みさの観てきた!クチコミ一覧

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熱海殺人事件

熱海殺人事件

一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド

atelier SENTIO(東京都)

2009/06/11 (木) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

エロデカハナ子と2人の狂気デカ!(^0^)
毎回の不思議な動きと演出には目を見張る。特に部長刑事を演技した前島謙一の動きと表情がいい。更には刑事2人に必要性を求められて、ハナ子刑事の中途半端な脱ぎっぷりぷり、っつーか、脱がされっぷりぷりが実にエロい!(^0^)見せちゃってる度合いがいい。

観に行く方は入り口側前列が絶好の角度で観られる!素敵な90分をお過ごしあれ!(^0^)
一押しの舞台!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台にはビリヤード台に水を張った状態に被害者アイ子と容疑者大山の絡みのエロい場面から始まる。(をを~!嬉しくて吐血!)
一徳会の舞台に水ありき。のイメージが強いが水のせせらぎ、チョロチョロと流れる音、時にはザーザーだったり・・。この音が絶妙に今回の熱海と融合しその情景までも伝わってくる。更にこの小屋特有の常に水が流れる音が聞こえるのも効している。

そんな水も滴る舞台なもんだから、部長刑事、熊田刑事は透明なカッパを装着し、下は競泳用水着なんか着ちゃってる。この時点で動きやセリフにコメディ感が溢れ出ていて、異色の舞台に魅了される。好みだ。

殺人犯はこうでなくてはいけない!みたいな理想論を掲げ、殺人に至った経緯までをも、ねつ造していく部長刑事。犯人は違う、と言いながらも段々、その言葉に気負されていく演出もお見事!死んだはずのアイ子が傍でボクシングをやったり、うろうろしたり、たまに言葉を発しながら状況を見守るような霊になってるのも楽しい。(^0^)
一徳会の舞台って、こんな風に遊びがあるシーンが絶妙なんだよね。

ナンセンスなセリフと小気味良いセリフでハナ子を脱がせる再現シーンのデカ2人の表情は見もの(苦笑!)
もはやデカではなく、只の男に成り下がってる。鼻が膨らんで目がむき出し!(^0^)
ここで素晴らしいのは、ハナ子デカの柔肌だ。水に濡れながら、ライトアップされた白い太ももの付け根の奥のぱんちーまでも見せてくれちゃってる!(もっと・・。。”)
更にはミニスカートが水に濡れちゃってるもんだから・・・、体の線までもバッチシで思わずガッツポーズ!(よっし!濡れた女体が美しいのなんのって)
ジッパーを降ろした背中のラインや胸のライン、これだけで美しいハリのある裸体を想像できちゃうほどの張り付き具合がこれまた絶妙!(もっと・・もっと!!!@@)
いあいあ、美しい人魚姫のようでした。小助川サンクス!(^0^)

何が秀逸って、デカ達のゆがみやズレをシリアスに表現しながらも質の高い大真面目なコメディ感を押し出す極端さ。これに尽きる。
終盤、水の中から取り出した通話の出来ない電話で部長刑事が上司に報告する場面を観て、物語りはやっぱり狂気だった。と気づくのだ。

実に素晴らしい!全ての要素がふんだんに織り込まれた舞台。
演出家の石井幸一、その才能は突出している。普通ではない!(^0^)

PureBoys act.3「7 Color Candles ~セブン・カラー・キャンドルズ~」

PureBoys act.3「7 Color Candles ~セブン・カラー・キャンドルズ~」

東京音協

サンシャイン劇場(東京都)

2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★

盛り上がった卒業公演
今回の公演を最後に崎元大海と馬場徹が卒業する。ファンはそれを知ってるらしく、すんごく盛り上がったのでした。

芝居終演後、アイドル特有のお歌があるわけさ。
新曲2曲と「乾杯ジュテーム」。
いあ、やっぱ、いいわ、「乾杯ジュテーム」
ハイテンションな曲がいい。ノリノリ萌え~~!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

誕生日を祝いに集まった7人は一人の女の子をそれぞれの名前で呼ぶ。
ミキ、アカリ、エリザベス、ガッキー、ラスカル21(ハンドルネーム)など・・・
つまり、彼女は色んな顔を持っていたのだ。
彼女不在の部屋に集まった7人の前に一人の空き巣・中年男が忍び込んでいたが、彼らは彼女の父親だと勘違いをして自分をアピールし始める。

調子に乗った空き巣は、父親顔をして振舞うが、やがてそれは空き巣にかかってきた実の娘・マリアからの1本の電話でバレテしまう。マリアは自殺する前に父親に電話をかけて来たのだった。

一方、部屋の住人である彼女はラスカル21としてサイトに投稿し、今、海外に居て、こちらで実業家と結婚する旨を伝える。7人の男子は落胆するも、「八方美人の彼女よりも、今、目の前で死にそうなマリアを助けよう。」とマリアからかかってきた電話を受け取り、それぞれの言葉で説得をする。

やがてマリアは「今、見えてる世界がこんなでも、いつかまったく違うものに見えてくる事がある。未来は変えられる。」という希望を持ち始める。
そうして彼女の為に集まった7人はマリアの誕生日を祝うことにする。

本当に器用な子たちでした。アイドルなのに役者顔負けの演技もこなし、汚れ役もコメディも何でもする。しかも、これまた面白い!(^0^)
そうしないと生き残っていけないのかも・・。

八神蓮の天然なおしゃべりが、すんごくおもろい!

