GREAT CHIBAの観てきた!クチコミ一覧

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やってきたゴドー

やってきたゴドー

劇団東京乾電池

駅前劇場(東京都)

2017/01/18 (水) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/21 (土)

座席1階1列

2週間前の「ゴドーを待ちながら」の躍動感に沸き立ったのと比べると、こちらの芝居はちょっと停滞感が強く、何とももさっとしたような芝居で、75分という時間がやけに長く感じられた。

ネタバレBOX

ゴドーは「私がゴドーです」と繰り替えすだけだし、それを無視し続けるウラジーミルとエストラゴン。ウラジーミルはやたら怒鳴り続ける。やたらと雄弁なラッキー。ステロタイプなセリフ回しを繰り返すポッツオ(私に聞いてください、と)。
では、つまらなかったかというとそんなことはなく。よくよく、人間というのは勝手なもので、神を持て遊ぶ存在なのだな、あるいは、神は人間のおもちゃなんだなと思わせてくれる作品でもある。永遠と来ないゴドーを待ち続けるしかない人間の脆弱さ・矮小さが描かれた「ゴドーを待ちながら」に比して、この作品の人間は傲慢で尊大だ。やっと来たゴドーをひたすら無視し続け、その存在を顧みることをしない。自分たちの些末な事柄に延々と耽溺し続ける。繰り返される「受付」の手続きは、信仰や免罪さえも手続きなくしてはありえない、という形式主義。最後のシーンは、「神は死んだ」という比喩なのかな。(まあ生きていたけれど、これもゴドーが人間回帰した、まあ俗化したと取れないこともない)
なので、何なちょっと陰鬱な気がしてしまった。
やっぱり、ベケットさんが観たらどう感じたかを考えてしまう。別役さんはあ、そんなのどうでもよいよ、と言うかと思うけれど。どうとらえるかは様々でしょうけれど、一見の価値はありますよ。
フォトジェニック

フォトジェニック

鵺的(ぬえてき)

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/01/10 (火) ~ 2017/01/15 (日)公演終了

満足度★★★★

本当にテンポよく話が進んでいき、そのテンポのよさが、本編を貫通するおぞましさをどんどん高めていきます。1人2役をセリフだけで演じることや、映像を使うことで、ごちゃごちゃしやすい舞台上をすっきりとさせており、判りづらくなりそうな筋立てを簡潔にしてくれています。
橋本恵一郎さんの乾いた滑舌と、感情の露出を一切遮断する目の演技は小劇場ならではの快楽でした。(大きな劇場では感じられなかったでしょうから)
また、鵺的を体現する奥野亮子の薄幸演技はもう鉄板の域ですね。(私生活でのお幸せをお祈りしています)
そして、チケット前売り完売おめでとうございます。今年も、鵺的に期待できそうです。よい芝居を見せていただきありがとうございました。

ネタバレBOX

小崎愛美理さん、帰り際にお近くで拝見いたしましたが、さすがにおきれいです。彼が男性の役ということが途中で判った時には、さすが、この倒錯感は鵺的だな、と感心しきりでした。「肉便器」「すりこぎをアナルに」というセリフは刺激的でした。(電話をかけてくる編集者役の声とのギャップが、こうしたセリフのエキセントリックさをきわだたせていましたね)
ラストのゲストは「天使を汚せ」を拝見された方であれば、すぐお判りになると思いますが、彼女あの芝居では生きているんだよねえ。それに、この芝居では、〇は彼女を愛していることになっているけれど、「天使を汚せ」では憎んでいるから、やはり別人ですね。
ラストについては、批判的な評価が見られますが、設定が悪いというのではなく、全てゲストさんに言葉で説明させたことに問題があるのだと思います。その分凍てつきかけた空気がちょっとぬるくなってしまったかと。もう少し、演出で感じさせるようなところがあるとよかったのだと思います。ましてや、あっけらかんと、モデルで採用を申し込んでくるというも、その後の話の暗転を狙ったのでしょうが、やや蛇足気味な感じがします。観客の知らない間にすでにモデルになっているとかね。
ラスト近くのカメラマン(橋本恵一郎さん)が宣言通り舞台は戻ってこなかったこと、ラストの場面で死んだはずの✖✖が入ってきて客席に背を向けて座るところ、そして一瞬暗転すると壁にかけてある4人の写真がおぞましく変化していること、こうした演出の妙が、ラストの評価を一層厳しくしているのかもしれません。
ちなみに、あの胎児はどうしたのでしょうか。次作の布石の感もありますよね。
ゴドーを待ちながら

ゴドーを待ちながら

劇団東京乾電池

ザ・スズナリ(東京都)

