バゲット・ネイション
ヤング・ブラザーズ
現代座会館3F 小さなNPO劇場(東京都)
2017/10/14 (土) ~ 2017/10/15 (日)公演終了
満足度★★★★
「ちぃーとばかりぼけっとしてやしませんか? バゲットに馴染んでちゃいけません。 甘さでなくしょっぱさが “買い” ですぜ!」と賭けてきた役者の、田んぼくさい(?)ブレンドがあとを引く味わい。 虫の知らせではこのクワガタ、“買い”ですぜ!
女ばかり
三度目の思春期
東京おかっぱちゃんハウス(東京都)
2017/10/13 (金) ~ 2017/10/15 (日)公演終了
ヒラエス
たすいち
シアター711(東京都)
2017/10/04 (水) ~ 2017/10/09 (月)公演終了
満足度★★★★
”居場所がない”感性が未来の居場所を作り続ける、居座ろうとしない展性が彼らの居場所であり続ける ーーー その若さを授かった。 やさしさに「包まれた」世界、その同じ世界にも”彼女”は来還する。 好空にかすむ月を目にしたとき、青寂を纏った彼女の姿に思いを凝らすことになるだろう。
はじめまして、君のレゾンデートル
劇団まんぷくちゅうすう
アトリエだるま座(東京都)
2017/09/29 (金) ~ 2017/10/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
そこそこぬくぬくあたたかいハウスだからこそ飛び交う、見えない弾話。 凝縮して顕れたとき虚実が入れ替わる、その美的興奮をシェアしてツーンと痺れが訪れる。 どうかしてると謳ってた心のロックが1本外れ、違和感に繫がれていた錠の存在が全く自然なワタシとなった。 鍵は、あくまで人それぞれ・・・。
亡国ニ祈ル天ハ、アラセラレルカ
黒薔薇少女地獄
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2017/09/23 (土) ~ 2017/10/01 (日)公演終了
満足度★★★★
それぞれのファンタジーを守る、ミスマッチな存在と思いがぶつかり合うとき、意外にも素直なヒトの声が聞こえてきた。 歴史となり失われる近未来のノリを蘇らせるファンタスティックな光景、それを見守る“共犯“を自覚しつつ、「何となくの安心」感に代わりうるファンタジーとは? 「私が世界」感か、「この世で永遠」感か・・・ タテヨコに行き交う少女たちに訊ねてみる。
クロス ~橘耕斎ヘダ日記~
Re:Duh!
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2017/09/21 (木) ~ 2017/09/25 (月)公演終了
満足度★★★★
大きな流れと抗う逆浪、狭間でしぶくエピソード。 ” おもてなし ”の高揚に伏して流れる、列島のしたたかな遺伝に自省する。 「禁」破れて「金」現る・・・悩みや悲しみを供とし、好奇と歓喜を糧として時代の際限は越えられていく。 コマ送りに、情感豊かにつながれた味わい深い一品。
【第29回池袋演劇祭「大賞」受賞作品】成り果て
ラビット番長
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/09/14 (木) ~ 2017/09/18 (月)公演終了
満足度★★★★★
こだわりの一線を 魂込めて さらっと越えて魅せた。 負けない戦いでなく、負けられない戦いで。 負けない手でなく、あえて負ける手で。 成り果て続けるニコニコな盤面を AI するときまで。 「どこ見とんねん!」とくやしいほど AI されるときまで。 二段構えの一体感あふれる戦法にいとも絶妙にひねられて、めでたく奨励会入りの一局。
マリーの近況
劇団オンガクヤマ
ラ・グロット(東京都)
2017/09/14 (木) ~ 2017/09/18 (月)公演終了
満足度★★★★★
徐々に生々しさがつのる狭い洞窟で男と女のプリミティヴな対照が囃される。まぁまぁとズルズルするのも、はっきりとスッキリするのも、意識して隠し無意識に隠された記憶の為せる業。 どんな“真相”抱えてどんな暮ししているのか、身近い共汗の滴りのなかマリーという花が咲いた。
売春捜査官
稲村梓プロデュース
サンモールスタジオ(東京都)
2017/09/05 (火) ~ 2017/09/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
仕方ない を背負って舞い散る諸々の煌きは、愛憎交錯する五島をつかの間、輝かさずにはおかぬ。 伝え聞く美人は、あけすけ兵衛な魅力を存分に放出、こりゃ飽きません。 ギャップに満ちた、この地に似つかわしい四傑の、拒否るほど必死な、裏切るほど懸命な、美しいほど哀しい格好良さに見惚れた。
途方も無い宇宙の話
即席ユニットアバルブ
東高円寺 カットウ(東京都)
2017/08/24 (木) ~ 2017/08/27 (日)公演終了
満足度★★★
女の泥酔のなか、マスターの陶酔のなか、小さな葛藤のなか に宇宙はあり、 ぐるぐるまわる際限のなさ が宇宙であり、 まわりのすべて に宇宙が見える。 “引いて” 覚めた宙から見れば、あまりにありふれた、でもそれがすべてであるような “ささいなこと”・・・ ベクトルをミクロへ、ミライへ向けたならこの日の酔いとリンクするのだろうか、耳をそばだて聴いてみたい。
雨季
演劇ユニットG.com
王子小劇場(東京都)
2017/08/16 (水) ~ 2017/08/20 (日)公演終了
