満足度★★★
コメディってわけじゃあなかった
ガスターは生まれた瞬間からその鳴き声で周りの人を笑わせていた。
それからずっと・・・
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
ガスターが何を話しても、周りは面白い!(^0^)と言ってとにかく大笑いするのだった。
多くの人達を笑わせる一方、孤独になっていくガスター。彼は自分の話を笑わないで聞いてくれる相手を必要としていた。
物語は一つの王国を舞台に繰り広げられるが、隣国の心が病んでいた王女と仲良くなったガスターは王女の心の病を次第に治していく。やがて、病気が治った王女は他の人達と同じようにガスターの話を聞くと大笑いしてしまう。という悲しい結末になる。
おじいちゃんになったガスターは相変わらずコメディアンとして舞台に立つが、かつての王女の孫がガスターを尋ねてくる。王女と同じ心の病を持っていた彼女はかつての王女と同じようにガスターと仲良くなって色々な話を聞きながら心が癒されていく。という物語。
孤独なガスターと同じような孤独な人の心の病を治していく。そんな話。
なんとーなくチャップリンを思わせるような風景。
衣装といいセットといい、オープニングのショーはひじょうに可愛くて良かった。まるで操り人形がダンスをしているような感じ。
ただ、物語の間が長すぎて気になる。テンポがリズミカルではなかったから、全体的に間延びして楽しめないのだった。
うーーん?もっと大きな盛り上がりが欲しかったかなぁ。心に響くもっと大きなものが欲しいところ。会場では勿論泣いてる人は居なかった。
一人ぼっちじゃなくするための物語。
満足度★★★★★
幽閉された玉青とカリオン
今年の夏頃だったと思う。高橋(主宰)から次回作の闇公演について聞かれた。会場は真っ暗、声だけの演出。ワタクシは即座に大川興行の「ブラックブラック」を思い描いた。
ワタクシの中での芝居とは視覚・聴覚(音楽・リズム・セリフ)・想像、この融合なくして芝居とは認めていない。
かくして高橋は、「観客には椅子を持って貰って好きな所に座って貰おうと思う。」とのたまう。
「そんな事したら、演者は毎回、通路の心配をしなくてはならない。通路に気を遣って演技の実力が発揮出来ないようなら観客は失望する。」と、そんな話をしたと思う。
だから、今回の芝居は観るつもりはなかった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
しかし、ワタクシのmixi日記上で「ペンライトを使用する模様」とじべさんから情報が入り、「ふ~~ん、真っ暗でもないんだ。」と興味が沸いた。
そんなこんなで、ワタクシは観に行ったのでした。
「はじめまして、玉青(たまお)です。この世界の果てを探しています。」
これは影を読む物語です。生まれて直ぐに幽閉された玉青の物語。
ゼンウには正妻の他、12人の嫁がいた。11人目までのどの嫁にも何故か子は出来なかったが、12人目の嫁との間に、玉青が生まれた。玉青の存在は当然のように11人の嫁から嫉妬の対象になったのでした。
「この女の子宮から生まれたものは人間じゃねぇ。災いの子だ。生まれたまま殺したほうがいい。」と予言者に言わせ、魔物にさせられてしまう玉青。
かくして当主のゼンウは玉青を幽閉するように指示し、ここから玉青のわが闇は始まる。
玉青のもとに通ってくるのは12人目の嫁(玉青の母)のウグイと給仕係のサキのみ。
玉青は一日の大半を読書ですごし、見るものはホタルと母ウグイとサキだけだった。玉青を恐がっていたサキは、いつしか、玉青から読み書きを教わり、話すようになり、恋が始まる。やがてサキと玉青はこの城から逃げることを計画するが・・。
何故か、母ウグイが玉青の元に来なくなってしまっていたのでした。ここでの玉青の唯一つの友達はサキとホタルのユエンだけ。
玉青の起伏のない、感情のない淡々と話すさまは、最初は違和感があったけれど、この場合、これで良いのだと感じる。たぶん、どのニンゲンもずっと幽閉されて育って関わる人がごくごく限られた短時間、母と給仕係だけだったとしたら、言葉自体も、発音も普通には話せないだろうと推測するからだ。
耳の聞こえない人がうまく発音ができないように・・。
一方でゼンウの奥方が毎週、一人ずつ死んでしまう。一番目の奥様が嫉妬心から殺していたのだった。
やがて、一番目の妻しか居なくなったゼンウはサキに目をつける。サキはゼンウによって無理に嫁にされてしまい、やがて一番目の妻に殺される運命に。
殺される前にサキは叫ぶ。
「玉青、ひかっていいよ~。」
光の良さが判るのはきっと玉青だけなんだよ・・。
サキは玉青が幽閉されている塔の鍵を外しておいた為に、玉青は塔の扉を開けて、眩しく光り輝く世界に脱出する。
そう・・、今、生まれた瞬間のように・・。
キャストが素晴らしいです。セリフの明暗、温度差、高低、どれをとっても完璧です。最後に殺されてしまうサキ(小林彩花)のセリフのリズムが素晴らしい。最後のセリフには温度があります。鳥肌もの。
ちなみに会場は真っ暗闇ではありません。ホタルのペンライト、所々に役者に当たるライトと影。時々観客を監視(気分が悪くなったら・・うんぬんの説明あり)するライト。
むしろ真っ暗闇の舞台よりもほんのりと役者が動くさまや、ほの暗いライトが当たった表情がなんとも不気味で美しかった!
