バルブはFB認証者優遇に反対!!の観てきた!クチコミ一覧

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宇宙のこども

宇宙のこども

玉田企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/11/20 (木) ~ 2014/11/26 (水)公演終了

満足度★★★

会話のリアリティがいつにも増して凄い/約85分
サービスよりもリアリティ。今作はそう割り切って創られたんじゃないだろうか?

それくらい、交わされる会話がリアルだった。

その代償として、笑いもストーリー性も前2作より乏しく、全体としての面白さには欠け、★も3つとさせてもらったが、会話のリアリティを極めようと頑張った挑戦作として、私は興味深く鑑賞。

作・演出の玉田さんは今作において、笑いや物語性を犠牲にしてでも、“我々が日頃しているような会話”の再現にこだわりたかったのだろう。
リアルな会話への偏執傾向は玉田企画のどの作品にも窺えるが、今作はそれが図抜けているのだ。

ギクシャクした会話、ギスギスした会話、テンションに大きな温度差のある二人の会話、盛り上がっているのに時々ふっと静かになる会話など、我々が日々の生活で実際に出くわしたり、自身も体験したりするような種々の会話がさながら見本市のようにギッシリ詰まっているのだ。

一番興味を引かれたのは、盛り上がっているのに時々ふっと静かになる会話。
盛り上がっている会話が演劇で表現される場合、作り手は会話のドライブ感が削がれぬようハイテンションを維持しようと努めるものだが、本作ではいわゆる“天使が通る”瞬間が意図的に入れ込んであり、“あるある、こういう会話”と感心しながら見入ってしまった。

ひょっとしたら、この種の会話が舞台で表現されたのは演劇史上初めてなのではないか?
そう考えたらちょっと興奮した。


しかし、タイトルは変えられなかったのだろうか?
内容とまるで噛み合っていない。
「宇宙の」なんて大層な言葉が入っているが、いつもながらの日常劇ではないか。

ネタバレBOX

会話といえば、大学生の男女が終盤に交わす会話も興味深かった。

子供の頃に体験した“ウンコ神輿事件”を嬉々として語る優(まさる)と、それを聞いている裕子。
聞いている裕子は途中から白い歯を見せ、笑い声さえ上げるのだが、優の話を本気で楽しんでいるのか、お追従笑いをしているのかが最後まで判然としないのだ。

話をしていて、相手の笑いが本物なのか愛想笑いなのかハッキリしないことはよくあるが、玉田さんは“その感じ”まで表現してのけたのである。
これには恐れ入りました。。。

あと、飲み屋のママが、酔客のするどうでもいい話に生返事のようなテキトーな相槌を差し挟む感じも実にリアルに表現されていて、これにも感服。

tag【千秋楽完売!ありがとうございます。】

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劇団5454

劇場HOPE(東京都)

2014/11/19 (水) ~ 2014/11/30 (日)公演終了

満足度★★★★

大所帯になって賑やかさが増したような。。。/約90分
前作同様、作・演出家の学究肌が強く打ち出された作品。学びながら楽しめた。

ただ、観ていて頭を使うシーンが多いので、集団マイム的な身体パフォーマンスを増やし、もっと随所に挟み込んで欲しかったところ。

佑樹丸さんのコメディアンぶりがいつもより控えめなのもちょっと淋しい。

ネタバレBOX

人間行動を社会心理学の学説で説明し、そこからハミ出る事例を示し、そのハミ出た事例をもまた別の学説で枠付けるという構成がニクい。
包囲網

包囲網

チタキヨ

小杉湯(東京都)

2014/11/20 (木) ~ 2014/11/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

観終えて、とても上手く付けられたタイトルだと感心。/約80分
知恵の輪が解かれずに逆に絡み合ってこんがらがっていくような、人生の綾が幾重にも折り重なった複雑極まる愛憎劇を堪能!

ともすれば暗くなりそうな物語が、音効の妙、中村貴子さんのアグレッシブな演技、ある女性登場人物に付されたトンデモキャラ、などなどによってユーモラスで活気ある劇に仕上がっていて、グイグイ引きつけられた。

チタキヨはお初でしたが、満足♪

銭湯という会場がどう使われているかは、ここでは秘させていただきます。

たとえばあしたのこと、とか。

たとえばあしたのこと、とか。

ともサンカク

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2014/11/16 (日) ~ 2014/11/17 (月)公演終了

満足度★★★★

小林知未という役者の魅力が全開!
小林知未さんの演技者としての技量を思い知らされた一人芝居公演。
高校時代(あるいはその前?)から演劇をやってきたという小林さんがこれまでに培ってきた様々な演技体が惜しみなく繰り出される上、演技体にかかわらずその演技は抑揚に富み、観る者を否応なしに引きつける。

もちろん、作・演出家として、小林さんの持つ様々な演技の形が引き出されるようお膳立てをしてのけた渡辺裕之さんの功績も同じく讃えられるべき。

その渡辺さんが役者となって小林さん作・演出による15分の短編一人芝居に挑んだ前座公演『高円寺あたりのエスニックなお店で売っている用途不明の謎の布』も見モノ。
着想が良い上にユーモアに富み、楽しめた。
何よりタイトルが可笑しい。

ネタバレBOX

本編は、放送室をジャックして“本音放送”を始める女子高生、夫との不仲に悩む人妻など多彩な役を小林さんが演じてのけ、さながら短編集のような趣。色んな小林さんが味わえてとても見応えがある。

