mistaの観てきた!クチコミ一覧

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翼とクチバシもください

翼とクチバシもください

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2016/05/11 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

観劇から時間が経っても、いや経つほど残像が消えない
クロムモリブデンは初観劇
観終わった後はやや圧倒された部分もあってかそこまで心が動かされた感があったわけではなかった
しかし、時間が経てば経つほど、脳が整理して言語化というか感覚化していっているのか、場面や台詞、登場人物の表情などが薄れるどころかくっきりと思い出せ、リズムを刻むように頭のなかで踊りだしている状況

役者さんが全員存在感が半端無くて技量も素晴らしかった
荒涼とした心象風景をステージに、心地良いテンポとリズムの中で暴風のように過ぎ去っていく場面場面が非常に楽しかった
DVDが早く欲しい

燃えるなよ剣

燃えるなよ剣

劇団Rexy

DDD AOYAMA CROSS THEATER(東京都)

2016/10/13 (木) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度★★★★

まっとうなシチュエーションコメディ
アガリスクエンターテイメントの富坂さんが脚本・演出ということで
最近のアガリスクはシチュエーションコメディの新たな世界に一歩踏み出しているところだが、劇団Rexyでのこの劇はシチュエーションコメディの教科書とでも言うべき正統派・真っ直ぐなシチュエーションコメディ作品だった
劇団Rexyという劇団の特殊性もあって、出演者のイケメンっぷりだとか客層だとか小劇場とかの雰囲気とはだいぶ異なるものがあったが
劇中で右往左往する人物(旦那と番頭)が髪を乱して汗をかいてる時点でシチュエーションコメディとしては大成功だったと思う
役者さんたちのキャラクターもただイケメンというのではなく、それぞれのキャラも濃くて熱演が光った
シチュエーションコメディに慣れすぎてたり、穿った見方をしたり、裏笑いをし始めているような人でなければ、ザ・シチュエーションコメディということで入門編としてもお勧めな劇でした

ネタバレBOX

ちなみにシチュエーションコメディを観すぎると
下記のような部分が逆に「よっ、待ってました」というような様式美に
感じられて、違った意味での笑いを含んでしまいます

・会わせては行けない人物同士を会わせないように主人公が奮闘する
・お互い勘違いで話している会話が偶然にも成立する
・主人公の無理筋な言い訳に簡単に納得してしまう登場人物たち
・必死に主人公が見えちゃいけないものを隠そうとしているけど、どう見えても見えちゃっている。でも登場人物は突然近眼になったかのように見えない
・基本的に登場人物達は何に対しても異様に鈍感
・最後らへんにいい感じの雰囲気でちょっと泣かせるような話に突然なる
・めでたしめでたし。の後に同じようなトラブルが起こる予感で幕が閉まる
あなたのひとみにうつらない

あなたのひとみにうつらない

たすいち

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2016/10/14 (金) ~ 2016/10/17 (月)公演終了

満足度★★★★

「たすいち」的世界を満喫
番外公演とはいえども、たすいちテイスト満開
目の見えない女の子の話を軸に、3つのショートストーリーが絡み合って展開
劇自体も観客は最初目が見えない様に、世界の仕組みがわからない状態から、目を薄っすらと開けるように世界が見えるようになってくる
世界の仕組み自体は中盤で薄々気づいてくるものだが、見えるものと見せたいものと見たくないもの違いはあるけれど、大事なのはそれを自分で選べるかどうかと言った問いかけが白の世界にあふれる

「消えたい二人」のストーリー部が特に秀逸で、ノリとテンポと空気感は他のどの劇でもなかなか観られないもの。この部分だけを観にもう一回行きたいくらい

ネタバレBOX

「消えたい二人」は、思春期特有の何者でもない自分に焦り、誰かに知ってもらいたい見てもらいたいという気持ちが一周してこの世界から消えてしまいたいという明輔(思春期にありがち)と、すでに存在感を消すことに成功しているこれまた思春期にありがちな自分が嫌いで自身がなくて目立ちたくない井手美奈の二人の物語
二人とも特別なところはなく思春期ならほとんどの人間が通った道だからこそ、二人が何を言ってもやっても暖かく笑えるのだと思う
周りのクラスメートを含めてデフォルメされた台詞や行動により心地よいテンポで掛け合いが進み、この世界に空気感にいつまでも浸っていたいと思える面白さだった。
これらの空気感を作れる黒澤さん、倉光さん、関山さんがとにかく素晴らしいと思った
奇テ烈な彼女