セットはまったく何もない。何もないが情景を想像させる言葉があります。
時折、聞こえるカリオンの音色が闇を包んで幽閉された塔の階段を登る情景や予言者たちの不気味な声と衣擦れの音、漆黒の闇に乱舞するホタルの灯かりを想像させます。
扉を開けた瞬間、闇に射した一筋のひかり。
そこに向かって玉青は歩む。
希望という名のその光は幽閉されていた過去から未来に向かって射した一筋の明りです。
とにかく素晴らしい!本もさることながら、キャストが素晴らしい!
お勧め!
満足度★★★★
面白いってば!さってばさっ!(^0^)
マンション男爵のマンションってなんだろなー?って観る前に疑問符だったけれど、観た後も疑問!
要は、あまりタイトルの意味はなさそう・・。(^^;)
ってか、前作の続きかと思うくらいのテーブル。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
会場入りした途端、舞台には大きなテーブルが。
あれれ~、『エヌ氏の晩餐会』かい?と思わせるセット!
いあいあ、前作と同様の会話劇だから、大きな動きはないです。
強いて言うなら、ポテト男爵(鈴木)のトイレット占いくらい。(^0^)
毎度のことながら鈴木のキャラはポテトです。しかし、芝居はダイコンではない。
素のまんまの鈴木なのか、実は本当の鈴木はインテリなのか、ニンゲンなのか?そうでないのか?よく解らないところが鈴木の持ち味だったりします。
今回の依頼人は赤堀(北川)。めぐみという同僚である恋人と、最近上手くいってないのが、悩みの種。その悩みを解消するべく、男爵事務所に訪れたのでした。
ネゴシエイターのスネーク男爵(堀田)は赤堀の同僚の溝口のマネをして電話交渉し、アナリスのクロコダイル男爵(目次)は、盗聴・メール分析を。そして、霊視ができるポテト男爵は、占いやら霊視で状況をみる。更にNo.1ホストのタイガー男爵(永塚)は赤堀に女の扱い方、ファッションセンスを教え、その度に赤堀から、金銭をせしめる(^^;)
そんなこんなで物語が進むうちに、赤堀の恋愛は思い込みだった事が判明する。終わったと思ってためぐみとの関係が始まってもいなかったことが、分かる。
男爵たちの赤堀の絶妙な会話が楽しい。ってか笑える!
フォックス男爵(篠崎)がリーダーとなり、あの手この手で赤堀から大枚を取ろうと目論み、5人で追い詰め、仕舞いには依頼人より男爵たちのほうが偉そう!という小気味良い設定なのだ。
だがだがしかしだがしかし・・・これで終わってしまうと、赤堀はただの人の良い大人しいだけの哀れな男になってしまうのだが、最後は暗転する。
めぐみと付き合うことになった赤堀はなんだかちょっと、男らしい赤堀だったのだった!(めでたし、めでたし!)
満足度★★★★
単純に楽しめる
何が可笑しいかって、ニンゲンじゃない輩の情景が可笑しい。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
今回の芝居には登場人物の一人一人に守護霊が憑いてる。この霊たちの存在自体がおもしろ可笑しい。
物語はとある劇団がマクベスのオーディションをすることに意欲を燃やしながらも、劇団員の一人が妊娠したことで、将来生まれてくるであろう子供と霊たちのやりとりを軸に、劇団員の夢をとるか、就職をするかの選択に迷いながらも、自分の生きる道を模索していく。
たぶん、役者の方たちって、必ずある程度の年齢に達すると誰もが悩み苦しむ問題だと思う。
誰もが夢を見て数年後現実を見る。
芝居の主軸よりもやけに守護霊に萌えたのはワタクシだけだろうか?
案外、霊たちの世界を物語りにするのも面白いかもね。霊界から人間達のお粗末な下界をみながら、あーでもないこーでもない!ってなコメディなんか、面白いかも。
誰か、作ってちょーだい!(^0^)
満足度★★★
前半ははっきり言って・・・
面白みに欠けた。笑いのネタももうちょっと!って感じ。
物語自体も、何を表現したいのか理解に苦しむような、ゆるくて学芸会レベルだった。
ところが・・・。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
後半になってようやく物語りの筋が読めてきた、という脚本にちと問題があるような気がする。
気がするが、最後のシーンでその殆どが払拭されるほど、孤独で悲しいシーンが何度も演じられる。
高城マホは若年性認痴症(アルツハイマー)にかかってしまう。マホは夫のヒカルにお茶を何度もいれたり何回も食事の用意をしようとする。そんな妻の病気に気付いた夫のヒカル自身もガンに侵されてしまう。自分の余命は2ヶ月と知ったヒカルはマホの友人に「もしも自分が万が一の時は妻を頼む。」と家の鍵を預けておく。
一方、アルツハイマーになってしまったマホは妄想で作られた自分の世界に閉じ篭ってしまい、そこでは王様という妄想のピエロが登場し、自由という名の現実からかけ離れた空間で楽しんでいるかのように思われた。
夫のヒカルはガンの症状が悪化するも妻の生活が心配で入院する事を放棄してしまい妻の傍で面倒をみながら生活する事を誓う。
やがて、夫のヒカルは死んでしまいマホはその現実を見て泣き叫ぶ。