物語はコメディがほとんど。最後にはうるっ!とくる展開も覗かせ、最後はハイテンションなお馴染みの「乾杯ジュテーム」で観客を沸かせ、幕引き。

いあいあ、観客の感情を見事に読んでますわ。あっぱれ!(^0^)
裁かれません

裁かれません

カリフォルニアバカンス

アイピット目白(東京都)

2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★

乗れなかった!
毎回、評判のいい劇団なので期待はしていたが、あまり面白くなかった。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

もっと勢いのあるコメディかと思いきや、案外、だるだる。
お笑い系の芝居は数多く観ているから、その分、評価も厳しくなるのかも知れないけれど、それにしても・・・あんまり笑えない。ってか、笑いの感性が違うのかも知れない。

普段、ワタクシが観るコメディに対する観客の笑いはあんなもんじゃあないし、ワタクシの観た回は、一部の観客の笑い声だけが妙に響いて、もしかしたらサクラでしょか?と思っちゃったほど!
多くの観客の反応もイマイチな感が。

これから観に行かれる方は多くを期待し過ぎると不満が残るかも。

鬼とか悪魔とか閻魔とか、発想は面白かったんだけれどね。
ストーリーの展開に無理がある。

髪結う時

髪結う時

TOKYOハンバーグ

千本桜ホール(東京都)

2009/06/09 (火) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

号泣!
家族。
暖かい家庭を作った人間は死ぬときもそのように送り出してもらえるのだと、つくづく思う。家庭らしきものを作らなかった人間が、最後だけそうゆうものを望むのは身勝手なのかも知れない。

家族とは・・。今回ほど家族の存在を見直した事はなかったのではないだろうか?ひじょうに素敵な、そして素晴らしい物語でした。

脚本の素晴らしさを後押しするかのようなキャストの演技力!どれ一つ不満の無い完璧な舞台でした。
この舞台、是非に沢山の方に観てもらいたい物語です。
結婚したくなるよ~、きっと!(^0^)

ネタバレBOX

舞台は車椅子に座った幸子と幸子のひざに乗せたアルバムをめくる恵介の老いた夫婦の描写から始まります。
暗転、舞台上は幸子(お母さん)の若かりし頃、ちっさな美咲と恵介(幸子の夫)の仲睦まじい家族の風景に変わり、同時に同じ舞台上(右側)で後期の美咲が結婚する情景をも映します。物語は二つの時代、前期と後期をリンクしながら同時進行する。
後期では幸子が若年性アルツハイマーにかかり、その病が少しずつ、進行して日に日に記憶をも失ってしまう。
幸子(お母さん)を支える家族。家族の深い愛情と幸子の「家族に迷惑をかけたくない。」という思いが、絡まって、絡まって、絡まって・・・ズシン!と胸に響きます。そのズシン!は尖ったものではなく、温かな甘水のごとく穏やかに心に沁み込んで、涙の滴になります。そして、泣く。泣く。泣ける。

やがて、前期の穏やかで暖かな家族の風景は幸子の記憶の断片だと気付く。記憶を失いつつある幸子は記憶の中の断片と現在の自分と戦いながらも、不安な気持ち、家族に申し訳ない気持ち、家族に嫌われたくない気持ち、それらの複雑な感情に押しつぶされてしまい、家族に対して暴言を吐いたり、暴れたりしてしまう。

幸子の、自分自身の身の置き所そのものが解らなくなって、表情そのものが変わっていく痴呆の演技力は迫真です。お見事!
クライマックスは涙が溢れ出て止まりません。

舞台は前期の幸子が幼い美咲の髪を結うシーンと、後期の大人の美咲がおかあさんの髪を結うシーンが重なって、その情景がなんとも美しいのです。

終盤、お父さんがお母さんの車椅子を押しながら、雲を眺める風景はそれだけで絵になりますが、お母さんが雲を傘と連想し、その連想の傘を受け取るお父さんの仕草と表情がいい。
「お父さん、ありがとう。」そう言った幸子と幸子を見守る老夫婦の関係にやはり、涙します。

物語は単に前期と後期に別れてリンクしているだけかと思いきや、そうではない。過去の家族の景色が幸子の思い出の中の描写と解る時点で、なんと繊細で深い思考なのかと作家の大西弘記の頭脳を想像して、その力量に驚いてしまう。最初に仕掛けた伏線も終盤できっちりはめ込み、観ていてすっきりと収まる。
この作品を支えるキャストの演技力にも脱帽し、更に子役の演技力が完璧で文句の付けようもない。(^0^)
介護。私たちには避けられない問題なのだ。
改めて家族を見直せる物語。
大絶賛!
ケンジ

ケンジ

劇団サードクォーター

イワト劇場(東京都)

2009/06/05 (金) ~ 2009/06/09 (火)公演終了

満足度★★★

昭和の色濃く
音楽は「恋の奴隷」、「風の噂を信じて」←(タイトルは解らない)など、昭和メドレーを使い、当時の雰囲気を出そうとしている。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

