プルーフ/証明(元田 演出ver.)
DULL-COLORED POP
シアター風姿花伝(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
面白いか面白くないかで言えば、面白かった。
過去も含めて5バージョン観た中で、最も観やすい。過去のバージョンは概ね舞台美術がシンプルで、観客の想像力で何処までも補完出来ると同時に、想像が苦手な人にとってはちょっとハードルがあった。けれど今回は舞台美術がそれなりに準備されていて視覚的にまず説得力があるので、空間を信じる事が出来る状態から物語に入って行ける。ダルカラも役者も全く知らない人に純粋に戯曲を知ってもらうには程好い。
『谷バージョンを観逃してこの戯曲は気になってるけど、彼ではない演出助手のバージョンだからなぁ…』なんて観に行くスイッチが入らないでいる人がいるなら、とにかく今すぐ予約する事をおススメします。
が、ベタ褒めではない。
久々に「お薦め!」をチェックしたけど、あくまで「舞台を初めて観る方に」だからね。
元田さんのオリジナル作品を観られる機会もいずれあるのかな。期待してます。
プルーフ/証明(谷 演出ver.)
DULL-COLORED POP
シアター風姿花伝(東京都)
2013/05/24 (金) ~ 2013/05/27 (月)公演終了
何カラードポップ?
「演出:谷賢一」って事は、普段通りにDULL-COLORED POPなんじゃないかと事前に想像していた。でも今回は「演出だけ」。普段なら彼が演出の他に担っている製作総指揮を、今回は団員がこなしている。つまりは稽古場を何処にするとか何回やるとか、スタッフを誰にするとか、小屋入りしてからの動きのプランニングも団員が決めている訳で。作風は確かに谷色が濃い。でも、何かが違った。これは可能性を生む、価値ある違い。
過去に上演されたこの演目を何度も観ているので、話は分かっている。でも先を考えずに新鮮な気持ちでいられた。先よりも今、目の前の出来事を観ていられたからだろう。求心力とでも言うか。
(三島由紀夫『近代能楽集』より)
アムリタ
Studio Do Deux Do(東京都)
2013/05/23 (木) ~ 2013/05/24 (金)公演終了
密会。
公演というよりも密会の雰囲気。いけないものを観てしまった様な、でも心地よい恍惚感。
観た回の時間帯によって印象も変わるであろう、その違いも楽しみどころ。
くりかえし無限遠点
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2013/05/17 (金) ~ 2013/05/20 (月)公演終了
山岡さんの脚本を目当てに。
2週の内に3作品も担当してるなんて、こりゃなんかあるぜ。しかもfeblaboが脚本を書かせたとなれば、やっぱなんかあるぜ。てな感じで3作品とも観てみた締めがこれ。
駄目なダーウィン舎「いのちだいじに」を観た時点で山岡さんがこういうものを書ける予感はした。過去にこういうものを書いていたかどうかは別にして、引き出しの中に持っている気がしたのです。結果、そつなくこなしてくれやがりましたね。序盤3分くらいで「あ、この完成度はラストまで保障されてるな」と察して、安心して観ていられました。
出演者の達者具合も◎。
寅と卯
片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2013/05/14 (火) ~ 2013/05/19 (日)公演終了
なるほど。
ひとまず、「時代劇はファンタジーになりやすい」という持論がある。意図してもしなくても、だ。
実際には現代を遡った設定なのだから世界観まで完全な虚構ではない。でも生活風習・言葉遣いなどが、現代人である客席の人々とは異なる。理解し合えない不思議さんがファンタジーな存在に感じられる様に、理解し切れない世界観もまたファンタジーになってしまう。その違いの架け橋となるのは、役者の存在感にどれだけ説得力があるか。気の強そうな設定の人物が本当に気が強そうに見えるかどうか。自信を持って演じ切っているか、その為に表面に現れる印象が結実しているかどうか。
この演目は、役者の仕事振りを観るべき芝居だった。
あかいくらやみ~天狗党幻譚~
阿佐ヶ谷スパイダース
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2013/05/05 (日) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
初スパイダース。
コクーンの広い空間であんなにシンプルな見せ方をするとは。勝手な思い込みで、結構ごちゃごちゃした視覚情報を与えてくるんじゃないかと思っていたものの。冒頭のほぼ無言でしばらく流れる時間は魅入った。見せ方よりも、感じさせ方だったか。
けれどその後の語り出してからがどうもなかなか響いて来ず。せっかく小栗さんの長台詞だったのだけど。距離の問題でもなかっただろうし、役者能力の問題でもなかった気がする。何故なのか判断が付かずにモヤモヤ。他、笑って良さそうな部分でも今日は客席の反応が鈍く。雨の影響?
