キャンプ荼毘
ひとりぼっちのみんな
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2019/08/14 (水) ~ 2019/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
去年の再演で2バージョンと今回の再再演観て思ったのは、この作品は本当に演出が素晴らしいなと
たぶん台本だけ読んでも面白さは1割も伝えられないだろうな
加えて役者さんたちの表情や細かいアクト
どの角度でどの断面を切り取っても楽しさが詰まっている
小劇場界でエンタメ作品をお勧めするなら、ひとりぼっちのみんなを推したい
75分とは思えないボリューム感で、ありとあらゆるパフォーマンスに満ちてて
隙間なく楽しい
どこを見ても楽しい
心に刻まれ、思い出して楽しい
まさに得難い体験のできる舞台を作る劇団
夢見る喜世子レヴュー
ピストンズ
王子小劇場(東京都)
2019/08/15 (木) ~ 2019/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
死に至る病が「絶望」ならば
生をもたらす薬は「希望」
ただその薬は副作用が強く依存症状も激しい
明るく楽しくあればあるほど、ぶり返すもっともっと欲しくなる
僕もそうなのだけど「希望」は怖い
裏切られるのが怖い、触れるのも怖い、すがってしまう自分が怖い
人生を壮大に色付けして
音楽と踊りをまぶしたまさにこれはレヴュー
つまり他人の人生は消費できてしまうということ
歌や踊りにして娯楽にできてしまう
どんな悲しみも寂しさも色を付けて映し落とせば
本当の姿なんてどこにも残らない
原罪をもって十分に楽しもう
発表せよ!大本営!
Aga-risk Entertainment
駅前劇場(東京都)
2019/08/15 (木) ~ 2019/08/20 (火)公演終了
満足度★★★★★
脚本や役者のコメディの力で押し流されて笑わされているけど
これはだいぶブラックでアイロニーな作品
同じ舞台上に展開する幾つかの筋を照明の切り替えで繋げていくカットバック的手法が
流れるような展開とテンポを生み出し、笑いにも物語的にも効果的だった
全編を理解してみるとこの作品本当に黒い
その場その場で判断基準というか優先する物が変わっていく場当たり的な感覚
これはまんまシチュエーションコメディであり
目の前のミクロな視点でのみ解決を図ることの滑稽さと恐ろしさ
市井の人パートが本当に良い対比
カミグセ短編集vol.2
カミグセ
STスポット(神奈川県)
2019/08/08 (木) ~ 2019/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
記憶とか今見えているものってのは熱や思い出に浮かされて
脳内電気信号が書き換わって、簡単に違ったものになってしまうようで
だから結果として「残された物」ってのがどう響いているのか
その響きから書き換わる前の姿を再現しようとする
それが人の弱さであり愛おしいところ
アイスクリームマン
中野坂上デーモンズ
王子小劇場(東京都)
2019/08/08 (木) ~ 2019/08/12 (月)公演終了
満足度★★★★
モヘーさん流の演出で台詞に間が無くなり情緒がパケット化される舞台上
次から次へと流れ込んでくる人々の状況はめまぐるしいけどとても記号的で
一度復号化に成功したらあとはオートマチック
でもやっぱり岩松了さんの戯曲のパワーが強いなあ
かっぱのディッシュ!