しかし、マホは何もなかったようにお茶のセットを持って夫の傍にちょこんと座る。夫と自分のお茶をいれるのだ。何事もなかったように。死んだ夫のそばでニコニコしながら。
やがて思い出したように奥にさがり、もう一度お茶のセットを持って登場し同じように死んだ夫の傍にちょこんと座ってお茶をいれる。
それが何回か繰り返されてから、マホの友人の江森ハナがドアを開けて「何してんの?!」と、驚いたような表情で訪れるが、当のマホは・・・
「誰?」
聞いたマホの傍で二羽の白いうさぎが向かい合っている絵柄の湯呑みが2つ、ちょこんと置かれていた。
この最後のシーンは物語の全ての核心だ。
あまりにも切なく悲しく孤独なのだ。
物語全体のリズムのテンポは遅い。
もうちょっと脚本を絞ったほうがいいような気がする。
それにしても・・・以前の「タレント」といい、今回の芝居といい、脚本家は、現実との折り合いを上手につけられない人達や否応がなしに現実から離されてしまう孤独感、自分の意思とは真逆に反対の方向に流されてしまう情景や閉塞された自分の世界を描くのが好きなようだ。
脚本に、もうちょっとメリハリがあったら随分良かったと思う。
そういう意味では前作の「タレント」のほうが秀作だった。
満足度★★★
芸術と群像劇
初見の劇団。当たり前だけれど・・(苦笑)
蒲田を愛する少年少女たちの群像劇。
以下はネタバレBOXにて。
ネタバレBOX
舞台には2~30本ほどの白くて長いテープが下がっているだけ。役者は全員が黒い衣装で登場する。白いテープと黒い衣装は色的に美しい。
この劇団の特徴は独特のタップダンスのような機械的な動きで体で表現しながら何度も同じセリフを繰り返して観客にイメージを刷り込む。
物語はダイヤ公園にあるゴジラみたいな形をしたタイヤの怪獣が舞台だ。そこでかつての高校生達が集まっててっぺんまで登って酒なんか飲んでみる。そのうち、女子高校生がてっぺんから落ちてしまい、死んでしまう。残った高校生達は彼女を埋めてしまう。
一方でそのダイヤ公園の地下にはネジ工場がある。なぜか彼らは地上に出られない。彼らは地上の人達が想像で作ったイメージの人物だからだ。
高校生達は蒲田行進曲を口ずさみながら蒲田の街の昔の思い出や、ダイヤ公園での思い出、少年少女の悲しくて切ない思い出を織り交ぜながら、表現する。
冒頭のセリフと最後のセリフで物語りは繋がり、上手く収まるが、この表現方法は観客にとってはっきりと、好き嫌いに分かれると思う。最初、物語に溶け込むのに分かりづらいからだ。
だけど、こんな感覚の芝居は決して嫌いではない。ただ、哀愁を帯びた妄想劇と捕らえる事もできてしまう。次回はこの手のファンタジーなど観てみたいものだ。
満足度★★★★★
サイコホラー!
ホラーの部類に入れても良いような気がする。その位、不思議とリアル感漂ってた。
不条理劇というよりも・・それなりの筋は通ってる。加害者に同情してしまう感覚もこの芝居の持ち味かと。。
以下はネタバレBOXにて。。
ネタバレBOX
金田正広は、連続通り魔殺人の鹿野努のように「ここで誰かを刺そう」と渋谷でうろうろしていた。その陰で亡霊のようにナビ役をする鹿野。取り憑いているのだった。
一方で山中の廃屋に集まった八人の男女に鹿野は次々に憑依しながら、一人ずつ殺してしまう。その憑依の仕方がリアルで恐い。一体今度は誰に憑依したんだ!と全員が疑心暗鬼になっていく。
やがて諸橋はサイコメトラーの羽田寧に憑依した鹿野によって殺されてしまうが、殺されたかと思ったその静寂の中で、諸星は羽田寧に縋り付くシーン、「だが、悪霊は死なないんだよ。」
うきゃあぁぁぁぁーーーーー!!(・O・;)
ワタクシ、マジで声上げて叫びそうになりました!
すんごくばばりましたっ。脅かすなよ。ったく!(・・;)
体が半分、横に仰け反って知らない女性の肩にすがり付いた!
お化け屋敷みたいな勢いです。
死んだかと思った諸星!死ぬ間際にそんだけびびらせて、死んだ・・。(・・!)
この物語はひじょうに深い。羽田双子の心の葛藤。
連続通り魔殺人者・鹿野の苦悩と孤独。
それらをこれでもか、と見せつけ私達観客は鹿野に同情してしまう。
私達を納得させる言葉の表現も巧だ。
抜け殻になった鹿野は人を殺して自分も死にたかった。
「だけど、恐い。自分が望んで幽霊になったはずなのに、それでも誰かに自分の人生を知って欲しかった。ちっぽけで汚くて卑しくて・・・、自分の物差しで世の中を計ってみたくて、俺には自分の本当の大きさが本当の形がまるで見えなくなってた。」と鹿野。
笑いのコネタもあってホラーだけではない楽しさもある、そのうちジェットコースターのように勢いづいてホラー爆発し、そうしてそれぞれのニンゲンの苦悩に持っていくロードは観ていて小気味良い。
そして、終盤。渋谷で通り魔殺人をしようとしていた金田正広の下へ羽田寧はやってきて、謝って刺されてしまう。幽霊鹿野は叫ぶ!「助けを呼ぶんだ、大きな声をだせ!」そうして金田は大声を張り上げる。「だ・誰か、救急車をー。」
ひじょうに質の高い芝居だった。
追伸:観客びびらせてどーするよ?!(・・)
満足度★★★
コメディ半分、シリアス半分!
