『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』
ロズギル上演委員会
OFF OFFシアター(東京都)
2015/05/04 (月) ~ 2015/05/31 (日)公演終了
満足度★★★
ハムレットのスピンオフ舞台
ハムレットに登場する端役2人の話。
前半お笑いコンビによるコント芝居を見ているような感覚から、登場はするけど客前には現れない主人公達に翻弄された2人の、次第に視点が「死」の不条理感に入り込んできてから面白さが出てきたような。
モジョミキ同様2人芝居だが、さすがにその場で演じ分けは出来ず、今回は黒子も活躍する手作り感溢れる見せ方。
公演後半に見たらもっと印象が違っていそうな舞台だった。
感想アンケなし。約100分。
正しい教室
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2015/04/02 (木) ~ 2015/04/19 (日)公演終了
満足度★★★
かつて教育者だった人と現在先生になった元生徒
良い子悪い子普通の子が反面教師から受けた基本的教育、成人した今の生活の常識と逃げたくても逃げられない生きる闇と積み重ねの嘘。都合の悪い事は責任転嫁して誰かを悪者にして楽になりたい人。気分が重くなる中、番長とガリ勉と一緒に水本くん提供のキリマンジャロの水を飲みたい。とても笑えない雰囲気にハマるのに、その空気をひっくり返す能力のある水本くんがいい存在。あの先生のルックスと対応なら父兄(主に母)に人気あるのもわかる気がする。
ただ、見終わった時に劇団の過去公演を手直しした印象も思い浮かべた。
禁断の裸体 -Toda Nudez Será Castigada-
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2015/04/04 (土) ~ 2015/04/25 (土)公演終了
満足度★★★
娼婦と聖女は紙一重
60's有名ブラジル戯曲らしい、南米の乾いた空気感は日本の多湿で大きい劇場空間には不釣合な気も。宗教観がちと薄い気もするし娼婦の割にどこかしら(演じる女優さんの)品の良さも感じたり。裸体頻度高いけど、昨今の風紀事情を鑑みて裸になるけど乳首露出は控えめ演出?
3人の叔母の性格バランスの良さと休憩前の木野さんの絶叫が劇的過ぎて面白かった。親子の間を繋げていたものが欠けてからのバランス崩壊と愛憎まで凝縮した舞台だったけど、まーなんつーか、南米!って感じ。tptが健在だった頃に見たかったな。
フライヤー写真から想像できるように、肌露出多め、また性描写に抵抗ある人にはオススメ出来ない舞台です。
追憶のアリラン【ご来場ありがとうございました!】
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2015/04/09 (木) ~ 2015/04/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
思いつく言葉がすぐには見つからない
終戦間際の日本統治下にあった国。今回も展開は重い。
真面目に生きているだけなのに、それを粛々と受け入れる覚悟に、こちらは見守るだけしか出来ず、結審後の行く末から噎び泣きだった。
何も気にせず明日の事を考えられる世の中は良き時代なんだよなぁ。
役者さん全員素晴らしかった。階段の組み合わせのセットも面白い見せ方でした。
約135分。
さいたまネクスト・シアター第6回公演 『リチャード二世』
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2015/04/05 (日) ~ 2015/04/19 (日)公演終了
満足度★★★
登場人物に追いつけず残念。
今回の登場人物が成長して、あの作品のあの舞台に繋がる、と頭では理解していたつもりだったのに、途中からごっちゃになってしまい、そこらへんは考えるのをやめて観劇。
「コ」の字型に配置された観客席、どこから見ても見やすそうな自由席。正面階段使いの場面があると予想し、サイド席の上方より観劇。