ただ、私には、小林さんの演じる複数の役が同じ一人の女性の過去・現在・未来の姿なのか、それとも複数の異なる女性なのか判然とせず、そこがハッキリするよう、脚本・演出にもっと工夫があればと思った。
おそらく前者なのだろうが、各役にあまり連続性が感じられず、私には同じ一人の女性だとは直感的には思えなかった。
これはおそらく、作劇レベルで細かい配慮を欠いているせい。
例えば、夫との不仲に悩む未来の私のエピソード。今の私が妊娠中なら、未来の私のエピソードでも子供のことには触れるべき。そうすれば身ごもっている今の私と、夫と揉めている未来の私が同一人物だと客に伝わる。
妊娠中の今の私が出産後に付けるつもりの子供の名前をお腹に向かって囁きかけ、未来の私がその同じ名を子供に向かって呼びかけたりすれば、両者の連続性はよりハッキリしたに違いない。
さらに言えば、各役の間にキャラクターの連続性もつけて欲しかったところ。

また、個々の話は面白いのに、全体として主張したいこと、すなわちテーマがいまひとつ明確でないのも気になった。
「人生は素晴らしい」「人はいつでも自分を変えられる」「命は尊い」「記憶って不思議」etc...。
私は本編からそんなようなことを汲み取ったが、そのいずれもがぼんやりとしか伝わってこず、ちょっともどかしかった。

これは事によると、互いに結びつきが強いとは言いがたい複数のエピソードに無理やり一貫性を与えようとした結果なのかも。強引にテーマを持たせようとしたがゆえに、テーマが形を成さなかったのかもしれない。

今作について言えば、潔く「短編集」と銘打ち、それぞれの話にそれぞれ個別のテーマを持たせたほうが良かった気もする。


それから、ともサンカクが今後も公演を打っていくのであれば、小林さんの演技の幅をさらに広げるためにも、渡辺さん以外の作・演出家と組むコーナーを設けても良いような…。
あと、「一人芝居」を標榜しているからといって、最初から最後まで一人で通す必要はないのでは?
ゲストを迎えて二人ないし数人でやる演目があっても私は別に構わないと思うし、そういう演目があったほうが良きアクセントになって、全体のバランスも良くなると思う。

3 youths on the sand

3 youths on the sand

無隣館若手自主企画vol.5 ショーケース企画

アトリエ春風舎(東京都)

2014/11/14 (金) ~ 2014/11/22 (土)公演終了

満足度★★★★

下田彦太作・演出『Closet』を最も面白く鑑賞/約120分
砂漠を思わす、白くて乾いた砂の撒かれたアクトスペースで、3チームが競作。

3つの作品の中では、下田彦太作・演出によるブラックコメディ風の二人芝居『Closet』をいちばん面白く鑑賞。

奇抜な設定のもと、巧みに、そして面白おかしくストーリーを展開していて、引き込まれた。
こういう奇抜な設定の芝居というのは、設定倒れに終わってしまって途中で息切れすることが多いものだが、数十分という長い時間をよくぞ持ちこたえもの。

ただ、荒涼とした劇世界は砂漠を彷彿させはするものの、砂上で演じられる必然性をそこまでは感じなかった。

砂上での上演が最もしっくりきたのは“脚本・綾門優季×演出・蜂巣もも×出演・坂倉奈津子”による一人芝居『不眠普及』。
不眠のいつ終わるのか知れない感じは砂漠の果てしなさに通じるし、不眠の切り開く寄る辺なさ、不安感はやはり砂漠のそれに通じる。

未開の議場

未開の議場

カムヰヤッセン

王子小劇場(東京都)

2014/10/22 (水) ~ 2014/10/27 (月)公演終了

満足度★★★

闘技場を思わせる凝った席組みが裏目に…/約120分
アクトスペースを挟んで向かい合わせになった客席はそれぞれ高所に設けられ、かつ急な傾斜がつけられている。
今にして思えば、闘技場をイメージさせるこの席組みが良くなかった。
この席組みは私をして格闘技見物をするような心持ちにさせ、会議劇と聞かされていた私は“言葉の格闘技”とも言うべき緊迫感あふれる論戦の劇、互いが互いを理で追い詰め合う息が詰まるような激しいディベート劇を期待してしまったのだ。

ところが、始まったのはある地方商店街青年部によるユルめな町おこし会議。町おこしイベントに絡むある議題をめぐって話し合いが持たれるのだが、互いに顔見知りの面々は無駄話に興じてなかなか会議に入ろうとせず、ようやく会議が始まっても話は脱線を繰り返してたびたび本線を逸れ、不仲な参加者同士が内輪揉めを始めたり、みんなで列席者の噂話を始めたり…。
焦点は会議そのものというよりも会議に参加する商店主たちの人間模様に当てられていて、特殊な席組みから激しいディベート劇を予期した私は肩透かしを食らった気分に。
この内容なら、普通に組まれた客席でもっとユルッと楽しみたかった。

普通の席組みが為されていれば、私も激しいディベート劇など期待せず、期待したものと実際に始まった劇とのギャップにまごつくこともなかったのに…。
正直、席組みで損をしていると思いました。

とは言え、時を追うごとに会議は白熱していき、気がつけば劇は席組みが私に期待させた“激しいディベート劇”に近いものに。
そこからは結構楽しめたものの、いかんせん会議参加者が多すぎて、議論はやや取り留めを欠いていた印象。
まぁこれは換言するなら“議論が紛糾していた”とも言えるわけで、会議劇としてはある意味成功だったのかも。
それに、作・演出家はこの“紛糾ぶり”が見せたくてこの劇を作ったようにも思えるし…。

ただ、会議参加者が議長を除いて12人というのはやはり多すぎる。
攻撃的性格の参加者が何人もいる上その攻撃性の性質が似ていたりと、参加者の描き分けが上手くいっていないのは、たぶん会議参加者が多すぎるのが一因。
会議劇の古典的名作『十二人の怒れる男』があるゆえに、会議劇の参加者は12人である場合が多いけれど、やっぱり12人は多すぎて扱いづらいし、今後会議劇が作られる場合には必ずしもあの作品に倣う必要はないのではないだろうか?