ぜーーんぶコメディかと思ってたら、そうでもなかった!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
動物園の飼育に関わる人達の物語。
主宰者は山縣有斗。この劇団はそのつど、役者を集めて構成する、云わば一人劇団。
役者は全員が優秀です。汗だくで演じてて、見事に役柄とキャストがマッチしてた。
んじゃ、本は?って事だけれど・・・パンダを純粋に飼育しながら、前園長の意思を引き継いで真面目に働く従業員と、政治的思惑に巻き込まれ動物が犠牲になってしまうという、不条理劇だけれど・・・。
本のインパクトが弱い。コメディとは違った見せ場のインパクトが弱いんだよねー。パンダに電気ショックを仕掛ける設定にもかなり無理があるし、今更パンダ?みたいな感覚もある。
むしろ、半透明の蚊のほうが余程インパクトがあった。ジェットみたいな羽音で飛ぶ音は明らかに恐怖とサスペンスでしょ?(^0^)
次回、期待します。はい。
満足度★★★★
ポップでキュート!
とにかく可愛らしくて美しい大地真央。皺が一本もないという年齢不詳さは、唸ります!ぱおーーん!(^0^)
でもって絶妙なセリフの間、流石はプロです。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
レビューの半分以上は説明文で解る。だから、結末と感想のみに徹っします。
大地真央演じるロレッタ、とにかくきゃわいい!年齢設定は37歳ということだけれど、マジマジと観ても・・・どーみても・・・20代後半にしかみえない大地。
いったい・・・・、なんでしょ?美貌を維持する秘訣、教えて欲しいもんです!
やっぱ、これだけの大女優になると、きたなくなれない。しかも・・・ドレスをお召しになったお姿も、タイトスカートをお召しになったお姿も、ナイスバディではないっすか?!(・・)
目線を下から上まで舐めるように激しく見ても、全くもって汚点がないです。
ニンゲンじゃねーー。
女優は年をとらない。っていうけれど・・・、これ程年をとらない女優も稀なのでは??
年をとってしまうと、役のキャパが狭くなるから役柄にも限界が出てきてしまう。そういう意味では大地。どんな役でもOKです。凄いねっ!
舞台のセットが更に美しく幻想的で酔わせます。漆黒の夜空に満月。
ロレッタの母・ ローズ(諏訪マリー)の演技が一際素晴らしいです。外人独特の手の仕草や歩き方、癖みたいなものを良く掴んでいて、日本人にはみえない、プロの演技です。
物語は軽快な音楽と共に・・・マザコンのジョニーはママの言うとおりにロレッタと婚約解消し、ロレッタはジョニーの弟ロニーと結婚する事になり、ロレッタの両親は仲直りして、めでたしめでたし。と幸せな気持ちで終わります。
コミカルで可愛らしい舞台。
お勧め。
満足度★★★★
この人達ってば、もう!(^0^)
もうこれは、殆どがショーです。
客いぢりから始まり、観客席の男性の頭をスカートの中に入れてしまったり・・・もう、はちゃめちゃ!(^0^)
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
文字通り、日米対抗試合です。戦前の野球の様子や、有名な野球選手が戦争に行かされて亡くなった経緯などを細かく描写してるから、野球ファンにはたまらないでしょうね。
今回は野球絡みのせいなのか、中年紳士の観客が割りと目立った。それから、女性ファンも多くて人気の程を伺えます。
主宰者から、「今日はお陰さまで満席だけれど、明日とその次は観客が3人しか居ません。(嘘おっしゃい!^^;)財布を逆さにする気持ちで観に来てください。」とおっさってた。(^0^)
まあ、暇なら行ったげてーー。バカバカしくて笑えるから楽しいよー♪
ディズニーに行かなくても妖しげなミッキーには会えます!
今回も色んなキャラが登場して解る人には解る。
いぢって欲しい方は前列と2列目舞台に向かって左の席がお勧め!