紋付羽織袴に黒留袖と燕尾服、きっちり正装で踊るタンゴの妙。
〜家の羽織袴と留袖の家紋はやっぱ一緒なんだろうか。どうでもいいか。
イザベル王女と侍女たちの場面で、侍女たちが横一列に並ぶ姿は、留袖姿なのに屏風絵みたいだった。
ネクストシアター恒例、今回も直前まで確約された配役はあまりなく、役によって日替わりキャスト。これまでの出演作に比べると出番が少ないな、と残念に思えた役柄の役者さんもいたのだが、切磋琢磨と競争を煽る蜷川さんの手法を思えばしょうがないのかな。
ネクストシアターとゴールドシアターの老若男女70人以上の役者が混在する配役の中、息子可愛さのあまり口喧嘩する夫婦にはつい笑った。
大河ドラマ的な話なのでシェイクスピア歴代作の詰合せ的な内容の印象を持った。場面によっては存在の薄い冠王に見えた感じ。
長丁場でほぼ会話中心の舞台だが、セリフ廻しがたどたどしく聞こえる役者さんがいたのも残念。生身の人間がやる舞台、疲れもピーク日だったんだろうか。
鑪―たたら (残席僅か)
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2015/03/20 (金) ~ 2015/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白かった。
山路氏山本氏が早船作の舞台に出るという事で、かなり期待して見たら予想を上回るええ舞台でした。
最後のあの場面はとても美しく、まるで名画を見ているみたいで終わった後もしばし見とれてしまった。
息子役、石母田さんの2役変わり身も巧みだわ、横堀さんのおっさんなのに弟的な可愛さとか。「鑪」ってそういうことだったのか、と理解。昭和のお茶の間劇では各自、適役すぎて笑った。
約2時間。
悪い冗談
アマヤドリ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2015/03/20 (金) ~ 2015/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★
隙のない舞台
作家ご本人が指摘の通り、当初のあらすじ説明とはかなり方向転換していたが、「悪と自由」のテーマは伝わってきた。
三部作の完結編、今作だけしか見てないが、これはこれで独立した舞台と思った。あ、過去のあの話や実験部分は前2作とリンクする部分もあったのかな‥?
社会的なテーマを扱っているけど、結構内容は重い。が、若いパワーが溢れ、舞台出演者の同世代が見たらもっと惹きつけられそうな魅力が溢れていた感じ。
「東京」が舞台だが、この舞台では「TOKYO」と例えたほうがしっくりきそうな、過去と現在と未来の異空間を漂うような話だった。
陸橋セットと光の演出も印象に残る。毎回見応えある群舞、今回のダンスは特に好き。自分で踊るとふしぎなおどりになってMP減らしてしまうのが悲しいが。
約110分。
誰も見たことのない場所2015
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2015/03/13 (金) ~ 2015/03/19 (木)公演終了
満足度★★★★
最終日観劇
自殺がテーマ。観客をインタビュアーに見立て展開する「ドキュメンタリー芝居」というものらしい。
白い樹木が林立している舞台上に棺桶のような物体、樹海のようなステージに様々な要因でそれに至ろうとする者、捜索で関わった者等、舞台上にはエピソード毎に演者も変わる。
聞いててシンドくなる話もあったが血の通った前向きな舞台だった。テーマに沿ったと思われるムービングも分かりやすく、見応えがあった。
藪原検校(やぶはらけんぎょう)
こまつ座
世田谷パブリックシアター(東京都)
2015/02/23 (月) ~ 2015/03/20 (金)公演終了
満足度★★★★
面白おかしく
コミカルなところはとことん滑稽に。杉の市のモノマネショー的な話芸はどうなんだろうと思ったけど、ウケてたからいいか。
杉の一の母、明星さんや、盲太夫の語り部、山西さんが特に良かった。