小野武彦さんの存在感、声の深さに感銘。
いのちだいじに【全6ステージ終了しました!】
駄目なダーウィン舎
アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)
2013/05/09 (木) ~ 2013/05/12 (日)公演終了
とうとう現れた。
山岡さんが担当する脚本が近日いくつか上演される事に気付いて、まずホームでの在り方を観てみたくて当日券にトライ。結果、これはもしやとんでもない旗揚げの瞬間に立ち会えたのではないかと、背筋が少し震える。
何年か振りに確信を持てる注目株。初めて柿喰う客を観た時以来の感触だ。
これはもう学生演劇とは呼べない。「学生が演劇をやっている」のではなく、「演劇をやっている彼らがたまたま学生」なのだ。
脚本・演出・役者・音楽・照明いずれの役職に関しても、そこら辺の団体を優に越えている。何より、演劇でしっかり遊べている。何を作ろうとしているか座組で共有出来ている上で、演目の中で破壊と再構築が成されている。公演期間が長ければ初日と楽日で全く違う作品に出来るくらい、彼らには余裕もアイデアもある様に思えた。特に脚本に関しては、公演場所を考慮した上であえて学生らしさの範囲内に留めているのではないかと思える。持ち得る手段のまだまだ氷山の一角な予感がしてならない。
ナイスフィクション、と観劇中に思っていた。自ら説明に挙げている通りフィクションであるからこその軽々しさ、飄々とした進行、役者をも舞台美術と同等に記号としての存在に化している点など。そのままでは荒唐無稽に終わる要素を、役者の能力やセンスで充分に埋めている。脚本・演出が同一人物の場合には本人が帳尻合わせをしている印象になる場合もあるものの、彼らは分業制を取りながら各々の仕事の範疇を明確に切り分けてそれを成り立たせていた。久し振りに本当に現れた「劇団」、だ。
しかも音楽も舞台美術も劇団員がこなしている。脚本の世界観を具現化する為の術を、単純な演技の演出以外にも有しているという事。強固だ。強固な劇団だ。
役者が本当に良い。誰もみな役割を果たしていたし、何より基礎能力が高い。特に少年役の宝保さんの身のこなしに目を見張った。きっとこの人は踊れる人だと思っていたら、中盤に踊った時にやはりキレがあった。っていうか他の人もかなり動けるほうだし、発声も良かった。基礎能力が高いのは鍛錬の賜物であって先天的なものではない。信用に足る能力値。
煮え切らない3000円の芝居を観に行くくらいなら、これを3回観たほうがいい。
花のゆりかご、星の雨
ENBUゼミナール
王子小劇場(東京都)
2013/05/10 (金) ~ 2013/05/12 (日)公演終了
まずは初日お疲れ様でした。
緊張具合はキャストからもスタッフからも伝わってきました。その為に客席をも固い空気が包んだ気も。適度な緊張は集中力を生みますが、過度になると自身や相手の状態に鈍感にもなる。あと少しの余裕があるといいですね。
劇場を出たら普段演劇を観ないであろう方々が『すごかった!』とか『よかった!』とかいう姿があったのが何より。今後みなさんが友人知人以外にもそう言ってもらえる役者になっていく事を切に願います。
成果発表会である性質上、あまり細々と突くのも無粋に思えるので、それはネタバレBOXにて。(結局は突く)
放課後グリム
花まる学習会王子小劇場
王子小劇場(東京都)
2011/07/24 (日) ~ 2011/07/24 (日)公演終了
曽我蕭白
LiveUpCapsules
atelier SENTIO(東京都)
2013/05/02 (木) ~ 2013/05/05 (日)公演終了
分かりやすくて、良かった。
難しくなくサラッとしててちょっと人間味のあるお芝居を観たい時なら凄く合う演目。自分としてはちょっと疲れていたタイミングで観たので、良い意味で浪費させられず気楽に共有出来る空間だった。
作者が曽我蕭白に心酔していないところがいい。しっかり題材の域に留めていて、説教臭くも知識の押し付け感もない。雰囲気的には、NHKの歴史ドキュメントの再現VTRとかにありそうな感じ。朝でも夜でもどのコンディションでも観られる。
特筆して挙げる必要がないくらい、役者もみんな良かった。
focus. 神話
ミームの心臓
王子小劇場(東京都)
2013/05/02 (木) ~ 2013/05/08 (水)公演終了
