満足度★★★★
ゆるゆると貢がれる時
説明では内発的不条理(老いの自覚、情緒の不安定、等の)との事だったけれど、日常のささやかな夕餉の風景を描写したものだと感じた。そこには長い年月をかけて構築された老夫婦の幸せの時なのだと・・。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
食卓での老夫婦の会話が主。その内容はなんら取り留めのないものだ。瓶詰めのウニの蓋が空かなかったり、一度持っていった箸を忘れてしまったり、ご飯粒を落としたかどうか・・、ご飯を何杯お替りしたか・・などなど。そして時折、夫婦の知り合いの噂話が話題になる。
夫は、若くして社長になったけれど死んでしまった山田さんを例に挙げ、「社長になっても死んじゃったら終わりだよ。幸せってものはそんなもんじゃないよ。」と課長にもなれなかったけれど長生きしている自分の人生と比較して、幸せの価値観を確かめる。
一方で、妻は「そうですよ。だって、私達、しあわせでした・・・。」とつぶやく。
子供が出来なかった老夫婦の会話は、どう人生を生きてきたか、どう夫婦の関係を貢いできたが伺われ、若い夫婦のような濃密な空間はないけれど、同じ時を過ごしてきた温もりは確かにあって、心地よい距離感をも二人の間で確立してるように感じた。
優しげで温かみがあって日向でうずくまる猫を思い起こされる。老夫婦ってこのくらいの年齢になると、「貴方だけ、君だけ」みたいな世界にもなるのかな?とも思う。自分の生きてる空間に相手しか居ないという背景がそうせざるを得ないとも考える。だから・・・、本当の夫婦とは年齢を経てから本物になるのかと・・・最近つくづく思うのだ。
大きなうねりも壮絶なクライマックスもそこにはないが、確実に自分の人生を生きてきた夫婦の幸せがそこにあって、たぶん、幸せってのはこんな日常なんだろうな。と思わせる舞台。
観劇後、いつものように飲み会が催される。「元祖演劇乃素いき座 」の毎回の恒例だ。公演中は毎日、飲み会がある。お好きな方は次回飲み会に参加されると楽しいよん♪
満足度★★★
コメディというよりもドタバタ劇
高校の職員室が舞台。万馬券をめぐっての争いを延々と演じてる訳よね。まあ、面白いって言えば面白いのだろうけれど、ちょっと長く感じて最後はなんだかヒク。
以下はねたばれBOXにて。。
ネタバレBOX
序盤からだるだるの職員室の風景。どれも先生らしからぬ「私たちテキトーに生きてますねん。」といった輩。そんなひとくせもふたくせもありそうな教師の生徒はこれまた、ふた癖もある。教師らは生徒の持ち物検査をして没収した中の馬券が万馬券だったから、さあ大変!
同僚を騙してなんとか自分の手中に馬券を収めたい教師と、馬券はそっちのけで異次元の世界に入り込んでるウザい安田先生。そしてこの中では一番まともっぽい天然の北村先生らが織りなすドタバタ劇。好みとしては前半までは良かったのだ。しかし後半にかかった頃から、少々物語全体がウザく感じる。女子高校生の後藤が父親に似せてつけひげならぬ付けテープの場面から完全にヒク。ドンビキ。後藤を追い回す金子のウザさ。松永先生のミュージカル風味の歌のウザさ。こうなってくると、ウザい!と言われてる安田が普通に見えてくるのだから、相当なウザさでもって場面は流れていくわけだ。
で、結局薬局、万馬券を未成年が触ると爆発するとサギられた金子は後藤の為に破ってしまうのだが、その収束の仕方も無理無理に終わらせた感が強い。コメディなんだから笑えりゃあいいじゃん!なんて思うのだけれど、その笑いの質はただのドタバタにすぎないように感じたのだ。キャストうんぬんよりも本がイマイチ。まあ、好みの問題です。
満足度★★★★★
大絶賛!
とにかく素晴らしい!中学2年生の頃の男子3人と大人になった彼らの今を描写した作品だったが、序盤、コミカルに楽しく笑いを取りながら進める。誰もが懐かしむ楽しかったあの頃。そして現在の彼ら。物語はノスタルジックに時折、郷愁を交えながら当時の不安定さや現在の繊細な部分も引き出す。序盤の笑から一気に終盤に向かい観客の涙を誘う描写が実にお見事!
