弟の戦争 公演情報 劇団俳小「弟の戦争」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    題名
    この演劇の舞台は、湾岸戦争時のイギリスである。なぜ、イギリスなのだろう。そんな単純な疑問を持った。おそらく、湾岸戦争の当事者であるアメリカではなく、イギリス(多国籍軍として参加はしているが)としたのは、第三者の立場、言い換えれば第三者の視線を持ってこそ、演じるべきテーマであることが重要なんだということなのだろう。
    舞台は、装置に工夫を凝らし、多くの場面転換を効率よく見せる。そのテンポのよさが、幾つもの場面とセリフを、フラッシュバックのように前の場面と重ね合わせ、善良である家族の無意識の悪意を紡ぎだす。
    父親の理路整然とした正義感と実態を見ようとしない無関心、母親の愛情への埋没と現象しか見ない矮小さ、それらを整然と演じられたお二人に拍手。
    ちなみに、説明に書いてある「弟のフィギス」は間違い、弟はアンドリューである。そうでないと、読み誤る。

    ネタバレBOX

    タイトルを見て、つい私も勘違いしてしまった。「弟の戦争」、これは「アンドリューの戦争」ではない。「弟」と主体的に言えるのは兄しかいないのだった、と芝居の途中に気が付いた。
    兄トムがアンドリューが生まれる前に会っていたフィギスは、潜在化にいた悲惨な世界に対して覚醒する前のトムなのだね。ラストでフィギスがいなっくなったのは、トムがフィギスと一体になれたことを示し、これは世界へ眼差しを獲得したという点で幸福であり、1人と少年としては悲劇だったのだろう。冒頭から終末まで、自らの中でトムとフィギスの2役を演じきった、主人公には拍手。

    0

    2016/12/08 10:45

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大