18歳のケンジがニセ学生となってT大の演劇部に所属したことで、純粋無垢で童貞だった彼が、やがて、学生運動や、女や、酒を覚え、変貌していくさまを描く。
ケンジは彼女の他にもスナックの女の子・チヨともセックスをして、更に他の女の子ともセックスをする。チヨに好意を持っていたキキチは農大の4年生だったが、ケンジと良く飲むようになる。学生運動に加わらない学生や加わる学生の考えや気持ちの動きも組み入れながら、18歳でウブだったケンジ自身が徐々にスレて周りに馴染んでいってしまう描写は見事だと思う。そして、登場する女の子たちもフリーセックスさながら、男とくっついたり離れたりする。

朱に交われば・・、というけれど、夢や希望を持っていた若者が志し半ばで躓いていくさまや演劇の脚本を書いても認めてもらえない様子は、切ない。
岩手出身のキキチが宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の登場人物の名前がとっつき難い、と話すさまはホント、可笑しい!(^0^)

そうだよな~、ケンタウル祭とかジョバンニとかザネリとかカムパネルラとか、馴染めないよな~(苦笑!)
そんでもって、賢治のように志が高すぎて、更に孤独感がにじみ出ている物語は入りにくい。(^0^)

それぞれの学生たちが正直にしてたら生きていけない。と考え、それで少し嘘をつきながら妥協していく生き方を見出し、愛の視点を考える。
学生が「若いうちの愛も肉欲も一緒。だが40、50代の愛は違う。だから俺は早く中年になりたい。」と言う輩もいれば、ケンジのように失恋し主義や主張も無いまま誰とも連帯しないけれど、でも自分は孤立している訳ではない。と主張するさまは学生特有のちょっと屈折した哲学的な考えがあるのかとも思う。

物語は全体的に昭和の学生の当時の描写を演出していたのだろうと感じた。最近の演劇ではこのように学生運動を題材に公演を打つ劇団が多くなったと思う。だけれど、どの劇団も一様に映す描写は似ているのだ。



こころ

こころ

726

OFF OFFシアター(東京都)

2009/06/05 (金) ~ 2009/06/09 (火)公演終了

満足度★★★★★

吉田小夏の幻想的な世界
実に素晴らしい2時間でした。客席は超満席。全ての回がそうだというのも納得。更に鬼塚と西地の旗揚げ劇団「726」はこれで成功した訳だから、彼らにとっても良い船出だったろう。

京都を思わせるような灯りと照明、音楽、芸術的なセットが絶妙に調和sた美しい舞台でした。そうして、役者陣の重厚な演技力!脱帽です。

物語は「私」「若い先生」/「老先生」「私の父」とキャストが3役~2役こなすが、設定の境界の作り方が上手いから良く理解できた!(^0^)
以下はネタばれBOXにて。

ネタバレBOX



まず、キャストと役の明記は欲しいです。

物語は夏目「こころ」を題材に子夏風にアレンジ。このアレンジの仕方は天才的です。ホント、素晴らしい。
でしゃばらず、「こころ」独特の繊細さをそのまま、引き継いだように物語を紡いでいきます。

舞台は「先生の自宅」「私の実家」を軸に「若い頃の私」と「現在の私」が過去と現在を行ったりきたりしながら交差しリンクしていきます。

Kを失ったあとの現在の私の苦悩。Kの心を知りながらおじょうさんに結婚を申し込んだあとの私の苦悩。おじょうさんに真実を悟られないように生きた日々。「私」はいつも心の中に「Kの心」を仕舞い込んで過ごしてきた事。
人生に裏打ちされた「私」だけの海を持ちながら、心の中にある海はやがて「後悔」という心で涸れ果ててしまう。

「私の父」の死と、「先生」の死が舞台上で同時に逝く設定も美しく演出していた。

「男の心と女の心はピタリと一つになれるものですか?男の人は心の中に敵を作って勝手に刺しちがって逝ってしまう。」と話すおじょうさんの言葉が沁みる。そうして、おじょうさんは「私」に呟く・・「憶えていてくださいね、先生の事。憶えているうちはこの世から消えないって言うでしょ。・・・だから、生きなくちゃ。」

美しく繊細で聡明な舞台でした。終演には鐘の音が響き、更に幻想的でした。素晴らしいです!大絶賛!(^0^)

夢の痕 ~三途の川の桃から生まれし者どもよ~

夢の痕 ~三途の川の桃から生まれし者どもよ~

劇団ING進行形

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2009/06/05 (金) ~ 2009/06/07 (日)公演終了

満足度★★

今回は申し訳ないけれど・・
ケルト音楽が好きなので、ケルト神話にも興味を持って読んでるから、アヴァロン(伝説の島)は知っていた。だからか・・・幻想的な霧に包まれたアヴァロン島を舞台に?と期待は大きかったのだが・・。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

アヴァロン島独特の舞台セットは愚か、その情景さえも空想できない舞台セット。そして演出。今回は本当に申し訳ないが、ダメ出しさせて頂く。
本来なら、もっと早くUP出来たが、客入りに影響するといけないと思い、気を遣って公演後にUPした形をとった。
なので劇団関係者の皆様には、ワタクシはUPする時期も配慮して書いた。ということをご了承願いたい。

物語は桃太郎伝説を利用して放火し村長を殺してしまった盗賊を桃太郎が制裁する。やがて桃太郎の父親は鬼で、当時の村の娘をさらって孕ませて出来た子が桃太郎、という筋。だから桃太郎自身もやがては鬼になると言う連鎖の宿命を持つ。というお話だが、黄泉の国から来ているナナシの演技がイマイチ。
極めつけは、ってか、もうどーにもこーにもならないほど主役の桃太郎の演技は最悪。自分自身が役になりきってないのだろうね。表情にはにかみが見えちゃうのは痛い。そんでもって噛む、噛む、噛む、噛む・・・、ガムでも噛んでるんじゃねーの?っつーくらい噛む。よって全体的にレベルが低下したと感じざるを得ない。
なんだろ?練習不足か?役者が青すぎるからか、物語に重厚感が見えない。

更に舞台が質素すぎて夢やロマンが感じられなかった舞台。なんと寝ている観客の多かったことか・・。ワタクシ自身、何度も出口を見ました。

困ったなぁ。。次回公演は大丈夫なんだろうか・・?