とても好みの作風だった。完全にやられた感あり。もし、出来る事なら沢山の人に観てもらいたいと切に感じた。そのくらい、希望をも与えてくれる作品!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
中2の前やん、丸くん、はまちはいつもツルンデ遊び、その遊びは妄想ストーリーだった。つまりは「考える」こと。
妄想するってことはよくやると思う。自分が架空のヒーローになったり、キャッツアイみたいな美しいドロボーになったり、はたまた、007のような大泥棒になったりと・・・。ってか結局、ドロボーかい!なんて突っ込みを自分で入れながら、うんうん(・・)(。。)(・・)(。。)、あるある!なんて共感する訳だ。この時点で。
彼らは日常の他愛もない、例えば部活での活躍ぶりや好きな女子から愛の告白を受けるという、そんな誰でもが考える妄想で遊ぶ楽しさを満喫していた。この場面での3人のキャラクターがいい。そうしてかつての自分たちがあんな風に馬鹿げた毎日を生きて、だけれど、そのくだらなさが、大人になってどんなに大切で美しい日々だったかを思い出す。前やんの母のキャラクターもサイコーだった。おちんちん発言の連発に相当笑ったし、とにかくコミカル。更に、はまちを好きな同級生の近藤が面白い。アニメ的でいい仕事をしてた。彼女に吐かせるセリフも楽しいし、効果音も絶妙だった。そうして、こんな中学生の日常が羨ましかったりもする。
しかしそんな輝かしい日々が突如として切断されることになる。
はまちは前やんに「自殺ノート」を渡して自殺してしまう。思春期の危うさだ。この時点から、前やんとはまちの家族の事情が浮き彫りになってくる。そうして前やんの生き方にも変化がきたし、漠然と持っていた夢にも破れ、人生計画が崩れてしまう。そして前やんは自分の人生を保留にしてしまう。死んだように生きる前やんは死のうと思い、はまちが飛び降りた屋上に行ってみる。そこで美弥子(はまちの姉)に偶然出会い、いわば美弥子に助けられるようにして生きてきた。
職も持たず、だらだらと屍のように生きてた前やんはまた数年後、自殺を考える。どうやら自殺したはまちの思いを引きずっていて、30歳で終わっていたはまちの「自殺ノート」には、死ぬことがカッコイイ。みたいに書かれてあった。少年のささくれ立った心や子供のプライオリティーなどを書き込んだそのノートはいつしか前やんの中で大きく膨れ上がり、自分の役割とか、満たされない心とか、本来の生き方と違うと本能が感じながらも、生きると死ぬの間を感情がぶれまくる。その揺れ方が実態のない悪の想念の沸点に到達してしまうと、「死のう。」と考えてしまう。
しかし、家族や友人たちは自分たちの目の前で前やんが自殺する光景を観るほど恐ろしいものはない。目の裏が焼かれるような想いで誰もが説得するも、前やんの自殺に便乗した美弥子共々、この説得に耳を貸さない。そんな折、丸くんが「ひとまず死ぬのを止めろ。どうしてお前らは継続力がないんだ。ひとまず、ひとまず・・・って、ひとまずを死ぬまで続けるだけだろ。それで合間合間にいい感じの事を考えるんだ。それをサボるから、そんなことになるんだろ?」
これによってひとまず死ぬのを止めた前やん。そうしてはまちの亡霊は「死んでもったいない事をした。」と前やんを励ます。それから、あの時と同じように34歳になった前やんは相変わらず丸くんとじゃれまわる。
生と死の揺れる感情を題材にした物語だったが、舞台は決して暗くはない。始終笑いを誘い全体的にコミカルに仕上げているからだ。それでも終盤に観客を泣かせるところは流石だと感じた。舞台におけるテクニックは秀逸でぬいぐるみの猫をキャストに触らせる場面では癒し効果もある。それぞれのキャストは演技力でも魅せたが、松竹芸能のみょーちゃんの演技がイマイチ。
それでも大野、道井、尾形の演技力に心底惚れ直して、近藤といとうの頑張りに拍手を贈りたい。
満足度★★★★
立場によって
どんな場面でもそうだが各々が所属している団体、あるいは地方、政府、国の使い方によって偵察機にも殺戮兵器にもなるという技術開発者の苦悩と葛藤を描いた作品。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
いつの世も、科学者は常にこういった葛藤を抱え苦しんでいるような気がする。例えば原爆は作った本人が、投爆した後の地獄絵図のような悲惨な結果に一番驚いて恐怖を感じた。というのだから彼はコレを自分の十字架として永遠に抱えていく事になるのだ。
政府プロジェクトの一員となった航空技術エンジニアのネッドは軍事テクノロジーを軍と開発して完成させた。それは無人航空機、つまり偵察機だったが、一方で兵器にもなり山ほど民衆を殺す事にもなる。これを知ったダン(ネッドの兄)はネッドの仕事を危惧する。そのような悪魔の道具を作っているネッドにその開発から手を引くように説得するも、ネッドは既に自分の開発した兵器が商品として取引される事を知る。
政府は巨大な金を産むマーケットを視野に動き出していた。こうなると一介の航空技術エンジニアに力はない。ネッドは技術開発の所有権を主張するも、あっけなく覆され更にこれに対してあまりにも抵抗すると「クビ」を言い渡される。自分の立場が日に日に悪化していく事を知ったネッドは最後の手段として自分のプログラムを破壊し失踪してしまう。
これを知った交渉役のロス、そしてブルックスは非情なまでの精神的圧力をダンとネッドにかける。この場面のダンとネッドの恐怖とダメージの表情が見もの。特にブルックスがダンにかける精神的拷問の例は無視や無言の直視虚無感、音の拷問、家族へのほのめかし・・など耐え難いものだった。そしてダンはネッドの所在を遂に白状してしまう。今度はネッドがブルックスに追い詰められる番だ。
結果、ネッドはプログラム再生の暗号を白状してしまう。そうして政府にとってもう付加価値のない人となったネッドは妄想と悪夢を見る毎日となり、廃人同様な世界の住人となる。
ネッドの葛藤、ブルックスが見せる他者への精神的な支配力、ロスの交渉のテーブルへの引きずり方、ダンの思いが絶妙に加味され震えるような舞台だった。勿論キャストの演技力は絶妙だったけれど、物語自体があまりにも鬱というか闇というか・・、まあ、闇な舞台は嫌いじゃあないのだけれど、なんとなく後味の悪い舞台だった。
満足度★★★★
蟻の大群!
