平和な時代に生まれて-終わりなき道の標たち-
九十九ジャンクション
小劇場 楽園(東京都)
2016/06/15 (水) ~ 2016/06/19 (日)公演終了
満足度★★★
程よく纏まってはいたが・・・
社会派演劇と成るべく題材を扱った本作であるが、“事”の表裏、本音建前等々、作者の云いたい事が観客(私)には伝わってこない感があった。
また、ストーリーに捻りがなく演劇的面白さが足りないとも思った。
作家デビュー作としては程よく纏まってはいたが、心揺さぶるまでは至らず全体的にインパクトが弱い印象を受けた。
当日パンフに「想像可能な範囲でシミュレーションし・・・」と作者の言葉があるが、“想像可能な範囲”を超えてもいいのかな・・・と。
雨夜の月に 石に花咲く
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2016/06/15 (水) ~ 2016/06/19 (日)公演終了
満足度★★★★
“懐の深さ”
“SPIRAL MOON”は「銀幕心中」に次いで本作で二作目の観劇になりますが、
“圧倒的瞬発力”を謳った「銀幕心中」と打って変わり、“まったり”としたテイストの本作も面白く観させていただきました。演者の好演はもとより、“秋葉舞滝子”さんの演出:演技に、懐の深さを感じました。
次回作はどんなテイストの舞台を魅せてくれるのか、とても楽しみですね。。。
どりょく
かわいいコンビニ店員 飯田さん
北池袋 新生館シアター(東京都)
2016/06/02 (木) ~ 2016/06/12 (日)公演終了
満足度★★★
凡人哲学でも哲学は哲学
“ かわいいコンビニ店員飯田さん”は今回が初見です。
〔新作〕と〔再演〕、それぞれ三作の短編を上演するという今回の公演ですが、
今回は〔新作〕を観させていただきました。
「果実」、「軋むほど君を抱きしめて」、「美の生産者」の三作品ですが、
それぞれの物語にはそれぞれの“哲学”が描かれていた。
それを本人が“哲学”と認識しなくとも、人それぞれ、自身にとっての“哲学”を持つのであろう。
三作とも面白く観させていただきました。
さい、なげられて
green flowers
劇場HOPE(東京都)
2016/06/08 (水) ~ 2016/06/12 (日)公演終了
満足度★★★★
“要注目”
“green flowers”の作品は本作が初観劇となります。
脚本:イトキチ(さとうゆい)さんより、「丁寧につくってきた自負はあります」とのコメントをいただきましたが、まさしく丁寧につくられていると感じました。
脚本・演出・舞台美術等々、高評価が頷ける舞台でとてもよかったです。
公演ごとに出演者を募集するというスタイルのため、出演する役者によって作品の印象が左右されることがあると思いますが、本作はナイスキャスティングだと思います。
何れにせよ、“green flowers”は要注目です。。。
コメディカルナイト
劇団クロックガールズ
新宿シアターモリエール(東京都)
2016/06/08 (水) ~ 2016/06/12 (日)公演終了
満足度★★★★
これはこれで面白い。
リアリティのない設定でほぼ終始する本作、コメディとしては賛否両論あるだろう。
作者が、敢て狙ったのかどうかはわからないが、その“あり得なさ”が面白可笑しくて笑えた。こういうのもアリだと思う。
医療だけでなく、あらゆる現場には公に出来ない“話(裏事情)”があることだろう。
大学病院に入院中、成り行きで研修医の練習台になったことを思い出し、ニヤッとしてしまいました。
なだぎ武・山田菜々主演「ドヴォルザークの新世界」
劇団東京イボンヌ
スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)
2016/06/07 (火) ~ 2016/06/10 (金)公演終了
満足度★★★
アメリカンネイティブとドヴォルザーク
“東京イボンヌ”が掲げる“クラコメ”とは、
「クラシックの作曲家に焦点をあて、彼らを面白おかしく紹介することにより、
作曲家をより身近に感じた頂き、物語も音楽も楽しんで頂きたいと作品を提供している」と、主宰:福島氏の言葉。
一般的には“クラシック”に馴染みのない人が多いとは思いますが、
そんな人でも楽しめる舞台を創り上げているのが“東京イボンヌ”です。
私自身、“クラシック”には明るくないのですが、“東京イボンヌ”の舞台を観た後には色々と調べて楽しんでいます。
“作曲家の物語”を通じて“クラシック”に興味を持つ作品の公演は、とても意義のあるものだと思ういます。
アメリカ大陸に於ける“開拓の民”と“先住民”との関係が主軸として描かれている物語りの今作。興味深く観せていただきましたが、
以前観せていただいた「俺の兄貴はブラームス」、「モーツアルトとマリー・アントワネット」の二作品に比べると、作曲への“きっかけ・思い入れ”の描き方が弱かったような気がします。
また、オーケストラの“ピッチ”と“まとまり”が若干気になりました。
水棲のアリア s.v.