奇テ烈な彼女

奇テ烈と彼女

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2016/10/07 (金) ~ 2016/10/09 (日)公演終了

満足度★★★

ゆる~く楽しいコント8本
普通の女の子のようで、ちょっとズレてて、少し不思議で、世界線の変動率が数%異なっていそうで、そんな世界で個性的な女優たちが紡ぎ出すコント8本。
それぞれ漫才コントといえるような掛け合いで妙な後味を残しながら不思議な雰囲気の世界に観客を漂わせる
8本のそれぞれは好みが分かれると思うけど、「逆に」と「目撃談」が好きだった
8人の女優陣では、尾崎可奈子さんが目立っていた

ネタバレBOX

「断捨離イン・ザ・ダーク」
→金渕さん演ずる断捨離のプロのクセ味がなかなか強烈。それに対して説明ツッコミする三村さんは今回のメンバーの中では数少ないツッコミ適正を持っていて、組み合わせとしては良い感じ

「ミケランジェロ・ロス」
→さいしょのがっちょるさんの驚きというか思考停止のような顔は素晴らしい。松竹さんが状況説明ツッコミしつつ、受けに回る役なんだけど、なんか独特の心地よい受け方で好感

「埋没少女」
→会場も温まってきて、ここらへんから大きな笑いが起き始めた。
 なかなか面白い設定で、状況説明役の尾崎さんが非常に個性的で、他のコントも含めて、彼女が一番印象に残った

「リメンバー・メンバー」
→ちょっと説明台詞が過剰では有るけど、土橋さんのキャラもあってか、独特の世界観で流れていく話はなかなか楽しかった。

「目撃談」
→ミケランジェロ・ロスと似た展開のコントでは有るけど、こちらの方が話の内容が想像しやすく笑いやすかった。こちらも松竹さんがツッコミ役で良い感じ。最後のファンタジーな展開は良い後味

「逆に」
→井本さんと尾崎さんの会話コントで掛け合いのテンポもよく、今回の8本の中では一番出来が良かったと思う。ここでも尾崎さんの存在感が素晴らしかった。

「さるかに私たち合戦」
→これまでとは違ってやや年齢層が高まった設定。なんか、尾崎さんの美容部員という言葉で笑ってしまう。

「放課後の教室で、13日の金曜日は」
→「そうだよね、ジェイソン」とか普通に呼んでいたり、牛乳やポッキーを食べるジェイソンとかだけでもう笑ってしまう。

やっぱり漫才コントやっている芸人さんの笑わせる空気づくりとか、状況説明ツッコミの技術とかって難しいものなんだなと。
状況説明で笑わせる台詞が多かったのだが、そういった部分で本来笑いが起きても良いところで笑いが起きなかったりしているのもあって、第2回とかあるのなら、台本側でそこら辺を考慮するとかが必要かな。
櫻の園2

櫻の園2

劇団ガソリーナ

ザムザ阿佐谷(東京都)

2016/10/04 (火) ~ 2016/10/10 (月)公演終了

満足度★★★★

詰め込んで溢れ出ている芝居
期待していたよりも面白かった
女子高演劇部が舞台で、前半のプレゼン部でそれぞれの個性や関係性が描かれ、後半の櫻の園上演に向かうアレコレでそれぞれの心境や関係性の再構築などが繰り広げられる
全体的に面白い、笑える部分が多いのだけど、ツッコミ役・状況説明役が不在なので観客が心の中でツッコミをそれぞれ行って、笑っても良い雰囲気作りがスロースタートになってもったいなかった。
また、テーマや描写など盛り込んでいること盛り込みたいことが盛り沢山状態で、心理描写などが薄まって分散している感があった。
脚本全体に演劇・芝居が好きという感じが溢れていて、場面場面で面白い部分も多かった。設定的にも芝居的にも大人陣が良いサポート
会場のBGMが電気グルーヴだったり、シン・ゴジラの会話が出たり、トイレットペーパーだったり、小劇場系によくあるちょっと鬱屈した方向性とは逆の方向性は良いと思う