ここでのリーマンが働くビルは普通のビルではない。おそらく高さという概念もない。それでも空虚すら感じるその壮大なビルは天空のもっと上のオゾン層までも届いている感覚のある高さだ。だから300万階のビルの窓からは雲が下に見え、雨は降らない。笑
要するにアニメ的な描写の世界。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
オープニングが楽しい。そして同じような風景で幕を下げるのは、昨日と同じような仕事をして、今日と同じような仕事をするであろう明日のリーマンの習性のようだった。
キャストはリーマンらしくない。リーマンらしかったのは板倉チヒロといしおくらいだ。まあ、トーゼンと言えば当然だ。彼らは現実にリーマンなんてやったことないだろうから・・。これらのリーマンが働く企業の本社はは300万年の歴史を持ち60億の支店を抱え、これまた30万階の巨大な超高層ビルだ。つまりは地球規模の企業だが、エレベーターの階が2010年3月16階とか2018年3月17階などと表示してあって、過去にも未来にも行けるドコデモドアー!!みたいな状況だ。
そんなビルの中で働くリーマンはまるで蟻のような存在に見える。社内広報課やら食品流通部やら総務やらで社員は働き、何処の会社でもある似たような人間関係を構築している。新入社員はあまりにも広すぎるビルの中で右往左往し、あたふたとしてしまう。気づくと何も仕事をしていなかったように思え、はたまた、本当に仕事をしない窓際族も居る。会社を不満に思う中堅ドコロの社員は退職し、それでも会社が困ることはない。かつての同士は今日と同じように何も変わることなく明日も働く。同じ道筋を決して逸れない蟻のように・・。
物語が反転する度にキャストらも反転する。この区切りは会社で働く人間の感情にも思えて可笑しくもあった。ただ、この反転が舞台上で最後までずっと続く。だから、少々飽きる。序盤は引き込まれて終盤に飽きるパターンだ。
これらは自らの意思で動いてないリーマンが軌道を逸れないように頑張っているようで哀れにも思えるが、ちょっと考え方を変えれば楽なのだとも思う。言われた事をそこそこコナシ、必要以上に成績を上げることはしない。テキトーに働けば良いだけだ。これが長く勤めるコツだ!なんつってリーマンを見下げてしまう事もあるが、実はワタクシもレッキとしたリーマンなのだった。
まあ、蟻も大群になれば世界を滅ぼす機動力になるのかもしれない。
頑張ろう!リーマン!世界は我々が動かしてるーーー!!!
満足度★★★
白組を観た!
情報が全くない中、いったいどんな劇なんだろか?と不安だったが、終わってみればコメディ。店長が「おぼっちゃまくん」みたいなナリで羞恥的な腹を出しちゃって、案外バカバカしい。要するにアホなのだ。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
この劇団って毎回、説明をUPしないけれど、観客のためを思うなら、少しは説明をしたほうがいいとは思う。観客だって好みの作風の好き嫌いがあるのだから、それが親切というものだ。かくゆうワタクシはコメディ大好きニンゲンだから、結果、観て楽しかったのだが・・。
とあるレンタルショップの事務所が舞台。この事務所がどうやらたまり場になってるようで、雑多な人が出入りする日常。そのうち、このショップを舞台にドキュメントを撮りたい、と言い出す女子。店長は最初反対だったが、女子が連れてきたぶりっこ白川を目当てに店長は許可をする。もうここからのシーンが殆ど撮影のためのヤラセなのだが、いかんせん、登場するキャラクターがどこにでも居そうな陣!笑
そのなかでも飛びぬけてアホ丸出しの店長!彼らのヤラセはやり過ぎという言葉を知らないかのように、パラダイスなのだった。このまま、このギャグかましながら突っ走るのだろうか?と思いきや、九米のシリアスな場面も展開する。正直言って、このシリアスさは必要なかったような気もする。折角コメディとして突っ走ってきた情景が九米の鬱な要素の投入で削ぎ取られてしまうような感覚になるからだ。だから宮部と久米のやりとりは一気にぬるま湯でも飲ませられたような気持ちになる。
だから、ワタクシ的には後半の失速より前半の疾走のほうが好きだ。それでもなんだかんだいって楽しめたのには違いない。
満足度★★★★★
怪物を見た思い
1969年の全共闘を生きた時代の若者と現代を生きる若者が交差する舞台。一見するとシリアスそうに見える物語に須藤というキャラクターを設定する事で癒しの効果を引き出す。誰でも須藤のようなキャラクターは嫌いじゃない。観てるだけでホッとするからだ。このキャラクターの味を存分に魅せつけ笑いの誘い水にする設定は流石。
そうして・・とにもかくにもストーリーが素晴らしいと本気で思う。このところ、全共闘を題材にした舞台は数多く観てきたが、ここには希望とロマンがあった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
楽のせいか、超満員!桟敷席もとことん前まで出してぎゅうぎゅうの会場。これはもう、酒井としては嬉しい限りでしょう。
物語は40年前の全共闘の学生3人と家出をしてきた現代の高校生ら3人が同じ部屋で鉢合わせする。しかし、どうも様子が変だ。現代の高校生らは全共闘3人に触れることが出来ない。この様子から、彼らは2009年の現代にこの部屋の室内で時間軸が混乱したかに考えた。40年間の時を越えて互いに見えるようになった設定だ。しかし、これは啓示上の存在だと悟る。つまり2009年に異なる時代が存在するという事からお互いの時代に干渉することは出来ない。
いあいあ、この感覚、ものすっごく楽しいでしょう?当然ながら、物語は40年前の彼らがどんな事を考え、どんな思想に基づいて行動したかも炙り出す。一方で現代の高校生、特にクールな姫岡は彼らに「妄想や理想に取りつかれて現実を見てない」と指摘する。「いつの世も人間が国を構築する以上、欠陥のない管理体制はないのだ」と、悟ったようなことをのたまう。しかし正論だとも思う。姫岡のキャラクターを通して作家の酒井は哲学的な言葉をも吐かせる。その頭脳にとことん驚き仰け反りシビレル。これは本当に高校生が作った本なのだろうかと・・。
