OLストッキング祭り
カミナリフラッシュバックス
王子小劇場(東京都)
2009/05/16 (土) ~ 2009/05/17 (日)公演終了
モラトリアム
OFFBEAT360cc
ギャラリーLE DECO(東京都)
2009/05/06 (水) ~ 2009/05/10 (日)公演終了
満足度★★
オフビート?
オフビートが好きで、そんな作品を好んできた。
小説ならば、マーク・ストランド『犬の人生』。
映画ならば、ジム・ジャームッシュ『コーヒー&シガレッツ』。
だからこそ、Offbeat360ccという名に相応しい作品を期待していた。
作品テーマとして、目新しさは特にない。
登場人物が調子外れ(≒オフビート)な点も、落ち着いて観られる。
ダークな話題をポップに見せるという方法も可も不可もない。
ただ、80分くらいの作品を観たということだ。
作品内で『コーヒー&シガレッツ』への言及があった。
それは単なる話の部品だったのか、それとも。
もし、作者がかの作品を意識したのであれば、ちょっと違ったな、
と言わざるを得ない。
神様とその他の変種
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2009/04/17 (金) ~ 2009/05/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
他の追随を許さず。
KERA作品におなじみのオフビートな人物をそのままに、
ホラーやミステリーの要素を醸し出しつつ、物語は進行していく。
徐々にホラーやミステリーの空気は消え始め、
だんだんとオフビートな人物たちの内側が明らかになってくる。
それにしても、ここ数年のKERAの充実振りには目を見張る。
他の追随を許さぬ下さなさと真摯さをバシバシ感じさせる。
14歳の国♥KR-14【杉原邦生】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/21 (火) ~ 2009/05/04 (月)公演終了
満足度★★★
せめて26歳らしく。
こまばアゴラ劇場サミットディレクターとしての杉原邦夫。
彼はサミットを祭として捉えている。そこは私も同意したい。
そんな彼は、KR-14という同世代祭をどう遊ぶのか。
『14歳の国』という作品も相まって期待していた。
結果として、『14歳の国』という祭りがそこにあった。
「俺は14歳でキレずに、26歳で祭りしてんぞ」という昂揚感。
確かに山崎の身体からには、煽る何かがあった。
私はそのことを肯定的に語るほど無邪気になれない。
アントン、猫、クリ♥KR-14【篠田千明】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/16 (木) ~ 2009/05/04 (月)公演終了
満足度★★
そういうブログならば。
篠田千明は、「半径50メートルだって宇宙だ」という。
猫を中心に人の関係性がにょきにょきと延びていく。
そういうブログであるならば、許せるような気はする。
本作の篠田は、方法に溺れているように見える。
少なくとも、遊べていないんじゃないか。
そんな窮屈ささえ感じずにはいられなかった。
「今までも遊んでねーよ」って言われたら、頭を下げるだけですが。
グァラニー ~時間がいっぱい♥KR-14【神里雄大】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/17 (金) ~ 2009/05/05 (火)公演終了
満足度★★★★
わからぬ。
神里雄大は実際にパラグアイに住んでいた時期があり、
本作はどうしても自伝的要素を期待するし想像してしまうだろう。
そこを巧くミスリードを誘って、偽サーガを形成したことがツボにはまった。
自伝からサーガに飛ぶ時は、まさに離陸する感じすらあった。
俳優陣ひとりひとりにあからさまな見せどころがあり、そこも面白い。
前作『リズム三兄妹』が肌に合わず、本作に妙な面白さを感じ。
この人、よくわからぬ。
【筆に覚えあり入選!】家族のこと、その他のたくさんのこと
ロロ
王子小劇場(東京都)
2009/05/02 (土) ~ 2009/05/03 (日)公演終了
満足度★
作家のひとり笑い。
ほとんどまったく笑うことができず、居心地の悪い80分間。
おまけも観ずに飛び出ようと思ったが、そこは堪えてやはり居心地悪く。
「ほら、シュールで面白いコメディーでしょう」と言われて笑えるか。
そこまで私はお人好しにはなれないし、面白い時だけ笑いたい。できれば。
さらに、作家自身が笑っているのだから、もっと興醒めである。
王子小劇場は、こういった戯曲を推薦するのだな、と別の意味で感慨。
劇場に対する信頼が揺らぐには十分な作品だったと思う。
それくらいびっくりする作品だった、というのは逆に凄いかもしれない。
教訓:水を使えば面白くなるわけじゃない。
ショート7
DULL-COLORED POP
pit北/区域(東京都)
2009/04/29 (水) ~ 2009/05/06 (水)公演終了
ショート7
