大きなものを破壊命令(再演)
ニッポンの河川
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2014/03/01 (土) ~ 2014/03/09 (日)公演終了
満足度★★★★
魅惑の演劇ごっこ
優秀な作・演出家と演技達者なベテラン4女優が本気で取り組んだ「演劇ごっこ」。そんな印象の舞台。
彼女たちが性別や老若を問わず一人多役で色んな人物を演じながら荒唐無稽な劇世界を自由に遊び回っているような65分は遊走的でひたすら楽しい。
これまでその作品に触れる機会のなかった福原充則氏が織り上げた、言葉遊びと豊饒なレトリックに満ちあふれたセリフの数々にも楽しませてもらったが、なんといっても本作の肝は先述の「ごっこ」感。
役者が音響と照明を兼ねているのも人手不足からそうしているかのようで「ごっこ」っぽいし、併走する2つのエピソードを役者たちが頻繁に行き来しながら劇を進めるのも、移り気で飽きっぽい子供たちが遊び感覚で気の向くままに演劇をやっている感じで「ごっこ」感濃厚。そもそも、一人多役というのがまんま子供のごっこ遊びだ。
そんな型破りなこの劇をどう終幕させるのかヒヤヒヤしたけど、なかなか綺麗に締めくくられていてホッとしました。
というわけで、演技がハイテンポで一本調子なのがやや気にはなったものの、満足度は4点。
ただ、正統派の演劇からはほど遠いので評価は分かれそう。
失望のむこうがわ
アル☆カンパニー
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2014/02/14 (金) ~ 2014/02/23 (日)公演終了
サンダーバードでぶっとばせ!!
ブラボーカンパニー
テアトルBONBON(東京都)
2014/02/20 (木) ~ 2014/03/02 (日)公演終了
満足度★★★★
結末が最高!
とにかくオチが秀逸!
独立したコントに思えた合間合間の寸劇の数々が徐々に本筋へと回収されていく構成も見事だし、再演用に差し込まれた時事ネタもくだらなくっていい。
私の観た公開ゲネは女性客がほとんどで、正直、ゲラな方が多かったが、的外れな箇所で笑う人はあまりおらず、皆さん、いいタイミングでいい感じで笑うので和やかな気分になってきて、当方、一度ならず貰い笑い。劇場でコメディを観る楽しさに浸りました。
行動・1
射手座の行動
新宿眼科画廊(東京都)
2014/02/07 (金) ~ 2014/02/12 (水)公演終了
満足度★★★★★
地味ながらも笑える良質な短編集
緻密な脚本に基づく精妙な会話劇4編を堪能。
日常の中の小さな綻びが徐々に広がってゆくこの種の笑劇は大好物♪
岡部たかしさんの軽妙にして飄々とした演技は相変わらずの可笑しさでした。
しのび足のカリン
ロリータ男爵
OFF OFFシアター(東京都)
2014/02/05 (水) ~ 2014/02/11 (火)公演終了
満足度★★★★★
劇団初見! 面白い!!
大の大人が全力でバカをやると異様に面白い。「大人の学芸会」のような本作を観てそのことにあらためて気づかされた。
そのバカワールドの構築に大きく寄与していたのがパワフルなベテラン役者勢。
とりわけ、美声を限界まで張り上げての超ハイテンションな演技で爆笑をさらっていたオネエ系美男優・足立雲平さんには圧倒された。
HOME SWEETS HOME 【ご来場ありがとうございました】
青春事情
ザ・ポケット(東京都)
2014/02/05 (水) ~ 2014/02/11 (火)公演終了
電磁装甲兵ルルルルルルル
あひるなんちゃら
OFF OFFシアター(東京都)
2014/01/28 (火) ~ 2014/02/02 (日)公演終了
満足度★★★★
初出演の田代尚子が健闘!!
女優陣が競い合うようにボケ倒す滑り出しから早くも可笑しく、ニマニマしたり、吹き出したり。中でもあひるなんちゃら初登場の田代尚子さんがイイ味を出していた。
三瓶さんと堀さんにつけられた設定にも大笑!!