どうしてそうなった。
大学生。やらない理由をわざわざ見付けてモラトリアムするよりも、見切り発車でも情熱とちょっとした勘違いで強行したほうが良い年頃だ。更に彼らは見切り発車ではなくしっかりプランニングをして、勘違いではなく信念があったと思う。勝手ながら客観的にそれを感じたから、観に行く気になった。個人的な知り合いは誰一人いない。だからこそ新たな出会いを期待した。
ハイブリットハイジ座は早稲田の別企画で目にしてまた観たかったから、おかわりしに行った気分だ。白い米を丼でかっこみたくなる味の濃い奴らだ。3杯くらい食べたと思う。正直わざわざ感想とか言うのめんどくさい。語るよりも体験して何ぼの団体。正統派の斜め上。パチもんばっかのディズニーランドみたいだ。年間フリーパスが欲しい。
ミームの心臓は旗揚げ初期から気には掛けていた。恐らく好みじゃないだろうなと予想しつつも、息が詰まる様な何かをしれっとかます団体なんじゃないかと思っていた。結果、上演中に自分は何回溜め息を吐いてしまっただろう。「なんだこれは、誰に向けてやっているんだ。分かる人だけ分かればいいのか?」という心境の下、上演中に席を立とうかと考えました。これを60分観るくらいなら一旦深呼吸しにランチにでも行って次の演目を期待しよう、そう思った。しかし全て観なければ作り手の意図を受け止めた事にはならないというポリシーで最後まで観た。ぶっちゃけ、単なる意地だ。でも結局、受け止めたくならなかった。
四次元ボックスは日本の問題でも観た。その際もテーマに沿った各団体の短編が並ぶ中で、彼らの演目だけはどうテーマに沿っているのか分からなかった。たまたまその時そういう挑み方をしただけで今回はきっちり沿わせてくるかもしれないと考えたが、やはりまた沿っていたとは思えなかった。だったら何故テーマのある企画公演に出ているのか。テーマに沿うよりも自分達の作風を優先したいというなら、単独公演でやればいい。
この企画はどう捉えるべきだったのか。「学生劇団が頑張っている」というレッテルを利用したかったのか不要だったのか。フライヤーの文面からすると「学生演劇の枠を早々に飛び越え」とか「若干二十一歳」とかの言い回しを自ら選んでいるし、利用したかったんだろう。が、「勢いのある学生団体なら観てみよう」と、演劇に興味の薄い人が触手を伸ばすかどうか。学生団体とは学生が主軸の団体であり、個人的には決して片手間でやっているイメージはないのだけど、一般的には「社会に出る前に一時的やっている」と捉えるのではないかな。それを打ち破りたいなら、各団体に出身学校の記載は要らなかった。「これから演劇界を背負って立つ注目の若手団体が今回だけの共演」とかのほうが目を引いたんじゃないだろうか。少なくとも自分は勢いのある学生団体を観たくて行った。全く意味のない比較になるが、4~5年前に学内で観ていた学生団体のほうが勢いも本気さも感じられた。
で、学生イメージを押しているのに受付対応が機械的な企業染みていたのがまず入場前に違和感だった。それこそフォーカスを何処に当てればいいか分からなくて。そして終演後、個人的に大嫌いな『次の回が迫っていますのでお早めにご退席ください』というアナウンス。それはそういうスケジューリングにした自分達の責任であって、観終わったら早く帰れと強制する理由にはならない。それがあったから紙アンケートがなくWEBで答えるシステム(終演後に個人アドレスにフォームへのURL付きメールが届く)も、アイデア自体は評価したいのに、その場で書かれたら次の回に影響するからだなと邪推してしまって。終演後すぐにメールが来た対応の良さは好印象だったが、まずもってWEB環境のない人はどうしろというのか。予約時にアドレスを伝えていない人には届かない。紙と鉛筆を使いたいご年配の方々は顧客対象に見ていないのか。
プロデューサーは確かに仕事をしているのを感じる。が、戦略の中心部は達成しているが外枠付近が脆弱だった気がしてならない。専任制作者をパートナーに引き入れていれば企画としてもっと強固になっていたはず。残念だ。
明け星の頃には ~セロ弾きのゴーシュ~
ゲンパビ
シアター風姿花伝(東京都)
2013/05/03 (金) ~ 2013/05/05 (日)公演終了
キレイだ。
シンプルな舞台装置ながら照明の使い方が効いていて、ニクい空間演出。お洒落なカフェ公演の雰囲気もあって良い気分でいられました。