楽しんで来てねーー(^0^)/
満足度★★★
大冒険といっても
ファンタジーではないです。だから、トムソーヤの冒険とか、エルマーの冒険とか、そういう類のものではない。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
山田純子という少女が両親が亡くなって施設に入ったが、その施設も経営が立ち行かなくなって、宮西家に引き取られる事になった。しかし、純子(施設のみんなから、ドンコと呼ばれている)は、中々宮西景子(義理の母)になじめない。
ドンコはかつて自分を生んでくれた両親の事を夢想し、両親と3人で共に居る状況を妄想し、自分の世界に閉じ篭るのだった。その閉じ篭りの世界が、『ドンコの大冒険』という物語。
ドンコの物語の中で実の両親と一緒に悪者と戦ったり、夫婦の関係や親子の関係の中で、ドンコは段々大人になっていく。実の両親はドンコに、ドンコが生まれてきた意味を教え諭す。「純子、お前は幸せになる為に生まれてきたんだ、だから、今から山田純子ではなく宮西純子になるのだ。」と。
そうやって、少しずつ大人になった純子は義理の母が見守る中で子供を生んで抱いて登場する最後のシーンで、『ドンコの冒険』とは、こうやって冒険をしながら精神的に大人になっていくドンコの葛藤を描く。
ベタで解り易い芝居です。笑いどころもちょっとはあって、そこそこ楽しめるけれど、役者のセリフの間の取り方がちょっと痛い。この間のタイミングが上手くいかないと、しらけてしまうのだ。
物語は終盤に差し掛かって良くなるが、前半は導入音楽もなく、全体的にシーーーンとしていて、眠くなってしまう。もうちょっと勢いがあってもいいんじゃね?(・・)と感じた次第。
今回の持田はセーラー服ではありませんでした。
いあいあ、持田のセーラー服姿が今でも脳裏に焼きついて離れないでっす!(^0^)
満足度★★★★★
懐かしい風景
セットの使い方が上手い。黒板の貼ってある壁がスライドに移動して、美術部の資材置き場のような部屋が現れ、美術部の教室と、資材置き場の情景を交互に描写する仕組み。
美術部や放送部、吹奏楽部といった学生たちの放課後のありきたりの部活が私達にとってはあまりにも新鮮でいて懐かしい香り。
以下はネタバレBOXにて。。
ネタバレBOX
きっと、学生の頃の私はこんな当たりまえの情景をなんとなく無意味で無駄で無価値なものだって感じていたんだよね。
放課後の図書館や音楽室に降り注ぐ橙色の柔らかな西日の中で、きっと、それなりに懸命にそして健気に私は私なりに過ごしていたんだなと思う。
今回の芝居は学園ものという設定が、かつての自分を振り返り過ごした時間に時代という言葉を重ねると、青の時代があり、そして赤の時代があり、そのすべてが、あの頃にギュッと凝縮していたんだな、と思わせる。
劇中、それぞれの部での人間関係や教師との係わり合い、そして逃げる事の出来ないいじめや、嫉みを残酷なまでに表現しながら、笑いのネタをしっかり入れて私達を楽しませる。
だけど、それだけではないんだよね。窓の外の風景の演出も素敵です。雪を降らせたり、校庭の様子を想像させたり・・。
更に生徒には生徒の陰湿さがあり、教師には教師の陰湿さが露骨なまでに表現されていて、しかもキャストがその配役に直球ど真ん中!ある教師の影の部分の気持ち悪さだとか、苛める側の陰の支配者だとか、吹奏楽部の顧問が吐く言葉の無神経さだとか、ニンゲンの鬱の部分の表現の仕方に脚本自体、まったくのブレがない。
ドラマを観ているような感覚になって、目の前の美術部が大きなスクリーンのように感じられた。
思春期の淡く切ない残酷な時代の物語。
大人になるって大変だよね。大人になっても大変だけど。
とにかく、ガンバロー!(^0^)
満足度★★★★
素晴らしかった!
佐々木姉妹ってあんなに歌が上手かった?マジびっくりですわ。東京ネジでの公演を観た時はあまり、インパクトがなかったのよね~。
それから、芝居も・・。劇団四季の出身じゃあないはずの佐々木姉妹(いいのよね?四季とは無関係なのよね?)が歌といい、表情といい、四季バリバリでした!
プチミュージカル!素敵でした。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
死島に居る音楽しか聞こえない少女の姉と音島に居る音楽だけが一切聞こえなくなってしまった妹の物語。
舞台には大きな本が置いてあります。
その本の1ページずつをめくって「レミちゃん家」「死島の地下」「歌風呂場女風呂」「死島の森」「薬屋さんの家」「革命」「クラゲの世界」と場面のタイトルを説明する仕組み。
ナビ役は元劇団四季の神谷憲司。
フラット役にディズニーシーのダンサー(現在ミスティックリズム公演中)の森政治を起用し、SOUL GIRLにも元四季の役者を歌わせるという夢のようなコラボで、それどころか今回は更に佐々木姉妹の歌の上手さも発見しちゃったというワタクシにとっては最高のプレゼンテーションだっての!(^0^)
冒頭、妹が音島に漂着するまでのシーンが物凄く夢がある。
ワタクシ、最初からニコニコ。
次から次へと登場する役者にもニコニコ。
要はちょっと子供じみたこうゆう芝居が好き。って事。
実際に小学生が見に来ていたけれど、小学生にも受け入れられる楽しいお芝居です。
この物語はただのノー天気な独裁者の王様が描かれてる芝居じゃあない。
なぜ、王はクラゲを主食にしていたか?何故、この国では音楽しか聞こえなくなってしまったのか?それらの全ての原因はクラゲにあったことが判明します。
苦悩する孤独な王とその王の苦悩の原因を知っていた薬屋。
その人間関係の縮図が絶妙に絡み合い、見応えのアル芝居でした。
王の苦悩するシーンがちょっとだけ中だるみ的に長く感じたけれど他のシーンはお好みの舞台でした。
うーーん。舞台っていいね。観てるとその年齢まで戻れる。(笑)
そう、こうやって色んな世界を想像する為に足を運ぶのだ。
満足度★★★★★
死ぬほど笑った!(^0^)
元来、コメディ好きである。
何も考えずお気楽極楽で鑑賞できるからだ。
だからといって、コメディを見下げているわけではない。コメディほど高尚なものはない、なんて思っちゃってるからだ。人を笑わすことがどんなに大変な事か・・・かつ、どんなにエネルギーを消耗するかもわかっちゃってる。
元来、笑い上戸でもある。
まあ、笑っていれば世の中はどーにかなる。なんつって考えてる楽天家でもある。
そのコメディ好きで笑い上戸のワタクシはマジで本日、殺されるかと思ったくらい、ヤヴぁカッタお話!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
なんとゴムドンシリーズは11年前に初演を上演してから続いてるってんだから、どうやら日本人を笑わせながら殺してしまう腹づもりなのかもしれない。
ゴムドンとは妖精らしいが、性格は気儘で遊び好きでいい加減で、その上不思議な合言葉を発するとその場に居た人が死んでしまうという厄介極まりない極悪人・・もとい、極悪妖精なのだったら、なのなのだ!