海のバッキャロ―!!~まごころ食堂編~
株式会社Ask
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2014/01/14 (火) ~ 2014/01/19 (日)公演終了
満足度★★★★
原田里佳子見たさに観劇♪
ゴリカコ氏こと原田里佳子の思いがけない小ささに、そしてほぼ出ずっぱりの主人公を小さな体で演じきった頑張り屋っぷりに驚嘆!
ゴリカコ氏が出ていなければまず観なかったに違いない海辺の食堂を舞台にした人情劇だったが、丁寧に作られていたうえ役者さんが皆さん達者で、グイグイ釣り込まれた。
人情味あふれる食堂付きの調理師を演じた石坂史朗という役者さんがとりわけ巧い!
少年の日の思い出
こゆび侍
新宿眼科画廊(東京都)
2014/01/17 (金) ~ 2014/01/19 (日)公演終了
『最新の私は最強の私』『油脂越しq』
Q
3331 Arts Chiyoda(東京都)
2014/01/16 (木) ~ 2014/01/19 (日)公演終了
満足度★★★★
Q初体験。面白い!
ガールズトーク演劇。
他の作品は観てないのでなんともいえないが、本作についてはこう括って構わないのではないだろうか。
短編2編から成る本作は、2作品とも、女優たちが自分の性やカラダ、恋愛などについて赤裸々に語り合う内容で、男性客たる私は興味津々で鑑賞。テーマがテーマだけに、扱い方を間違えると客を不快にさせかねないが、両作とも、交わされる会話は飛躍と逸脱に富んでいて楽しく、クスクスと笑いながら最後まで堪能できた。
笑いにくるまれていながらも、女優たちの交わす話は女にとってとても大事な恋や性に絡むものゆえ切実で真に迫り、たびたびハッとさせられたことも付記しておきたい。
夢も希望もなく。
月刊「根本宗子」
駅前劇場(東京都)
2014/01/10 (金) ~ 2014/01/19 (日)公演終了
人魚の夜
青☆組
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/01/10 (金) ~ 2014/01/20 (月)公演終了
新年工場見学会2014
五反田団
アトリエヘリコプター(東京都)
2014/01/02 (木) ~ 2014/01/04 (土)公演終了
満足度★★★★
頑張り所のチョイスが適切
前田司郎率いる五反田団と岩井秀人率いるハイバイ。2団体が中心となり毎年始に行っているというエンターテインメントショーを初観覧。
当日パンフによれば、この見世物は前田氏いわく「毎年、年始に悪ふざけをすることで、初心を忘れないように気をつける催し」だそうで、岩井氏いわく「毎年「そこまで本気じゃない感じでやる」主旨でやっている」そう。
両氏の言葉に嘘はなく、五反田団が演った『クリィミー☆チカ』もハイバイの演った『大衆演劇のニセモノ』もその名に恥じない
“悪ふざけ演劇”だったが、だからと言ってテキトーづくしというわけでもなく、二団体ともある部分にはとても力を入れていて、その“頑張り所”のチョイスが適切だったせいなのか、両作とも大いに楽しめた。
カルメン
シアターカンパニー 象の城
相鉄本多劇場(神奈川県)
2014/01/04 (土) ~ 2014/01/06 (月)公演終了
満足度★★★
カルメンに魔性が感じられず
「なぜドン・ホセはカルメンを殺したか」このテーマで学会にてプレゼンをする女子大生が聴衆にカルメンという物語を知ってもらうため、そして自身が考えるヒントを得るため学友たちに同作を演じてもらう、という趣向。
プレゼンの一環ゆえ演劇的完成度はさほど求められないということなのか、演じながら役者が素で笑ったり、ギャグがてんこ盛りだったりと、このカルメンはかなり自由。
そこが面白味となっているのだが、カルメンまでがふざけているのはどうかと思った。
カルメンは幾多の男を虜にする魅惑的な女であり、殺された背景にはこの魔性が大きく関わっているのであってみれば、プレゼンのための資料演劇として見た場合、カルメンはもっと魅力的な女として描かれるべきである。なのに、ああもふざけてばかりでは色気の“い”の字も感じられず、そんなカルメンにホセが惚れたこと自体が嘘くさく思えてくるし、少なくともバルブはあのカルメンには決して惚れない。
カルメンがあんな風ではそれも当然、という気もするが、カルメンへのホセの愛があまり伝わってこないのも問題。“ホセがカルメンを殺した理由”を探るための資料演劇として見た場合、カルメンに対するホセの愛の深さも、やはりきちんと描かれるべきである。
銀色の蛸は五番目の手で握手する
ポップンマッシュルームチキン野郎
シアターサンモール(東京都)
2013/12/27 (金) ~ 2013/12/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
現代の昔話!?