物語自体は他人との分かり合えなさや勘違いを主軸に、目崎さん演じるゴーシュを下敷きにした主人公の周囲を描いていくスタイル。各場面同士の繋がりは若干弱めに感じたものの、何より空間が統一出来ているので流れとして自然に観ていられた。
これが企画公演となると、本公演はどうなっているのか。今回観られたのは収穫。いずれ本公演にも行ってみたくなりました。
フェルナンド・アラバール「戦場のピクニック」フェスティバル
die pratze
d-倉庫(東京都)
2013/04/23 (火) ~ 2013/05/06 (月)公演終了
個人的には楽しめた。が、
当日パンフレットもアンケートもなく、3団体の上演が続いて終わるだけ。出演者クレジットを記載した紙を用意するかどうかも各団体に委ねている模様。なんだ、この投げっぱなしな企画は。フェスティバル感が全くなくて、他の日程を観たくなる要素がプロデュースされていない。
こういう企画こそアフタートークとか、何だったらまず最初に企画意図の説明(最低でも10分くらいのがっつりしたやつ)とかが欲しかったと思います。各団体は全力で演目に挑んでもらって、それらを更に受け入れやすい環境を用意する為にアプローチをするのが企画側の命題。
少なくとも自分が観たこの組み合わせが2500円で観られるのは安価だと思います。また観たい団体もありました。でもそれは団体の力であって、「戦場のピクニック」であった事やこの企画であった事の必然性は感じませんでした。
各団体の感想はネタバレBOXへ。
芋と殿様
劇団河馬壱
ウッディシアター中目黒(東京都)
2012/06/08 (金) ~ 2012/06/10 (日)公演終了
私情を挟まざるをえない。
Cozyとは柏市民劇場CoTiKの演目で10数回、役者と演出家として組んでいる。彼のホームである劇団河馬壱での出演数よりも多くなってしまったが、CoTiKの公演では打ち上げの度に、自分は日本で二番目に彼を上手く扱える演出家であれば良いと思い、またそれを口にしてきた。そして今回初めて河馬壱を観た。自分としては彼の良い所も悪い所もある程度は分かっているつもりだ。しかし、観ていてハラハラする。演目は強固なもので、稽古不足が見えることもない素晴らしい出来だった。しかしハラハラした。寿命が縮んだ気がする。その分、彼の寿命が延びればいいとか思ったりした。
過大な評価癖
多少婦人
OFF OFFシアター(東京都)
2013/04/10 (水) ~ 2013/04/14 (日)公演終了
2人の藝術家の話/鬼火
一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド
鎌ヶ谷市東部学習センター・レインボーホール(千葉県)
2013/04/06 (土) ~ 2013/04/07 (日)公演終了
見事な異空間。
上演場所は公共施設。いわゆる多目的ホールが会場。しかし入った瞬間、既にそこは演目の世界が始まっていた。「あ、これは刺激的な演目だ」と直感。自分の勘が良かったのではありません。開演前にそれを受け取れるだけの空間演出が整っていた。
開演後、役者の役者たる姿をまざまざと目の当たりに。開始5分くらいで、いやこれはそこら辺の人には出来ないぞと脱帽。客席にいる人間と同じ構成物質であるはずの存在が、最強の台詞発話マシーンと化している。能や狂言を思わせる型の発話術。鍛錬の賜物。同時に、台詞を口にせず自らの身体を舞台美術の一部と化して動く役者の姿も眼福。
彼らが自分の住む街のすぐ近くで活動しているという事もまた、今後の演劇の在り方に希望を持てた点。都内でなくても演劇は出来るし、地方ならでは活動方法も必ずある。
紙風船文様
カトリ企画UR
atelier SENTIO(東京都)
2013/03/30 (土) ~ 2013/04/07 (日)公演終了
ゼガヒデモ
Guesspell Project
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了
Blessing Orange
演劇集団グッドバイ
柏市民文化会館(千葉県)
2013/03/24 (日) ~ 2013/03/24 (日)公演終了
僕たちの町は1ヶ月後ダムに沈む *TypeA*
ソラリネ。
上野ストアハウス(東京都)
2013/03/13 (水) ~ 2013/03/17 (日)公演終了