2017/01/05 (木) ~ 2017/01/10 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/08 (日)

ゴドーはお2人のお父さん柄本明さんと石橋蓮司さんの舞台を観たことがある。言わずもがな、エストラゴンが柄本さんで、ウラジミールは石橋さんだ。明さんと時生さんは、芸風が似ていて、エストラゴンとのぼけた味がとてもよく出ていた。時生さんは、弟なのに老成している感じがあるし、脇に回っても全く嫌味にならない。うまいというよりか、存在が納得感を持たせるので、テレビなどでも、どのような役をやっても違和感を出すことはない。むしろ、天性のバイプレーヤーなのだろう。年齢とともに凄みのある役もこなせるようになっていくのだろうと思う。
さて、お兄さんの佑さんである。登場した瞬間から「うまい」と唸ってしまった。その歩き方、表情、セリフ回し、そう完成しているのだ。ウラジミールとして足りないとすれば、老い、哀切、擦り切れ感、そうしたものだけだ。と同時に、時生さんと比べると、当面、役者としては難しいだろうな、とも思った。石橋さんのように灰汁が強く、自分を押し出す芸風でもない。芝居がうまくて、それで人柄のよさがにじみ出てしまう。脇で使うには主役を立てるというより、主役を食ってしまうだろう。とはいえ、主役にするほどの押しがあるわけでもない。早くよい演出家(お父さん以外)と巡り合い、佑さんの他にはない一面を引き出しててもらえることを願ってやまない。実際テレビの「コック刑事」は、落ち着いた演技の中で、視聴する側の心をくすぐる面白味があったし。でも深夜ドラマだからあの役は可能であったので、何か1つ抜け出して欲しいなあ。

ネタバレBOX

この舞台、2人の若さが物足りないんだけれど、一方でギャグパートになると、若くて動けるということがとても素晴らしい。ラッキーの首の縄を使って縄跳びになるところなどは、躍動感溢れていました。やるときは後先見ずに徹底してやるところは、乾電池イズムなのかな。また、数年後の2人のゴドーが観たい。
ignition

ignition

演劇ユニットP-5

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2017/01/11 (水) ~ 2017/01/16 (月)公演終了

満足度★★★★

まさにシチェーションコメディ。状況の変化が、バカバカしい笑いを誘うのだけれど、そのシチェーションに至る理由が、多弁に過ぎない範囲できちんと所々で、説明されているのがよい。何でこんなことが起きているのか、不具合なく話がさくさくと進んでいく。だから、観客も「?」となることなく、素直に笑いに入っていくことができる。3つのユニットで演るということで、テイストはもちろん、ラストも若干違うらしい。時間があれば他のユニットも観てみたい。

ネタバレBOX

説明となるのは、博士が買ったアンティークの仕掛け、助手の音(楽?)の趣味、なぜ同じ服装が2着あるのか、拉致された男の異常な記憶能力(記憶の共有や開錠のパスワード暗記に通じる)、新婦の男性の趣味、秘書の科学おたく、薬の効果など。これらが、きちんと劇中で述べられている安心感は半端ではない。脚本の作り込みがしっかりしている。ともすれば、面白さのみを追求して、独りよがりな展開に陥ってしまうコメディも多い中、丁寧な作りだ。ただ、ラスベガスのホテル代の件は見当ついたし、ストーリーが人情話に落ち着くことは、ちょっと残念。ラストの落ちも、もう少し判りやすくなっていればと思う、「いいよ」(?)「いいや」(?)どちらか、滑舌(あえてぼかしたのかな)のせいか、聞き取れない。薬の効果と言うなら、あれだけ飲んでいた、博士の方で落とした方が面白かったかも。
幸福のとき

幸福のとき

立花座

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2017/01/06 (金) ~ 2017/01/09 (月)公演終了

満足度★★★★★

寡聞して原作者の莫言という方を存じあげないし、立花座が張芸謀という映画監督へのリスペクトによって立ち上げられたということも不勉強だった。そして、この作品が張芸謀氏の映画になっていたことも。(そう、張芸謀って「紅いコーリャン」の監督だったんだ。)だが、そんなことは観客にとっては関係ない。結末をどう見るか、きっとありきたりとかいう者がいるんだろうけれど、私には、人生は過酷なものなのだ、そして人間は愛おしいものなのだということが改めて感じられた。その意味では戯曲として、テネシー・ウイリアムズやアーサー・ミラーにも匹敵すると思う。(ただし、彼らの作品と違うのはこの作品には心優しい人々がたくさんいること)
何書いてもネタバレになるので、ここでは書けないんですが幾つか、突っ込ませてもらいます。
序盤のところの描写には、子を持つ親として少しセンシティブになりましたけれど、、、、今の子供たちなら心配ないか。(意味わからないと思いますので、未見の方は是非ご覧ください。この劇団が子役の育成に力を入れている、というがヒントです)
リンリンの将来が心配です。
工場長さん、ピカピカの車持ってるくらいなんだから、本当は相当貯めこんでたんじゃないの。
ユイさん、本当に気持ち悪い。
ちょっと、観客席が寂しかったけれど、チケット代を考えれば観る価値は十二分あり。でも、子役は皆うまいなあ。ラストは横を通られて少し目頭が熱くなりました。(意味わからずでごめんなさい)