確かに世の中には、あがいてもどーにもならない、仕方がない事がいくつもある。そして人々は悟る。しかし、酒井はどうやら、このあがくという行為を自ら実践してるようだ。その挑戦は苦しみなのだろうか?いあ、酒井だけではない。舞台演出家や、作家や、小劇団主宰らは、みんなあがいているのだ。昨日も、今も、これからも・・。
躁の時代があって鬱の時代がある。しかし人間というやつはいつの時代も似たようなことを繰り返すのだ。だから、この次には必ずと言っていいほど躁の時代が来るはずだ。
良い大学を出て良い会社に就職して、出来たら結婚して、そうやって少しずつ死んでいく。何も考えずに生きるか、行動の理念を掲げて打ちのめされるかのどちらかだ。「理想なんて持たない方がいい。現実に打ちのめされる・・。」とも姫岡に吐かせる。そんな現実的考えに「沈んでいく世界を救えるのは俺らだけなんだ。」と信じる全共闘のリーダー・薙乃のセリフが物悲しい。
お互い違った時代に生きた6人が終盤になって見せる友情は血の熱さを感じた。熱血な全共闘3人と現高校生の醒めた対比も面白い。この部分は「僕らの好きだった革命」と似てる風景だ。
全共闘らはこの時点でも民衆を動かせると信じていた情景も哀しい。なぜ民衆を動かせると信じていたのかもワタクシの時代にいわせると不思議で滑稽だ。それでも全共闘2人は自分たちの死んだ後の世界の現実を見なかったのはせめてもの救いかもしれない。まったくもって民衆は動かなかったのだから。
この物語には神様の啓示的な言葉が散りばめられており観終わった後に、「頑張ろう!」って生きる希望を見せてくれる。そういう気持ちになれる。
とりあえず今日一日を頑張ればいい。あまり先を考えると長いから。でね、今日一日頑張ったね。エライゾ!って自分を褒めてあげる。そして明日も頑張るぞ!って自分を認めれば何かが変わる。
そう・・、少しずつ頑張ろうね。少しずつ頑張って自分の人生を好きになろうねー♪
満足度★★★★★
玉手箱のようなミュージカル
とにかく本格的。だからこそミュージカル特有の歌がイマイチのキャストが目立つ。それでも内容は素晴らしく後半、泣けて感動した物語。
プーランの生きた時代を4人のキャストで配役したのは見応えもあって解り易かった。秀逸な作品!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
プーランの幼少の頃から国会議員になり、射殺されるまでの数奇な運命に翻弄された一生を描いたミュージカル。
虐待、暴行、集団レイプをされ人間として扱われなかったプーランを救ったのは盗賊ヴィクラムだった。かれはプーランを一人の女性として扱い愛し、そしてプーランの為に、盗賊団の女神的な立ち居地に押し上げる。プーランの心を浄化させる為、そして正義の為にと、彼女にいわれのない暴力やレイプをした輩の復讐を誓い実行する。民衆はいつの世でも権力と力と金にはひれ伏すものだ。プーランをかつて虐待した村人たちは昨日と一転してプーラン達盗賊に白旗を揚げることになる。
しかし、そんな経緯もつかの間、プーランを愛し守っていたヴィクラムはかつての投獄仲間のシュリラムによって殺されてしまう。残されたプーランは再び囚われの身となってビーマイ村の全ての男たちに代わる代わる襲われる。絶望に次ぐ絶望の連続だった。
それでもプーランは殺されたヴィクラムが残した言葉「ビーラム、ライフルを持て!」の言葉に促されるように再び立ち上がるのだった。そうして自ら盗賊団を作り、賊のリーダーとなる。やがてとある立会人を信用し投降するも、その約束は守られることなく11年もの間、入獄させられてしまう。
その後、女性の人権と地位確立の為に国会議員となって戦うも射殺されてしまう。
シリアスな物語だが、演出とキャストらの演技力で充分過ぎるほど魅せる!プーランがふと足元を見たときに、視界に入った踏み潰される蟻のさまを自分に例えて比喩する風景も切ない。 ヴィクラムとプーランが愛を囁くシーンは幻想的で美しい。このシーンが一番記憶に残り最も感動した場面だった。ここでのプーランは麗泉だったが彼女の歌唱力と演技力に脱帽し、更にヴィクラム役の伊藤謙吉も歌と実力で観客を魅了する。
そうして締めのプーラン役の島田洋子。実に素晴らしい女優だ。どのキャストも自分の役割を完璧に演じていた。終わってみれば感動の嵐だった。だからキャストらがはけた後も拍手は鳴り止まない。そうして再度、キャストらは舞台に登場し充分な拍手喝さいの中で満足そうに微笑むのだった。トーゼンのことながら、ワタクシも大満足。ものすっごくお勧めな舞台!
満足度★★★★★
とんでもなくアホ!(笑)
もう前作より遥かにレベルアップしちゃってる緩さ!なんだ、こいつら・・。笑
今、思いだしても可笑しいしオカシイ・・。
第一、キャッツかと思ったし!笑
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
とある田舎の郵便局に強盗が押し入る。しかし、この強盗というのがいかんせん恐くない。一人はキャッツ。一人は何がしたいんだかよくわからない。見たからにアニメキャラ的なこいつらに強盗は出来まい・・。と踏んだのもつかの間、オレノグラフィティ扮するまことが本物っぽく強盗に押し入る。
つまりアニメキャラ二人の強盗だった輩は、この時点で局長と職員らと同様、人質になってしまう。笑) しかもキャッツはさっきまでの元気いっぱいな気力から一気に脱力したカエルみたいなさま!まるで得体の知れない重力で押しつぶされちゃったようなナリ。
恐怖のあまり、おしっこをちびる局長や失神するキャッツ。そうして恐怖という言葉自体を知らないラーメン屋の翁!登場人物のキャラクターがいちいち可笑しいねんて!笑) 更に更に強盗まことだってそんなに怖くはない。そんなだから観客は「局に押し入った強盗」を観てる感覚ではない。「春日和に団子でも食べてる」ような感覚だ。
物語の序盤、局員のゆかが含み笑い(二ヤリ・・と)するシーンがあったが、終盤になって彼女がまことを動かし仕組んでいた強盗だったことが解る。結局薬局、用無しになったまことはゆかに殺され、世間からは犯人と汚名を着せられたまま、自害したという設定になってしまうが、ゆかは現金を段ボール箱に入れて実家に郵パックで送付する。というとんでもないサスペンスコメディ。
出演者全員のキャラ立てが絶妙!特にキャッツは良かった!それにしても・・・オレノグラフィティは前回「三日月に揺られて笑う」をザ・スズナリ で観たばかり。まだ10日しか経ってない。どんだけ出てんだっ。って話だよね。すんばらしい!
