Takashi Kitamuraの観てきた!クチコミ一覧

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その恋、覚え無し

その恋、覚え無し

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2018/11/27 (火) ~ 2018/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/04 (火) 14:00

とても素晴らしい舞台でした。4人の盲目の女性祈禱師たちを神目(カンメ)と呼んでいましたが、こうした独特の命名も含め、美術、衣装、所作、物語の全てから、現代とは違う、しきたりの厳しい前近代的山村の世界が現出します。
そこに起こる幼女の「神隠し」事件や、過去の因縁の糸が絡み合って、テレビでも映画でも見られない、演劇ならではの没入体験を味わいました。ラストの光景も素晴らしいですが、水車が突然回り出す不気味さも抜群でした。
この秋、一番の舞台です。

ネタバレBOX

小劇場ですが、水をふんだんに使ったり、スペクタクルな演出は蜷川幸雄を彷彿とさせます。俳優たちのキビキビと走り回り、ぶつかり合う姿は、野田秀樹の舞台を連想しました。そうしたらなんと野田秀樹が見に来てました! 「駒場でやっていた頃の昔を思い出すなあ。熱量がすごい」と言っているのが聞こえ、全く同感でした。
カンメの一人、板倉桃子さんの何物にも縛られない自由で自立した姿が、舞台を現代につなげていました。
おかしな二人

おかしな二人

劇団テアトル・エコー

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2018/12/01 (土) ~ 2018/12/12 (水)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/03 (月) 19:00

面白かった。ズボラと超几帳面のふたりの同居生活が、性格の違いて衝突する。その大真面目ぶりやあきれぶりも面白いし、セクシー姉妹との「合コン」の脱線ぶりもよかった。セシリーの胸の谷間!にドキドキしました。

ネタバレBOX

しかも最後はケンカ別れするとみせて、一転しゃれたハッピーエンド。笑わせて笑わせて少し身につまされる。すごい いい。
役者の自然なデフォルメの演技が非常に良かった。
セールスマンの死

セールスマンの死

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2018/11/03 (土) ~ 2018/11/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/11/16 (金) 19:00

とにかく戯曲が優れている。どこもすきのない、緊密に組み立てられた芝居。去年、テネシー・ウイリアムズの「欲望という名の電車」(大竹しのぶ主演)を見たが、アーサー・ミラーとウィリアムズが、アメリカ戦後演劇の双璧であることがよくわかった。家庭劇、主人公の持つ過去零落、舞台の緻密さでよく似ている。

風間杜夫は最初ずっとぶっきらぼうで嫌味な感じだったが、だんだん苦しい内面も見せていく。「俺は愛されていたんだ」というセリフが痛切だった。山内圭哉は実は気弱で自己主張できない感じがよく出ていた。
片平なぎさの母親もよかった。同情を誘う演技だった。実は現状にしがみついているだけで。夫の誤った教育も放置している無力で罪深い存在なのだが。

幸せなマイホームが、最後は誰もいなくなるように、意外と静的な芝居だと思った。

ネタバレBOX

戯曲を読んでから見たので、父ウィリーの浮気場面を見たことが、長男ビフが父に反発する原因だと思ってずっと見た。そのことは冒頭から「あいつは詐欺師だ」など、伏線として巧みに示されている。

ただ、舞台で見ると、最後の最後にビフがウィリーの前に泣き崩れる場面、「俺はそんな大人物じゃないんだ。もう解放してくれ」で、最初の理解が表面的だったとわかった。実は、反発の裏で父の過剰な期待に縛り続けられ続けていたのだと。ビフはそこから抜けようとして、浮気で父を見限ろうとしても、どうしても抜け出せなかったのだと。
「父と子」がこの芝居の柱なのだが、その関係も依存と反発とアンビバレントな関係にあることがよく分かった。

ウィリーは最後に「実はビフは俺のことを愛していたんだ」とうれし泣きする。だからビフは大人になれないんだということを脇において。皮肉な喜びだ。「思いきり抱き締めてやればよかった」というセリフは、自分勝手ともとれる。が、父の出世主義の押しつけをやめて、ありのままのビフを受け入れればよかったと取れば、救いにもなる。どこまでも深い戯曲だ。
光より前に〜夜明けの走者たち〜

光より前に〜夜明けの走者たち〜

ゴーチ・ブラザーズ

紀伊國屋ホール(東京都)

2018/11/14 (水) ~ 2018/11/25 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/11/17 (土) 18:00