ラストの狂乱具合は享楽にも見て取れるが、なんかあればすぐSNSにupする現代も同じようなもの。この描写が嫌悪に見られるか娯楽として見るか判断が分かれそうだけど、今回もキレッキレの風刺が効いた舞台でした。
砂の骨
TRASHMASTERS
シアタートラム(東京都)
2015/03/06 (金) ~ 2015/03/15 (日)公演終了
満足度★★★
変わり目なのかな
4年前の震災後からの話。
健康で文化的な最低限の生活を維持したいが労働、経済、困窮と弱者を取り巻く環境は這い上がるシステムすら見当たらない。今迄通りの骨太な内容だけど、過去作の抉られるような感覚にはならず。
なんか新人役者お披露目的な割合も多かったのかな。新生トラッシュマスターズの舞台を見たって感じでした。
結びの庭
森崎事務所M&Oplays
本多劇場(東京都)
2015/03/05 (木) ~ 2015/03/25 (水)公演終了
満足度★★★★★
ミステリアスな愛情
嘘を言うつもりではないけど、全ての会話が本音とは限らない。成熟した知性はあっても真実を理解し合うまで男女の愛憎は複雑なのな。
久々の二枚目な役者宮藤さん見られて嬉しく、またある意味狂言回し的な玉恵さんも達者で可愛い、つーか全員良かった。
舞台セットは前回の「水の戯れ」のリサイクル活用みたいだったけど、「庭」と相まっていい雰囲気の部屋だった。
今回の岩松作品かなり好きw、面白かった!
家族
オーストラ・マコンドー
吉祥寺シアター(東京都)
2015/03/05 (木) ~ 2015/03/15 (日)公演終了
満足度★★★
映像と舞台の「間」の歪み
小津映画を元にしてる為か全体的に緩やかな流れ。設定は現代だけど言葉使いや接する態度がたおやか。映像で見ている分の時間的な「間」はさほど苦にならないけど、この舞台についてはその「間」があまり生かされてないような気がした。
高台の舞台セットなので前方より後方席から見たかったかな。赤いヤカンはここでも目立つ。
約2時間10分。
カタルシツ『地下室の手記』
イキウメ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2015/02/25 (水) ~ 2015/03/09 (月)公演終了
満足度★★★★
ぼっちの主張
舞台上には主人公一人なのに、10人近くの登場人物が出るわ出るわ。ネットの向こう側と観客。
年齢的に孤高の中年が発する罵詈雑言から一言一句まで、終いには予想外に響いてくる。世の中、情報過多だし意見左右されやすいし生きづらいわなぁ。
安井さんの役者の力量も面白かったです。
ペリクリーズ
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2015/02/05 (木) ~ 2015/03/01 (日)公演終了
満足度★★★
面白かった
普通に上演すれば3時間を越えるシェイクスピア舞台、その時間の長さにややウンザリし、敬遠もしていたけど、こちらの舞台は約130分と短め。
凝縮しても軽妙な展開と会話、遭難、王様姫様、神々の悪戯が巻き起こす少し荒唐無稽でハッピーエンド。
オリエンタルな踊りや、セット幕とマッチした衣装、影絵のような転換。忍さんの歌声の綺麗さと女郎屋の伸び伸びした那須さん面白い。カトケンさんの青年期から老人期までの幅の広さ、他にも有能な役者さんがたくさん出演されているが、役柄的に出演シーンのバランスに偏りあるのは致し方なし。
penalty killing【18日14時追加公演決定!!】
風琴工房
ザ・スズナリ(東京都)
2015/02/12 (木) ~ 2015/02/18 (水)公演終了
満足度★★★★
スズナリだけど霜降アイスアリーナで観劇
全ての登場人物の背景を見せており、前半は諸々の説明を丁寧にやっていたせいか中弛みみたいな印象も持ったけど、今まで「静」のイメージを持っていた風琴工房の舞台とは作風イメージを一変させた、熱くて興奮を覚える舞台でした。
芝居の設定と展開に、少年ジャンプ系の漫画が好きな人や体育系部活の経験者は特にはまりそうな舞台とも思ったけど、冷静に見ていたつもりだったのに試合の迫力から徐々に滾ってきて、観終わった後は拍手し過ぎで手が痛いっていう経験も久しぶりだし、試合中、一緒に「デーフェンス!」とか叫びたくなったw