ネタバレBOX

ディベート劇の色が増して以後は「結構楽しめた」と書いたが、それでも「結構」しか楽しめなかったのは、議題設定および議題についての説明不足によるところ大。

劇の時代設定は、たぶん近未来。
労働力不足解消のため国が移民政策を取った結果、萩島町にはトメニア人なる外国人があふれ、トメニア人の増殖がもたらす功罪のうち“功”をより多くこうむっている商店主と“罪”をより多くこうむっている商店主との間で意見が対立し、会議はなかなかまとまらない。

議題は「町おこしイベントのボランティアスタッフにトメニア人を起用するか否か」というもの。
まず、この議題が軽すぎて劇に対して前のめりになれないし、トメニア人が何者なのかがよく分からないのも劇への没入の阻害要因。
「労働力不足解消のため国が移民政策を取った結果」トメニア人が増えたというのは私が会議の内容から汲み取ったものに過ぎず明示はされていないので、トメニア人が萩島町に増えた経緯はやはり判然としないし、彼らがどんな国民性や文化を持ち、萩島町民とどんな関係を築いているのかも同様にはっきりしない。最後の一点についてはまだしも詳細な説明が会議中でなされるとはいえ、不明な部分もまだまだ多い。

かくかくしかじかでトメニア人の何たるかがよく分からないため、劇はトメニア人という“謎の存在”をめぐる不条理劇のような様相を呈し、ために観る者は会議で話し合われていることを“自分にも関わる問題”として切実に受け止めることができず、劇に対していまいち能動的になれないのだ。

“萩島町に増え続ける外国人”に「カメリア人」「ミンド人」など実在の人種をモジった名前をつけ、その人種に近い特徴を与えれば劇はより身近に感じられ、私ももっと前のめりで鑑賞できたと思うのだが、そうしなかったのはおそらく以下の二つの理由によるのだろう。

一つは、特定の人種を想起させる外国人を登場させて否定的に描くことで批判が来るのを恐れた。
もう一つは、移民問題が普遍的な問題であることを示すため、外来民族がどんな民族とも受け取れるよう故意に曖昧に描いた。

どちらも理解できるが、やはり外国人にある程度の具体性を持たせないと作品の吸引力は減じる。

色んな人種の特徴がミックスされた外国人を登場させる、害悪ももたらすその外国人が日本人に極めて近い特徴を持つ民族だとおいおい判ってくるなど、私なりに代案を考えてはみたが、果たしてこれでうまくいくものかどうか…。

こういう問題を劇で扱うのは、やっぱり難しいのだなぁ…。

暗愚小傳

暗愚小傳

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2014/10/17 (金) ~ 2014/10/27 (月)公演終了

満足度★★★

観ても戦争詩執筆の理由は分からず。/約120分
こまばアゴラ劇場ウェブページの公演案内には「戦争詩人としての高村光太郎を描く、平田オリザ90年代初期の名作。」とあるのに、戦争詩人としての側面はほとんどフィーチャーされておらず、肩透かしを食らった気分。

当日パンフによれば、1984年の初演に向け若き日の作・演出家は詩人が戦争の詩を書く理由を一生懸命考えながら本作の初演版を書いたそうだが、私もなぜ高村が戦意を煽り、お国のための殉死をも讃えるような一連の「愛国詩」を書いたのかが気になって、答えを知りたくて鑑賞。

ところが蓋を開けてみれば、高村がどんな思いで戦争詩を書いていたかが“ほの見える”場面が二、三あるのみで、そのような詩を書いた理由はついぞ分からずじまい。

理由が分かるものと早合点して観劇した私も私だが、公演案内に上のような文句があればこのような誤解をするのも無理からぬこと。
「戦争詩人としての~」から始まる公演案内の文章は、私のような迂闊者をこれ以上出さないためにも改められるべきだろう。


まあ愚痴はこのぐらいにして、観劇して何よりも驚いたのは、実在の人物を扱った本作までがいかにも評伝劇然とした厳めしい作風を採らず、あくまでも青年団的方法、今で言う“駄弁芝居”のスタイルで作られていること。
高村光太郎宅を舞台とし、そこに住む者と来客とによる無駄話から劇のほとんどが成っているのだ。

ただ、その種の劇としてはくだらなさがまだまだ足りず、宮沢章夫、関村俊介、玉田真也ら駄弁芝居の名手たちの作品には遠く及ばない印象。

私の観た回はかなりウケが良く、随所で笑いが起きていたが、私は過剰なダジャレ押しに困惑するばかりで、一度も頬を緩めることなく劇場を後に…。


『智恵子抄』に見られる純粋で脆い智恵子像を繊細な演技で体現した能島瑞穂さんの妙演に支えられ、光太郎・智恵子夫妻を描いた劇としては良く出来ていた。

ネタバレBOX

最も印象深いのは、発狂して幼児化した智恵子の遊び相手を光太郎が務める場面。
智恵子にとって最も良き思い出である“高原での乗馬”を再現しようと馬役を買って出て智恵子を背に乗せ、四つんばいで居間を歩いている時の複雑極まる光太郎の表情はいまだに忘れがたい。

