婆VS女子高生
月刊「根本宗子」
BAR 夢(東京都)
2014/05/03 (土) ~ 2014/05/18 (日)公演終了
満足度★★★
根本さんが出演しないバー公演
私にとって初めての、根本さんの出ないバー公演。
根本さんが出ないとどうなるんだろうかと、それも楽しみの一つとして観に行ったが、本作について言えば根本さんもキャストに加わり、多くの作品でそうするようにまとめ役を務めたほうが劇が締まった気がした。
うさぎストライプと20歳の国
うさぎストライプ
アトリエ春風舎(東京都)
2014/05/01 (木) ~ 2014/05/06 (火)公演終了
満足度★★★
20歳の国作品に感動!
20歳の国『Don’t Be a Stranger!』が素晴らしかった。
ある印象深いやり取りで劇が閉じられ、その瞬間、タイトルの持つ意味がじんわり心に沁み入ってくる好編。
生徒たちがJ-POPナンバーの独唱で心象を表現したり、ヒップホップ風のダンスが挿し込まれたり、LINE上の噂話が校内の恋愛模様を左右したり、劇は現代的な要素に満ち、一見するとスマホ世代のチャラい男女を描いた軽薄な学園青春モノにも思えるが、それらに惑わされず話の核心部分だけを注視するなら、本作はオーソドックスな甘酸っぱい青春譚と言え、そこのところが旧世代のオッサン客の感動のツボをブレなく射抜いた。
また、内容だけでなく、見せ方の巧みさにも感心。
話の断片をリフレインも交えながら時系列にとらわれずに並べていく作劇法は当今の国内演劇の流行りであり、試みている演劇人はあまたいるが、竜史さんほどこの方法を活用できている作・演出家を他に知らない。
なお、タイトルの意味については、竜史さんが当日パンフの口上でとても腑に落ちる説明をしてくれていて、英語にはこんな素敵な言い回しがあるのかと目からウロコでした。
ジョビジョバ
U-1グランプリ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2014/04/25 (金) ~ 2014/05/06 (火)公演終了
満足度★★★★
あの6人が12年ぶりにコントを!
こう言ってはナンであるが、あの6人が久々に集まることに意義がある、良くも悪くも記念公演的な興行。新作主体なのは良いとして、一同が叡智を尽くして作ったような図抜けた秀作は見当たらず、奇声で笑いを取りにいくズルい(笑)ネタやパロディネタ、自虐ネタなど、お手軽なコントが目立った。
それもそのはず、6人は「売れてやるぞ!」と野心を燃やす若手集団では最早なく、もう解散したグループであり、そこまでコントに心血を注ぐ必要は最早ないのだ。
そう考えると切ないが、コント師としての6人の腕は落ちておらず、一同が磐石なコメディ演技でバカをやる姿を久々に見られただけでも充分満足! それだけでなく、めっきり老け込んだ(失敬!!)坂田さんに枯れた味わい(重ねて失敬!!)が加わったこともあり、昔のようにイキがいいだけでない、また違ったジョビジョバも楽しめた。
構成に注文をつけるなら、フリートークのコーナーがあっても良かったか?
カーテンコールでわいわい雑談を交わすだけでなく、トークコーナーを別枠で設け、みんなの近況、とりわけ実家の寺を継いだ明水さん、ゲームディレクターになった石倉さんの近況をもっと詳しく聞かせて欲しかった。
再集結までのいきさつを描いたドキュメント(?)コントはあったけれど、あれに正しい近況が描かれていたとは到底思えないので。。。
約120分。
迷迷Q
Q
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/04/24 (木) ~ 2014/05/01 (木)公演終了
満足度★★
二度観はキツい劇団
「人間≒動物」というテーマを上手く展開できておらず、かなり退屈な100分弱だった。とりわけツラかったのは後半。乱脈でとりとめのないお話がどこまでも続いて、何度寝落ちしそうになったことか。。。
本作に飽きただけではない。Qを観るのは前作『こq』に続き2度目なのに、私はQという劇団自体にもう飽き始めている。
あっけらかんとして明け透けな性表現、妙なイントネーションで発されるセリフ、喋りながら役者が繰り出す妙な動き、「とかとかぁ~!」というつなぎの文句、等々、全てが前作そのままで、前作鑑賞時には刺激的に感じられたそれら全てが、今回早くも食傷の対象となってしまったのだ。
個性の強い劇団を維持するのは大変だなあ、とつくづく思う。独特の作風は初めのうちこそ新鮮だが、独特であればあるだけ、それはすぐに飽きられてしまう。
いや、飽きたばかりでなく、前作『こq』、本作と2作続けて鑑賞し、私の中にはQという劇団への苦手意識さえ芽生え始めている。
2作観て見えてきた作・演出家の人間観が厭わしくなってきたのだ。
この劇団の作・演出家には、人間を、食べ、排泄し、子孫を残して死んでゆく、ただそれだけの存在と捉えたがる傾向、別言するなら、その動物性を重くみて人間を卑小視したがる傾向があり、だからこそ上述のようなテーマのもとに本作は作られているわけだが、その冷めた人間観を反映した厭世的(/厭“生”的)なムードが彼女の作り出す劇にはおのずから色濃く漂う。その、生を蔑むような感じ、生を嘲るような感じに鼻白んでしまうのである。