バカバカしくて緩い最高のコメディでした。
満足度★★★★
悲劇の音楽家
そんな印象が強いシューマンの物語だが、実際はそのシューマンの軌跡を同じように己に投影してしまった芦屋小太郎の物語。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
物語はシューマンの履歴と足跡を紹介し、クララとの恋やシューマンの作曲『幻想曲』、『クライスレリアーナ』、『詩人の恋』なども紹介する。ワタクシにとっては馴染みの曲だ。だからか・・・、生ピアノでの演奏が欲しいところ。
これらを題材にとある作家が物語を書きたいと考えていたところに、原田夏樹というレポーターが現れる。彼女はシューマンに関することを芦屋小太郎に取材していた。そしてこの芦屋こそがシューマンの生きた軌跡を同じように投影してしまう。芦屋の中では夏樹がクララだった。そうして自分こそがシューマンの生まれ変わりだと自負する芦屋。
作家は夏樹の取材した話を聞かせてもらう事で、小説を仕上げてしまうが、一方で芦屋家では小太郎がシューマンと同じように精神的に病んでしまう。そうしてセーヌ川ならぬ、多摩川に身を投げるのだ。芦屋の妻の芦屋を慕うセリフが身につまされる。
しかしだ、、、物語は真面目だけのものか?といったら、そうではない。社長率いる雑誌社の連中がかなりイッチャッテル。社長はもっとイッチャテル!コメディそのもの。イカレタ社長にイカレタ従業員がナイーブなシューマンの真逆の設定でコミカルに描く。だから、それなりに笑いどころはあって真面目だけれど、案外バカバカしいのだった!
満足度★★★
好みは割れるかと。
地球から月面都市に移住したい6人とこれに関わる3人の会話劇。正直申し上げて、誰にでも受け入れられる物語ではない。それぞれの心理描写が軸となって進むが、結局薬局、どうでもいいお話。ワタクシには軽すぎた。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
馴染みのキャストらはとても好きだ。しかし芝居の大半はやはり、本で決まる。と、思う。管理官が 「補欠がでたので、一名の代表者を選んでください。」と告知した時点から、移民候補者らの心の葛藤が始まる。1人を選ぶ為の全員の総意が得られなかったらこの話はなかったことに。なんて条件がついたものだから、ますます彼らは苦悩する事になる。
彼らの提案で一人を選出するのに消去法が用いられる。この消去法というのが案外、過酷だ。自分自身が落とされるなんて誰も想定していないからだ。だから、一番最初に落とされたカンバラは見苦しいほどに落胆する。しかし、他にもカンバラと同様に4人は落とされる運命だ。
最終的にコスギが選ばれるが、恋人で妊娠中のモリの存在はどうするのか?って話になるが、恋人の妊娠を知らないコスギは行く事を決意する。コスギの喜びもつかの間、管理官は「コスギさん以外の移民候補者5人が移民選出されました。」と神のお告げのように報告する。何故???と誰でも思うが、コスギは地球に残り、恋人と幸せに暮らしたとさ・・。
そんな物語。終わってみれば「なんじゃー、そりゃーーー!!」(名言!)ってな感じ。この物語を「3300円払ってでも是非に観に行きなさいよ。」とワタクシには言えないです。自分とユーザーを騙す事になるから・・。
満足度★★★★
面白い!(^0^)
元々、ダンスは良く解らない、ってか勉強不足で苦手な分野なのだけれど、これは面白い!ダンス的演劇(テアタータンツ)」ってことらしいけれど、セリフはなくてもパントマイム的な要素も加味されて家族の情景を存分に表現してた。こういった解り易い物語性のあるダンスなら、次回も観たい!と思った。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
舞台は1組の夫婦がいる。やがて子供が次々と登場し、やんちゃな子供を両親があやす風景を表現する。そのあやし方は夫婦の絆とか、家族の絆とか、血の繫がりを感じて、実に美しい風景だ。ああ、こうして家族って構築されていくんだな。って無性に感激する。同時に家族っていいな・・。と思う。
子供3人と父母の5人の家族は朝の食卓の風景や、子供たちが大きくなって洗面台の取り合いのシーンをも写す。テーブルをスクリーンにして家族の記念写真を描写する場面も素敵だ。そうして舞台のバックに設置されたループ状の白いセットを同じようにスクリーンに見立て映し出す画も面白い。
家族は紆余曲折を迎えながらも、しっかりと繋がって離れない構図が素晴らしいと感じる。ある意味、理想だ。全体的な物語で見せる母の強さにも痺れる。確かに家族にしか見せない、家族しか知らない態度や風景があって、だからこそ家族はいつでも安心して帰れる場所だ。なんとなくホッとできた空間だった。
アフタートークでの長谷川のしゃべりが実に面白い。甥の誕生で自分が王者(長谷川は末っ子らしい)だった家族の構図が陥落し、崩れた様子は可笑しい。そして何よりも家族に話すように口汚い言葉で友人に話すと嫌われる事件など、長谷川の独演会を開催したら面白そうだ。という事実が解ったのは収穫だった!(^0^) なんだこいつ、面白いゾっと!!