賭博師・梟 ―Fukuroh

賭博師・梟 ―Fukuroh

劇団俳小

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/06/03 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

すんごくおもろい!(^0^)
賭博師・梟 ―Fukurohのアニメ版のファンはたまらない筈!
本物の雀卓を見たのも初めてなら、そこに配置する賭博師たるものを見たのも初めて。
楽日だったのも効してか、役者の演技力に脱帽!
孔雀チームを観たのも良かった!(^0^)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

賭場「五稜郭」では、アイヌ出身の天才賭博師・フクロウを向かい撃つ為に日本一の博打打人が集められる。
ここで麻雀を知らない観客の為にだと思うが、劇中の記者役に賭博とは?賭ける技は?賭ける金額は?などのルールを丁寧に教えるナビ役がガミ(堀越健次)。
雀卓を囲んだ4人の賭博師たちがどんな風に1人を追い詰めていくのかも見もの。親一人が大枚を借金し、一方で他の三人の横に積み上げられていく大枚に唖然とし、一世一代の大勝負では、緊迫したシーンの連続で観ている観客もドキドキ・・ドキドキ・・。指を詰められるシーンでは後の女子が「ひっ!」と思わず叫ぶなど、1on1のサシ勝負!タイマンはってる気分!になっちゃってる。(^0^)

大きな借財をこさえた賭博師は妹をポンポンに売ろうとするし、はたまた自殺する賭博師もいるわ、博打のハリの大勝負をして心臓が破裂しちゃいそうになる賭博師がいるわで・・・、いあいあ、とにかく別世界というか、次元が違うというか、賭博師には賭博師のロマンがあるって事で納得して見入ってしまいました。

そんな賭博とポンポンの世界でもそれぞれの生い立ちに悲しい過去や育ち方が描写され「情け」を押し出します。みどりの愛やフクロウ(勝山了介)とラバ(斉藤真)の男気、そして女主人の金だけではない心意気などを見せつけ、終盤は命を賭けて勝ち取った6億円のフクロウの遺言は「6億はみどりに。」でした。
男と女の愛の形は時代と情景は変わっても、不器用な男たちが表現する愛情はやはり不器用でしかなかったのでした。


追伸:空調が寒すぎる。風邪引いたらどーしてくれんだい!(女主人風)
世界の終わり【公演終了!誠にありがとうございました。次回は11月予定!】

世界の終わり【公演終了!誠にありがとうございました。次回は11月予定!】

エレクトリック・モンキー・パレード

しもきた空間リバティ(東京都)

2009/06/05 (金) ~ 2009/06/07 (日)公演終了

満足度★★★

思っていた以上に楽しかった!
「世界の終わり」とは、生きる希望を失った場所、という意味らしいが今回の芝居は決して希望を失ったような終わり方ではなく、未来への希望が託されていた作品でした。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

廣瀬とあさみの部屋にあさみの友人、廣瀬の友人が集まってきて、その絡み方が楽しい。りさの発声がちょっと煩い。(^^;)たぶん、声がでかくて通るからだ(苦笑!)
ここでの物語は、廣瀬とあさみの部屋での出来事。ゆりの部屋での出来事。我孫子ちひろの部屋での出来事が描写される。廣瀬の友人の恋人がゆりだったり、あさみの友人がちひろだったりと3つの部屋のそれぞれの関係性が絶妙にリンクして伏線は繋がる。
ゆりは浮気性でダメ女の部類に入るのだろうが、案外ああいう子は多い。常に誰かが傍に居てくれないと寂しい。ってヤツだ!(^^;)
一方、ちひろはダメ男に暴力を受けながらも世話を焼いてしまう。このダメ男に貸金したのが廣瀬の友人の高岡(ヤクザ)。
登場人物が人物だけに芝居は飽きることなく観られる。しかも、中盤に登場するホームレスがこれまたおもろい!(^0^)

一見、ダメダメっぽい男女達だが決してダメダメではなく現代の抱えたニンゲンの構図かとも思う。そして彼らは廣瀬の死によって少ずつ生き方を変えていく。高岡は己の生き様を見つめなおしてヤクザから足を洗い、ゆりは元彼の安井と鞘に納まる。こうやって彼らはちょっとずつ大人になっていくんだよね。
大事な事は、自分の大切な人には言葉で自分の思いをきちんと伝えておこう!ということ。命は永遠じゃないのだから・・。

実験シリーズその1 『境界』 【追加公演決定】~これが最後のチャンスです~

実験シリーズその1 『境界』 【追加公演決定】~これが最後のチャンスです~

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2009/06/05 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★

ビール、焼酎、つまみにピッザ!(^0^)
今回の演劇は公演中に携帯電話OK,食事OK,飲み物OK,出入り自由、おしゃべりOKなんちって、好き放題OKなのだけれど、地下なので携帯は繋がりません。ビールや飲み物、つまみは劇団が用意してくれています。
だから、料金を払っても飲む方は元が取れます!(^0^)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


観客同士、おしゃべりしてもOKなんて触れ込みは、ワタクシにとって言語道断だったから、公演前に観客に釘は刺しときました。だから、観客は静かだった。まあ、15人という少人数だから、騒げないし椅子を動かして移動する人も居ない。やたら笑うご婦人がおりましたが、その方におしゃべりされたら痛いので、やんわりと「ワタクシ、芝居のセリフが聞こえないとストレスなんです。」なんちって釘!(^0^)打っときました!