劇中で某慈善団体が冷笑の的にされるのも、そのような人間観が根底にあるがゆえだろう。
このペシミスティックな人間観は、これから作劇を続ける上で、きっと障壁になるに違いない。
なんとなれば、生きようと足掻く人間の在りようは千差万別で、そこからは多くの物語が切り出せるが、生を蔑む人の心の在りようはどれも似たり寄ったりで一様であり、厭世的な劇は互いに似てくる傾向にあるからだ。そうなれば「マンネリ」と斬り捨てられて飽きられるのがオチ。
Qが演劇界に長くとどまろうとするならば、作風の大幅な変更、そして作風を支える人間観の抜本的な更新が必要だろう。
人間の生を過剰に讃美する演劇も不自然で気持ち悪いが、過剰に貶める演劇もそれはそれで不自然であり、どこか無理が感じられる。
葉桜
mizhen
古民家 巌邸 (東京都稲城市押立1744-46)(東京都)
2014/04/19 (土) ~ 2014/04/29 (火)公演終了
満足度★★★★
mizhen流岸田劇
岸田國士の原戯曲に出てくる母娘はこんな家に住んでいたのかも…。
そう思わせる古民家で、mizhen流の趣向が盛られた『葉桜』を堪能。
私の観た日は、終演後、「mizhenを囲む夕べ」的な催しが開かれ、そちらも併せて楽しみました。
かと万
アンファンテリブル・ユニオン
中野スタジオあくとれ(東京都)
2014/04/19 (土) ~ 2014/04/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
複雑な人間模様にクラクラ…
ある製菓会社の“一番長い日”をノン編集・リアルタイムで描いた約100分。いや、5~6時間の出来事が2時間足らずで描かれるので、リアルタイムよりスピーディーに劇は進んだことになる。
なので舞台上では色んな出来事がめまぐるしく起こり、それにつれて徐々に明らかになってゆく複雑な社内事情、人間模様の面白いこと!
方々で同時多発的に会話がなされるシーンも多く、理解するのに少々骨が折れるものの、頑張って観ていると、錯綜してこんぐらがった人間模様にクラクラさせられます(笑)。
いやぁ~っ、堪能しましたっ!!
かなり深刻な話なのに、劇全体を和やかさと人情味、そしてユーモアが貫いているのもイイッ!!
あのっ、先輩…ちょっとお話が… …ダメ!だってこんなのって…迷惑ですよね?
シベリア少女鉄道
座・高円寺1(東京都)
2014/04/16 (水) ~ 2014/04/20 (日)公演終了
満足度★★★
いろいろ不可解
初シベ少だったのに残念でした。私の観た回はたまたま不出来な回だったのか、何も起きていないのに役者がクスクス笑い出したり、タバコに火をつけるといったちょっとした動作を超オーバーアクションでこなしたり…。
さらにおかしなことには、そんな不出来な舞台を見せられておきながら、客は怒り出すどころかゲラゲラ笑っている。
他にも、あまり必要性が感じられないビフォアートークなるものが開演前に催されたりと解せないことだらけ。。。
などと文句を並べながら、星3つとまずまずの評価をしている自分も解せない。
片腕・少年・水晶幻想
台湾・日本国際協同企画川端康成トリロジー
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/04/16 (水) ~ 2014/04/21 (月)公演終了
やまとなでしこ-番外編-
Theちゃぶ台
アトリエ春風舎(東京都)
2014/04/18 (金) ~ 2014/04/20 (日)公演終了
満足度★★★★
もっと泥臭い劇かと思いきや…
事故で早世した女幽霊の相手をするタバコ屋のお婆さんが元気婆ちゃんという設定のため、話が辛気臭くならないのがいい。チラシの写真と案内文から、私の苦手なお涙頂戴の人情喜劇を想像していたので、いい意味で裏切られました♪
ぺんぺん草
浮世企画
OFF OFFシアター(東京都)
2014/04/16 (水) ~ 2014/04/20 (日)公演終了
満足度★★★
「だってテオさんだよ?」
年齢・性別にかかわらず、現状に満足できない田舎町の住民達がそれぞれに自分探しをする110分。
ただ、自分探しの色んな形をあれもこれもとたくさん見せようとするあまり話が散漫になっており、物語がいまひとつ深まっていかない。
仕切りの多いセットが役者の動線を制約しているのも気になった。もっと盛り上がってもよさげな場面があまりハネずに終わっているのは、役者の動きを縛るこの舞台装置にも原因がありそう。
ティファニーで晩酌を
順風男女
Geki地下Liberty(東京都)
2014/04/10 (木) ~ 2014/04/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
玉石混淆かと思いきや…
作家の数の多さから玉石混淆を覚悟したが、そんな事は全然なく、ハイアベレージなコント集でした。
オール女性キャストによる公演ながら、女子だけの芝居によくあるように女のいやらしさを描くのでなく、“憎めないいじらしさ”に光を当てた作品が多いので、イヤな気分に陥る事なく楽しめた。
そうなったのは作家陣がオール男子のせいかもしれないが、やっぱ女子だけのコント集、女子が可愛く見えるに越した事はありません!
