満足度★★★★
胸くそ悪かったです(いい意味で)
観ている間中ずっと胸くそが悪かったです(いい意味で)。
そして、見終わった後にこんなにカタルシスがないのも久しぶりでした(いい意味で)。
物語は田舎の高校野球部のメンバーとその監督を中心に話が進んでいきます。
この監督がまぁ、理不尽・でかい・顔が怖いと現実世界では絶対に関わりたくないタイプの人間で。
なんだが松岡修造から愛を引いて暴力を足したようなそんな人物でした。
弱小だった野球部をベスト16にまで導いたってことで周りの教師やら町の人やらには評判が良くて。
暴力行為もなんだかんだ好意的に解釈されて全部うやむやにされていくという。
主人公のキャプテンをはじめ野球部員は逃げるに逃げられず不満をぶつけられるわけもなくただひたすら耐え続けるという地獄のような状況なんです。
でも、この構図って「田舎」とか「体育会系」とかあんまり関係なくどこにでも転がっている、言ってしまえば「ありふれた話」でもあるのでは。現に体育会系とは縁遠い生活を送ってきた身でも、理不尽な禅問答ふっかけてきたり、力関係をフル活用するやつは人生でいくらでも出会ってきたなぁと。
そして、もちろん一番むかつくのは野球部監督なんですが、それを良しとしてしまう周りの大人だったり、抜けると決めてもビビってしまって結局従うだけの周りの部員とか、最終的に屈してしまう主人公とかも含めて自分を重ねて、凄いいやな気分になるんですよ。
パンフレットで作・演の池内さんも書かれていましたが、(おそらく作品の結構な割合が池内さんの身に起きていたこと)まだ出来事から抜け出せていない。どうすればいいのかわからないっていうことなんじゃないでしょうか。
第3回公演ということで、これから長いお付き合いになりそうな劇団になりそうです。いつか、この現実を乗り越えられるような作品を作ってくると嬉しいです。