ネタバレBOX

やっぱり、ラストをどう見るかということだと思います。全てを不安に包ませたまま終わっていくラストは、実は他の役にも皆あてはまることで、彼らはひどい怪我は負っていないしいなし、目が見えないわけでもない。そして主人公2人のこれからを思うと深い苦しみ・悲しみを覚えずにはいられないのだけれど、それはこれからの自分にも起きるかもしれないこともよく分かっている。だからこそ、それまで主人公2人とそれをとりまく彼らの笑顔が、全て愛おしい。
実はこのことは、「評判の悪い女」アイリンにも当てはまるのではないかな。彼女もつも不安にさいなまれている。それと、チャオは別れ話を言われたときに気付いたんじゃないのかな。だから、捨て言葉1つ言わなかったんだと思う。ただ、悲しいかな彼女には、フーさんやティオンさんやチェンさんetcのような人々がいない。彼女は底のないほど孤独なんだろう。
周りの皆が、初めはチャオの結婚のために頑張るんだけれど、それがだんだん、チャオも含めて、ウーィンのためだけを思って奮闘努力するようになる姿が、自然ですごくよかった。だからこそ結末が生きたのでしょうね。
それと、小技ですが、ウーィンが天井の高さを測るシーンがうまいですね。あれで、全てが嘘だと確信したんでしょうね。映画もそういう場面あったのかしら。
最後に、
赤池さん、あんなに滑舌よかったのに、何で最後のインフォで噛んだんですか。
斉藤さん、終始結構色っぽかったです。何か青目さんVerのアイリンも見たくなりました。次回も期待しています。
ヘナレイデーアゲイン

ヘナレイデーアゲイン

AnK

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2016/12/22 (木) ~ 2016/12/26 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/12/25 (日)

女性を主役に設定したから「枕草子」なのかな、でも、どちらかというと「徒然草」。「日暮硯に向かいて、、、、」と流れ漂うような、日常感とささやかなドタバタ感。日々、ドラマなんてないんだということを、ドラマとしてしまう演出力には、ただただ感心しました。ただ、他の方が、前の「ヘナレイデー」の方がよかったとか書かれているのが気になって、前の作品はどんなだったろうか、とても気になります。

執事達は沈黙

執事達は沈黙

劇団ピンクメロンパン

シアター風姿花伝(東京都)

2016/12/14 (水) ~ 2016/12/18 (日)公演終了

満足度★★

テーマはとても興味深いでも、、、
まず、申し上げたいのが、終始うるさい。やたらわめき声をあげられると、正直集中力が途切れてしまいます。それはさておき、、、
最後に提示されるテーマ、それはタイトルに暗喩として示されているのだけれど、最後になるまで判りませんでした。オープニングは何に繋がるのですか?民族間の諍い、レズビアン、仲間意識、母国語、自己選択的な人生、人間の階層や不幸、迫りくる戦争、軍需産業、様々なテーマが見え隠れするのですが、それがどこにも収斂されて行かないというか。人物の配置もバラエティーに富んでいるのですが、それがバラバラに動いているだけというか。息子の嫁の存在意義は?(彼女は何に苦悩しているか、想像できないし)主人公のアジンの性格豹変の経緯は?

ネタバレBOX

この演劇のテーマは「支配」です。タイトルは見てのとおり「執事」と「羊」をかけていますが、それだけではなく、劇中でも「執事達」は「羊たち」と比喩されて、支配を受ける者とされている。その支配に対する受容の強度が、アジンに幻想(思い込み?)を生ませ、過去の支配関係の甘美な陶酔が、彼女を殺人に駆り立てる。しかし、事実は、、、となります。幽霊を全く信じなかった執事が幽霊になって問題を可決する。事の真相に一番深い洞察を図ったのがヒステリックな料理番の老女だったり、ラストは意外な展開が進みます。しかし、ラストにもう1人出てくる幽霊は何のために。なぜ、若山牧水の詩の一説が出てくるの?彼女たちの生きている時代はおそらく1930年くらいなのだろうけれど、おそらくドイツ辺りでそれは唐突過ぎません?
うーん、アイデアはとても興味深いのです。でも気持ちよくストリーが抜けていきません。
弟の戦争