メイツ! -ブラウン管の向こうへ-

メイツ! -ブラウン管の向こうへ-

劇団6番シード

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/10/29 (水) ~ 2014/11/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

ディテールへのこだわりが懐かしさを倍増させる楽しい楽しい昭和歌謡バックステージ演劇!/約120分
昭和歌謡のバックダンサーグループ、メイツガールズの悲喜こもごもを描いたミュージカル。
リアリティを大きく欠くお話ではあったが、ミュージカルには観る者の現実感覚を麻痺させるところがあって、かなり無理のあるストーリー展開もさほど気にはならず、何があっても前向きに頑張るメイツガールズたちの物語を無心に堪能!

感心したのは、メイツガールズの振付けをはじめとするディテールへのこだわり。
メイツガールズは本家にあたるあのグループの定番アクションを見事に再現しているわ、歌番組のシーンはアノ人がモデルらしきタメ口司会者による各歌手の近況報告を交えた曲紹介がいかにもそれらしいわ、メイツが参加する番組のタイトルが架空のものとは思えないほど“昭和バラエティー”っぽいわで、“らしさ”と“ぽさ”の攻勢に懐かしさが突き上げてきて、古き良きあの時代を甘やかな気持ちで思い出しつつ頬を緩めながら楽しんだ。

番組司会者だけでなく、登場する歌手たちも“本家・メイツ”の最盛期にあたる昭和50年代に旬だった実在の芸能人がモデルになっているので、モデル当てをしながら鑑賞するのも一興か!?

つっても、誰が原型かは一人を除いてバレバレなんだが(笑)。

ついでながら、彼らが劇中で歌う歌は事前に告知されていた通り全てがオリジナルソングなのに、本家の歌手がいかにも歌いそうな歌ばかりで、その“らしさ”にも驚嘆!

あえて苦言を呈するならば、まず、歌番組のシーンを含め全体に照明が暗め。
歌番組のシーンは、照明をもっともっと強く焚いて舞台上を強烈な光で満たしたほうが昭和というきらびやかな時代の公開バラエティー感が増してより良かったのではないか? 実際にどうだったかはともかく、あの頃の歌番組はやたら照明が明るかった印象がある。
そして、舞台の低さにも違和感。もっと高くしたほうが、舞台が高めな公民館系のホールを会場とすることの多かった昭和の公開バラエティーらしさがより強く出て良かったと思う。

あと、これは前々作『Dear friends』にも感じたことだが、全体に“畳み掛け”が弱く、エンタメ色濃厚な劇なのに“収拾がつかないほど盛り上がる”シーンが無い。
これはちょっと残念だった。

なお、私の観た回はアフターイベントとして出演者によるのど自慢大会もあり、私の好きな椎名亜音さんが優勝。
歌唱力もモノマネ技術もぬきんでていて、この結果には多くのお客さんがご納得されたことと思う。

ネタバレBOX

その椎名さん演じるメイツの重鎮メンバー・チャコが、幼い視聴者からのファンレターを読み上げるシーンには感動!
「皆さんが笑顔で明るく踊る姿に元気をもらってます」的な、ありのままの好意が素朴な言葉で綴られたあの手紙は、椎名さんの口あたりやわらかな優しい読みっぷりも相俟って、観る者の心を揺さぶらずにはおかない!!

モデルが分かりづらいと書いた歌手は役名を渋木徹と言い、おそらくは某コントバラエティーにおける秀逸なコメディアンぶりにも定評のあったN・Gが原型。
超音痴な男性アイドル歌手・よもぎだ純、ブリブリな女性アイドル歌手・沢ひかるのモデルが誰かは、バレバレすぎてわざわざ名を挙げるまでもないだろう。

しかし、沢ひかるのモデルであろうアノ歌手はモノマネが容易な芸能人の代表格であり、かつてはさんざん真似されたものだが、沢役を演じた高橋明日香はまだ若く、アノ歌手の全盛期なんて知らないはず。
にもかかわらず、ブリブリな振付けや身ごなしをはじめ、表情から話しぶりに至るまで全てを見事にコピーしていて、その芸達者ぶりには感嘆!
顔が結構似ているというアドバンテージがあるとはいえ、それでもやっぱり凄い。

ロケット・マン

ロケット・マン

劇団鋼鉄村松

テアトルBONBON(東京都)

2014/11/06 (木) ~ 2014/11/09 (日)公演終了

満足度★★★★

面白いけど中盤以降は寝落ちに注意!/約120分
主役のロリコン宇宙飛行士・カーフの愛する10歳の女の子はかなり早い段階で登場。
年は倍以上とおぼしき女優が子供らしい無邪気さと明るさを活き活きと表現しながら演じてのけるこの少女がとても可愛く、ツカミはオッケー!
彼女に代表される幼い少女がいかに好きかをカーフが力説するくだりなど、序盤はコミカルなシーンがふんだんでとても楽しい。