ネタバレBOX

熱海殺人事件のプレゼンは、凄い良い。好きな芝居の好きな部分を照明や音響まで使って真似ることの心地よさが伝わってきた。まぁでもあれだけやっちゃえば、充足感は得られちゃったんじゃないかというツッコミもよくわかる
あと、「嵐になるまで待って」のプレゼンも同様で、好きな舞台の好きな部分を伝える時の興奮感が凄い伝わってきた。
この2つの芝居のプレゼンに見事にやられた僕は、凄い観たくなって仕方がない。
↑こういった演劇を媒介にした感情や演劇・舞台が好きだという台本での場面は面白かったのだが、原作ものの宿命か女子高生同士の人間関係や感情、心理描写にも浅く触れていってしまい、全体的に薄まってしまってしまった感があった
いっそ、女子高生たちが演劇を楽しむ、というテーマに絞って、好きを発散させてしまったほうが。。。。と考えてしまった
狂犬百景(2016)

狂犬百景(2016)

MU

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2016/10/01 (土) ~ 2016/10/10 (月)公演終了

満足度★★★★

演劇と現実の境は朧げ
新種の狂犬病が広がりつつある世界。
1話から4話を通して舞台上には簡素なセットにより建物の中の世界が形作られ、外の世界は常に舞台装置より奥の暗闇の中に存在することになる
観客の視覚には、決して外の世界は見えないのだが、登場人物の台詞や変わりゆく姿で脳の中にそれぞれに世界観が作り上げられていく
自分で補完して作り上げた世界はもう自分のものだ。舞台から目を逸らしても存在し続ける。
センスの良い言葉選びの台詞と、悪い意味で自分に正直な登場人物たちの人間模様にクスリとさせられながらも気がつけば、舞台の裏にある世界だったものがスルリと自分の頭のなかに入ってきている。そうなったらもはや客席と舞台の隔てなどは意味をなさない。
登場人物たちはみんな何かに心を囚われている。観客が頭のなかに登場しない犬達を作り上げていくように、心の中で自らを縛り上げるものを育み作り上げていく。
作り上げた物に囚われ、そして自分に正直に行動する。それがこの世界での「狂う」ということなのではないか。
結局みんな屍となり腐りつつある過去の自分と戦っている

桜の森の満開のあとで

桜の森の満開のあとで

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2016/09/28 (水) ~ 2016/10/04 (火)公演終了

満足度★★★★

模擬でも議論自体に意味がある
会議者の舞台というと、三谷幸喜の「12人の優しい日本人」やアガリスクエンターテイメントの「ナイゲン」を思い浮かべるが、この劇はコメディではない会議劇。しかし、シチュエーションなどによる笑いはなくても、会議や議論する様というのは会話劇の恰好の材料であることに変わりはなく、それぞれの立場でぶつかり合う登場人物たちの思惑や感情、移り変わる会議の趨勢がテンポよく繰り広げられ、非常に面白い劇だった。
現実の当事者たちの会議ではなく、大学のゼミのモックカンファレンスと言う設定により、劇が2段構造になっており、それぞれの立場の登場人物の意見や発言が、本当の感情・本音とイコールに必ずしもならないという「議論」の本質を強調することになっている。
「超高齢化社会」という今まさにそこにある大きな問題を議論の題材にしており、劇として脚本として「これがこの劇での正解だ」とう姿勢で観客にぶつけるのではなく、誰も間違っていないそれぞれの立場の登場人物たちの意見を観客にぶつけることで、「知る事」「考える事」「他の人の考えを聞くこと」という議論や会議の、話し合うということの意義を観客に持たせることができていると思う。特に席も近いし、客席も多くないのでそのぶん自分も本当にオブザーバーとして参加しているように思えてきて、自分の意見を発表したくなってしまうくらい、考えて議論に感情ともども入り込むことができた
劇自体の完成度という点では、ちょっと気になる所もあったけど、面白い劇だったので、観客が少なかったのが非常に残念だった。世の中に会議とか議論好きってやっぱりそんなに多くないのかなぁ。。。