カップルなど若い客が多いのは何より。お陰で会場内に熱気があった。
毎度の如くぶっ飛んだギャグが目白押しでしんみりとばかりもしてられなかったが、物語自体はまるで昔話のような普遍性を感じさせるとてもイイ話でした。
「最高傑作の手ごたえを感じております」と吹原さんが書いているのはこの辺りのことを指しているのかも。。
サッカーシーンに戦友・8割世界の野球演劇『そこでガムを噛めィ!!』の試合シーンの影響が感じられてちょっと微笑ましかったです(笑)。
リーディング・フェスタ2013 戯曲に乾杯!
日本劇作家協会
座・高円寺2(東京都)
2013/12/14 (土) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
『クラッシュ・ワルツ』が受賞!
日本劇作家協会新人戯曲賞の公開審査会を観覧。
一冊の本にまとめられた5編の最終候補作を前日に一日で読みきるという一人SMに耐えた甲斐あって、7人の劇作家が受賞作を決めるまでの侃侃諤諤の議論を存分に楽しむことができました。
いや~、ホント、選考会を見るのは不出来な演劇作品を観るよりずっとずっと面白い!
戯曲を読むというのはじつに骨の折れる作業で、作中でいま何が起きているのかをト書きとセリフのみから読み取るのはなかなかにしんどかったが、あらかじめ読んでおいたお陰で審査員の皆さんがどの作品のどんな点を論じているのかがその都度よく分かり、時に大きくうなずいたり、時に首を捻ったりしながらずっと前のめりで観覧。若手の未来がかかっているだけに皆さん熱い議論を闘わせておられ、最初っから最後まで片時も退屈することがありませんでした。
あえて挑発的に振る舞って議論を白熱させていく川村毅さん、テレビなどでもおなじみの話術で実質的な進行役を務め司会の小松幹生さんの顔色をなからしめていた鴻上尚史さん、作風同様に静かなのに言うべきことはしっかり述べる鈴江俊郎さん、みんなの話を聞いた上で新たな視点を提示して議論を活性化させる佃典彦さん、その包容力で場に安定感を与えていたマキノノゾミさん、熱弁を避けいろんな角度から冷静に劇を読み解いていく坂手洋二さん、そしてテレビのまんまの渡辺えりさん。
個性的な面々の主張は言うまでもないことながらたびたびぶつかり合い、最後まで活発な議論が続いたが、そのことから再認識させられたのは“劇は見立て次第でいかようにも読める”ということ。
たとえば、バルブがいちばん面白く読んだ『血の家』という作品。受賞作は満場一致でこれに決まるものと勝手に思っていた本作については意外や否定論も多く、「展開がご都合主義的」といった声がたくさん上がったが、川村さんは「すべては主人公の脳内の出来事だと思って読めばその辺は気にならない」と反論。それまで本作に否定的だった何人かの選者がこれを聞いてうなずいたのは、川村さんの見立てを聞いて劇の読み方が変わったからに他ならない。
それから、受賞作となった『クラッシュ・ワルツ』という作品。内容がじめじめしていて個人的にはあまり好きになれなかったのだが、選者それぞれの見立てを聞いていくうち、これがいかに良く出来た劇であるかを確信。苦手意識を抱きながらも事前に読んだ段階で巧さは感じていたのだが、最後まで本作に否定的だった渡辺さんを除く6人の見立てはそれぞれに異なりながらもそれぞれに一理あり、結果バルブは本作が重層的な巧さを持つ傑作であることに開眼。それでも苦手意識は消えなかったが、“劇は多角的に読める”ということをイヤというほど思い知らされたのは大きな収穫でした。