が、光速到達実験に真面目に取り組む謹厳実直なロケットマンとしてのカーフが前景化してくる中盤以降はコミカルなシーンが減っていく上、ストーリーを進める上での必要性から同じような話がループ。
ぶっちゃけ、このあたりは“寝落ちゾーン”と言ってよく、舟を漕ぐお客さんもチラホラ。

私は繰り返される科学的議論や哲学的論議に懸命に耳を傾け、それらを理解しようと神経を尖らすことで難を逃れたが、難しい話を聞かされると眠くなるという人はよくいるし、私にもその傾向はあるので、この方法が眠気を制する最良の方法だとは正直断じがたい。
“皆さんが最良だと思う方法でそれぞれに頑張ってください”
これから鑑賞される方には、こう言う他ございません。

私個人は、そうして一睡もせぬままなんとかラストシーンまでを味わい尽くし、最後まで観て良かったと素直に思えた。
それくらい、私にとっては味わい深い結末でした。

ネタバレBOX

自動ドアをくぐる際のドアの開閉音、遠くの者と交信する際に相手のホログラムが出現する音などを役者が口で表現する演出はどうにかならなかったのか?
技法としてちょっと古くさい上、何度も繰り返されるのでくどい印象は否めない。

可能ならばはえぎわの公演のように、リアルな効果音をかぶせるなどして欲しかった。

流れんな 

流れんな 

iaku

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2014/10/25 (土) ~ 2014/11/02 (日)公演終了

満足度★★★★

峯素子が悩める四十路美女を好演/約95分
地元特産の貝の汚染の噂、店主の入院などあれやこれやが重なって一時休業に追い込まれた、関西の海辺の町の食堂が舞台。
そこへ、母亡きあと店主の父と二人三脚で店を回してきた長女、その幼なじみの貝獲り職人、次女夫婦、食による町おこしを目論む食品会社社員が集い、5人の会話を通して長女や町にまつわる色んな事実が浮き彫りになっていく。

短時間で数々の事実を明るみに出す必要性から会話がやや御都合主義的に進んでいく、姉のダメっぷりを暴く“検事”的役割を与えられた次女が己は無欠であるかのごとくずっと正義ヅラで得々と喋り続けるなど気になる点は多々あったが、明るい笑顔の裏に数々の悩みを抱えて生きる四十歳独身の長女を演じた峯素子の演技が上の欠点を補って余りあるほど素晴らしく、また、深刻な中にも随所にユーモアがあって、最後まで引き込まれた。

iakuはお初でしたが、次作も観たくなりました。
人情劇の色が今作よりも薄めだと、私としてはより嬉しいかも。

薄暮(haku-bo)

薄暮(haku-bo)

intro

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/11/01 (土) ~ 2014/11/03 (月)公演終了

満足度★★★

どんどんタイトルから遠ざかっていくのが残念/約80分
数々の断片から成る、エチュード集のような作品。
事実、アフタートークによれば、イトウワカナさんが脚本を書いたのは冒頭ほかいくつかのシーンのみで、多くのシーンは役者とアイデアを出し合ってエチュード形式で作ったそうな。

何より魅了されたのはオープニング。

イトウさんが書いたという冒頭のシークエンスは『薄暮』というタイトルとの結びつきが強く、刹那で終わる薄暮という時間、そしてそこから派生する光と闇のイメージを小道具と身体表現を上手く使った凝った演出で表していて面白く、また、役者がそらんじるポエティックな文句も切なさと美しさに満ち、心つかまれた。
ところが時を追うごとにタイトルとの繋がりは薄れていき、それにつれてグダグダ感、ダラダラ感が増していって作品はトーンダウン。
ユーモアこそあるものの笑い崩れるほどのものでもなく、やがて私の心は舞台から遠ざかっていった。

やはり作品を引き締めるには、タイトルに示されたテーマでもって全体にきつい縛りをかけることが必須なのではないだろうか?

興味が続かなかったもう一つの理由は、表現されていることの一つ一つにあまり切実味が窺えなかったこと。
“これを吐き出さなきゃ私死んじゃう!!”
作者にはそれくらいの抜き差しならなさを持って創作に臨んで欲しかった。

そう言えば、イトウさんが書いたという冒頭部は他のシーンに比べるとまだしも切実味が感じられたような。。。

作風は嫌いじゃないので、次作に期待します。

あの部屋が燃えろ

あの部屋が燃えろ

MCR

小劇場B1(東京都)

2014/10/29 (水) ~ 2014/11/03 (月)公演終了

満足度★★★★★

おなじみ“屁理屈問答”はやや抑えめ/約100分
一つでもグッとくるシーンがあれば5つ星をつけがちなのは私の習い。
そういうシーンが成り立つのは、それまでの話の進め方が巧い証であり、それもひっくるめて高評価を下すのはそう見当違いなことでもあるまい。

しかしながら、5つ星をつけるにあたってこのように長々と弁明めいたことをぬかすのは、本作があまりウェルメイドとは言い難いから。

もっと美談としてきれいにまとめることもできただろうに、本作には美談とはさせまじとするかのように多くの波乱が仕込んである上、それらの波乱が上手く回収されていないのだ。

そこには美談の枠に収まらなかった作者のまた別の主張が窺われ、困ったことに、私はその主張にも感じ入ってしまった。

ここまで書いて分かったことだが、どうやら私は、この波乱も込みでこの作品を高く評価しているらしい。

ここまでの書きっぷりからひょっとしたらお分かりいただけたかもしれないが、本作はいつものMCRほどエンタメ色は強くない。
また、恒例の屁理屈バトルもいつもほどハジけていない。
いや、というより、屁理屈バトルで過度に盛り上がることを許さないシリアス味を本作は宿しているのだ。
いつもより会話がドライブ感を欠き、ふっと静かな瞬間が訪れることが多いのも、おそらくは今作がいつもよりシリアス寄りに出来ていることと無関係ではないだろう。

