ぼくたちの学校
演劇企画ハッピー圏外
TACCS1179(東京都)
2014/11/19 (水) ~ 2014/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
そういえば学生運動が…
自分より先輩たちの世代で盛んだったようだ。そして学生寮に入寮した経験がないから、”そうだったんだ”という追体験もしくは俯瞰した見方になった。それでも1972年当時のノンポリ大学生を通してみた学生運動の雰囲気は出ていたと思う。その緊迫状況は、終盤になって発揮される。惜しむらくは、その表現が状況ではなく、セリフ(アジテーション)による説明になっていたこと。
もう一方のテーマ…上京した純情大学生の恋愛、女性同士の嫉妬・裏切りを交えた生身の人間像のあぶり出しが見物であった。
その演出には、「演劇企画ハッピー圏外」らしさが…
(後日追記)
通る夜・仰げば尊し
劇団芝居屋
ザ・ポケット(東京都)
2014/11/19 (水) ~ 2014/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
覗かれる人生芝居の味わい
今回公演…消滅危惧地域となっている北国の辺鄙な地ホタムイが舞台になっている。わが故郷も山間部の豪雪地帯だった。懐かしさとともに、現在の境遇(都市部には演劇、映画、音楽等の文化に触れやすい環境下にある)は恵まれていることを痛感した。
僻地教育に情熱を燃やした教師の通夜、卒業生の想いは分かるような気がする。さらに地域が家族そのもののような絆の強さがあり、見方によっては過干渉かもしれない(笑)。
さて、芝居屋の公演が好きなところは、演技がしっかりしているところ。もちろん脚本・演出は秀逸である。今回、脚本・演出を行っている増田再起氏の出番が少ない。そして、本公演はオーディション(1名)以外は、劇団員だけで上演しているという。当日配布の「芝居屋とは」からその趣旨は読み取れた…
(後日追記)
「螺旋戦車PART20 virus hospital-pandemic-」
SPIRAL CHARIOTS
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2014/11/16 (日) ~ 2014/11/16 (日)公演終了
満足度★★
呆気ない
あまりに呆気なさすぎて物足りない、というのが第一印象である。
観客参加型のゲーム演劇で、今年は4公演目であったが、こんなに早く解決してしまっては劇になっていないと思う。
本公演では、病院が舞台で「ウィルス」「感染ウィルス」を駆除するものだが、ほとんど推理することもなく、観客はほとんど正答した(わざと不正解に…大人の対応をした方3名)。
前説でもあったが、エピローグ、プロローグ以外はアドリブだからやむを得ないのだろうが…。
次回公演を期待しております。
音楽劇・聖なるかな
海千山千プロデュース
OFFOFFシアター(東京都)
2014/11/12 (水) ~ 2014/11/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
お見事!
素晴らしいコメディ音楽劇…ストライクゾーンに速球が来た感じである。良質な笑いを誘いながらも、しっかり社会批判を込める。それも正面から堂々(シニカルではない)と行うから誰にも分かる。本当に10年後には現実になっていそうな物語である。
舞台は、宗教(修道院)…そこに政治的な話題(寄付金に課税)を取り上げ、さらに修道士達の人間としての苦悩が…どちらかと言えば避けてしまいがちな設定であるが、上手く描いていた。
また、音楽劇…専門家ではないキャストの味わい深い歌声は、温かみがあり印象に残る。なにより歌詞が、劇中のセリフとして生きている。
今「音楽劇・聖なるかな」は、4年前の男性版として上演しているが、更に条件・状況を変えて再演してほしいものである。
全てにおいて満足した公演でした。
ブルドッグは支配できないⅡ
湾岸ビルダーズ
ワーサルシアター(東京都)
2014/11/15 (土) ~ 2014/11/17 (月)公演終了
満足度★★
残念ながら…
自分はあまり好きな公演ではなかった。何を表現したかったのか、が分からない。脚本家・演出家が描きたい思いは大切だが、観客(自分)はついて行けなかった。もう少し観客を意識した目線がほしい。芝居は虚構の世界だが、それにしても、もう少し現実性を持たせないと感情移入出来ない。最後は、ハートフルコメディのような結末だが、印象に残らない。
巨人伝説
劇団俳優座
俳優座劇場(東京都)
2014/11/06 (木) ~ 2014/11/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
虚人伝説
人間の生に対する執着…究極には、見栄や外聞もなく虚勢を張ってでも生き抜く。その魂胆が見て取れる秀作だと思う。
