってくれて、とても親切。
この解説を見て、今回本編では脇役のひとりであるシャイロックがいかに可愛そうな扱いを受けているのかがわかります。
そして本編はそのシャイロックのユダヤ人ゆえに受ける不条理な迫害から、成り上がり、そして「ヴェニスの商人」のストーリーへと進んでゆきます。
前半のシャイロックの生い立ちがあまりに可愛そうで、同情して入り込んでしまいます。
でも決して暗くならず、役者さんたちがユーモアたっぷりに全力で演じてくれるので陰惨なイメージは決してないです。
その後の成り上がりの辺りも、成り上がって成功して毎日が楽しい、というのを観客を巻き込んで見せてくれて、これが無駄に楽しかったです。
山の手線ゲームは緊張します。
その後「ヴェニスの商人」の話へつながってゆくのだけど、ここで観客全員を集めてダンスのレッスンが入ります。
これがちょっと長かったかな?
ワンアクセントとなった、中森明菜の曲にノってゴミで作った船を引くのは印象的でした。
アフタートークは、ゲストに演じてみたい場面を聞いて、実際演じてもらうというムチャブリがテーマだそうです。
でも、今日はムチャブリというよりはやる気満々で、ノリノリでシャイロックがイジメられるシーンや船を引くシーンを演じてました。
船を引くシーンでは観客も巻き込んで、お客さん皆が船を祈るようなポーズでついていく演出が即興で付けられて、皆でシーンを再現しました。
思った以上に長い時間だったけど、芝居は当然楽しく、トークも充実した満足の観劇でした。
次回作までかなり間が開くようなので、それだけが残念です。
苛々する大人の絵本(公演終了)
庭劇団ペニノ
はこぶね(劇団アトリエ)(東京都)
2009/04/08 (水) ~ 2009/04/20 (月)公演終了
満足度★★★★
空間を共有できた
アトリエ「はこぶね」のあるマンションが取り壊されるのが伸びたため今年も上演されることになった作品。
去年も見ていたのだけど、あまりに面白かったので今年は友人を連れて。
体調が悪くて熱があったのだけど、無理して見てきました。
狭いアトリエにぎゅうぎゅうに詰められた客席。
30名も入ってるかどうかくらい。
舞台の幕が開くと、そこに広がる童話のような世界が楽しい!
演劇に物語を期待する方は見ないほうが良いし、シモネタが駄目な方も見ない方が良いです。
逆に言うとそれらが大丈夫ならぜひお勧めです!
ネタバレBOX
「粉吹いちゃってるね・・・」と言っては天井から突き刺さった巨木をいじりまわす歯茎の出た黒装束の女性(妖怪?)と、地面から突き出た元気な巨木から出る白い液体をポテトサラダのようなものにかけて食べる豚の鼻の女性。
一段高くなった舞台で、白に統一された部屋の左と右の壁それぞれに扉があって、その不思議な女性二人が出たり入ったり、食事をしたり、話をしたり。
「私ボート屋やろうと思ってるんだ・・・」等と同じセリフを何度も繰り返すけど、セリフに特に意味があるわけでもなく、物語があるわけでもない。
でも、この不思議な怖い童話のような世界と下世話なシモネタ満載の舞台から目が離せない!
途中で舞台が一段高くなっていた理由がわかります。
舞台の下にも舞台があって、ガリバーのように縛られて地面に寝かされた学生服の男性。
上の舞台の地面から突き出た巨木は、その男性のちょうど股間の位置から生えてます。
そして、どうやら受験生で勉強をしていたらしいこの男性の独白が延々続くのだけど、頭が悪いのでは?と思うくらい明るいというかバカっぽいというか・・・。
そして、舞台上ではまた二匹の女性が活動を始めると、地面の下に男がいることに気づきます。
男性が舞台上に上がってきて、歯茎を「妹」、豚を「母」と言って「食事を作ってくれ」と言い勉強をはじめます。
この男性が歯茎の女性を見て「可愛いな・・・」というのがおかしい!