ネタバレBOX

気になった点としては、音響系の効果音やBGMが劇の場面や雰囲気にあっていなかった。また、教授役の方だけ、他の人の演技との差が目立ってしまってどうにも気になった。ラストのワカナとミユキの2人のシーンも、説明不足というかそこまでの雰囲気とぜんぜん違う感じだったので違和感だけが残ってしまった
しかし、それらの違和感やノイズがあっても、それぞれの登場人物たちが少しの台詞で大体どういうキャラかわかる展開なのは上手いと思うし、モックや会議の説明を新規に参加した登場人物に教えるということで観客にもわかりやすく説明される展開など、会議や登場人物の立場がよくわかった上で議論が始まるので、引き込まれてしまった。
うつくしい世界

うつくしい世界

こゆび侍

駅前劇場(東京都)

2016/09/21 (水) ~ 2016/09/25 (日)公演終了

満足度★★★

良い演出、良いストーリー
終わった後の世界で、清と穢がより分かれた世界が演出で上手く表現されていた。オチは好きだし良いストーリーだった。
登場人物の心情にはあまり入り込めなかった。メタファーが散りばめられているようにみえる舞台で、観客がどう感じるかは観客次第だけど、どういう感情を想起させるかの道筋は、やはり作劇する側が立てるもので、登場人物に心が無いように思えてしまうと行動や言葉に乗り切れないかなと。

ネタバレBOX

登場人物が死ぬこと自体は良いが、それが何にもならないと浮かばれない
ウピや先生が死んでもピコへの影響が無さすぎるのがどうも引っかかった
ピコやニカロのキャラ造形は良いのだが、心情部分が見えなくて何故好きなのかが?になってしまった
来てけつかるべき新世界

来てけつかるべき新世界

ヨーロッパ企画

本多劇場(東京都)

2016/09/16 (金) ~ 2016/09/25 (日)公演終了

満足度★★★★

安定のらしさ
ヨーロッパ企画らしいギミック満載で、SFで、永野さんや中川さんのいじられ方や酒井さんの設定も安定
ドローン、VR、人工知能とか、それらが蔓延する近未来が描かれていても、大阪のおっちゃんたちを通すと新喜劇的になってしまう
あと、狂言回しとなる藤谷理子さんの小気味良さっぷりが素晴らしかった
とにかく楽しい劇なのは間違いない。よくありそうなコメディにも見えて、よくよく考えてみると本当にヨーロッパ企画でしか観られない劇がそこにあって、唯一無二の劇団だということに気がつく。これでいいし、これがいい

チャンバラ音楽劇幕末スープレックス

チャンバラ音楽劇幕末スープレックス

劇団子供鉅人

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2016/09/17 (土) ~ 2016/09/25 (日)公演終了

満足度★★★★

芝居小屋的世界観
座席が、大名席、かぶりつき席、自由席とあって、自分は自由席で見たが大名席だと座席への案内が籠に乗って案内されていた、ちょっとした小芝居有り。開演前から舞台上で役者さんが何やら準備の芝居をしており、すんなりと芝居の世界に入っていけたのが良かった。劇を観に行く時、いつも思うのが携帯をしまってからただBGMを聞いている時間の残念さであり、そういう時間が長ければ長いほど、いざ幕が上がった時に「芝居を観るぞ」というスイッチを強jめに押さなければならなくなってしまう。今回のような会場の雰囲気や始まり方だとそれが無くてすんなり芝居に入り込めた
公演の内容は、歌と踊りとお芝居と、良い意味で安い娯楽感満載。楽しみたいという気持ちを触媒に大きく、くだらなく、仰々しく楽しませてもらった

