苔の心音 公演情報 あさかめ「苔の心音」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    破壊からそれぞれの生き方へ
    現実逃避している人たちの物語。

    ヒザイの壊れた演技力がお見事!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    ある姉妹の家で「話を聞く」のを商売にしているお話。ここに訪れる人たちは何処か壊れていて、姉妹の姉・ハルに料金を払って話をしにくる。過去の思い出だけを見つめて暮らすコバヤカワ。一見仲良さそうに見える夫婦・ハナとナラ。座れない椅子を作り続けるスズキ。ドアの外の新しい世界に行きたいと願うアクツ。姉妹の家の端っこに居る妖精。
    彼らは幸せそうに見えるが現実はそうではなかった。現実を見ないようにして生きていた彼らは、ある日、ハルの妹・タキとナラ(ハナの夫)が不倫していたことがバレル。
    言葉を話せなくなるほどショックを受けたハルの演技が壮絶だ。生のヒザイを観たのは初めてだが、素晴らしい演技力だった。
    その後タキは自殺をして、今度はナラが壊れる。
    現実を観らざるを得なくなった彼らはどんどん破壊していく。
    「現実を見たら前に進めなくなる。だから、今までこころもち、少し上を見ながら歩いていたの。そうすれば嬉しい。楽しい。」と号泣するハナのセリフが切ない。
    そうしてそれぞれがドアの外に出たり、自分の部屋に帰ったりしながら自分自身を見つめることになる。

    物語は現実逃避していた人たちが現実を目の前にして、悟り、絶望的になるけれど、それでもやっぱり前に進む事しかできなくて傷つきながらも自分の生きる道を模索していく。という最後は希望も見え隠れする芝居でした。

    個人的にはコバヤカワの「ワニの胃袋に入った話」や「木のアナに住む大きなリスの話」の童話の世界が好きだ。考えたら、これだけでもエンゲキになるんじゃないか、と思う。

    この舞台は評価は割れます。割れる本なのです。
    逃避、現実、破壊、絶望・・・だけれど、うんと哀しくて寂しい物語は時として滑稽でもあるだろうし、時としてささやかな幸福の光も放つかもしれない。



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    2009/06/07 11:27

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  • でしょう?ワタクシ、商売にしたいくらいですわ!(^0^)
    そもそも料金を払ってまで話を聞いて欲しい。って方は壊れてるのよ。

    ん。現実を見たくない人たちが現実を知った時のショックですね。
    ん。どんなに破壊力があっても最後に希望が一つでもあったならばワタクシ達観劇者は、なんとなくホッと、するでしょう?このホッと、がないと帰りは悶々としちゃうもんね♪

    2009/06/08 11:49

    「話を聞く」のを商売にしている、というのが、そもそも面白いですね・。

    出て来る登場人物がそれぞれ壊れてるってのも・・。

    どこか非日常、空想っぽい作品世界なのかと思って読んでいたら、不倫にショック受けて、みたいな現実的なシーンもあるようですし・・。

    非日常、現実逃避、とくれば、やはり明るい陽射しも欲しいですね・・。

    という点からも、最後は希望も見え隠れするお芝居というのは救いかも・・。

    なんか通り一遍じゃないこういう作品の方が、演劇としての深みは感じるのかも知れないですね・・。

    2009/06/07 23:56

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