劇団対抗俳優合戦みたいなイキの良い役者達が揃い踏みし、軽快で華麗な月光アイスバックスと奥州ファルコンズの選手達の妙技、素晴らしかったし、大変面白かったです。
監督がいかにも監督らしくって良い!そして自分がスーツ萌え派だと自覚しましたw
狂人なおもて往生をとぐ ~ 昔、僕達は愛した ~
東京芸術劇場
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2015/02/10 (火) ~ 2015/02/26 (木)公演終了
満足度★★★★
家族ごっこ
描かれた戯曲が70年代の世相風俗を反映している為、現代の感覚とは微妙なズレはあるけど、家族構成や破滅の美学の若者など、一人を除き皆狂いっぱなし。
福士くんと葉山くんのサディスティックな関係に見えるのも良かったが、初演は原田芳雄氏と古谷一行氏の兄弟だったようで、そっちもセクシーだったろうなと思ったり。
狂気と幻想と混沌とした理性、秩序に振り回された約2時間だった。
丘の上、ただひとつの家(全公演終了・ご来場ありがとうございました)
鵺的(ぬえてき)
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2015/02/11 (水) ~ 2015/02/16 (月)公演終了
満足度★★★★
血族の指輪物語
ある人物の「わかんない」と軽く言ってしまう言動や無責任な行動にはつい反吐が出そうになり、我が子に罵声を浴びさせられてもあんまり気にしていない図太い態度に自分の思考が停止しそうになった。
忍耐力は低いほうなんであんな息詰まる話し合いの場にはいたくないが。
重々しく緊迫して結末までいろんな謎が散りばめられた、色々と濃いぃ約110分だった。
三人姉妹
シス・カンパニー
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2015/02/07 (土) ~ 2015/03/01 (日)公演終了
満足度★★★
仕事しなきゃっ!
ソ連前のロシア時代、没落家庭と軍人さん「働かざるもの〜」な言葉を思い出す話。
作り手が違うと印象も変わるけど、ケラさん舞台は各人物の思惑の基準がわかりやすく見えて面白かった。
チェーホフ初心者にオススメかもしんない。
以前、ケラさんの手がけた舞台の「カメレオンズリップ」では三人姉妹に関する茶化したセリフを発していた余さんの役もちょっと頭によぎったがw、当たり前だが全くの別物。最後の毅然とした力強さは凄みを感じました。
メリハリの効いた衣装の色使いも印象に残った。
ハイバイ『ヒッキー・カンクーントルネード』
TPAM・国際舞台芸術ミーティング
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2015/02/07 (土) ~ 2015/02/08 (日)公演終了
満足度★★★★
字幕付き舞台
TPAMイベント内公演の為、舞台上にハングル語と英語の字幕付き。
ちょっとしたアレンジはあった気もするけど自宅を一歩出る決意と勇気、他愛のない日常会話が妙に聞きやすい面白さは変わらず。
公演後、通訳さん交えた岩井さんの質問ATあり。テキパキした通訳さんも見事だった。
本編約90分+(客席から質問アンケートに答える)アフタートーク約30分?
夏目漱石とねこ
DULL-COLORED POP
座・高円寺1(東京都)
2015/02/05 (木) ~ 2015/02/15 (日)公演終了
満足度★★★★
静かな舞台
静かで淡々としたペースで進み、決して静止しているような話ではないが、漱石先生の走馬灯を野良猫気分で縁側から眺めつつ、その文芸舞台を見ているような感じ。滋味深く照明遣いが派手さとは無縁だけど、印象的だった。
ステージの広さを活かすような猫まっしぐらのシーンはないけど、もう少し狭めのステージの方が見やすかったかも。
漱石先生、正岡子規さん、メス猫さんたちが印象に残った。
約110分。