境界をテーマに境界の手前と先を表現したコント劇。
どちらかというとブラックコント。
短編を「鏡」「罪と罰」「距離のとれない人々」「消防署民営化」「笑顔」「男と女」・・・など超えてはならない境界を演出する。
正気と狂気の世界。

今までの舞台とはカラーが違う。今までの舞台は狂気色が色濃かったが、今回は少し正気に近づいた。誰にでも受け入れられる芝居かと。。

少人数だけに観劇後のビールを飲みながらの和気藹々が嬉しく楽しい!(^0^)ピザは公演終盤に本物のピザ屋が届けにきます。これは演出?と思ったけれど、違う!(^^;)


二尻久作役の斉藤真の屈折したような笑いが楽しい!

苔の心音

苔の心音

あさかめ

C.A.Factory(東京都)

2009/06/03 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了

満足度★★★

破壊からそれぞれの生き方へ
現実逃避している人たちの物語。

ヒザイの壊れた演技力がお見事!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

ある姉妹の家で「話を聞く」のを商売にしているお話。ここに訪れる人たちは何処か壊れていて、姉妹の姉・ハルに料金を払って話をしにくる。過去の思い出だけを見つめて暮らすコバヤカワ。一見仲良さそうに見える夫婦・ハナとナラ。座れない椅子を作り続けるスズキ。ドアの外の新しい世界に行きたいと願うアクツ。姉妹の家の端っこに居る妖精。
彼らは幸せそうに見えるが現実はそうではなかった。現実を見ないようにして生きていた彼らは、ある日、ハルの妹・タキとナラ(ハナの夫)が不倫していたことがバレル。
言葉を話せなくなるほどショックを受けたハルの演技が壮絶だ。生のヒザイを観たのは初めてだが、素晴らしい演技力だった。
その後タキは自殺をして、今度はナラが壊れる。
現実を観らざるを得なくなった彼らはどんどん破壊していく。
「現実を見たら前に進めなくなる。だから、今までこころもち、少し上を見ながら歩いていたの。そうすれば嬉しい。楽しい。」と号泣するハナのセリフが切ない。
そうしてそれぞれがドアの外に出たり、自分の部屋に帰ったりしながら自分自身を見つめることになる。

物語は現実逃避していた人たちが現実を目の前にして、悟り、絶望的になるけれど、それでもやっぱり前に進む事しかできなくて傷つきながらも自分の生きる道を模索していく。という最後は希望も見え隠れする芝居でした。

個人的にはコバヤカワの「ワニの胃袋に入った話」や「木のアナに住む大きなリスの話」の童話の世界が好きだ。考えたら、これだけでもエンゲキになるんじゃないか、と思う。

この舞台は評価は割れます。割れる本なのです。
逃避、現実、破壊、絶望・・・だけれど、うんと哀しくて寂しい物語は時として滑稽でもあるだろうし、時としてささやかな幸福の光も放つかもしれない。



シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ

シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ

音楽座ミュージカル

赤坂ACTシアター(東京都)

2009/06/06 (土) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

ゲネを観ました!(^0^)
再演。ストーリーの筋の5分の4は説明に載ってるから、残りをネタばれBOXにて。

物語の半分は号泣!残りの半分がコメディ色強く楽しい。
音楽座の会員には同じ公演を何度も観るリピーターが多いと聞くが、頷ける。

ネタバレBOX

悠介は死んでしまったが、ラス星の宇宙調査隊員によって悠介の生命は復活する。そうして佳代と同じように仲間の生命素を保存させ、人生のやり直しの為に現代の佳代に会いに行くのだが宇宙船での一週間は地球の10年の時に等しく、二人の年齢に誤差が生じてしまう。そこでラス星の宇宙調査隊員は今度は佳代を宇宙船で一週間過ごさせ、つでに佳代の心の奥にある「過去の膿み」を綺麗に治療して地球に戻す。
地球での二人はやがて子供を授かり、お佳代の「平凡で幸せな家庭を築く」という夢は叶う。

二人はいつまでも「お佳代」「悠あんちゃん」と呼びながら仲睦まじく暮らし、やがて歳をとって同じ時間に死んで宇宙に飛び立つ。時空を超えてその愛は永遠に1000年も続く、という物語。

どんなに辛い過去があろうとも未来を信じれば幸せになれる。という軸はともすれば現代の脚本ではベタ中のベタかもしれない。
だけれど、これだけ感動し涙して最後には温かい気持ちになれるということは、私たち観る側の感動の度合いとか感覚は、昔とちっとも変わってないのかも知れない。
ソラ一杯の虹色のシャボン玉のシーンや美しいセット、ラス星の宇宙調査隊員のコミカルな動き、コメディ満載のセリフ、佳代のチャキチャキの関西弁、悠介と佳代の純愛、それらが見事に融合し、観客を魅了する。