ネタバレBOX

熊川ふみさんの女剣士の凛々しさは眼に焼き付いた
ゲストの斬られ役や江戸裁判ショーとか多くの小ネタも詰まって、とにかく余興的、駄洒落的、チープでもなんでも良いから楽しめればええじゃないかの精神で、わちゃわちゃガチャガチャ騒がしく、全ては洒落よ、おしゃれより駄洒落よの精神。
パワフルな役者さんたちのパワーを分けてもらえるような舞台だったと思う
君がくれたラブストーリー

君がくれたラブストーリー

シベリア少女鉄道

赤坂RED/THEATER(東京都)

2016/06/10 (金) ~ 2016/06/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

とにかく面白くて、すごく面白い(語彙力)
シベリア少女鉄道の舞台は基本的に、ネタバレ無しでは説明できないのですが、今回の作品はシベリア少女鉄道の中でもかなりの破壊力
3回観に行ったが、全て終盤の畳み掛けのところで会場が大爆笑となっていた。上演時間は75分くらいの長さだったが、笑い疲れて上演後の虚脱感が半端無かった

ネタバレBOX

序盤、カードゲームに興じながらギャング風な台詞とそれっぽい芝居が展開されるが、どんな場面でもカードを場に出すのを止めなかったり、ちょっとした間とか違和感を紡ぎ出していった上で、芝居そのものがカードに書かれた台詞を使ってそれっぽい芝居をするゲームだということが中盤で判明する。
シベリア少女鉄道の劇は、序盤の伏線を仕込む部分が唯一の難点だと言われるが、今回の舞台は上演時間自体も短く伏線部分もすんなり消化できた。
中盤のネタバラシの時点で驚きや笑いがあるのだが、この劇の肝はここからで、同じカードを使って再戦されたところ同じカード(台詞)でも全然違った意味になっていくところで爆笑に次ぐ爆笑となる
そこからはシベ少お得意の伏線回収やアニメ・マンガ・映画等のネタなども織り交ぜて舞台上は荒れに荒れて見事なオチまで一直線だった
世の中には頭のおかしい天才と馬鹿を併せ持った現人神が存在することがよくわかる舞台だった
うちの犬はサイコロを振るのをやめた

うちの犬はサイコロを振るのをやめた

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターサンモール(東京都)

2016/07/23 (土) ~ 2016/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

救いようのない喜劇
結構やられた。俯瞰で見ると悲劇、間近で見ると喜劇な感じ。細かいボケやメタネタ、くすぐりが満載。最後はどんでん返しでも伏線回収でもないのに本当にやられた感。

今年観た他の作品とのバランス考えて★5に修正。
DVDで見返したけれど、ラストの展開については今年1番の作品かもしれない

名なしの侍 (28日より大阪公演開幕!直前予約受付中!)

名なしの侍 (28日より大阪公演開幕!直前予約受付中!)

劇団鹿殺し

サンシャイン劇場(東京都)

2016/07/16 (土) ~ 2016/07/24 (日)公演終了

満足度★★★

THE鹿殺しな音楽劇
知り合いがこの劇団の大ファンで勧められていたが、一歩踏み出せずにいた所、劇団HPで過去作品の動画を無料公開していて、それらを観たうえで今回初めて劇場での観劇へ
過去作品とフォーマット的には一緒で、過去を知っていると「おっ!」となる部分もあり、安定した劇団の強みでも有り、新規の人間にとってのハードルでもあるのかなと感じた。
内容については、音楽劇は生だと心臓に響くビートとか波動とか迫力が違う。堂島孝平の歌まで混ぜられちゃ反則すぎて聞き惚れてしまった

野狂~おのしのこのし~

野狂~おのしのこのし~

カムカムミニキーナ

座・高円寺1(東京都)