円谷幸吉の自殺は知っていたが、いかに追い込まれた末だったかは、今回の舞台で初めて知りました。君原の名前は聞いた気がしますが、メキシコ五輪2位だったとは。円谷の悲劇の影にうもれてきたと思います。
知っているようで知らないふたりのメダリストランナーの人生を対比させながら、胸に迫る舞台でした。円谷役の宮崎秋人は、山場では涙と鼻水を垂らしながらの熱演で、その激しさに圧倒されました。道案内役の中村まことも低めに響く「声」が良かった。バッハの通奏低音のように、時に北に南に、あるいは数年後へと場面のとぶ舞台をしっかり下支えしていた。
なんといっても、この題材を舞台にした企画と、焦点を絞って無駄を省いた舞台作り、キャスティングがよかった。

ネタバレBOX

とくに、円谷が結婚を自衛隊体育学校の校長の圧力で破断にされ、理解あるコーチとも離れ離れにさせられた場面は悲しみと怒りを強く覚えた。円谷は日本陸上界と自衛隊に潰されて死んだのだと、暗澹たる気持ちがしました。
修道女たち

修道女たち

キューブ

本多劇場(東京都)

2018/10/20 (土) ~ 2018/11/15 (木)公演終了

満足度★★★★★

良かった。宗教がテーマといっても、大したことないだろうと思っていたら、とんでもない。「献身と救済」という直球ど真ん中の芝居だった!途中は笑いも、劇的な見せ場もたっぷりあって、最後にテーマにドーンと迫る。3時間15分(休憩込み)と長い芝居なのに、休憩後の2幕目(1時間45分)は全く時間の長さを感じなかった。俳優陣もアンサンブル、緩急ともに見事。まれにみる欠点のない舞台だった。

ネタバレBOX

クライマックスで流れる音楽(チャイコフスキー「白鳥の湖」?)で笑いが起きたけど、このこてこての音楽で臆面もなく盛り上げる通俗性もはまっていた。最後の最後に舞台のおおじかけが明らかになる。ここでは唐十郎の紅テント芝居のラスト(背景の幕が取り払われて、広い外界(=異世界)へ旅立つ)という演出と共通するものを感じた。
鈴木浩介は「消えていくなら朝」(新国立劇場)でも、宗教に翻弄される役をやっていた。偶然だけれども、どちらもオロオロ・キャラが似合っていて、おかしかった。
この戯曲を演じる者に永遠の呪いあれ

この戯曲を演じる者に永遠の呪いあれ

平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co.

新宿眼科画廊(東京都)

2018/10/19 (金) ~ 2018/10/22 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/22 (月) 19:30

この新宿歯科画廊は初めてでした。細長い地下室の、中央を平土間の舞台にして、手前と奥の客席で挟むレイアウト。観客席は35人ほどで、満席でした。文学座養成所出身の若手男性で作る、全員20代の若い劇団。この若さが劇の内容ともマッチして、良かったです。
大学演劇部(シェイクスピア研)の部室に、深夜に立ち寄ったOB三人。そこで怖ーいことが起き、主人公とともに、観客も恐怖感を覚えます。でもそこはそれ、ソフトな怖さで、夜寝られなくなる「ホラー映画」とは違い、楽しめました。

ネタバレBOX

途中から、前と同じことが起き、あれっ、これ「ループもの」?と。でもハルヒほどしつこくなくて、良かった。ループも微妙にずれています。次第に、このホラー劇が、舞台に登場する第4の男・シェイクスピア研の現役部員のオリジナル戯曲に書かれていたのではないか……と思えてきます(そう言うセリフはないのですが、ひとり、ループに気づいたOBが、その戯曲を読んで、恐怖に怯える表情から想像しました。)舞台の上に作者まがいの男が出てくる趣向もあるわけです。結構凝った仕掛けの芝居を、若者が素朴に熱く演じていて、狭い劇場の制約をかなりカバーしていました。
恭しき娼婦2018

恭しき娼婦2018

新宿梁山泊

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2018/10/10 (水) ~ 2018/10/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

サヘル・ローズは娼婦役なんだけど、上品なイノセンスと、芯のある強さと、媚びない誇りがあって最高だった!サルトルの戯曲なのに、自警団に追われる朝鮮人をかくまう話になっていてびっくり。見事な翻案だった

平成三十年のシェイクスピア

平成三十年のシェイクスピア

コンプソンズ

王子小劇場(東京都)

2018/07/18 (水) ~ 2018/07/22 (日)公演終了

満足度★★★★

おもしろい。安倍晋三がなぜ昭恵をあそこまで庇うのかの深層心理を解明し、藤原紀香・片岡愛之助夫妻のコンプレックスをかきわけ、秋篠宮一家の不幸を笑いに転化する。小劇場でなければ見られない現代風刺喜劇の怪作。劇さんに知り合いもいない全くの第三者ですが、充分笑えました。

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