純愛・・・だから人生は美しい。

押入れのちよ

押入れのちよ

神道寺こしお商店街

「劇」小劇場(東京都)

2009/06/04 (木) ~ 2009/06/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

カチューシャの歌
連日満員御礼だそうで、当日券のお客様をお断りしている状態!
だから、予約して観に行くべし。
それでも2階席に客入れしないのは何故か??
混んでる時は、2階に続く階段も客席にした劇団があったけれど・・。
なんだか、当日券を断られたお客様が気の毒で・・。

舞台は上質なユーモアのあるセリフに笑い、心温まる物語とちょっぴり切ない物悲しい情景にヤラレル!
ホラーではない。コメディ色の強い優しい物語だ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

リストラ同然で会社を辞めた恵太は36000円の超格安マンションに引っ越した。そしてその部屋の押入れの中に、市松人形のような明治39年生まれの14歳のちよ(幽霊)が住んでいたと言うお話。
この幽霊がちっとも恐くない。最初、びびっていた恵太はちよが人相を見られると知ってから就活先の多数の社長の人物を尋ねながら、何となく仲良くなっていく。
ちよはちよの両親が死んでから親戚に財産を取られ売り飛ばされた挙句、カラゆきさんとなって、その後マラリアにかかって死んだという過去を持つ。

14年生きてきて何か楽しかった事があったか?と恵太に聞かれ、その答えが切ない。ちよの悲運な運命を聞き、恵太は己の傲慢さに気づき、恵太自身も人として変わっていく。

ここに住んでいる301号と303号の住人のキャラも楽しいし山下千代も愉快だったし、その上、霊媒師にはすんごく笑える!(^0^)
ちよが歌う「カチューシャの歌」に懐かしさと哀しさを漂わせキャストの演技力で魅せる!

セットの作りこみも上手いなぁ。。ひじょうに質の高い舞台でした。
お勧め!(^0^)


ガラスの家族

ガラスの家族

劇団朋友

俳優座劇場(東京都)

2009/06/04 (木) ~ 2009/06/10 (水)公演終了

満足度★★★★★

本当の家族を手に入れるまで。
「海は知っている」のキャサリン・パターソンの作品だけあって、存分に他人を愛する、という言葉がそこここに散りばめられてバイブルのように刷り込まれていきます。
アメリカンポップな音楽や描写、ダンスも楽しく、舞台セットも展開の仕方が上手い。

ギリーが人間らしい心を取り戻していく過程には感動と涙があり、終盤は泣ける。愛すると言うこと。これが全てです。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

父親は行方不明。4歳のときから母親と離れ、里親の家をたらいまわしにされ、子供心に「人間は強くならなければいけない。弱さをみせると他人につけこまれる。」と信じて疑わなかった主人公ギリー。そんなギリーが5人目の里親メイム・トロッターの家にやってくる。トロッターの家には里子でいじめられっこのウィリアムが居た。
大らかで他人にも見返りのない深い愛情を持って接するトロッターに触れているうちにギリーは、本当の家族とは?血の繋がりだけではない。という真理を理解していく。

トロッター役の池田幸代がひじょうに素敵です。「アメリカのお袋さん」のイメージそのまんまで、「ああ、こんなお母さんに育てられたらどんな子も素直で良い子に育つのだろうなぁ。」と印象付ける。ギリーが盗みをした時や、友達との喧嘩のシーンなどに、ギリーを心底庇ってやる姿勢。と同時に厳しく諭す姿勢。愛する気持ちを優しい思いやりを行動に移すという姿勢。大きな危機にはみんなで力を合わせて乗り越えると言う事。自分が愛されたいと思うなら、自分から相手をただ愛せばいい、という言葉。

トロッターのセリフや行動が屈折したギリーの心に呪文のように沁み込み、やがて氷解していくのです。物語はベタで解り易く、再演再演を重ねて沢山の劇団が公演を打ってきましたが、やはり名作は感動するのです。

キャストも充分に実力があります。決してじめじめしないポップで楽しい舞台です。お勧め!(^0^)



ひみつの庭園

ひみつの庭園

劇団24区

早稲田大学学生会館(東京都)

2009/05/29 (金) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★

物語はひじょうに素晴らしい。
じゃあ、何が問題かっていうと、役者の吐くセリフが単調で覇気がない。
ずっと同じ調子で耳にまとわり付くものだから、なんだか眠くなる。
でもって、これまたキャストの演技力がもう一つ。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

ある作家が未知という少女のおとぎ話を書いた物語。
作家は物語の中ではナビ役として登場する。未知は「ひみつの庭園」のあるおばあちゃんの家に遊びに来るのが好きだった。おばあちゃんの家は沢山の本があり、そこでいっとき遊ぶと「ひみつの庭園」に入り込んでおばあちゃんが若かった頃の物語が観られるからだ。「ひみつの庭園」とは未知が作った妄想であり、未知は現実と妄想を行ったり来たりするのだが、未知自体が作家の小説の中の何かを探してる少女という設定。

「ひみつの庭園」では作家の母親の恋・その人をあまりにも好きすぎて閉じ込めて何処にも行けなくしてしまった話や、結婚の話、ママに会えない迷子の話、庭園にまつわる話が繰り広げられて恐いけれど面白い。ストーリーの流れの中で随所に「ムーンリバー」の曲が囁くように流れるのも美しい。・・が、やっぱりキャストが同曲を歌うシーンは、頂けない。もっと練習して欲しい。