感心したのは、発想が良いだけでなく、どの演目もディテールの作り込みがしっかりしている事。大胆な発想で大きな笑いを誘い、固有名詞の取り入れ方が絶妙な小ネタ群でクスクス笑いを誘う、そのバランスが素晴らしい。
異常なまでに「節約」に固執するコントなど、色んな意味での「女らしさ」にフォーカスした作品が多いのも評価できる。
男としては、今井英里さんの飾らない雰囲気と豊乳、井口千穂さんの美しさに心をつかまれました。。。
井口さんは芝居の引き出しの多さも魅力。
グローブ・ジャングル
虚構の劇団
座・高円寺1(東京都)
2014/04/04 (金) ~ 2014/04/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
千変万化
リアリズム演劇には作り出しえない、千変万化の劇世界を堪能。
それでいて題材はリアル。
汎ネット時代の「現実」が生み出す切実な諸問題は、もはや写実的リアリズムでは描きえないのかもしれないと本作を観て強く感じた。
本作では根本宗子さんが自分の劇団ではまずやらないハジけた役を演じていて、その滅多に見られない素っ頓狂な演技も併せて楽しみました。
美しいヒポリタ
世田谷シルク
吉祥寺シアター(東京都)
2014/03/27 (木) ~ 2014/03/31 (月)公演終了
痒み
On7
シアター711(東京都)
2014/03/25 (火) ~ 2014/03/30 (日)公演終了
ヒネミの商人
遊園地再生事業団
座・高円寺1(東京都)
2014/03/20 (木) ~ 2014/03/30 (日)公演終了
満足度★★★★
21年ぶりに観劇。若手演劇人必見!
本作が再演されると聞き、飽き性な宮沢章夫のこと、ガラッと趣向を変えてくるかと思いきや、意外や脚本・演出とも大きくは変わっておらず、お蔭で、「こんなギャグ、あったあった(笑)」などと懐かしさに酔い痴れながらこの大傑作を観るという幸せな105分を過ごすことが出来ました。
初演にも出ていた中村ゆうじと宮川賢が同じ配役で出ているほかは全て新キャストというこの座組で、かの大傑作をその妙味を損なうことなく再現したのは立派。
それどころか、初演には当時の小劇場界屈指のコメディエンヌ・ふせえりが出ていたこともあり、コメディとしての出来映えは初演に劣るものの、“カネにまつわる怪異譚”としての完成度は再演のほうがむしろ勝っているくらい。
数々の“小さな不思議”が時に笑いを生み、時に背筋をゾクリとさせるとても宮沢作品らしいこの傑作を、可能ならば演劇を始めて間もない若い人達に観て欲しい。
というのは、最近の若手演劇人の作る劇には、宮沢章夫の影響がほとんど感じられないからだ。
それは無理からぬことでもあって、ここ10年ほどの宮沢章夫はスタイルにばかりこだわった分かりづらい劇を作り続け、客を楽しませることを第一義とする真っ当な劇を作ってこなかった。
なればこそ、最近の若手演劇人は宮沢章夫の芝居など観たことがなく、影響を受けようにも受けようがなかったのだ。
そのため、本谷有希子くらいの世代を最後に、宮沢章夫の影響を大なり小なり感じさせる演劇人は出てきておらず、宮沢イズムは今世紀の半ばを待たずに死に絶えようとしている。
これはまずい。
もろに影響を受けてもいいし、ピンとこずにスルーしてもかまわないので、若き演劇人は何はさておき本作を観るべき。そして宮沢章夫という偉大な演劇人の名前を頭に刻み込むべきだ。
自分で書いておきながら「神格化が過ぎるのでは?」との疑念が頭をよぎりもするが、いちど宮沢章夫を通過してから演劇を創作するのと、宮沢章夫をくぐらずに作劇にあたるのでは、出来上がる劇の水準が大きく違ってくるはず。
宮沢章夫という人はそれくらい凄いのだ。
あまたいる演劇界の後輩たちにもっともっと影響を与えるためにも、宮沢章夫は本作のように実があって面白い作品をまた作り始めるべきである。
劇の感想に戻ると、役者ではノゾエ征爾、宮川賢、そして舞台となる印刷店の奥さん・美智を演じた笠木泉が印象に残った。