あまり書き過ぎると、自分が透けて見えるようで恥ずかしく、また怖い。
全てにおいて印象深い公演でした。
Antique
Project ONE&ONLY
「劇」小劇場(東京都)
2014/11/12 (水) ~ 2014/11/16 (日)公演終了
満足度★★★★
懐かしい雰囲気
優しい空気がゆっくり、また時として激しく流れる感覚が心地良い。小さな場内に大きな想いが詰まった不思議な空間を創り上げた。
アンティークショップの雰囲気は出ていたが、よく見ると不自然な(古美術品、骨董品というものから外れた)物も置かれていた。そこはご愛嬌だろう。想いが込めれた品々は、その想いが既にアンティークという解釈なのだから…。
マッチ売りの少女
CHAiroiPLIN
d-倉庫(東京都)
2014/11/06 (木) ~ 2014/11/09 (日)公演終了
爆弾魔メグる
あたらしい数字
王子小劇場(東京都)
2014/11/07 (金) ~ 2014/11/10 (月)公演終了
満足度★★★
坦々と…
進展する普通の恋愛劇だった。
自分の中に爆弾は膨らんでこなかった。黒い風船という比喩爆弾は膨らませた大きさは変わらないのだろうか。私(めぐる=女子高生)にくれたときから、20歳代前半までの状況の変化に応じた爆弾のあり様は…
旗揚げ公演で爆弾とくれば、もっと刺激的な内容かと思ったが、誰もが澱のように沈澱させる嫌な気持ち。その爆発する限界点の描き方が弱かったようだ。もっと良い子が内に溜め込んでいく様をデフォルメして表現してもよかった。
かなたから
アンティークス
「劇」小劇場(東京都)
2014/11/06 (木) ~ 2014/11/09 (日)公演終了
満足度★★★★
真面目な…
公演スタイル。伏線を施した内容は回収・説明していた。
また、”かなたから”にあえて繋げなくても十分面白い。逆にSF風にすることで現実の社会性や人間性という身近な問題を回避したようで表層的な印象になった。また、演出として20数年間という経過を描いているので、その状況の変化はキャストの演技力に負うことになった。しかし、基本的には幼子時代から成人までを演じたが、途中回想シーンも取り入れながら違和感なく最後まで観ることができた。
IN/GO rewrite
EgofiLter
ワーサルシアター(東京都)
2014/11/06 (木) ~ 2014/11/10 (月)公演終了
The Wonderful World ~サヨナラ愛しき世界~
ネオゼネレイター・プロジェクト
小劇場B1(東京都)
2014/11/06 (木) ~ 2014/11/11 (火)公演終了
満足度★★★★
不気味さあり
オドロ怪しい雰囲気が漂う舞台セット。場内に入った途端、異空間を思わせる素晴らしさ。薄暗い室内は時間感覚が定かではなく、これから起こる不思議な出来事を考えると、”逢魔が時“か。
サムライ・シェークスピア "R&J”
シアタージャパンプロダクションズ
笹塚ファクトリー(東京都)
2014/11/05 (水) ~ 2014/11/09 (日)公演終了
満足度★★★★
演舞による演出は見応えあり
シェークスピアの「ロミオとジュリエット」(邦題)を原作として、舞台を日本に見立てた公演である。もちろん梗概は原作を踏まえたものになっているが、描く視点をロレンス神父を悲劇に導いた被疑者として捉え、法廷心理劇を構築している。だから、証言者としてのロミオやジュリエットの親近者、従者が証言台へ立つが、その発言は時・場所・状況・立場で違う。事象は羅列されるが、真実は明らかになるのか。
ニューヨーク公演に向けた日本プレビューということを前提に観ないと、ツッコミ所が…芝居と同様、アメリカという違う場所・状況等考えあわせると合点できる。
裏マン寄席in中目黒
劇団裏長屋マンションズ
ウッディシアター中目黒(東京都)
2014/11/03 (月) ~ 2014/11/04 (火)公演終了
満足度★★★
ゆる~い笑い
赤塚真人座長をはじめとした落語好きによる、落語二席、落語芝居二物語。全てがゆる~い笑いに包まれる。今まで観た劇団裏長屋マンションズの公演は、泣き笑いの人情物だったが、今回は徹底的に笑いだけ。わざとなのか定かではないが、台詞忘れ、噛み、トチリなど普通の芝居であればヒンシュクもの。しかし、この劇団だけは大目にみてしまう。それは、観客を大切にしていることが十分感じられるからだろう。
常連客に愛され、支えられていることは一目瞭然だ。そして、赤塚座長の樂日打ち上げ会の誘いに、その会場案内を手にして嬉々とした観客がなんと多いことか…このサービス精神が集客力の源と実感した。
次回公演は、少し違う劇風になりそうな説明であった。それはそれで期待しております。
宇宙へのマーチ
タッタタ探検組合
赤坂RED/THEATER(東京都)
2014/10/30 (木) ~ 2014/11/03 (月)公演終了
満足度★★★★
捻り、イロニーがあれば。
