悪い冗談 公演情報 アマヤドリ「悪い冗談」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    隙のない舞台
    作家ご本人が指摘の通り、当初のあらすじ説明とはかなり方向転換していたが、「悪と自由」のテーマは伝わってきた。
    三部作の完結編、今作だけしか見てないが、これはこれで独立した舞台と思った。あ、過去のあの話や実験部分は前2作とリンクする部分もあったのかな‥?
    社会的なテーマを扱っているけど、結構内容は重い。が、若いパワーが溢れ、舞台出演者の同世代が見たらもっと惹きつけられそうな魅力が溢れていた感じ。
    「東京」が舞台だが、この舞台では「TOKYO」と例えたほうがしっくりきそうな、過去と現在と未来の異空間を漂うような話だった。
    陸橋セットと光の演出も印象に残る。毎回見応えある群舞、今回のダンスは特に好き。自分で踊るとふしぎなおどりになってMP減らしてしまうのが悲しいが。
    約110分。

    ネタバレBOX

    奥の一室に若い男と女。女は途中出ていくが男はずっとそこにいる。
    公園内を走り回る男、ぶらついている男、着物姿の童女、花火を見るために集まった同窓生グループ、隣りには女子会、橋の上では今時の恋愛模様、研究室では命令と服従の実験、命令の命令。
    それは日本とアジア諸国の過去と現代の歴史のループのようにも透けて見えて来るような。

    酒宴の場面で、近隣アジア諸国から見た過去の近代日本の歴史を全く知らないごく一部のゆとり女子の幼稚な会話に、今後の日本の未来を想像したらつい憂い、でも自分たちがあの年代の時にも上の世代から似たようなこと思われてたんだろうな、己の過去を思い出し苦渋してしまった。
    戦時中、空襲を受けたのは東京だけではなく、大空襲の被害は日本各地にたくさんある。日本人は日本人でそのことをわかっているつもりだが、他国の人にはそれが理解しづらいというジレンマ。
    その国に暮らす誠意と悪意のないまぜの感情。大勢では絡みづらいが個人では絡み合っている友情。国の大罪とそれ故の悲劇。世界の国からコンニチワと言う割に時代と近隣アジアの渡り難い大河かな。
    唱歌斉唱から三波春夫の変調まで、日本の歌の豊富さにどこか懐かしさがこみ上げ、まだこの時代は輝かしい未来予想図が見えていたんだと思うと同時に言い知れぬ虚無も感じ、息苦しくなりそうだった。

    もう一度見れば、もっと深みにハマれるかもしれない。
    絶叫セリフは苦手なので、ジョギング青年の主張は少しうるさく感じたけど、いい舞台でした。

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    2015/03/23 11:28

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