つまりだ、森の中に住んでいる可笑しな妖精たちとこの森にキャンプに来たカップルの物語だった。
何が可笑しいって登場妖精たちだ。ファンキーな妖精のキャラ立てがひじょうに面白い!(^0^)
人魚姫の格好で登場したサシミ様のなんとも妖しげなナリとは別に、ふざけた仕草がバカバカしい。
兎の格好をしたアネモネの森の妖精たちの前での態度とニンゲンと二人だけになった時のギャップがすんごくいい。
更に、アネモネ同様全身タイツで登場するカブレラも・・・もう、笑うほかないんだよねー(^0^)
しかしだ!そんなナリだけでは当然のお約束ながら笑えるはずはない。でしょ?諸君!
んじゃ一体何が面白かったん?ってことだけれど、それは言葉だ。会話のキャッチをしながらのセリフ回しが、巧みでハマル。
なんとも噛みあわない言葉や微妙な言い方がとにかく面白い!
流石は難波のど根性蛙なのである!
関西の劇団と聞いただけで、「笑わせてナンボでしょう?」なんつってワタクシなど、期待に胸をこれでもかって膨らませていくわけだから、ふふ、とか、くすっ、とか、あはっ!くらいじゃあ、納得できないゾっ。ってな気持ちで挑むわけだ。
そんな挑戦にまんまと観客は白いフラッグ振って「もう、カンベンしてよー。」って涙を流しながら笑う。笑う。わらう。
もう、これだけ笑わせてくれたら満点でしょね。。
それにしても、ゴムドンの三谷は初演の時が21歳。それから11年経ってるのに、可愛い妖精なのだ。イケル。40までイケルよ、三谷!(^0^)
脚本家の横山は「誰が何と言おうと自分で腹を抱えて笑える作品なのである。自画自賛した上、他人にこの笑いを理解せよと強要し「面白かった」と感想を述べるまで帰さない。」と言っているが、本当にその通りなのである。
満足度★★★★
役者の表情と本に満足!
初見の劇団。
新宿ゴールデン街劇場という極小の劇場の舞台ということで、キャパが狭い分、物語もこじんまりとしてるのではないか、ってそれ程の期待はしていなかった。
そしたらよ?そしたらさ・・・(@@!)
そんなことは全くないです。期待はずれ!いあいあ、想像ハズレ。
素晴らしいです。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
花村光男(小説家)は3人の愛人がいた。
一人は向島「春日」の女将、菊乃。
一人は年増のモデルのしまこ。
一人は秘書のしえ。
一月前に花村は胸を刺されて亡くなっていた。妻の富江は愛人の3人を自宅に呼んで彼女たちと夫との関係性を問い詰めていく。
この時点で狭い舞台の使い方がひじょうに上手い。
何の変哲もない舞台を、「春日」の部屋にみせたり、モデルの自宅にみせたり、はたまた、花村の自宅に見せたりする。
要するに観客に想像の呼び水をたっぷり与えて想像させるのだ。
光男がそれぞれの愛人たちと逢瀬を繰り返し、どうしようもないクズのように見えるが、その後ろで糸を引いてたのが妻の富江だったという真相が解る。
光男は過去に『恋』という小説を書いて人気を得た作家だった。恋話を書いて売れたとなると出版社は、また恋話を書いて欲しいと要求する。
そんなに何回も書けないと愚痴る光男に妻の富江は女性と関係する事を薦める。作品を書く為に女を利用しようと仕向けるのだった。光男は富江の考えに押されるように愛人を作って遊び始めるが、一方で心は病んでいってしまう。
光男はお遊びから帰ってくると妻に内容を説明し、妻は夫がお遊びで疲れて帰ってくる風情が好き、という。
子供が遊んで帰ってくるその光景に似てると言う。
そんな状況の中、光男は「僕はいったい何をやってるんだ。クソみたいに、ゴミみたいな人間だ。こんな人間にいい本が書けるわけがない。僕は何を探して歩き回っているんだろう?動けば動くほど心に隙間風が吹いて、すかすかになってしまう。隙間を埋めてくれよー。」そう苦悩しながら、何をやっても満たされない心を抱えて次第に死にたい。と考えるようになる。
妻はそんな夫を見て刺し殺してしまう。
殺してやるという行為、それは光男が抱えている苦悩からの開放だ。妻は夫に恋請うていた。夫も妻に恋請うていた。3人の愛人も光男に恋請うていた、という大人な恋の物語。
恋に命をかけた濃密な人生なら、生きてる実感もあるというもの。
3人の愛人の表情。妻の心理。夫の心理。絶妙に絡み合い、内容の濃い素晴らしい作品でした。
やっぱり女心の細かい描写を書くなら女性脚本家。ということでしょうか?
それぞれの役者の表情が巧みです。役者も素晴らしい!(大絶賛!)
うーーーん、満足!(^0^)
満足度★★★
もう少し
うーん。。全体的な流れはコメディだけれど・・。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
とにかく、ドタバタ劇。物語の筋はどーでもいい感じ。
パッチワークのように継ぎはぎって感じのストーリーでカラオケとアクションと笑いのネタを織り交ぜた内容だったけれど、物凄く練り上げた本か?というと違う。
歌は普通。普通という感覚。それはカラオケで歌うレベルという意味。
本城ミチルの手下のタカラヅカとナガヤマ、この二人のタッグは良かった。
宝塚風味のアクションなんだけれど、大げさすぎて笑える。
更にビューティペアを宝塚メイクで歌う!
