『トロカデロ・ライモンド』!!実験終了☆次回は6月中野ポケットにて初の音楽劇『巨人達の国々』!! 公演情報 舞台芸術集団 地下空港「『トロカデロ・ライモンド』!!実験終了☆次回は6月中野ポケットにて初の音楽劇『巨人達の国々』!!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    アンデルセンのようなファンタジー
    ダンテ『神曲』をモチーフに。とあるがたぶん、地獄篇だと思う。
    ものすっごく面白い!スペインの洞窟を思わせる地下の空間での舞台。地下という立地条件が自然の音響効果を表してキャストらの歌やセリフや楽器が心地よく響く幻想的な世界だった。

    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX

    ライモンドとその妹・ミズーリはトロカデロという猫を飼っていたが、この猫が餌を食べそして人間も食べ、いろんなものや出来事を飲み込んで獣と化す。気がつくとトロカデロは深い森の中におり、森の神聖な泉を守る門番となっていた。

    ライモンドは妹・ミズーリの為に森の泉に水を汲みにいくが肝心の泉は獣の腹の中にあるという。泉を求めて来る人々を獣が喰らい、世界の様々な出来事をも飲み込まれていたのだった。しかしライモンドは病気になったミズーリの為に「リーバ」を飲ませてやりたいと願う。そして意を決したライモンドはギュー!と鳴く獣の口から胃の中の泉を求めて飛び込むのだった。

    舞台は獣の腹の中。この時点で観客もろとも胃の中に居るように錯覚させる演出はお見事!そうして、ダンテの「地獄篇」を読んだことのある方なら気付いたと思うが、ワタクシ達観客は同時に地獄の門をくぐって地獄の底にまで降り、死後の罰を受ける罪人たちだ。もう、この感覚、表現方法は脚本・演出した伊藤靖朗の計り知れない頭脳に心服する。そうしてどうだ、この茶目っけな試みは!笑)  確かに人間は生きてるだけで罪人だ。そうして観客も罪人だ。笑)

    この仕組みに気がついた時にはワクワクドキドキの連続で、そうして可笑しくて堪らなかった!獣の腹の中にはライモンドよりも先に調査隊として活動しているトロとルビィが居た。後にトロは獣のトロカデロと判明するが、こういった童話的な解釈も楽しい。トロ役の川根有子が相変わらずの毒の効いたパンチを魅せる。彼女の素晴らしいところは声だ。地の底から這い上がってきたように響く低音量の声とその存在感は威圧感さえ覚える。素晴らしい演技派の女優だと思う。

    ライモンドにトロは悪魔のような声で伝える「泉を見るがいい。心の奥底に隠した出来事を見る事になる。水鏡にお前の嘘が映るのだ。」と。  ライモンドは両親の事でミズーリに言い含めていた嘘について考える。ママはアイツらに犯されて生まれたのがミズーリだった。そうしてパパは殺され、ママはゆりかごに赤ん坊を置いて居なくなった。ライモンドはこの秘密をミズーリに打ち明けようと決意する。そうして出口はトロの口だったと解り脱出する。ここで「地獄篇」での罪人が罪を償って上に行くシーンと重なる。

    素晴らしいと心底、思う。1時間という時間がひじょうに短く感じられたが物語は完璧に収束し、なによりも観客を巻き込んでの舞台化は全ての空間が調和し地の底の異空間そのものだった。キャー!次回も観たい!(^0^)


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    2010/03/09 15:59

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