満足度★★★★★
アンデルセンのようなファンタジー
ダンテ『神曲』をモチーフに。とあるがたぶん、地獄篇だと思う。
ものすっごく面白い!スペインの洞窟を思わせる地下の空間での舞台。地下という立地条件が自然の音響効果を表してキャストらの歌やセリフや楽器が心地よく響く幻想的な世界だった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
ライモンドとその妹・ミズーリはトロカデロという猫を飼っていたが、この猫が餌を食べそして人間も食べ、いろんなものや出来事を飲み込んで獣と化す。気がつくとトロカデロは深い森の中におり、森の神聖な泉を守る門番となっていた。
ライモンドは妹・ミズーリの為に森の泉に水を汲みにいくが肝心の泉は獣の腹の中にあるという。泉を求めて来る人々を獣が喰らい、世界の様々な出来事をも飲み込まれていたのだった。しかしライモンドは病気になったミズーリの為に「リーバ」を飲ませてやりたいと願う。そして意を決したライモンドはギュー!と鳴く獣の口から胃の中の泉を求めて飛び込むのだった。
舞台は獣の腹の中。この時点で観客もろとも胃の中に居るように錯覚させる演出はお見事!そうして、ダンテの「地獄篇」を読んだことのある方なら気付いたと思うが、ワタクシ達観客は同時に地獄の門をくぐって地獄の底にまで降り、死後の罰を受ける罪人たちだ。もう、この感覚、表現方法は脚本・演出した伊藤靖朗の計り知れない頭脳に心服する。そうしてどうだ、この茶目っけな試みは!笑) 確かに人間は生きてるだけで罪人だ。そうして観客も罪人だ。笑)
この仕組みに気がついた時にはワクワクドキドキの連続で、そうして可笑しくて堪らなかった!獣の腹の中にはライモンドよりも先に調査隊として活動しているトロとルビィが居た。後にトロは獣のトロカデロと判明するが、こういった童話的な解釈も楽しい。トロ役の川根有子が相変わらずの毒の効いたパンチを魅せる。彼女の素晴らしいところは声だ。地の底から這い上がってきたように響く低音量の声とその存在感は威圧感さえ覚える。素晴らしい演技派の女優だと思う。
ライモンドにトロは悪魔のような声で伝える「泉を見るがいい。心の奥底に隠した出来事を見る事になる。水鏡にお前の嘘が映るのだ。」と。 ライモンドは両親の事でミズーリに言い含めていた嘘について考える。ママはアイツらに犯されて生まれたのがミズーリだった。そうしてパパは殺され、ママはゆりかごに赤ん坊を置いて居なくなった。ライモンドはこの秘密をミズーリに打ち明けようと決意する。そうして出口はトロの口だったと解り脱出する。ここで「地獄篇」での罪人が罪を償って上に行くシーンと重なる。
素晴らしいと心底、思う。1時間という時間がひじょうに短く感じられたが物語は完璧に収束し、なによりも観客を巻き込んでの舞台化は全ての空間が調和し地の底の異空間そのものだった。キャー!次回も観たい!(^0^)
満足度★★★★
どこかホッとできる作品
とある田舎の駅・待合室での出来事。大雪のため電車が不通になり待合室で足止めされてしまう人々。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
シャンソン歌手とそのジャーマネ、そして空き巣で逮捕された男と刑事2人、男女3人の旅行客、そして10年前の彼との約束を信じ待ち続ける女。これらが絶妙に入り乱れる人間関係だったが、駅長の緩いの~んびりしたトークがどこか癒される。全体的にコメディだが、ここには温かな温度のある芝居があった。
特に湊(シャンソン歌手)演じる聖子が魅せる。彼女の演技力のある表情と、独特な雰囲気にヤラレル。毒のあるシャンソン歌手だが人情味のある設定を完璧に演じていた。そして駅長。
大きなうねりもインパクトもないが、どこか癒される物語だ。たぶんソレは、少しずつ関わり合った人たちが彼らの為に持ち合わせる気遣いという心だ。笑える箇所はかなりある。それと同時にホッとする物語だ。
満足度★★★
フンコロガシのお話
以前「網膜火傷」の蟻地獄にはまった蟻の物語を観たが、ソレと似たような空気感。なんでフンコロガシにしたのかよく理解できないが、蟻もフンコロガシもせっせと働くという意味では似たような昆虫だ。
舞台はでーーーん!!と大きなフン、つまりは、うんこがゴロリと点在する。舞台の半分以上はフンコロガシよりも大きなうんこの数々。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
いったい「RAFT 」が何処にあるかで迷う。迷いに迷って京王タクシーに乗るも、これまたドライバーが良く解らない状態!(苦笑!)
当初、「解りました」とは言ったものの、なんだか、乗車して10分も走ってる。いあ、オカシイでしょう?歩いて8分って書かれてあるのにタクシーで10分って・・。普通2分ぐらいで着くんじゃないの。って文句を言ったら、そこで引き返す。(何だよソレ!)
どうやら、ワタクシの携帯画面の画像が見え難かったらしく、いやはや、そこから大変でした。きょうびのドライバーって地理を知らないんだね。ナビに設定したものの、結局薬局、それでも迷う。で、二人で近辺の聞き込みに。笑
結果、「RAFT 」の前の大使館の受付で聞いたものの、「ここは2丁目なのでもっと先です。」と言われまた迷う。こんな目の前にあったのに!(・・:)
さて、舞台。標本にするためにフンコロガシを採取する人間とフンコロガシの一生を描いた物語。「網膜火傷」のときも感じたことだけれど、ここの脚本家って、闇を表現する物語が好きらしい。今回もフンコロガシというコミカルなネーミングを持った昆虫とは裏腹な設定。結局人間に採取されるまでにうんこの取り合いをして、それを喰らい、成長するまでに人間と同じように雑多な事を考え悩み、自分の良心とそうでない部分でモガキ、交尾して身ごもり卵をうんこに産みつけ、産んだら産んだで死んでしまうという循環でした。
キャストらがうんこを抱いてそれを喰らうシーンは実に匂いたつエグサ。役者って凄いよね。しかし、物語そのものはあまり好きではない。フンコロガシって確か、エジプトの国虫だったような?エジプトに行くとフンコロガシがアクセサリー売り場でも幅をきかせ、お土産やさんでもフンコロガシが勢力してました。で、興味深々でフンコロガシのネックレスを購入しちゃったワタクシは日本に帰国して「えー、なんでフンコロガシなのー、きもいーー!!」って言われ二度とつけてません。淡い思い出です。
【注】文章中、読みずらい箇所がございます。うんこという単語をフンに置き換えて頂きますとすんなり入れます。またはピー!と自分で言いながら読んでください。
満足度★★★★★
確かに異種格闘技戦でした。
第二次大戦時、満州に実在した「731部隊」の生き残りと、戦後未解決事件としても有名な「帝銀事件」を絶妙に絡ませた物語。キャストの演技は非の打ちどころがなく完璧!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
1948年。廃墟と化した旧陸軍軍医学校跡地での7人の男たちの会話劇。
かつて彼らは大陸にて丸太と称する、生きてる人間・3000人を研究の材料として人体実験をしていた。この人体実験をしていた医師ら6人と当時の衛生兵の犯した罪を会話劇の中で追っていきながら、過去の物語を組み立て、現在のお互いの立ち位置をそれぞれが見張る、という筋。
生きてる人間を麻酔もせずにのど仏から臍までをメスで切り裂いて臓器を一つずつ取りあげて、重量を計測して実験した成果や、瓶に収めて標本にした経緯なども表現する箇所があり、案外エグイ。しかしこのエグサはやはり必要な表現だろうと感じた。そのくらい、残酷で悲惨な実験だったのだ。そんな実験を繰り返してきた6人の医師たちは「あの施設は最高だった。設備も頭脳も。殺人じゃない、実験だ。全ては今後の医学の進歩のためにやった。」とのたまう。彼らはその事をずっと秘密裏にしてきたが、池袋の銀行を襲って12人を毒殺した事件から急展開する。その犯人はこの中に居るはずだと、お互いがお互いを勘ぐる。
物語は始終、シリアスな展開のみ。緊張の連続だった。それぞれの心理的追求とお互いが罪の意識を感じながらも、それを認めることをしない。認めてしまうと一気に崩れ落ちてしまうだろう精神が寸分の差でそこに実在するからだ。金の為にGHQの命令に自らの魂を売った辰沢。細菌兵器や非加熱製剤を絡ませながら、物語は終盤、一気に結果が出るが、その収束の仕方が実にお見事だった。序盤から終盤まで瞬きも出来ないほどのめり込んだ。まさに張りつめた舞台だった。大絶賛!