なんですか・・・バケモノ??
いあいあ、女を捨てた演技、素晴らしいです。(もう笑うしかない)
でもって、よく解らないリンゴがミチルに本気で頭突きを食らわすシーンww
会場に音が響いてた!(^^;)
あれは痛い。それなのに・・・リンゴ、普通にしてる。(苦笑!)
この人たちは普通が普通じゃなくて、普通じゃないのが普通なんだよね。
そんな舞台。
笑いのネタはもうちょっと言葉で欲しかった。
雰囲気を楽しむならいいかもね~。
しかし、次はもうちょっと本を練り上げて欲しいもんです。
満足度★★★★★
一人の男によって流されたお伝
とにかく正統なお芝居。役者の面々も、かなりの年配の方から若い方までを起用し、その年代の情景を綿密に表現していました。ひじょうに素晴らしい!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
世間からは明治の毒婦とか人食いお伝とか呼ばれていた高橋お伝だったが、事実は病気の夫の為に外に出て働くようになる。そこで出会った後藤吉蔵にまんまと騙されて、吉蔵の情婦だった腹違いの姉とお伝の夫を殺されてしまう。更に騙されて借金まで抱えさせられたお伝は睡眠薬を飲まされ、吉蔵に強姦されてしまう。
「女の一人や二人、虫けらみてえなもんだ!」と再度、強姦されそうになったお伝は吉蔵を刺し殺してしまい、お縄になるのだった。
取調べ室では、一人の判事がお伝が殺人を犯したまでの罪の理由を証明できていたが、その判事の妻の悪行によって証拠の品を握りつぶされてしまう。結果、絞首刑にさせられてしまうという、悲哀不運の物語だ。
世間というのは一度悪いレッテルを貼られると、同じ方向に人は動き追従する。お伝という世間が創ってしまった虚像の物語。
小説を芝居にするとき、原作から脚本を起こして原作を批判するところから出発していると思う。題材やテーマはいいのだけれど、芝居的な空気が足りない。だから、そこを批判して変えていく。出来上がった脚本を、今度は監督の立場から批判して変え、補う。練りあがると今度は演出で手を加えたり、入れ替えたりして・・、こうやって何段階かの批判作業を経て舞台になるわけだ。
勿論、小説と芝居は根本的に表現形態が異なるから、まったく同じように創る事は不可能だが、この舞台は作品の本質は損なわれる事無く、原作の空気感を舞台いっぱいに上手く再現していたと思う。
スリの大親分の気風の良さやものいい、判事のなんとも切ない表情など、舞台人の貫禄を見せつけた納得のいく舞台だった。
軽いはっちゃけた舞台もいいけど、正統派の舞台をみると、憧れに近い気持ちを抱く。
満足度★★★★
相変わらず不思議なことやってるね
まず、今回のタイトルが気になる。蟻のごちそうはニンゲン!
以下はネタバレBOXにて。。
ネタバレBOX
舞台の冒頭、両腕を切り落とすシーンから入る。そして首。
いったいこれはなんだ?!
切り落とした両腕をクロスしてXにして見せる。
その昔凶作の際に村で一番若い夫婦を神の遣いである大蟻さまにご馳走として捧げた」という伝説が起源とされる「身奉の儀」が五穀豊穣の儀式として執り行われます。
蟻塚町の人々は蟻ではない。働かないからだ。どちらかというと、きりぎりすだ。
セットは古びた木材を随所に使い昭和初期の臭いが漂う。ドア代わりの引き戸にはカランコロンと開けるたびに木の乾いた音が響く。
その響きは神秘的というより、一種不思議な過去の記憶の音だ。
そのドアのある床屋に町の人達がたむろしてはぐだぐだと毒づき合う。床屋の亭主とはよく言ったもので、暇があると遊女のところに入り浸り、そんなどうしようもない亭主に義理の妹は好意を寄せる。
一方、働き者の床屋の妻と町内会長である床屋は冷めた夫婦生活を続けているが、義理の弟が姉に好意をよせてちょっかいを出す。
雨は降り続け、やがて一之瀬川は氾濫するかのようになった時、愚かな人達は生贄の人柱を捧げる!なんて遊びになって誰か一人を川に突き落とそうとふざける。
どこまでもノー天気な人たちなのだ。
今回も全員が目の下にうっすらと熊飼ってます!状態のクマの持ち主メイクで終盤は前作と同じように、ターンテーブルをくるくる早く動かしたみたいに、早口で宇宙言葉をしゃべる。しゃべる!