やがて作家の元に妻が赤ちゃんを抱いて戻ってくる。このシーンで終わる。そうしてこの赤ちゃんの名前が未知なのだ。

物語としては「不思議の国のアリス」をもじって更に恐さというスパイスを加えたような少しだけ静かな恐怖のあるストーリー。実に素敵だと思う。
この物語を存分に魅せる事が出来るキャストが欲しいところ。

そう、次回の為にも役者をしごいて!(^0^)



長くて短い秘密の話

長くて短い秘密の話

ハードレインオープンカフェ

TACCS1179(東京都)

2009/05/29 (金) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

とてつもなく素晴らしく、そして深い演劇でした
いあいあ、完璧ですね。まず、役者から吐き出されるセリフのセンスがいい。日本的ではない欧米の独特のジョークやテンポのいい絡み。そして仰け反るほど素晴らしかったのは、キャストの逸脱した演技力にあります。
初見の劇団だったけれど、まだまだ発掘するとあるんですね~、こういう劇団が!
すんごく大満足!ひっさしぶりに内容の濃い見事な演技に全員を抱きしめたかったほど!(^0^)

4篇のオムニバス。舞台セットもいい。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

『ともだちのち』
15年前の作品の再演との事。バスの待合ベンチでの会話劇。一見、友達のような3人だが、不良の安部が真面目そうな鈴木のわき腹をナイフで刺した。そんなことになったのは、安部がナイフを出して見ていたら、安部の子分のような伊達が鈴木にぶつかって反射的にナイフが鈴木に刺さってしまった。という言い訳をする。苦しんでいる鈴木に「鈴木君、やヴぁいよー、バンソウコ、貼っておいたほうがいいんじゃないのー。」なんて、阿部は能天気に苛め抜く。苛めながら、自分達は友達なんだから・・。と講釈して巧みに責任回避する。不良二人が発する言葉のバカさ加減が面白い。安部の卑怯さ、伊達のズルさ、鈴木の弱さを表現し、いじめを題材にした不条理劇。

『アリサよりよろしく』
テネシー・ウイリアムズ作「Hello from Bertha」の80年前のアメリカを現代の日本の新宿歌舞伎町に置き換えた物語。
一軒の風俗店で働いていた風俗嬢のアリサは病気の為、ベッドに居た。その情景は精神的な病らしい。一文ナシのアリサの今後に困った店主は昔の馴染み客の安岡譲二に助けを求めるようにアリサに進言するも、アリサはそれを拒否する。今でも安岡の事が好きなアリサは「アリサから譲二へ。よろしく。」とだけ伝えて、と手紙を書いてくれるように頼む。考え悩んだ挙句、大好きな安岡には迷惑をかけられないと一途に想いを寄せるアリサの純情を描いた作品。大塚悦子の迫真の演技は見もの!

・・・・・・お客さんと一緒に遊ぼうコーナー・・・・
ここでイメージで遊ぼうコーナーが設けられ主宰が司会をしてカラーマスター遊びをする。劇の合間にこうやって観客と一緒に遊ぶという劇団は初めてでした。観客によっては「うざいなぁ。」と感じるかもしれない。それは観客と舞台の境界を取り払うかのような感覚で、ズンズンと観客の懐まで入ってくるんだよね。少しでもエンゲキというものに対して観客に理解して貰いたい!みたいな気負いが感じられて、その気迫にヤラレル!(苦笑!)

『アクロス・ザ・ユニバース』
再演。盲目のふりをしたシンガーが他人を騙しながら小銭を稼ぎなんとか生活していたが、ある日精神病院を 追い出された女に出会う。女は桃源郷を夢見て「生まれた街に帰りたい」と話す。シンガーは「この街の奴らはみんな、イカレテル。仕事以外は何にもねえ。」と、吐き捨て自分の置かれている現状を嘆く。自由を渇望する男と女の二人芝居。

『個人面談』
面接官「本当に生きたいですか?」
審査にかけられてる男はこの質問に対して「はい。生きたいです。っつーか、すごく生きたいです。」
面接官「どうして生きたいのですか?」
「なんつーか、どうしても生きなきゃいけない!みたいな?っつーか、生きてみたいんです。」男は曖昧なぼんやりとした主張しかできない。
面接官「貴方は前回、出かけられる前にも同じ事を言い残したのですよ。そうしてその前と同じように自殺してここに来たのです。」
「今度はちゃんと真面目にやるから・・・、出世とかお金とか名誉とか、多くは望まないから・・、ちょっと空をみたり、花をみたり、人と話して、少し笑えたら、それでいいんです。」
面接官「解りました。それでは、良い旅を。」

死んでる男が下界に戻るにあたっての個人面談!