満足度★★★★
思えば、対面に出会い、対面に途惑い、対面が残された。 どこか俯瞰で含みのある船況と、蒼暗く蔭湿な視感とが、映じる始終を二度寝の夢見のようにもやとさせる。 ”役立たず” な老人の、去り際の言葉が刺さる。どっち?の ”ある” 世界と ”ない” 世界のどっち? と問われても正解は “ない”、が 心地の良い世界はいつも “ある” ではないか・・・。
ナイゲン(2017年版)
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2017/08/11 (金) ~ 2017/08/21 (月)公演終了
満足度★★★★★
13人の惑える生徒たちがセイゲンをカンゲンしカゲンすることにカイゲンする歓び。 会議の怖さとウラハラの魅力、美醜が次々とウラオモテを返していく興奮と快感がこのナイゲンには仕組まれている。 「祭」のあり方を巡っての戦い、その行く先を見届けた二人の背を見詰める。その胸に去来する思いはいかばかりであるか・・・
ワンマン・ショー
やっせそ企画
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2017/08/02 (水) ~ 2017/08/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
投げ入れた糸を手繰ればすべてが黄色く巻き戻る。 われに還り、はてこのショーは何故始まったのだろう・・・ 茶色い屋根の深層に迫る演出の引力。多色彩々な面々がそれと感じさせぬほど絶妙に調合された、無色かつ出色の舞台。
スーパースーハー
かえるP
こまばアゴラ劇場(東京都)
2017/07/26 (水) ~ 2017/07/30 (日)公演終了
満足度★★★★
スーッとくる、味のあるオープニング。 ハーッとする、湧き立つパフォーマンス。 ハッキんぐされた自律、他律と呼吸が合わなくなる感じが息苦しくつきまとう。 ハイ・ジャッカーたちは駆け巡った、ミクロな意識の中を。
「すがたのみえないふうけい」
ひねもすほろすけ
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2017/07/27 (木) ~ 2017/07/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
無力。でもせっかくだから ”この海” でもがいてみることにした、泳いでみることにした。無力であることに変わりはないけれど・・・ 不協和なクインテットが、ネバついた内臓をさらけ出して、空っぽになって、立っていることにした、覚悟の涙が ”この海” の色合いを少しずつ作り変えていくであろう光を湛えている。海に生き、海に逝くその刹那、描いた海は見られます、きっと!
戯作工房 新人戯曲発表会
演劇制作体V-NET
演劇制作体V-NETアトリエ【柴崎道場】(東京都)
2017/07/21 (金) ~ 2017/07/23 (日)公演終了
満足度★★★★
死にたい、死にそう、死と勝負、死を負う、死を追う・・・ そんなだれかをはげまシリーズ。 死に纏わる想念を生むのは、辛い世に生きるおのれを励ます気持ち、なのかも。 いずれも衒いのない素直な好印象が残る、もっとふくらませて観たい不思議。
ファンタズマゴリア
天幕旅団
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2017/07/06 (木) ~ 2017/07/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
さんざめいていた、遊園地が憶えている淋しさが、回る、回る、回る・・・ 美しさがにじむ雨、美しいからにじむ涙・・・ 意識が夢の中に落ちかけた、素晴らしい!
セカンドパートナー
劇団おおたけ産業
スタジオ空洞(東京都)
2017/07/14 (金) ~ 2017/07/16 (日)公演終了
満足度★★★★
日常に引き込むリラックスした空気に忍ばせたありふれた緊迫が ”答え” を求めてくる。甘えと我慢の間でグラつく。 何だかんだでこの世は好きと嫌いでできている、その ”半分” を諦めたくない!・・・我慢の理由も必要もぼやかされ、山の向う側から一段下りてみたくなるのも道理で。 さて、パートに分けて演出した人生の終演、ハッピーですか? 「答え」はそこにある!のでは。
TimE ElevatoR ReseT
劇団さかあがり
吉祥寺櫂スタジオ(東京都)
2017/07/16 (日) ~ 2017/07/17 (月)公演終了
満足度★★
過剰なまでの演劇LOVEが伝わってきた。細部にまで手をかけたセットも楽しい。理解るのだけれど、あとに残る感じがない。更に絞り込んでもらうとキレてくるのでは・・・空白に思いを込めて。
七、『土蜘蛛 ―八つ足の檻―』
鬼の居ぬ間に
王子小劇場(東京都)
2017/07/05 (水) ~ 2017/07/10 (月)公演終了
満足度★★★★★
赤目・八つ足に睨みつけられて、甘さの欠片も無く隧道の先が透ける気配さえ感じられない穴倉で、身じろぎもできず固まった。 絶望は、見せるのでなく追い込まなければ伝わらない・・・ 覚悟が滲む徹底ぶりに、不条理の何たるかを否応なく叩き込まれた。 悪は吐いても悪者は居ない、綱がりを思い出して黒糸でがんじがらめのおのれに気付けばそこが真の生き地獄、か。