とはいえ、娯楽性をたっぷりと盛り込みながらも、「あ~、面白かった」では終わらないのがMCRの醍醐味でもある。

それを承知で毎作観ている私としては、後者の色が濃い本作も充分楽しめた。

水の戯れ

水の戯れ

森崎事務所M&Oplays

本多劇場(東京都)

2014/11/01 (土) ~ 2014/11/16 (日)公演終了

満足度★★★

明子の悪女っぷりに付き合いきれず。。。/約140分(休憩込み)
とても主観的で幼稚な感想になってしまうが、私には明子という女がどうしても許容できず、ために作品を楽しめなかった。

明子は今で言う“めんどくさい”女。
その悪女っぷりには「もう付き合いきれんわ!」って気分に。

その奥に“女一般の抱える闇”が見て取れればまだしも引き込まれたのかもしれないが、私にはどう目を凝らしても、明子の個人的資質としての放縦さ、底意地の悪さしか見えてこなかった。

ただ、ミステリアスな女ではあって、その放縦さ、底意地の悪さがどこに由来するのか、作・演出家にはそこのところをもうちょっと細かく描いてほしかったところ。

明子は頂けなかったが、瑛蓮さん演じる天真爛漫な中国美女がたいそう魅力的だったので、それに免じて星は3つ。

ネタバレBOX

明子を娶った仕立て屋が明子を射殺する結末にも辟易。
インパクトこそあれ、一番安直なあのラストを見届けるために長いこと劇に付き合ったのかと思ったら、時間を浪費した気分に。

あれは本当に残念だった。

仮に誰かに殺意を持っても、我々の多くは思いとどまる。
作・演出家には、そんな我々に寄り添い、殺さないことによって生じ得た人生のさらなる深淵を描いて欲しかった。
神ノ谷㐧二隧道

神ノ谷㐧二隧道

烏丸ストロークロック

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/10/25 (土) ~ 2014/10/27 (月)公演終了

満足度★★★★

正直暗い…。でも引き込まれる。
かつての束の間の栄華を表す「大栄町」の名前が虚しい、関西のとある過疎地を舞台とした途轍もなく暗く、寒々しい物語。
そこに暮らす人々の陰惨極まる生活が“まるで見てきたかのように”生々しく描かれ、否応なしに劇世界へ引きずり込まれた。
それだけでなく、土地の民俗までが描かれているのも面白味。

時代がバラバラな複数の出来事を同時に見せる凝った演出は劇の興趣を増していたが、この凝った演出に混乱させられ、一部よく分からない箇所があったのは痛恨。
多分、私の注意力が足りなかったのだと思います。

寒々しいがゆえに笑いを誘う、ある親子のやり取りは、基調が暗い本作の良きアクセント。

ネタバレBOX

一番笑わされただけでなく、一番惹きつけられたのも件(くだん)の親子のシーン。

離婚した妻と暮らす思春期の一人娘をなんとか誘い出し、父親が目指した場所は鬱蒼として不気味な森に覆われた神ノ谷峠。

自分が愛着を寄せるその地も、現代っ子の娘にはキモい場所でしかなく、娘は「イヤや」「行きたない」を繰り返すばかり。

そんな娘をなだめすかして父娘(おやこ)水入らずのハイキングを強行し、なんとか娘と触れ合おうとする懸命な父親の姿には胸を打たれた。

自分は同世代の娘がいてもおかしくない中年の独身者だが、もしも自分に娘がいて、ああも拒絶的な態度を取られたら、あまりのやる瀬なさに泣き崩れそう。

それだけに、グチりながらも山を登った娘が、思いがけず峠に興味を示すラストには感涙しそうに…。

が、父が娘をなだめながら峠へと導くシーンは、ハイキングに積極的な父と消極的な娘の温度差が滑稽極まりなく、先述の通り笑いを誘ってやまない。

このシーン、おそらく脚本段階ではそう可笑しくなかったに違いなく、これを笑えるものにしたのは、頭悪げで何事にも無感動な現代ギャルを好演した娘役女優の技量と、その好演を引き出した作・演出家の手柄。

笑いは演出次第でいくらでも増幅できるという好例を見せてもらった。

悪い芝居vol.16『スーパーふぃクション』

悪い芝居vol.16『スーパーふぃクション』

悪い芝居

赤坂RED/THEATER(東京都)

2014/10/21 (火) ~ 2014/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

長時間にわたる壮大な悪ふざけとも受け取れるが、グダグダなシーンは一つもないちょっと意味深げなエンタメ風大作/約180分(休憩&カーテンコール込み)
題名と人を食ったようなチラシからイメージされた通りの作品。
少なくとも私にとってはそうでした。

ただ、前回本公演『春よ行くな』との作風の違いにはビックリ。
共通しているのは“虚構と現実”がテーマ化されていることぐらいか?