審査員の中で最も印象的だったのは渡辺えりさん。同じ話を何度も繰り返す、話の流れが変わるのも気にせず好きな時に言いたいことを言うなど、おばさんノリ全開だったが、後者により議論が一方向に流れるのを食い止めるという大きな役割を果たしていたのは無視できない功績でした。また、言うことが可笑しく、ツッコミ役の鴻上さんとのやり取りは爆笑モノでした。
栄え
MCR
駅前劇場(東京都)
2013/11/06 (水) ~ 2013/11/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
音楽Pと学生2人のやり取りが可笑し♪
かなり異色の学園もの。作・演出の櫻井さんはこのところシリアス味の強いテレビドラマやラジオドラマをたくさん書いていて、おのずからバランスを取ろうとするのか、いつも以上にギャグ満載、バカパワー炸裂の一作でした。
もちろん、いつもながらにドラマとしての骨格も磐石で、“未来は変えられるのか?”という王道ゆえに扱い方が類型化しやすいテーマを“物事に簡単に白黒つけない”この劇団ならではのスタンスで演劇化しており飽きさせない。
上の問いかけに対する答えがややネガティブ寄りな点も、感動的なんだか間抜けなんだかよく分からない結末もこの劇団らしくて良かった。
多々ある笑い所の中では“未来の敏腕音楽プロデューサー”と学生2人のやり取りがバカバカしくってイチ押し!!
しかし、ギャグ抜きでも充分鑑賞に耐えそうな良質なドラマに無数のギャグがちりばめられたこんな劇を平日昼割2500円で観られたのはお得すぎる♪
天晴れ、MCR!!
KUDAN ~この地球(ほし)の汚れた片隅で生まれた命~☆無事終演致しました。ご来場ありがとうございました!☆
TOKYOハンバーグ
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2013/12/11 (水) ~ 2013/12/16 (月)公演終了
満足度★★★
何のために“くだん”は生まれた?
原発事故で被曝した牛から人間の子供が生まれるという着想は秀逸。ただ、せっかくのそのアイデアを生かしきれていないのがなんとも残念。。
牛たちが幕間に踊る暗黒舞踏めいた妖しいダンスには魅せられた。
1万円の使いみち
monophonic orchestra
新宿眼科画廊(東京都)
2013/12/13 (金) ~ 2013/12/25 (水)公演終了
満足度★★★
心からの拍手を送れず。。
思わぬ形で戻ってきた1万円を映画学校に籍を置く青年が思わぬ形で使う話。
何か物足りなさが残り、カーテンコールで心からの拍手を送れなかった。
時々は、水辺の家で
monophonic orchestra
新宿眼科画廊(東京都)
2013/12/16 (月) ~ 2013/12/25 (水)公演終了
満足度★★★★★
朗読劇という形式と内容が見事に和合!
絵にたとえるなら淡い水彩画のごとき静謐なストーリーに朗読劇という簡素なスタイルがよく合っていた。
人間の機微を描く劇には必須の笑いもいいバランス、いいタイミングでちりばめられ、しかも作り手のユーモアセンスがいいのかスベっていない。
少し前から応援している主役の川田智美さんがその顔立ちゆえ振られがちな少女役でなく繊細な演技で大人の女を演じているのも新鮮で何より。
スタイルと内容が噛み合った良作。
観た誰もが微笑を浮かべて劇場を去れるような、こぢんまりとはしているけれどそれだけに愛おしくなってくる、そんな一作でした。