まず、舞台セット(仕掛け)は素晴らしい。そしてキャストのキャラクターを意識した演技は安定感があって安心して観ていられる。
脚本は、あまり捻りが感じられず、小じんまりとまとまったようで、本来の劇団のカラーが出ていないように思う。
宇宙開発が政府主導ではなく、民間企業の共同出資で行われるという現実感、そこに隠された思惑がチラつく。
公演はコミカル仕立てだが、その底流には、閉鎖的状況下における人間のエゴ、民族的問題を意識した描写が見え隠れする。この硬派的な投げかけをコミカルに軽く流すと言うイロニーが弱かったようだ。
この記載は、いつもレベルの高い公演をしている劇団への期待の表れである。
泥の子
劇団 きみのため
劇場HOPE(東京都)
2014/10/29 (水) ~ 2014/11/03 (月)公演終了
満足度★★★★★
逞しく生きる
1948年当時…生きるためになりふり構わないという、バイタリティを感じさせる公演だった。一方、貧しさ故の悲哀も十分描き込んだ秀逸な作品だと思う。戦後の食料というと、食糧管理法の下で、栄養失調で亡くなった裁判官のことを思い出す。闇米拒否する清貧さによるそうだ。
さて、単に善悪だけを論じることに意味がない状況下…この苦難を経て今の日本がある。この公演は、登場したような人達の姿を通して、現在の有り様を考えさせる一石を投じた作品だと思う。刑務所のほうが食事の心配がないようなセリフがあったが、現在では働く場所、就業形態の不安定化による生活困窮が問題になっている。正直者(法遵守した人が死亡)が……不条理にならないようにする必要があるだろう。
さて公演だが、舞台セットは悲惨な状況を感じさせる見事な作り込みであった。そのセット(窓からの出入りも含め)を十分活用した演出も見事であった。一部小物等(盗品靴が新品、黒先生の靴下が新しい)に違和感はあったが、そこはご愛嬌だろう。
全体的には、社会的訴求力のある好公演であった。
今後の公演にも期待しております。
夜食の時間
張ち切れパンダ
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2014/10/31 (金) ~ 2014/11/05 (水)公演終了
満足度★★★★
序盤とラストの落差が凄い
願い通りに食したら…序盤とラストの劇風を激変させる演出には驚いた。詳しくは書けないが、個人的には受け入れられる内容で見応えがあった。
2つの重力の間で
屋根裏展望台
王子小劇場(東京都)
2014/10/31 (金) ~ 2014/11/03 (月)公演終了
満足度★★
主観と客観の間で
作・演出の岩城泰斗氏の頭の中では整理出来ていたのかもしれないが、観客からすると、描きたい叉は訴えたい内容が伝わってこない。演出手法、テンポも緩慢だった。
着想は面白いが、それを表現しきれていない。
自分が描きたいことを大切にする、一方で観客の目線を意識することも大切であり、バランスが重要であろう。
舞台は、白線で12分割された四角い枠。後方は大きなデジタル掲示板という、ほぼ素舞台である。冒頭目覚まし時計を持って時刻をセットし、終演まで置いたまま…。
ヴェニスの商人 [Kingdom Come]
獣の仕業
pit北/区域(東京都)
2014/11/01 (土) ~ 2014/11/03 (月)公演終了
満足度★★★
創作舞踊が良い!
今年は、シェイクスピア生誕450年にあたり、色々なイベントが催された。そして劇団「獣の仕業」にとってシェイクスピア三作目にして、いったん総仕上げに位置付けるそうだ。
今回の「ヴェニスの商人」は原作にとらわれず、むしろ分解/再構築を試みたようだ。しかし、原作を知らなけばその意図は知ることは出来ない。そのため、前日に会場道順とともに原作粗筋がメール配信されてきた。実に親切な対応で感心した。
さて、公演はやはり有名なエピソードを散りばめないと説明出来ないようだ。その表現方法が創作舞踊と配役のシャッフルである。若さ溢れるパワーが観客を圧倒する。
しかし、やはり原作を知らなけば理解しずらい。それも悪役「シャイロック」の独白や内省なのだから尚更である。
さらに場面を絞り込むなどの工夫があったら素晴らしい公演になったと思う。
今後の公演を楽しみにしております。
In The PLAYROOM
DART’S
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2014/10/31 (金) ~ 2014/11/09 (日)公演終了
満足度★★★★
面白いが…もう少し工夫があったら
サスペンス・ミステリーと銘打った芝居…観客も参加しているような錯覚を覚えさせる面白さがあった。上演会場のある区域がプレイエリアとして設定するから、今回は新宿が舞台になった(前回は渋谷区)。
客席は、対面式の雛壇並び。中央をプレイルームに見立て、組み立てテーブルを配置しパイプ椅子を周りに並べる。さぁゲーム開始…。
先にも記したが、脚本は面白いが、演出に工夫が必要だったと思う。