アナログスイッチ
サンモールスタジオ(東京都)
2019/08/07 (水) ~ 2019/08/13 (火)公演終了
満足度★★★★
カッパがお皿を作るってこのワンアイデアめちゃめちゃ好き
最後までずっとツボってた
先が読めないわけでもハラハラするわけでもないけど
おもしろ空気が有って、なんか幸せな感じを与えてもらえる
アナログスイッチという皿に込められた感情なんだろうなあと
月がとっても睨むから
Mrs.fictions
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2019/08/03 (土) ~ 2019/08/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
これは脱線の作品
会話もシーンも少し脱してはまた戻ってくる
もともと外れっぱなしで、でも走り続けていたりもする
何も軽んじていないからこの作品は信じられる
脚本が諦めの嘘をついていないから引き込まれていく
フィクションが大きく空に浮き上がる作品だ
ヤマダクライマックス
やまだのむら
イズモギャラリー(東京都)
2019/08/01 (木) ~ 2019/08/06 (火)公演終了
満足度★★★★
あひるなんちゃら関村さんの作演らしい間と台詞と世界観
関村さん作品によくいる与太郎役(鈴木朝代さんとかがよくやってるやつ)が
野村さんで、イメージに無かったからビックリ
ちょっとズレていて平和な空気感
やまだのむらである意味もきちっと有った良作
ダブルダブルチョコレートパイ
劇団肋骨蜜柑同好会
APOCシアター(東京都)
2019/08/03 (土) ~ 2019/08/12 (月)公演終了
満足度★★★★
ミルク編
テンプレートでコテコテなキャラや設定や台詞の人物にも、僕らが見るその後があって
普段は想像しない終わりもあって
広まっていくその様は2001年宇宙の旅のようで
確かにこっちの水は甘いぞ
ビター編
宇宙の果てとか世界の終わりとか
確実にあるのに存在していないその先のこと
もし在るのに無いそれに言葉を与えられる何かがあったら
逆に絶望という言葉で捕らえた瞬間に無くなってしまうそれ
片方は恐怖で片方は安堵
こっちの水も甘いぞ
ミス・キャスト
公式愛人
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/07/25 (木) ~ 2019/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
くだらなくてゲラゲラ笑える舞台の中に
まっすぐな現実が沈んでるタピオカみたいなキャッサバ演劇
シーンや展開はそれぞれベタなのに本気の熱に笑ってぶたれる
笑いの部分は「裸の銃を持つ男」感がして好き
千葉さんの舞台装置の機能を持った二枚目っぷりも効果的だった
左手Verと合わせて考えると
これはダブルキャストと冠しながら、8本のドラマの連作短編集だな
フォーマットも演出家も同じはずなのに
関係性の違いは、情念も気持ちを乗せる人物も変えていく
なんかオクタプルなピザを食べたような贅沢に味わえた作品
関係性に向き合う二人の周りに満ちているのは
余計な物や余計な言動をする、関係性の無い人たち
わかりやすい物語は余計なものに浸るとなんか可笑しくて
スノードームみたいに綺麗じゃない人たち
覗き込む僕ら観客は実はそれを望んでる
『仮面夫婦の鑑』『リボン・ルーム』
吉田見本市
新宿眼科画廊(東京都)
2019/07/26 (金) ~ 2019/07/29 (月)公演終了
満足度★★★★
漫才もそうだけど台詞のかけあいにおいて大阪弁って本当にピッタリな言語だなと
議論の趣旨が全然違う方向を向いているからハナから噛み合わない会話なんだけど
テンポよくかけあうその言葉の心地よさと面白さ
あと、普通あそこはビンタだよなあ…めちゃめちゃ笑っちゃった
Pickaroon!【クチコミ待ってます!次回東京公演は10月!】
壱劇屋
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2019/07/26 (金) ~ 2019/07/29 (月)公演終了
満足度★★★★★
超弩級の格好良さ、舞台の魔法を余すこと無く使った美しさ
そんな伊達も酔狂もある白浪七人衆の殺陣や生き様に魅了されまくり
昔見た映画「里見八犬伝」のようなロマンチシズムに溢れた世界観で
見栄もキメもハマりまくるスーパー粋な物語
もう痺れまくりの見とれまくり
再演 マインドファクトリー~丸める者たち~
かわいいコンビニ店員 飯田さん
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2019/07/24 (水) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
これは面白い作品
圧倒的な理不尽がそこにあると人は笑ってしまったりする
彼らをその小さな小さな箱に閉じ込めているのは、感動ポルノを求める本当にいやらしい大人たち
「そんなんじゃ社会に出て通用しないぞ!」
いや全然通用しますが何か!?
