くれない博徒 公演情報 蜂寅企画「くれない博徒」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    大衆演劇…面白い!
    中尾知代氏の作・演出は「沈没のくれなゐ」(2012年)「氷のほむら」(2014年)の2公演しか知らないが、本公演も含め時代劇に対する想いとしっかりした取材に好感を持っている。
    最近は反社会的勢力に対する取締り強化という背景もあり、昭和時代にあったようなヤクザ映画の上映もなくなっている。しかし、その時代に観た任侠映画を彷彿とさせるような雰囲気のある芝居は面白かった!

    ネタバレBOX

    2014年11月には日本を代表する男優2人が鬼籍に入った。その2人の代表的な作品は任侠映画(映像イメージは異なる)であり、当時の映画隆盛期にシリーズ化されたものもある。

    さて本公演は、主人公の任侠鉄火な女(おりん)の復讐劇である。この復讐モチーフはシェイクスピアの四大悲劇の1つ「リア王」のようであるが…。

    王であった時は自分が愚かで弱い存在であることを認めなかったリアは、彷徨して苦しんだ末、末娘の愛に救われ己の愚かさを悟る。リアに最初からその自覚があれば、悲劇は生まれなかった”はず”なのに。本劇中のセリフ「あの日までは…もし、たら、れば、は 博打と色恋にゃあ御法度!」と同様、仮定の話は無意味だろう。
    しかし、シェイクスピアを例に、彼は悲劇・喜劇の両戯曲があり、多様な人間を描く「万の心を持つ」(ミリアド・マインデッド)とも言われ、彼の世界は「多声性」(ポリフォニー)に満ちており、価値は1つに定まらない。

    多少、意味合いは違うが「くれない博徒」も観客の捉え方は様々であろうが、まだまだ”伸びシロ”が、いや蜂寅企画は中尾氏一人であったと思うので、”才能”というべきだろう(高い所からの言いようで、失礼)。

    舞台美術・衣装は拘りが出ており素晴らしい。
    今後の公演にも期待しております。

    ちなみに、登場人物の「おりん」は「逃亡者おりん」(テレビ東京系列)、八重洲の銀次」は「素浪人月影兵庫」の旅連れ「焼津の半次」(現・テレビ朝日)に名が似ていますが…。

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    2014/12/27 16:59

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