salty rock
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2016/06/03 (金) ~ 2016/06/06 (月)公演終了
満足度★★
不完全燃焼
“salty rock”は未見の団体ですが、今作は“立夏”さんの演出ということで興味を惹かれ観させていただきました。
劇場に入ると、舞台上には役者達が各々のポーズで板付きでスタンバイしており、すでに“立夏カラー”を醸しだしている。
開演し、独特の世界観を感じ取った私は役者の“台詞”、“動き”に意識を集中して観ていたのだが、場内の暑さゆえ中盤より汗がダラダラと出てくるは、頭はボ~っとするはで集中力を欠き、さらには何かの機械音によって“ささやく台詞”が聴こえずといった状況で、残念ながら作品を吟味するまで至らず不完全燃焼のまま終演。
適切な環境でもう一度観てみたいと思ったのでした。
大安吉日
劇団芝居屋
ザ・ポケット(東京都)
2016/06/01 (水) ~ 2016/06/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
兄弟舟
“劇団芝居屋”は本作で三作目の観劇になりますが、毎回笑い、感動し、泣かされています。
それは、現実離れしていない物語の面白さはもとより、演劇・演技に対する確固たるポリシーがあり、実践されているからでしょう。
“老若男女全ての人に観ていただき、そして感動していただきたい”、そんな素晴らしい劇団です。
「江戸系 諏訪御寮」「ゲイシャパラソル」
あやめ十八番
サンモールスタジオ(東京都)
2016/05/27 (金) ~ 2016/06/05 (日)公演終了
満足度★★★★
予想以上の面白さ !!
“あやめ十八番”は今回が初見です。「江戸系 諏訪御寮」を観劇。
コンセプトである“日本の古典芸能のエッセンス”、“日本人特有の感覚や美意識”、“劇中音楽が全て生演奏”が現代演劇との独特の融合を以って具現化された舞台であると感じました。
その試みには賛否両論があるかもしれませんが、
この作品からは、可能性と面白味を充分に受け取ることが出来ました。
役者の皆さん好演されていましたが、中でも、諏訪琴美(御寮さん)役の“金子侑加”さん、いい雰囲気を醸し出していました。
とても素敵なユニットですね。。。
優しい嘘
劇団俳協
TACCS1179(東京都)
2016/05/26 (木) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★
テーマへの求心力が・・・
“劇団俳協”は、「待つ人々」に次いで二作目の観劇になります。
「待つ人々」同様、作:青田ひでき/演出:伍堂哲也という今作。
作品として、全体的には良く出来ており面白かったのですが、
“笑い”に振りすぎた為か、“優しい嘘”というテーマへの求心力がやや弱くなってしまったようで、シナリオの良さは感じるものの、物語に入り込みにくい感が残りました。
“シリアスなテーマ”を、“笑い”を織り交ぜ創り上げる手法は、
ある意味定石ではあるが、その“質”はもちろん、“バランス(匙加減)”が難しいのだなと思いました。。。
グランメゾン・アカシア
the pillow talk
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2016/05/27 (金) ~ 2016/05/30 (月)公演終了
満足度★★★★
ありえないだろう、けど、面白い。
“the pillow talk”初観劇させていただきました。
前情報では、どんなお話になるのかはわからず、“渾身の会話劇”とあり、当日パンフにも“あらすじ”や“相関図”も記されていません。
が、舞台が進むにつれ“ストーリー”、“相関”が明らかになっていき、なるほど、これは“あらすじ”や“相関図”は書けないだろうな~と納得。
まずありえないであろう状況の重なりが、演者の芝居、さらには演出によって“リアルチック”に面白おかしく描かれており、ひきつけられる舞台でした。
役者の皆さん好演していましたが、殊に“西村優駿”さんの芝居は、いい味を出していると思いました。
10分間カセット
張ち切れパンダ
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2016/05/26 (木) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
やっぱり、とてもいいです!!