田所と永田のシーンが秀逸
ギリギリの緊張感とバランス
自分がこの世の全てだと思っているこの世界は、意外と簡単に壊れるし、世界の端っこにすら届かない場所にある
見ている僕らは後出しのずるい観客
正論なんてクソの役にも立たない
「FULL OF LIARS」
劇団ICHIGEKI☆必殺
小劇場 楽園(東京都)
2019/07/23 (火) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★
エンタメ系サスペンス的な他で見ない雰囲気のお芝居
ちょっと説明過剰かなという部分やキャラの性格や頭の良さを都合よく変えすぎな部分もあったが
どんどん人が死ぬのに伴うシステムがなかなか面白かったあと久々に見た倉垣まどかさんがとても良かった
ココニイルアンドレスポンス
シベリア少女鉄道
シアターブラッツ(東京都)
2019/07/20 (土) ~ 2019/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
舞台というのは演劇の嘘と約束事があって
観客は観客でそれに呼吸を合わせ、想像力を働かせる
ずっとそれを試されて、そしてその上を超えてくる作品
最近のシベ少は土屋さんが物語を書けるようになったことを悪用している感があってそこが面白い
ハムレット
しあわせ学級崩壊
nagomix渋谷(東京都)
2019/07/17 (水) ~ 2019/07/17 (水)公演終了
満足度★★★★★
上演前後にそれぞれ30分のゲストDJのプレイタイムがあってノリまくってたら汗だくで疲労して死にそうになった
千秋楽はお客さんの囲み方とかノリ方が完全フィットした感じで超良かった
あー本当にこのスタイルでの演劇の感じ方、堪らなく好き、美しかった
あんたのことなんて誰も見てないツアー2019
MCR
OFF OFFシアター(東京都)
2019/07/16 (火) ~ 2019/07/17 (水)公演終了
満足度★★★★
MCRやメンバーの歴史を寸劇やエピソードトークなどで振り返る
90分間ほとんど手を叩いて大笑いしていた。本当に楽しかった
どうしようもなくて駄目な人たちをどうしようもなく愛してしまう人間がいて
それがMCRってやつなんだなと
愛すればみんなMCR
暴走ちゃんの暴走
革命アイドル暴走ちゃん
王子小劇場(東京都)
2019/07/10 (水) ~ 2019/07/16 (火)公演終了
満足度★★★★★
最前で見たのは初めてだったけど、最初にサイリウムを手渡されたのでこれまでで一番ノリやすかったかな
人生諦めろんさんが目の前だったけど、なんか凄いキマり具合で魅力された。三浦葵さんの咆哮も良かった
にしても観ていただけなのに、この疲労感笑
これはきっと人間が持っている原始の衝動
光と音があって、それに合わせて人が踊って歌い叫ぶ
高揚する本能、火照る身体
ニヤリにたりと笑みのこぼれる顔から、みんなに合わせて声が発せられる
We are the Worldだ 紙吹雪に埋もれてひとつになったのだ
乱反射パレード
ソラニエ
d-倉庫(東京都)
2019/07/11 (木) ~ 2019/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★
ソラニエを見るのは初めてだが
どことなく無機質なブラックエンタメといった雰囲気がクロムモリブデンを想起した
人々の心象が舞台という世界に乱反射して塗りつぶされていく
等分されたリズムで進む物語は心地良く感じた
役の強い世界観、整った大きな演劇だった
僕らは結局見たいものだけ見て信じたいことだけ信じて現実を生きているのだ
でも何故か他人とこう社会を世界を共有して生きていけてる
舞台では内省的な深みのある場所で人々はぶつかりながら共有している
現実の僕らは不健康なルールに縛られてぶつからないようにしている
煙を抱く
ピンク・リバティ
シアター711(東京都)
2019/07/09 (火) ~ 2019/07/14 (日)公演終了
満足度★★★★
音の在る舞台だ
音は僕らを震わせて
誰かを何かを思い起こさせて、結局何も残さない
だけど身体のどこかに刻まれたギザギザに
針を落とせばまた同じように震えて誰かを何かを思い出す
音は記憶だ
あなたという音が聴こえなくなったから
ギザギザを辿ってまた僕を震わせる
最初から順を追って丁寧にわかることを繋げてたから
今回はどんどん夢的になっても突き放されず楽しめた
夢想的な小説であり、90年台の新しいロードムービーの様なピクニックのような
素直に受け止められる作品だったなと
葉丸さんの表情にしっかりと支えられた秀作