2016/07/22 (金) ~ 2016/07/31 (日)公演終了

満足度★★★

境があってこその自由。夢と現実の境
絵力のある舞台だった。夢のなかにいるようなホラーファンタジー。夢や意識の境界が有るということ無いということ。そこから得られる自由。最近色々考えていた事にちょうど当てはまっていたテーマだったので観てよかったと思う

魔族会議

魔族会議

たすいち

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2016/08/27 (土) ~ 2016/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★

漫画的キャラたちの織りなす会議という名のバトル
たすいちの公演は初見。
魔族たちの会議劇というフォーマットだが、出てくるキャラクターの能力や設定、会話のネタなど、こういった世界観あるあるが観客側にも共有されている前提であり、それが面白くも難しくもさせている部分があったかなと。
しかし、それぞれのキャラクターやそれを演じる俳優さんたちは魅力的で、テンポよく、楽しく観ることができた。

無情

無情

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2016/08/24 (水) ~ 2016/08/30 (火)公演終了

満足度★★★★★

愛の表し方
MCRは初見だったが、笑えて、泣けて、感情を揺さぶられて、帰り道でベッドの中で思い出し、考えさせられる良いお芝居だった。
ちょっとずれた会話で笑わされて、嫌悪感を受ける登場人物でこころをささくれ立たされて、とにかく感情を引き起こして揺さぶって放り投げてくる素晴らしい構成
本当にどうしようもなく絶望的な時って、笑ってしまったり、傍から見たら笑えるような行動をとってしまうもので、泣いても笑っても構わないとボールを預けられたような気分になった
そして想像した。僕が飴玉を贈ったら、あの娘はどんな顔をするんだろうと

ネタバレBOX

そうなんだよ、そういうことなんだよと思ったのは、櫻井さんが演じる男性がたなか沙織さん演ずる女性を好きな理由として、芸能人とかよりもとにかくすごくかわいくて綺麗だと言うところ。
たなか沙織さんは確かに綺麗なんだけど、客観的立場からすると絶妙に誰よりも何よりも綺麗で可愛いかというと。。。。となるわけで
でも自分に置き換えて考えてみても、人を好きな理由なんて、その時点でその瞬間でその時の脳内で、総じて自分の人生で一番可愛くて綺麗だと、何らかの脳内物質のせいだとしても思い込みだとしても思うところが少なくとも有るからで、それが全てでそれが全てなんだと思った
七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)/笑の太字

七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)/笑の太字

Aga-risk Entertainment

サンモールスタジオ(東京都)

2016/08/31 (水) ~ 2016/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

シチュエーションコメディとはなんなのか?
アガリスクエンターテイメントは「屁理屈シチュエーションコメディ劇団」と自ら名乗っている
今回の公演は、その劇団のアイデンティティを遺憾なく発揮した公演だった
シチュエーションコメディに対する愛を恥ずかしげもなくさらけだした「七人の語らい」
三谷幸喜に対する愛憎を屁理屈で綴ったラブレター「笑の太字」
シチュエーションコメディとはなんなのか?
アガリスクエンターテイメントがその答えに一番近い劇団なのは間違いない

ネタバレBOX

「七人の語らい」の終盤、斉藤コータさんが顎をしゃくれさせる顔芸で客席+俳優陣たちも爆笑に巻き込む場面が有る。これだけシチュエーションや屁理屈などで笑いを取っている劇団の公演なのに、たった1つの「顔芸」がその劇での一番の爆笑をとってしまう。これはシチュエーションコメディの敗北なのだろうか?
この場面について、自分なりに考えてみた
問題の場面に至るまでのこの劇の仕組みには階層があるように感じる

1段目
矢吹ジャンプという登場するだけでシチュエーションコメディの空気になる舞台装置を活用して、シチュエーションコメディの世界観を構築
ソファや絵画の小道具や、演者のシチュエーションコメディらしい台詞回しで世界観を完成させる