やがて川は氾濫し町全体が飲み込まれ水浸しになったが、床屋の一角だけは流されずにどうにかとどまる。が、しかし・・・床屋の家中にぎゅうぎゅうになって非難した住人達は家もニンゲンも縮んでちっさくなっていたのだった。
座って動く滑稽な動きで全員が同じ方向に同じようにちょこちょこと滑るように動く。一糸乱れず。その光景はまさに蟻なのだ。
ワタクシは目眩を感じた。やっぱり彼らは妖怪なのだ。
川の波が町を飲み込み町が一瞬紫色に変じて波打った刹那、縮んだ彼らは縮んだことに気がつかない。
ちょこちょこと動く彼らを見て、いつだったかあのような光景を見たことがある、とふと思った。・・・そうだ、宇宙人の襲来のシーンにあんな光景を見たのだった。
そして舞台の上ではちっさくなった人達が両腕を切り落とすシーンになる。そして首。
冒頭と同じように切り落とした両腕をクロスしてXにして見せる。半分に縮んだ腕を掲げて。生贄のシーン。
働かない、愚かだ、ということは自滅と同義語ですね。
「なあ、まいち(床屋の主人)よ、この町は沈むぞ。」
「大丈夫ですよ、それより祭りだ!祭り!」
彼らの作る芝居には一種異様な雰囲気がある。その異様な雰囲気はなぜかワタクシの記憶を刺激する。いざその時に臨むとき人生が走馬燈のように脳裏を駆けるというが確かにニンゲンの脳というのは妙な働きをする。彼らの舞台はなぜか、ずっとずっと遠い昔に見たような記憶があるのだ。だから彼らの舞台はワタクシにとって前世の記憶の呼び水みたいなものだ。
満足度★★★★
笑いすぎて涙!
ショートコントではありませぬ。きちんとした物語。とにかく笑う、笑う、笑う。
以下はネタバレBOXにて。。
ネタバレBOX
一話「忍ばずの池殺人事件」
男女の刑事が殺人現場の遺体の確認に現れる。この男女は恋人同士だ。ちょっとした言葉の受け取り方で大きな勘違いをしてしまう。男はこの遺体の事を話してるつもりが、女は今すぐここで女の体を求められてると思い込んでしまう。お互いに勘違いをしながら延々と続く。
二話「恋する楽屋」
役者には秘密があった。それはヅラを被っている事。アシスタントの女は役者のネックレスを外させようと必死になるが、役者はヅラの忠告をされてると勘違いをして最後はヅラを外してしまう。アシスタントはソレを見て絶叫!する。
三話「二人のあいランド」
かつて同級生だった男二人が漂流して無人島に流される。一人の男はもう一人の男の妻をずっと昔から好きだったと告白してしまうが、主語を言わなかった為に自分に告白されてると勘違いをして何やら妖しい雰囲気になっていく。
四話「ブル」
脚本家は、ずっと苦しんでいた。ガンで死んでしまった役者の命は自分が仕事で酷使した為に縮めてしまったのではないか、と後悔をしていたからだ。そこに黄泉の国からきた役者が命の大切さ、生きてる事の幸せを脚本家に説得する。不平不満ばかりを言う脚本家に「どんなことがあっても生きてるだけで幸せ。」と。
最後の四話は笑いはまったくない代わりに力強い作品だった。どんな時でもニコニコしながら笑っていた役者は脚本家の癒しになってた存在だった。死んでしまった者だけが言える言葉の重みが響く作品だった。他の三話は言葉の勘違いによるコメディ。とにかく面白い。役者の表情もいい。
笑って笑って笑いまくって涙がちょちょぎれました!(^0^)
満足度★★★★
道程に続く不条理劇
アタラシプロンは朽木晴彦がピンでやってる劇団だ。MUみたいなものだ。最近、こうゆう形の劇団が増えたような気がする。メリットもデメリットもあると思う。
最大のメリットは脚本によって、イメージどおりの役者を投入できる事ではないだろうか?
そして、今回のキャストも実に秀逸だった。
以下はネタばれOXにて。。
ネタバレBOX
朽木が書いた前回の「道程」は模倣家族を演じるという不条理劇だった。
今回も彼独特の不条理は突っ走っていた。彼の路線は今後もこういうダークな色合いで進むのだろうか?今回の「ワールドシンフォニー」は彼自身の協奏曲でもあったような気がする。今回の最大のテーマは愛だ。それぞれがそれぞれの思いを抱え空回りして落ちる。
愛が欲しいが為に誰かの乾いた残像を追い求め、心の隙間に音もなく忍び寄り囚われる。囚われたそのものは何か?それも愛なのだ。
心の病で入院中の姉が居た。姉が壊れてしまったのは元恋人から裏切られたせいだと思い込む妹。妹は復習を誓い元恋人の弟を利用して陥れ元恋人を殺させる。入院中の姉には特別な能力があって彼女が絵を描いた人物を死に追いやる事が出来るのだった。この能力を利用して妹は、自分の邪魔になる人物を次々と殺していく。
姉は担当のドクターから心が壊れているのをいいことに、遊びと称して性的虐待を受けていた。そのことを世の中に暴露する看護師。やがて、ドクター自信も壊れていく。
一方で姉は妹が大好きだった父親から性的虐待を受けていたことを妹に告白する。元恋人は実父から姉を助けたという真相を始めて知って愕然とする妹。そして、狂っていると思っていた姉が正常だったことを知る。
何が正常で何がそうでないのか。濡れ衣をきせられて殺されてしまった元恋人。全てが少しずつ狂っている。
生きるってしんどいね、と妹。
一人の少女が生きる過程を描いた作品だ。まさに『道程』なのだ。彼女が抱く悩みも混迷を極めている。だから叫び、悩み、苦しむという熱さがある。生きる、ということは、逃げる事も隠れる事も出来ない。だから、少女は死にたかったが死ねなかった物語を、朽木特有の温度で描いている。暗い闇を持った少女の苦悩は、どうしようもなく青臭くて幼稚なものだったのかもしれないけれど、こうやって底知れぬ深い闇にはまっていく。
朽木の作品は次回も観ようと思う。彼の書く作品にはそう思わせる何かがある。