会話も話もチグハグなやりとりが続いて、話も何もまとまりがないままに終わります。
この舞台上に作り出された世界そのものを味わい楽しむ。
そんな舞台です。
ひとつひとつのネタは面白くって、クスクス笑ってしまいます。
舞台美術が秀逸なのですが、照明の使い方が美しすぎ。
朝、昼、夜。
暗い小さい部屋の中なのに、それぞれをきっちりと描き分けているのは照明の力が大きいと感じました。
ライトだけでなく、蝋燭の明りや電灯など、それぞれが美しく世界を照らしてます。
決して子供には見せたくない、バカバカしい大人のための童話の世界。
来年もまだこのマンションが残っていたら再演してほしいものです。
小劇場王子
自己批判ショー
王子小劇場(東京都)
2009/04/03 (金) ~ 2009/04/05 (日)公演終了
満足度★★★
こういうのなのね
解説を読んだだけだとどの様な舞台なのか想像つかなかったのだけど、見たら確かに解説の通りでした。
「王子小劇場」を「小劇場王子」と倒置するダジャレに始まり、「ナオコの剣」とか「しんいちの森」とか、小ネタのダジャレがふんだんに出てきてこれでもかって感じでした。
でも、演劇でダジャレを使われても、意外と笑えないんですよねえ。。。
演劇には演劇の笑いがあると思うので、全体的に安コントな作りがちょっと合わなかったかも。
ネタバレBOX
バンドが裏に待機して生演奏するミュージカル部分もある、と言うかミュージカルというようりはカラオケかな。
ミュージカルだったらそこで踊ったり、話が展開したりするけど、そういう訳ではなくて、歌のパートがあります、という感じで分断されたパートになってたのが残念です。
作品はメタ演劇で、「素舞台」「マイム」「照明さん・音響さん」と言ったあたりをネタにして、くすぐりつつ進んでゆく話。
途中唐突に挿入される「最後の晩餐」のコントとか、クスクスっと笑える感じなのだけど、爆笑には至らず。
役者さんはなかなか頑張っていて面白いのだけど。
もうちょっと演劇的な面白さを高めて欲しいな、と思ってしまいました。
7歳の孫にジンを2杯飲ませた祖母
うさぎ庵
アトリエ春風舎(東京都)
2009/04/02 (木) ~ 2009/04/06 (月)公演終了
満足度★★★★
じんわり暖かい
うさぎ庵は初めて見ました。
青年団演出部で渡辺源四郎商店にもドラマターグとして参加している工藤千夏さんの企画公演。
アトリエ春風舎は何度も訪れていますが、大掛かりなセット構成ではないのに凄く雰囲気が出たよいセットが迎えてくれます。
小さな孫にジンを飲ませたという実話を元にして、想像を膨らませて書き上げたという戯曲。
見る前はどのようなものになるのか全く想像もつきませんでした。
アメリカを舞台としているせいか、海外戯曲的な雰囲気をかもし出していて、「日本の家族」を題材とした戯曲と雰囲気が違っていて面白かったです。
役者さんは4人。
どの方もあまりに素晴らしくって、思わず見とれてしまうのでした。
鄭亜美さんが特に印象に残りました。
あと、花組芝居水下きよしさんの意外な役も見所です。
約85分くらい、なか?
ネタバレBOX
クリスマスの一夜を舞台に、母と娘、そのまた娘という家族の入り組んだ関係が少しずつほぐされて行く様に感嘆。
この丁寧な会話劇の戯曲が素晴らしい!
なぜ今の時期にクリスマス?という舞台だけど、あえて時期外れのこの時に上演しているのは、「登場人物みんな、幸せなクリスマスを欲して、待ち焦がれて、夢見ているから」だそうです。
これが現実のクリスマスである必要はない訳で、なるほどという感じ。
水下きよしさんの登場がおかしかった!
もう一度見たいなー、と思わせてくれるじんわり暖かい物語でした。
改造☆人間
田上パル
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/03/13 (金) ~ 2009/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★
すっごい勢い!
最初から最後までハイテンションで駆け抜ける若さ溢れるお芝居。
もう、最初から笑いっぱなしで、でもとても深いテーマを扱っていて、それらを力技で乗り切ってしまう凄さ。
柿喰う客のような、計算された作られて演出されつくされたハイテンションとは違う、もっと原始的な力が漲っていて楽しかったです!
ネタバレBOX
島田曜蔵氏が好演!
いやー、おんもしろいなあ!
若い集団の中でひとり存在感を示してました。
田上パル。次も期待してます!
おやすまなさい
カニクラ
アトリエヘリコプター(東京都)
2009/03/18 (水) ~ 2009/03/22 (日)公演終了
「寝る」事を扱った舞台を見て、、、
思わず眠ってしまいました。。。
あの舞台の暗さ。話の単調さ。展開しなさ。
もう、あっという間に夢の世界を彷徨うことになってしまいました。。。
しっかり見たかったのに、残念。
次の柴幸男作・演出に期待します。