“張ち切れパンダ”は、「夜食の時間」に次いで二作目の観劇になります。
今公演にて退団する“深井邦彦”氏。
それを受けての、“劇団員のみの公演”ということであろう本作ですが、
実に面白かった。
タイトルのセンス、脚本・演出、キャラ設定、演者の芝居、
すべてが私好みで、お気に入りの劇団です。。。
あしたのジョー
劇団め組
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2016/05/25 (水) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★
2時間では、ちょっとキビシイか・・・
コミックで20巻、TVアニメで79話の物語を、舞台化するというのは、大変な作業であることと思います。
主要エピソードを抜粋した脚本によって、2時間という上演時間にまとめられた本作。
物語の顛末を知っている観客(私)には、充分に楽しめたのですが、
予備知識のない人(観客)にはこの物語り、どう映ったのでしょうか・・・。
休憩時間を挟み、3時間程度の作品にしてでも、
各エピソードを深く掘り下げた作りにすればさらに感動できる作品となることでしょう。
余計者
teamキーチェーン
d-倉庫(東京都)
2016/05/18 (水) ~ 2016/05/23 (月)公演終了
満足度★★★★
着想・ストーリーは面白い
と思うのですが、それを構成するために必要であろう“肝要なプロット”が少々足りないという気がしました。
人間が“壊れていく過程”などは、物語を成立していく上で必要不可欠ではないでしょうか。
演者の演技力によって、出来不出来はあると思いますが、それぞれの人物造形はよく出来ていると思いました。
細部を見つめ直すことにより、より良い作品になるのでは、と感じました。
皮肉にも雨は降る
劇団時間制作
劇場MOMO(東京都)
2016/05/11 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了
満足度★★★★
“エゴの上塗り”
〔Aチーム〕を観劇。
“ペットと殺処分”を問う社会派作品。
題材から、全体的に“重いムード”に支配されがちだが、笑えるシーンを随所に挿入することにより、
物語に適度な緩急がつきシリアスなシーンが活きている、また、そのさじ加減がとてもいいと感じました。
登場人物それぞれの“考えや思い”の描き方は見事であり、
綺麗ごとではない現実に向かい合い考えさせられる脚本は秀逸で、出演者の好演と相まって惹きつけられた舞台でした。
また会う日まで
劇団@ホーム
川崎H&Bシアター(神奈川県)
2016/05/14 (土) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★
泣かされました
全体的には、よく出来ている舞台といった感じでよかったです。
物語の基本的な設定としては、割とありがちなものとも思いますが、
練られている印象はうけました。
歳をとると涙腺が弱くなるのか、泣かされました・・・。
ただ、少々都合よすぎるエンディングは面白みがないとも感じたが、
これからが期待できる劇団かもしれません。。。
女流の十八番
サンハロンシアター
「劇」小劇場(東京都)
2016/05/11 (水) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
副題の“ハニー・トラップ”
から、想像していた物語りとは全然違いましたが、
“ゴルフ場とギガソーラー”という注目の話題から発想した物語り、
面白かったです。
各ホールに設えられた“トラップ”や、“18番ホール”など・・・、
「なるほどね」、という感じで納得。
“ドラマ”のインパクトが少々弱い印象を受けたが、リラックスして観られる纏まった作品と感じました。
ただ、“色仕掛け(ハニー・トラップ)”の物語を想像していたのは、私だけではないでしょうけど・・・(笑)。。。
同想会
劇団ヨロタミ
ウッディシアター中目黒(東京都)
2016/05/11 (水) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
“ヨロタミ・カラー”
全体的に、コメディとしてストーリーは展開していくのですが、
おバカで笑っちゃうシーンとシリアスでヘビーなシーンとの落差が凄いです。
設定に、盛り込み過ぎや、少々強引なところを感じもしましたが、
これも、“ヨロタミ・カラー”の不思議な魅力には不可欠なのかもしれませんね。
私の好みからいうと、ミステリーな要素がもっと欲しい。
さらに、どんでん返しも欲しいところではあります。
「あたま山」×「ひたすら一本の恋」
みどり人
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2016/05/06 (金) ~ 2016/05/11 (水)公演終了
満足度★★★★
切なくて、可笑しくて・・・
〔柳家小太郎さん出演の回〕
「“古典落語”と、そのサゲ(オチ)から発想した“演劇”の上演」という公演。
「あたま山」というと、ちょっとシュールな落語だけに、
演劇のほうもちょっとシュールなのかな、と想像していたのですが、
わりと普通な“恋の話”、とはいっても、そこらへんの“恋の話”とは一線を画す脚本・演出が良い。
“そぎたに”氏の演技が劇全体の“色”を染めておりとても魅力的な舞台でした。
清掃員役の“宮本愛美”さんもいい味を出していましたね。
“笑えるけどちょっと切ない”、そんな作品。面白かったです。
um~潮龍伝~
super Actors team The funny face of a pirate ship 快賊船
ブディストホール(東京都)
2016/05/04 (水) ~ 2016/05/10 (火)公演終了
満足度★★★★
物語がわかってからは・・・
事前情報では、“昔話”、“小さな島”というキーワードがあったのですが、
物語への期待感から、あえて下調べをせずに劇場へ。
開演し、舞台衣装やBGMから、“琉球”を舞台とした物語りというのが見て取れたのですが、
序盤、物語の“骨子”がわかりにくく、自身の中で物語を構築していく作業にエネルギーを費やし、
舞台に集中できないというジレンマに・・・。
これには、
物語の“核”を為す台詞が明瞭に伝わってこないシーンが散見されたことにも起因しているかもしれないのですが・・・。
ある“伝説(説)”をモチーフとした物語りであると認識し、物語の流れがわかってからは、
舞台に引き込まれていきました。
当日パンフに、“あらすじ”や“相関図”が記述されているば、もっと楽しめたのかなと思いました。
前作「for×for=many mind~士×志=十色~」では、
“清水勝生”さん、“金村美波”さん、 お二人の魅力が発揮されていないように感じたのですが、
本作では、お二人の活躍が観られ好かったですね。