小劇場!中高生!大往生!3
花まる学習会王子小劇場
王子小劇場(東京都)
2015/07/24 (金) ~ 2015/07/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
澱みのない演劇
当日パンフレットで山崎さんが今回の公演を「澱みのない演劇」と評していましたがその通りでした。
公演本番の3日前に出会った中高生がワークショップ(サマースクール)を通じて一本の作品を作り上げる試み。
王子小劇場が3年前から取り組んでいるプロジェクトのようでしたが今回が初見。
たぶん30分くらいの作品を一本かな~、と高をくくっていきましたが2時間20分の上質な演劇を観ることが出来ました。
中身としては、出演者の自己紹介と身の回りのエピソード以上のものはないんだけれど、それだけでものすごく豊かな空間になっています。
ピュアなんだけど「面白いことやってやるぜ」っていう姿勢が出演者全員から感じられて、普段観る芝居よりも数倍爆笑しながら観ることが出来ました。
陳腐な言い方ですが、中高生×演劇で本当に奇跡のような瞬間が観られました。再演とか絶対不可能なので時間のある方は絶対に行ったほうがいいです。
みんなの宅配便
EPOCH MAN〈エポックマン〉
明大前KID AILACK ART HALL 5F ギャラリー(東京都)
2015/06/27 (土) ~ 2015/07/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
2バージョン制覇
本当に舞台が好きじゃないと作れないけど、誰が見ても面白い素晴らしい作品でした。
前回の小沢さん×小角まやさんのペアに続き、小沢さん×川本さんペアを観てきました。
小沢さんの女性役をここまで間近で観られたのは貴重な経験でした。
客席には女性のお客さんが多く開演直後から爆笑の連続で非常にあったまった状態で舞台が進んでいきます。
物語が不穏な空気を漂わすにつれて、暖かかった客席に緊張感が満ちていました。二人の力関係が目まぐるしく変わっていき、突っ走った展開になりますが、最後も安易な解決にもっていかず胸が苦しくなるラストです。
初日と演出が変わっていた上に、男である小沢さんが女性を演じることで舞台がぎりぎりまで抽象化され、より普遍的なものを表現できていた気がします。
自信を持って人に薦められる作品です。
みんなの宅配便
EPOCH MAN〈エポックマン〉
明大前KID AILACK ART HALL 5F ギャラリー(東京都)
2015/06/27 (土) ~ 2015/07/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
豊かな演劇空間
初日に小角まやさんとの初回を観てきました。
上演時間はたったの65分でほぼ密室での会話劇だけれど、小沢さんが当日パンフレットに書いているとおり本当に豊かな演劇空間でした。
65分の間に笑ったり泣いたり笑ったり泣いたり心を揺さぶられっぱなしです。
狭い劇場で客席も限られていますが終演後は本当に大きな拍手でした。
ほとんどの回は前売り売り切れですが、可能性にかけて当日券を並ぶ価値がある作品です。
金と銀の鬼─チェインソウル─
X-QUEST
王子小劇場(東京都)
2015/06/17 (水) ~ 2015/06/28 (日)公演終了
満足度★★★
凄かったけど・・・
どんな劇団か全く情報を入れずに観に行きました。
始まってからは役者さんの驚異的な身体能力を活かした殺陣に圧倒されっぱなしでした。最初はサーカスを観る感じで楽しかったのですが、正直途中から飽きてしまいました。
確かに殺陣はすごいけど、2時間10分も殺陣ばかりだとどうでもよくなりました。
殺陣ばかりでストーリーに使う時間が少ないうえに「この人たちの目的とその動機はなに」があまり説明されず雰囲気だけで前に進めているのでのれません。
登場人物も半分くらいの人数でいいのでは、というくらい無駄な人が多かったです。
マイナスなことばかり書いてしまいましたが、宣伝の通り殺陣は本当にすごいのでこれだけでも観る価値はあると思います。
山の声-ある登山者の追想
カムヰヤッセン
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2015/06/18 (木) ~ 2015/06/21 (日)公演終了
マインドファクトリー~丸める者たち~
かわいいコンビニ店員 飯田さん
王子小劇場(東京都)
2015/06/10 (水) ~ 2015/06/14 (日)公演終了
満足度★★★★
胸くそ悪かったです(いい意味で)
観ている間中ずっと胸くそが悪かったです(いい意味で)。
そして、見終わった後にこんなにカタルシスがないのも久しぶりでした(いい意味で)。
物語は田舎の高校野球部のメンバーとその監督を中心に話が進んでいきます。
この監督がまぁ、理不尽・でかい・顔が怖いと現実世界では絶対に関わりたくないタイプの人間で。
なんだが松岡修造から愛を引いて暴力を足したようなそんな人物でした。
弱小だった野球部をベスト16にまで導いたってことで周りの教師やら町の人やらには評判が良くて。
暴力行為もなんだかんだ好意的に解釈されて全部うやむやにされていくという。
主人公のキャプテンをはじめ野球部員は逃げるに逃げられず不満をぶつけられるわけもなくただひたすら耐え続けるという地獄のような状況なんです。
でも、この構図って「田舎」とか「体育会系」とかあんまり関係なくどこにでも転がっている、言ってしまえば「ありふれた話」でもあるのでは。現に体育会系とは縁遠い生活を送ってきた身でも、理不尽な禅問答ふっかけてきたり、力関係をフル活用するやつは人生でいくらでも出会ってきたなぁと。
そして、もちろん一番むかつくのは野球部監督なんですが、それを良しとしてしまう周りの大人だったり、抜けると決めてもビビってしまって結局従うだけの周りの部員とか、最終的に屈してしまう主人公とかも含めて自分を重ねて、凄いいやな気分になるんですよ。
パンフレットで作・演の池内さんも書かれていましたが、(おそらく作品の結構な割合が池内さんの身に起きていたこと)まだ出来事から抜け出せていない。どうすればいいのかわからないっていうことなんじゃないでしょうか。
第3回公演ということで、これから長いお付き合いになりそうな劇団になりそうです。いつか、この現実を乗り越えられるような作品を作ってくると嬉しいです。