2段目
シチュエーションコメディとして演じていた部分に無理が生じると演者自らが指摘。是正して演技を続ける。是正されたルール(法案)には誰も逆らえない強制力を持つ。また、この部分が基本となって行く部分で、我々観客は1段目と2段目を行き来することになる。
2.5段目
演技を止めて是正する際も役者は素に戻るのではなく、それぞれギャグ系のお笑いが好きな役者、スタイリッシュなコントをしたい役者、小道具などで心情を作っていく役者など設定を持っており、ここも更にシチュエーションコメディに文句をつける人間という役という入れ子構造になっている

→こういった世界観の中で、多数決という正当な手続きを経てジョン(斉藤コータさん)は顔芸で笑いを取ることになる
つまり、顎をしゃくれさせて笑いを取ろうとする人物が舞台上にいるというのは、ヘッドフォンを使うことや、舞台装置のスタイリッシュ化等と同様にこの舞台上の世界での真理となっている。これはシチュエーションコメディを守ろうとする矢吹ジャンプでさえ守らなければいけない真理だ。というよりも、ここで決められた事を守るという事自体が一つのシチュエーションとなっている。そして登場人物はそのシチュエーションの世界で(本来のシチュエーションコメディからみたら破壊された世界だが)真面目に役割をこなしていく

つまり、あの終盤で斉藤コータさんの顔芸があんなに面白いのは、劇が進むに連れて作られ、観客が受け入れてきた世界観とそれによって作られたシチュエーションの中で、そのルールに従って真面目に顎をしゃくれさせているという状況が面白く、役者も観客もルールを守るために変顔に対してツッコミや演技を止めたり感情にブレーキをかけられないという状況が面白さを倍増させているのではないかと思う。
そしてそれは、そこに出来上がった状況・シチュエーション・設定に従い、真面目に演じれば演じるほど笑いになるという、まさにシチュエーションコメディの世界の掌の中でのできごとでしかないということではないかと思う
シチュエーションコメディは負けておらず、むしろ懐の深さを見せつけている場面なのではないかと感じた

※ただ、斉藤コータさんの顔芸自体が面白いのも間違いない事実
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◆ついでにもったいないなと思った部分
 笑の太字で、生徒と指導教官がどうやったら笑の大学じゃなくなるか、いろいろ案を出すくだりで、最初は上司と部下ときて、次に生徒と教師となった時に、会場の空気が、「それはこの劇(笑の太字)のことじゃん」という雰囲気になって笑いが起きた
 →劇中ではすぐ「志望理由書」のことだという流れになるのだが、観客としては肩透かしを食らったような変な空気が残ってしまった。このもやもやはもったいないなと思った
ナイゲン(2016年版)

ナイゲン(2016年版)

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2016/08/11 (木) ~ 2016/08/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

何度観ても面白い
違う角度で2回観ました
アガリスクエンターテイメント版も含めて、もう10回以上観てるのに、まだまだ面白い。キャラクターの作り方や役割、会話や関係性に散りばめられた伏線。とにかく台本が素晴らしく、それに負けず演じる役者さんたちのパワーも素晴らしかった。今後も夏の恒例公演となってほしい

ネタバレBOX

本家アガリスクエンターテイメントとの違いについて
まず、オープニングアクトとしてペットボトルを使ったアクションが追加
役者陣も若い役者が多かったので(現役高校生も!)より舞台設定である高校生の会議という部分ではリアリティが増した
脚本自体に大きな違いはないが、おばか屋敷がツーステップを踏んで説明したり、それぞれの解釈での演技になっているので受ける印象はだいぶ違った
終盤のどさまわりと花鳥風月のやりとりもだいぶ印象が異なった
そして一番の印象の違いといえば、監査。アガリスク沈さんの動じない手強い機械のような監査も良かったが、二宮さんの監査は時折溢れ出る人間らしさが魅力的で、機械というよりアンドロイドといった感じ。
海のYeah!のトイレのくだりでの規則説明時のやりとりも、直前のミニスカサンタの復讐的な感情が見え隠れして非常に良かった。
また、終盤の「誰か私を説得して」からの監査無双も素晴らしく、「監査萌え」なる概念を新たに紡ぎだした二宮咲さんに拍手を送りたい

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