弟の戦争

劇団俳小

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2016/12/07 (水) ~ 2016/12/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

題名
この演劇の舞台は、湾岸戦争時のイギリスである。なぜ、イギリスなのだろう。そんな単純な疑問を持った。おそらく、湾岸戦争の当事者であるアメリカではなく、イギリス(多国籍軍として参加はしているが)としたのは、第三者の立場、言い換えれば第三者の視線を持ってこそ、演じるべきテーマであることが重要なんだということなのだろう。
舞台は、装置に工夫を凝らし、多くの場面転換を効率よく見せる。そのテンポのよさが、幾つもの場面とセリフを、フラッシュバックのように前の場面と重ね合わせ、善良である家族の無意識の悪意を紡ぎだす。
父親の理路整然とした正義感と実態を見ようとしない無関心、母親の愛情への埋没と現象しか見ない矮小さ、それらを整然と演じられたお二人に拍手。
ちなみに、説明に書いてある「弟のフィギス」は間違い、弟はアンドリューである。そうでないと、読み誤る。

ネタバレBOX

タイトルを見て、つい私も勘違いしてしまった。「弟の戦争」、これは「アンドリューの戦争」ではない。「弟」と主体的に言えるのは兄しかいないのだった、と芝居の途中に気が付いた。
兄トムがアンドリューが生まれる前に会っていたフィギスは、潜在化にいた悲惨な世界に対して覚醒する前のトムなのだね。ラストでフィギスがいなっくなったのは、トムがフィギスと一体になれたことを示し、これは世界へ眼差しを獲得したという点で幸福であり、1人と少年としては悲劇だったのだろう。冒頭から終末まで、自らの中でトムとフィギスの2役を演じきった、主人公には拍手。
元天才子役【いよいよ千秋楽!当日あります!】

元天才子役【いよいよ千秋楽!当日あります!】

元東京バンビ

スタジオ空洞(東京都)

2016/11/25 (金) ~ 2016/12/05 (月)公演終了

満足度★★★★

やはり全力疾走
コメディで人を笑わせるということは難しい。少人数でやる芸能(漫才や落語)であれば、計算された笑いというものもあるだろうし、ネタの作り込みで公演前のチェックも入念にできるだろう。映画だったらリテイクもできる。でも、演劇となると、その計算はもちろん、やはり演者全体の熱というものが重要になってくる。リテイクはできないし、通しを誰かに何度もチェックしてもらうわけにはいかないのであるから。だから、演者1人1人が、観客の反応をうかがいながらも、同じように反応し、全力疾走しないといけない。
いやあ、面白かった、面白かった。
きっと、毎日観ると感じは違うのでしょうね。それくらいの没入感が演者皆さんから感じられました。

悲しき天使

悲しき天使

“STRAYDOG”

吉祥寺シアター(東京都)

2016/11/10 (木) ~ 2016/11/13 (日)公演終了

満足度★★★

サブストーリーの方が面白い
前の方の評価ですが、まずは遅れてこないこと。それでグズグズ言っているようでは、ちょっとわがままではないの。サービス云々も、イレギュラーなことなので、まあ、仕方ないのでは。私、この劇団の芝居ははじめてですので、他での対応は判りません。

さて、この舞台、メインとなる男女の物語が、なんともはや。なぜ惹かれあうのかが、全く判りません。心の機微が見えないのですね。だから芯がなくてつまらないかと言えば、サブストーリーが演技も含めとーてもよくできている。やり手婆や、娼館の主人、頭の弱い娼婦と女師の関係、そちらがメインストーリーでもよいくらいで。

さて、最後にサイン会。河合さんは男前ですね、男の私が観てもほれぼれしました。女性の皆さまは、役柄のため、皆薄着でさすがにドキドキしました。こういうのは、年齢関係ないですね。

私はメインストーリー除いて、おおむね楽しめましたよ。

ネタバレBOX

主人公2人の関係の浅さは、終盤のなぜ女主人公が殺されたのかの場面でてきめんに現れる。彼に人を殺させたくなかったとして、でも自分が殺されちゃったらダメでしょう。ましてや、主人公が殺そうとした男を、守る理由もないんだから。また、女主人公の背景も、今一つよく判らないので、彼女の不幸がよく判らない。彼女は、不幸なの?でなければ、「悲しき天使」にはならないじゃない。
「女師」というのも、重要なキーワードなんだろうけれど、有効には使われていなかったと思います。「ヒモ」ではなく、「女師」というのは、かなり魅力的な設定なんだけれどなあ。

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