4篇、どれも内容の濃いひじょうに素晴らしい舞台でした。そこに息づく現実と不条理を織り交ぜながら、人間の悲しさ、哀れさ、切なさを訴え、そうして最後は多くを望まない事が幸せに近づく一歩だということをさりげなく響かせるのです。時には重厚に時には軽口で。素敵な舞台を観ました。
ハナウタ日和

ハナウタ日和

IOH

シアター711(東京都)

2009/05/27 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了

満足度★★★

復活公演
だったから、それなりに期待していたけれど、コメディとしては弱い。
ってかセリフで笑わせてない。
人情劇としても弱い。家族のお話。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

中牟田家では母親が失踪してから10年の時が経つ。
日曜日、今や家事を担っているのが次男の光雄。長男や末っ子の沙希、父親はいつまでもパジャマ姿でだるだるの光景から始まる。そこに沙希の結婚話が持ち上がりそれを邪魔しようと父親と、沙希を前から好きだった従業員の隆が協力する。
舞台はゆるゆると半ばだるさの香りがする景色に突然、失踪した母親が戻って来る。子供たちは自分を見捨てて失踪した母親に反感を感じながらも許したいと揺れる心理が切ない。一方で母親の失踪した原因が元夫にあったのだが、それらの物語性も弱い。母親役の名和利志子のセリフ噛みが目立って劇に集中できない。
母親と沙希の婚約者との絡みや子供たちとの絡みは涙を誘うが、物語に確かな軸がない為、無理に収束してしまう感が強い。
10年ぶりの母と子の再会ってあんなに淡白なのだろうか?
10年のブランクの重みが感じられない。また父親の恋人からの電話も放りっ放しでその後の展開の説明もない。

コメディ色弱い。物語性弱い。脚本自体が弱い。見応えがあったのはキャストの強いキャラだろうか・・。
その受話器はロバの耳

その受話器はロバの耳

劇団青年座

本多劇場(東京都)

2009/05/23 (土) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★

お客様相談室がテレクラ?
パラダイスなリゾート気分での~んびり仕事をしていた社員が社のヒット商品「なきまめちゃん」の苦情の電話から巻き起こる騒動劇。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

なきまめちゃんに有害物質が含まれていた事から、お客様相談室は苦情の電話の嵐となる。それに対応していた社員は社の体制を不満に思い、人間関係がギクシャクしてしまう。
新たに室長として任命された稲本は不倫相手の部下・後藤を伴って入島し、挙句に既に相談室で働いていた同期の新見とも関係をもってしまう。相談室とは名ばかりで社員はテレクラのように社の電話を利用して男と会っていた事がばれてしまう。
何もない島で起こったコメディ。既婚者の室長は2人と不倫するし、現地採用の既婚女性社員はここの電話で男を作りやはり不倫している。もう一人の独身女性社員はかかってきた電話をきっかけに色んな男に会いまくる。
なんじゃーこりゃー!!の世界!

それでもコメディ色が濃いなら楽しめるが、それ程笑える箇所はない。
まあ、ゆるゆるとのんびり観られる芝居だが、そこにはドキドキ、ワクワク、泣き笑いはない。

物語としては弱い。

港町十三番地・立棺

港町十三番地・立棺

劇団芝居屋

ザ・ポケット(東京都)

2009/05/26 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★

ベタな人情劇
物語の半分は説明文通り!(^^;)
後半はどんな展開にするかによってこういった芝居は大きく変わると思う。

歓楽街で生きた一人の女の物語。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

伝説の高級クラブ「若松」のママ(芳子)は出が芸者で母の代からの「おい松」の再建の為に頑張ってきたが「若松」を閉店せざるを得なくなった。市長選に立候補する昔なじみの客二人とは芸者時代の恋仲だった事から、どちらか一方の応援に付かざるをえない状況を嫌い、店をたたむ決心をし生前葬という形で、自分を葬る事だった。
一方で芳子は母との約束だった「おい松再建」の誓いを守れなかったのも、いつまでも自身を責める原因だった。そんな心理の中、人生の残された時間は自分自身の為に使いたい、と考えるようになり、そして母の介護を充分に看られなかった償いの為にも、今、介護を必要としている人達の介護をしたいと考え、実行に移す。という筋。

かつて、芸者だった芳子をめぐっての3人の男たちの友情やその後の男たち。下町情緒溢れる人情劇も存分に見せ付ける。物語自体は特に斬新な展開はなく予想通りの展開だがドラマで見るような王道的芝居と言える。
しかし、この芝居が若い観劇者に受け入れられるか・・、というと、そうではない。
今や小劇団は怒涛の勢いで疾走しているからだ。その疾走の仕方は一般観客である私たちが目を見張るものがある。若いエネルギーを注ぎながら一ひねりも二捻りも加速しながら疾走している。

だからこそ、王道たる芝居に一ひねり加えて欲しかったのだ。



新・五月晴れの青い空

新・五月晴れの青い空

劇団 浪漫狂

俳優座劇場(東京都)

2009/05/27 (水) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★

なんだかなー。
笑いのソースがちょっと古い。中村隆天が独壇場で一生懸命に笑いを取ろうと努力はしてるのだけれど、そのネタが古のネタ。
会場のシーン・・。状態にむしろ同情するほど。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

ヤクザ同士のちっさな抗争劇に図らずも巻き込まれた修司(中村隆天)は親分の子供を身ごもって捨てられたオンナに恋をして、そのオンナの為に命を懸けるも、修司は兄貴の機転で命は助かる。修司のどこまでも一途な恋心にやがて絆されたオンナは修司が刑務所から出てくるまで待つ、という心温まる物語。
終盤、ホロリとさせられたが、舞台が広い割にこじんまりとした芝居で空間が目立つ。もっと小さな箱で上演したなら違ってたかも。笑いのソースはどちらかというと体力勝負というか、身体表現でセリフでの勝負ではない。テンポもゆっくりでスピード感もないところはコメディとしては好みではなかった。


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