感服したのは、テーマがテーマだけに、難しげに作ろうと思えばいくらでも難しげにできそうなものを、笑いをたっぷり盛り込んでハジけたエンタメ劇に仕上げていること。

テーマがテーマなのでいくらでも深読みは出来そうだが、そう難しく考えなくとも、全編バカバカしさに満ちている上、出番の多い田中良子さんが可愛く、また、私の好きな吉原小百合さんも出ているので、舞台上に見えるもの、舞台上で起きていることを単純に追いかけるだけでも充分楽しめた。

そう言えば、先に「“虚構と現実”がテーマ化されている」と書いたが、あるいはそれすら深読みに過ぎず、“虚構と現実”はテーマめいて見えるだけで、実はそれさえもネタにして遊んでいるだけなのかも。
なんにせよ、山崎彬の真意は皆目分からない。

ただ、間違いなく言えるのは、本作が途方もないエネルギーと労力を注がれた一作であり、悪ふざけにしか見えないシーンもあくまで作りは緻密、グダグダに見えるよう演出されたシーンはあっても、ガチでグダグダなシーンは一つもなく、手抜き要素がゼロであるということ。
この点は強調しておきたい。

なお、五点は私の個人的嗜好が強く反映された点数であり、四点を五点に押し上げた一点はギャグセンの高さに捧げたもの。

同内容でギャグセンが低かったら、私は本作に満足するどころか、むしろ腹を立てていたかも。

もちろん、人の好みはそれぞれだし、本作に見られるようなギャグや悪ふざけが嫌いだという人ももちろんおられるに違いない。
あるいは、作品全体が苦手だという人も。

ただ、私自身は楽しんだ。
観劇中は筋を追うことに専念したので、深読みは今後の楽しみに取っておきます。

ネタバレBOX

作中でハヤシライスのルーを掛けられるアコギは毎回新調しているのか?
それとも洗って使い回しているのか?

気になった。
flat plat fesdesu Vol.3

flat plat fesdesu Vol.3

Crackersboat

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/10/15 (水) ~ 2014/10/21 (火)公演終了

満足度★★★★

野鳩がヒキョーでした(笑)。<Cプロ>
Cプログラムは演劇枠で登場の野鳩による短編劇からスタート。ちなみに野鳩は初見だったが、ナカゴーと仲良しという話から期待した通りの、見事なまでのバカ演劇を披露してくれた。
内容は『ナルシスと泉』のパロディで、とってもヒキョーなやり口で初手から大爆発を獲得。ただ、ツカミが強烈すぎたせいでそれ以降が霞んで見えたのは残念至極。

続いて登場したのは女性ダンサーの菅尾なぎささん。あえて多くは語らないが、素晴らしい“緩急の芸”を見せてもらった(笑)。

都市レコードの歌を挟んで登場した東京ELECTROC STAIRSはKENTARO!!さんと女性三名で、寸劇的なやり取りを挟み込んだ自由度の高いダンスパフォーマンスを展開。四人がハイテンポな音楽に合わせて統制の取れた群舞を繰り広げる冒頭のダンスが一番キた。

flat plat fesdesu Vol.3

flat plat fesdesu Vol.3

Crackersboat

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/10/15 (水) ~ 2014/10/21 (火)公演終了

満足度★★★★

高橋萌登さんがピカイチでした!<Bプロ>
Bプログラムはダンス四演目で前半を固め、後半は歌と演劇という構成。

先陣を切った激弾F本は女四人+男一人で物語性を色濃く帯びたダンスパフォーマンスを展開。だが、何を物語っているのかよく分からない上、ダンスも技術レベルに差があって動きが揃っておらず、靴の着脱に手こずってもたつく場面さえあって、正直、褒められた出来ではなかった。次はもっとハイレベルな作品を見せてほしい。

高橋萌登さんは『きぼうがどうとか』というタイトルのもと、小柄な体躯を生かした軽やかにしてキレのあるダンスを披露。タイトルとどう呼応しているのか、そこら辺りはよく分からなかったが、軽やかなダンスを笑顔を封じて真顔で踊る姿からは得も言われぬ切実味が感じられて、否でも応でも引きつけられた。特に、スピードと躍動感が増してゆく後半は激しめの音楽との相乗効果がハンパなく、吸引力絶大! 欲を言うなら、もっと女性らしい格好で踊ってほしかったところ。

お次は工藤響子さん。四つのダンス演目のうち、最もテーマ性が高かったのがこの人のパフォーマンス。「進化」をテーマに、下等動物が人類へと行き着き、やがて滅びるまでを重厚な交響曲に合わせてドラマチックに演じていて、圧倒された。動きのバリエーションがより豊富だとなお良かったか?

これはあくまで私感だが、続いて登場の横山彰乃さんは、もっと趣向の違うダンスのほうが合うのでは?と感じた。今フェスではチョコマカした動きを取り入れた可愛い系のダンスを踊っていたが、横山さんは可愛いと言うより美人系。しかも萌登さんらに比べると大柄なので、愛嬌を打ち出すダンスはあまりしっくりこない。もっと華々しさや艶やかさを心がけて創作に取り組んだほうが良いのではないだろうか?