美智の夫と仲のいい写真店店主を演じた宮川賢は、あれから約20年の時を経て枯れた味わいが加わり、初演時よりもずっとずっと“商店街のオヤジ”っぽくなっていて劇世界により馴染んでいたし、笠木泉は初演で美智を演じたふせえり同様に快活で明るく、ふせえりにない品と気高さをも感じさせ、当方は憧れの眼差しでその姿を追い続けた次第。スラリとした美しい立ち姿とよく通る澄んだ声にも魅了された。
ノゾエ征爾についてはネタバレにて。
OLと課長さん
関村俊介と川村紗也と浅野千鶴の三人芝居
スタジオ空洞(東京都)
2014/03/21 (金) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★
関村流異世界に出会えず…
我々の暮らすこの世界から少しだけズレている、ビミョーな異世界を舞台とした可笑しな会話劇を作り続ける関村俊介氏。だが今作は、肝腎の「異世界」の作り込みがやや甘かった印象。
結果できあがったのは、公園で課長(関村俊介)と昼休みを過ごす天然OLコンビ(浅野千鶴、川村紗也)のキャピキャピおバカトークに課長がつぎつぎツッコミを入れていく賑やかで健全な劇。
宣伝写真がニコパチの楽しげなものであることから、“今作は日常的で親しみやすい健全な劇にしよう!”とハナから決めていたのだろうし、女優二人のクセの無さゆえ突飛な話は作りづらかったのだろうけど、「やや病的」な関村ワールドに馴染んだ身には今作、やや食い足りなかった。
とか言いながらも個々のやり取りは面白く、たびたび笑わされたことははっきりと記しておきます。
ところで、45分と短尺なのはあらかじめ予定されていたことなのか、それとも、思うように話が進まず息切れした結果なのか?
もし後者なら、「異世界」の構築にあまり注力しなかったのがその一因である可能性大。
シフト
サンプル
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2014/03/14 (金) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
ちょっと待って誰コイツ!こんなヤツ知らない
ポップンマッシュルームチキン野郎
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2014/03/14 (金) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
構成が見事
短編集だからって単なる羅列に終わっておらず、構成が見事でした。
今を時めくアノ人がらみの時事ネタも、ただサワっているだけでなく、話への取り込み方がとても巧みで感心!
「彼の地」
北九州芸術劇場
あうるすぽっと(東京都)
2014/03/07 (金) ~ 2014/03/09 (日)公演終了
満足度★★★★
北九州に桑原演劇はお似合い?
内容を北九州に絡めねばならないという約束事の上に作られる、北九州芸術劇場プロデュース公演。
以前観たこのシリーズの別公演は北九州へのこだわりが薄すぎて鼻白んだが、本作は北九州市の主要な名所がもれなく出てくる、まさに北九州の劇。
ガラの悪そうな土地柄だけに人情味も強そうな北九州に、愛憎で結ばれた濃い人間関係を描き出す桑原演劇はしっくりはまり、加えてふんだんな笑いも誘因となって、劇世界にグイグイ釣り込まれた。
九州と無縁な役者も混じるなか、交わされる方言に不自然さがなかったのものめり込めた理由か?
サニーサイドアップ
森崎事務所M&Oplays
本多劇場(東京都)
2014/02/21 (金) ~ 2014/03/02 (日)公演終了
満足度★★★★
蛇足が過ぎて感動がフイに…
某キャストの一生を描いた態(てい)のフェイク伝記劇。時系列をバラバラにしてその生涯を見せる。
目当ての笑いがふんだんでまずまず満足はしたものの、作劇の不備により、残念ながら感動は半減。
余計な設定や蛇足的なエピソードを排した上で、諸シーンをもっと適切に配置すれば感動は増したはず。