満足度★★★★★
題名
この演劇の舞台は、湾岸戦争時のイギリスである。なぜ、イギリスなのだろう。そんな単純な疑問を持った。おそらく、湾岸戦争の当事者であるアメリカではなく、イギリス(多国籍軍として参加はしているが)としたのは、第三者の立場、言い換えれば第三者の視線を持ってこそ、演じるべきテーマであることが重要なんだということなのだろう。
舞台は、装置に工夫を凝らし、多くの場面転換を効率よく見せる。そのテンポのよさが、幾つもの場面とセリフを、フラッシュバックのように前の場面と重ね合わせ、善良である家族の無意識の悪意を紡ぎだす。
父親の理路整然とした正義感と実態を見ようとしない無関心、母親の愛情への埋没と現象しか見ない矮小さ、それらを整然と演じられたお二人に拍手。
ちなみに、説明に書いてある「弟のフィギス」は間違い、弟はアンドリューである。そうでないと、読み誤る。