タカユキ・カトーさんの演奏を挟んで演劇枠で登場したバストリオが上演したのは、『ガール・プロブレム/あなたの葬式でわたしが言うべきこと』と題された、女一名+男一名の弔問客が葬式に事寄せてそれぞれの死生論を語るパフォーミングアート的な作品。上演時間は30分くらいか? やや取っつきづらいこの種の作品も、これくらいの長さならば楽しめる。
なお、バストリオは初見でした。

Bプログラムでは高橋萌登さんのパフォーマンスがダントツでしたね。

送別会

送別会

笠島企画

アトリエ春風舎(東京都)

2014/10/16 (木) ~ 2014/10/20 (月)公演終了

満足度★★★★

ウザい男の典型例がここに!/約65分
●仕事をはじめ全てのことに「俺なりのこだわり」を持ち、それをもっともらしく語って聞かせて自分の価値観を他人に押しつける。

●全くの勘違いなのに、自分は洒落の分かる面白い人間だと勝手に思い込み、職場の人気者だと信じて疑わない。

●恩着せがましい物言いをする。

●仕事にかこつけて意中の女子を口説こうとする。

●間もなく職場を去る自分の送別会を自分で企画する。

●ウザ要素満載な自分が職場の嫌われ者であることに全く気づいていない。

以上全てを網羅した超ウザい最古参アルバイトと、瓜生という名のその男を煙たがる後輩バイト達の物語。

彼らの勤める量販店の休憩室を舞台とし、ほぼ会話だけで魅せていく。

ウザい奴あるあるの見本市のような瓜生の人物像も面白いが、私にはネタバレBOXに記したことも同じくらい面白かった。

笑いを期待させるような作風ながら、人物描写がリアルすぎるせいなのか今作はさほどウケてはいなかったものの、作・演出の方はディテールの描き方にセンスがあり、もっと笑える舞台も作れそうな印象。
特段笑いを呼ぶシーンではなかったけれど、私は会費の金額をめぐるやり取りに喜劇作家としての素養を感じた。

私個人は「いるいる、こんな奴w」「あるある、こんな事w」と心の中で呟きつつ、ずっとニヤニヤしながら見てました。

まぁ、当サイトでしばしば「価値観の押しつけ」をやらかしている私に瓜生を笑う資格はないのですが。。。

というワケで、今後もバシバシ価値観を押しつけていきます!!(爆)

ネタバレBOX

瓜生のウザさだけでなく、瓜生不在の休憩室で陰口に花を咲かせる後輩達のいやったらしさも同時に描かれているところが本作の醍醐味。

そんな後輩達を見ていると、彼らも瓜生と五十歩百歩に思えてきて、ちょっと溜飲が下がる。
朽ちるまにまに

朽ちるまにまに

演劇集団円

ステージ円(東京都)

2014/10/10 (金) ~ 2014/10/19 (日)公演終了

満足度★★★

各シーンは見応え充分。が、全体を通して観ると…。/約115分
このことは開演後すぐに判るし、チラシにも記載があるので包み隠さず書かせてもらうと、神秘の国ペルーへと旅した団塊世代の女友達三人組が帰国後に20歳ほど若返り、生き直しを試みる話。

桑原裕子作・演出の芝居の中でもコミカルなシーンがとりわけ多く、場面場面は見応え充分。

だが、全部観終えての評価は星の数で示した通り。

高評価がかなわなかった大きな理由は、70歳から50歳前後に若返った三者の人物造形に難があるせい。

若返った三人はチャラになった20年を70歳目線で見つめ返して何らかの反省を抱き、その反省をもとに違う生き方をすべきだろうに、三人とも、反省の中身とその反省を踏まえた“別の生き方”とが噛み合っていないのだ。

三人のうち最も「主人公」と呼ぶにふさわしいある人物に至っては反省の中身さえつかみがたく、はっきり言って説明不足。
と言うより、説明に飛躍がありすぎる。

それ以前に、三人以外の人物がしゃしゃり出すぎて話が雑然としてしまい、三人それぞれの物語がくっきり浮かび上がってこないのも問題。

ネタバレBOX

ラストが突飛な印象を与えるのも、おそらくはすでに述べた「説明不足」が原因。
flat plat fesdesu Vol.3

flat plat fesdesu Vol.3

Crackersboat

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/10/15 (水) ~ 2014/10/21 (火)公演終了

満足度★★★★

KENTARO!!さんはもう出ません<Aプロ>
オールスタンディングのクラブ風イベントを予期していたら、違った。
MCも置かず、4組のアーティストが順に出てきてパフォーマンスをするだけのシンプルな構成で、各組同士のカラミも無し。
それをちゃんと座って観られた。

出演順に紹介すると、よだまりえさんはフワッとした歌声が持ち味のシンガーソングライター。
ピアノの弾き語りで作り出す浮遊感あふれる音世界は、ずっとそこに浸っていたいと思わせる心地よさ。

初日のみ出演のKENTARO!!さんは、ちょこまか、くねくね、なよなよした動きが面白い個性派ダンサー。
自分の体をオモチャにして遊んでいるような印象を受けたが、不安定な動きだけで安定したパフォーマンスを組み上げる技量には感服。
しっかりした体幹を持ち、その上で日々鍛錬を積まないことにはこういう芸当は不可能だろう。

演劇枠で出演のQは「油脂越しq」を上演。すでに観ていた演目なので多くは語らないが、脚本も演出もよりブラッシュアップされていた印象。初見のお客さんも多かったのか、かなりウケていた。

身体表現とモノローグで或る“数奇な存在”の半世記を演じたのは白井剛さん。ダンサーのようだが、深遠なテーマを持つ不思議な話を、滑舌のよい喋りと自在な動きで表現するあまりに豊かな一人芸は吸引力大。

Bプロ、Cプロも時間が許せばぜひ観たい。

なお、私の観た回の上演時間は休憩込みで約110分。
ただ、Aプログラムは今後KENTARO!!さんに代わって別のダンサーが出演するようなので、それに伴い上演時間が変わる可能性あり。ご注意されたし。


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