満足度★★★★★
女ふたり
筋は説明にあるから、想像はつくだろうと思うけれど、とにかくコメディ!(^0^)
父親の不義で生まれたエレンヌこと川崎清美が頑張った~!!生パンツ見せまくり。イッチャッテル役をよどみなくコナシとにかく笑った。喪服というイメージから感じる湿った風景はどこにもなくコメディバリバリの展開!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
「嫁いらずという小説を書いて死んじゃった父の葬儀での物語り。
とにかく登場人物の全員のキャラクターが楽しい。愛人・与謝野秋子の登場で、「こんな人の何処に惚れる要素があったのか。」と呆れる妻に、「貴女じゃ狂えなかったということじゃないかしら。私、こうみえてアレですから!」と爆弾を投下する愛人!
一方で長女の離婚した夫が現れたり、葬儀屋やスターを物語りに絡ませて舞台を飽きさせない。物語の大半は妻と愛人のそれぞれの立ち居地と故人の愛し方を主軸にまわす。愛人が放つ「あの人は罪悪感よりも無益な生涯を送る事を恐れた。あなたのように綺麗だけで崩れたことのない妻だったから、あの人は外に愛人を作ったのだと思う。あの人は小説家なんですから、もの書きには刺激がないと。男の人は退屈を一番嫌うんですよ。」と妻にのたまう。
なるほど・・、と感心する。いあ、感心しちゃイケナイんだけどね。愛人には愛人の言い分があって妻を唖然とさせる展開もあるが、そんな愛人を憎らしいと感じ、妻は一時壊れかけたのもつかの間、愛人の話を聞くうちになんとなーく、ほだされてしまうのだ。これらをコミカルに描く。終盤、妻が愛人に「ぶざまに老いていったら許さないから。」という場面でホロリとするも、殆どがハイテンションで魅せる。
長男が隠し子とHしちゃう展開などはありえない。ありえないけれど、そんなのどーだっていい。だってコメディなんだもん!(^0^)
川島清美のサービス満点の生パンツは良かった!見せパンかもしれないけれど、パンツに見せパンも何も関係ないよね。だってパンツはパンツでしょう?笑
とにかく楽しい!安藤純のスターっぷりぷりも見もの!(実はコイツも隠し子)
満足度★★★
なんか・・・、ものすっごく書き辛いけれど
もう、こんな出だしは、この後のネタばれBOXを開けるのが恐い!なんつって劇団サイドは冷や汗ものだけれど、とにかく時間の長さを感じた舞台。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
客席はとにかく大入り満員!そんなだから期待に胸トキメイチャッテ、まるで恋人に逢いに行く時の胸高まりよう!(実際のバストではないです)
しかも、しかもだよ、ライオンキングみたいなファンタジックな獅子も登場しちゃうのだから、「をを~~!!!、これってワタクシ好みじゃん!」なんてお目目パツクリ!この場面での音楽といい、演出といい、パッショナブルで妖しくてサイコーでした。
ところが・・・、芝居が進むうちになんだかシーン・・・、役者セリフる。そしてシーン・・・、またまたセリフる。そうしてシーン・・・。
物語の展開が遅いのが気になってるところに、それに輪をかけて客席後方からオヤジの鼾や寝言が聞こえてくる。しかも一人じゃあない!(苦笑)
完全に爆睡モードでファンション界ならモードっていうとおっされ~な感じだけれど、この展開のモードはちと違う!
やっぱ、あれよね。観客を寝させちゃあ駄目だよね?確かに眠くなるスローモーな舞台。演出的には細かい描写まで丁寧に見せたかったのだろうけれど、物語の確信にたどり着くまでがとにかく長い。
物語の筋は、ある人の良い娼婦が男に騙された揚げ句、金をも取られてしまう。絶望し傷つきながらも立ち直り、そしてまた騙される。それでも男を追いかけるカビリア(浅野しづか)を情けなく思い、まったく、男ってヤツは!などと心のうちでオスカル(秋山秀樹)とジョルジョ(高橋壮志)をドツク!笑
マチルダ(娼婦のおばあさん)こと倉橋りょう子は物凄くインパクトがありました。ダンサーのEIKOとYUKAのダンスは美しく妖しくて見事だった。全体的な構想をもっとコンパクトにしたほうが良かった気がしたのだけれど、いかがでしょ?物語はありそなお話。
序盤の出だしの情景をまんま突っ走ってくれたならファンタジーな世界にのめり込めたと思う。次回に期待。
満足度★★★★
すれ違い
自分は愛されてないんじゃないか?相手を想えばこその心の機微だ。だから、久瀬道明と長澤晴海のとった行動もなんとなく解る。そんなだから、当初、「きゃー、結婚てメンドクサイな」なんて思ったけれど、観終わってみると「結婚もいいもんだ。」って思った!笑
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
文月堂の舞台は「長男」から観てるが、今回の物語が一番良かった。終盤、シリアスな場面はあるものの、殆どが楽しくコミカルな芝居だ。コメディかと勘違いしたくらい。実際、コメディだったのかもしれない。笑
「喫茶久瀬」の店長は妻の不倫現場を目のあたりにして離婚を決意する。妻の言い分は「貴方は私を見てくれなかった。私を抱いてくれる人なら誰でも良かった。」とのたまう。不倫現場を押さえられた時に言う妻側の決まり文句だ。これって、一種の呪文だよね~。笑
一方、突如として30年ぶりに店長の失踪した父親が帰ってくる。店長は今は亡き母親や自分が味わった苦労を回顧すると勝手に蒸発した父親を許すことは出来なかったが、店のバイトとして雇う事に同意する。
この間、詐欺師やら、バンド仲間や、キャバ嬢、音楽事務所の社長、バイトらが、喫茶店に出入りしながら場を盛り上げる。コミカルな場面があちこちに散りばめられて観客を飽きさせない思考だ。こっちの席ではキャバ嬢と社長が、あっちの席では強面の詐欺師が、その顔に反して犬のオモチャをいじくってる!笑
そんな賑やかな喫茶店では店長の父親が息子の離婚の危機を救おうと努力し、かつての自分が失踪した理由をも息子に打ち明ける。その内容とは、千恵子(店長の母親)との間に生まれた子が自分の子ではないと知ったときに、「俺は全然、愛されていない。子供の父親が欲しかっただけ。」こう思うと心がもやもやしてここに居られなかった、という。
通生の妻と同じ心境だった。愛は惜しみなく捧げるべきだし、愛を惜しみなく伝えればいいのに、人間ってやつは中々、愛を表現しないものだから、心の隙間に疑心暗鬼という怪物が巣食うんだよな~。なんつって観ながら思う。笑
結果、ハッピーエンドで終盤を迎えるのだが、そこまでのエピソードも素敵だった。楽しい舞台。
満足度★★★★
男はペット
こう考えるとすんなりと三姉妹の心のうちが紐解ける気がする。全体的に笑いは少ない。ダークコメディとかホラーコメディというよりミステリと感じた。ワタクシの好きな作家・今邑彩がこのような作風だ。
三姉妹の犯罪の真相は観客の案に相違してこちらの予想を逆手にとるようなどんでん返しだ。「ミステリはこう書け」というお手本のようなもので、物語の構図が暗く反転する結末は何とも苦い余韻を漂わせる。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
舞台は遊覧船。ここで三姉妹が働き、船のオーナーとも姉妹は20年もの間、関係を持つ。三姉妹は仲がいいというより同じ趣味なのだと思う。
次女の同級生だったオーナーは頭が良くて経済も申し分はない。三姉妹はそんなオーナーの虜となって次々に関係を持ち続けるがきっかけを作ったのはオーナーの坂口だった。そんな状況を三姉妹は知ってて知らないふりを決め込んで坂口を共用する。遊覧船は年々、利用客が少なくなって坂口の経済的援助が無かったら三姉妹は生きていけないからだ。
一方、坂口は一週間のスケジュールを順番に三姉妹にあてがい、経済的にも援助をし、それぞれにコソコソと嘘をつかなくてはいけない状況を辛いと感じるようになる。「自分はこの三姉妹と切れる為に三姉妹とまったく関係のない女性と結婚をし家庭を持ったはずではなかったか?」と自問自答し、そうして坂口は意を決して三姉妹に別れを告げる。
しかしこの時点で坂口はもはや囚われの身だった。目の前は海、後三方は三女に囲まれて、坂口はいつしか囚われの王女のような気分になっていたのかもしれない。笑
悪魔との付き合い方は適当なところで腹を括らなければならないが、この部分で坂口は誤った。そんな誤った坂口にドラマチックな展開はない。
別れを告げられた三姉妹は一時、お互いを詰り合い罵倒し敵同士のように仲悪くなるが、お互いの中で何かを結託し何かを履行し何かの目標を掴んだ時にこの三女らの関係は復活する。そうして催眠術師のような気味の悪いほど柔らかな口調で何事もなかったように操縦士に「旅行に行く。」と告げ、休みをとらせるのだった。
その間、操縦士(園田)は坂口に三女を好きになった事を相談する。坂口は付き合いのノウハウを園田に伝授するも、三姉妹の関係を園田に打ち明ける。そうして「ここの姉妹は恐いんだよ。それぞれが別の態度で近づいてくる。逃れられないんだ。」と蛇に睨まれた蛙のごとくの心境で怯えるのだった。
やがて・・・湖の彼方、龍の牙の話をもじりながら三姉妹は月を眺め、そうして漬物石やロープの話をする。楽しそうに誰が何を買ってくるかなどと話す。その内容は坂口を湖に沈ませた内容だ。まるで童話でも読むかのようなおしゃべりだ。彼女らの中ではメルヘンだ。このメルヘンには終わりはない。そして次のターゲット、園田に乗り換えた三女らは「園田君もいつかは湖に逃がしてやらなきゃならないでしょ。」とのたまう。
その三姉妹の表情は月明かりの中、満足そうだった。
完全犯罪の物語。
失礼な話だがキャストの三姉妹に魅力がなかった。なんだろ?普通すぎて男が手玉にとられるような容姿ではないのだ。(すみません、正直で。)
完全にキャストミスだと感じた。男を手玉にとるオーラがないんだよねー。
一人は鼻の穴が大きくて顔が四角くてカバみたいだった。そんなだから、物語と登場人物に違和感があって、すんなり入れなかった。別のキャストだったなら、また違ったかもしれない。ホントすみません・・。