DULL-COLORED POP
pit北/区域(東京都)
2009/04/29 (水) ~ 2009/05/06 (水)公演終了
少年B♥KR-14【柴幸男】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/19 (日) ~ 2009/05/06 (水)公演終了
満足度★★★★★
思い出したくもないこと。
いつの間にか柴作品がカラダに馴染むようになった。
前は「自らに罰ゲームを科す演出をする人」という印象だったんだけど。
「少年B」という実に控え目なタイトルなこの作品の観劇の最中に、
私は思い出したくもない思い出をどんどん思い出した。
作品を観ながら、どこか14歳の自分を彷徨っているような気分。
実に恥ずかしい心持ちだった。
だんだん、自分にオーバーラップしていく感覚が、むず痒い。
その作品の素直さに胸を打たれた。控え目に言って。
あの頃。私もたぶん少年Bだったのです。
すご、くない。♥KR-14【白神ももこ】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/18 (土) ~ 2009/05/06 (水)公演終了
満足度★★★
残留感。
ダンスは居眠りするくらい得意ではないのだが、KR-14という祭に乗じて鑑賞。
モモンガ・コンプレックスのダンスの脱力っぷりに関して言えば、
あちらこちらで評判は聞いていたので、驚きはない。
何となく興味をそそられ笑って、見終わってしまった感じ。
残るものがないと思いきや、キャスト一人一人の顔をしっかり覚えている。
白神ももこ、なかなかに手強い。
すこし、とまる◎プレビュー公演アンケートHPに掲載中◎
蜻蛉玉
d-倉庫(東京都)
2009/04/28 (火) ~ 2009/04/30 (木)公演終了
満足度★★★★
真摯な優しさ。
「すこし、とまる」という、少し恥ずかしいタイトルだった故に、
久々の公演の不安を覚えてしまったのだが、杞憂であった。
いくつかのエピソードを上手く丸め込んだあたり、“ずるい”という
言葉が当てはまってしまうくらいだが、ずるいくらいうまい。
エピソードの折り込み方が後半にかけて絶妙なせいか。
「すこし、とまる」者と向き合った作品。また、どこかで出会いたい。
リビング(公演終了!!)
カスガイ
王子小劇場(東京都)
2009/04/22 (水) ~ 2009/04/29 (水)公演終了
満足度★★★
嘔吐2009
期待の玉置玲央主宰の劇団、カスガイの旗揚げ公演。
準備期間も長かったこともあるし、綿密に作ってきたことも伝え聞いている。
だからこそ、肩すかしを食らったことは仕方ないのかも知れない。
いや、肩すかしの後、みぞおちを押し込まれるような感覚もあった。
“気持ち悪い”というのがこの芝居の私の持った感覚だ。
他の感想を見るに、きっとその感覚は、異質なものかも知れない。
だからと言うわけではないが、多くのことを語るのはよそうと思う。
でも、せっかくなので、思ったことをちょっとだけ、ネタバレにて。
さすがに、綿密に作り込まれた芝居だけあって、クオリティは高い。
無駄な役/役者など居ようはずもないし、本当に隙がない。
隙があるとしたら、本棚の本くらいか。
四月夫人の悼辞
背番号零
喫茶茶会記(東京都)
2009/04/24 (金) ~ 2009/05/03 (日)公演終了
満足度★★
削ぎ落とした結果。
零らしさを考えた時に、難解であるとか難解であるとかあると思う。
そういった部分が取り払われてから、どうも零はおかしい。
会話劇であるからして、会話の妙を期待したが平坦な緊張が崩れず。
また、おのおののキャラクタに見合った台詞とも思えぬ部分もあり、
この作家らしからぬ気遣いの欠如に(実際に)首を捻らされた。
そういった部分をカバーすべき役者も、同じように平坦な緊張に乗ったまま。
これでは、劇的な何かを期待する術は何も無い。
1時間に削ぎ落とした結果、何も無くなってしまったような感じさえする。
零のポリシーはどこにあるのか。今こそ見つめ直すべきではないか。
学芸会レーベル♥KR-14【中屋敷法仁】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/20 (月) ~ 2009/05/05 (火)公演終了
満足度★★★★★
なんという学芸会。
リアルとフィクションのトランスが、奇跡的に成功している作品。
柴幸男が言うように「劇中劇に逃げて/落ちていない」のは見事の一言。
いつもの有象無象のリミックスについても、「おかあさんといっしょ」や童謡を
メインに据えた結果、どこまでも健全/健康的に仕上がっている。
そのトランス状況を支えるのは、骨太な俳優陣。
伊東沙保の少年漫画的な主人公、荻野友里の訳ありな悪役から、
今村圭祐の“学芸会らしい”役に至るまで、本当に献身的な面々だ。
健康/健全な部分において柿喰う客を完全に凌駕した。
中屋敷作品を観続けて10年弱。今のところの最高傑作、かもしれない。
子どもだった頃がある人ならば是非、観てほしい作品だ。
今まで観たことのない音楽劇がそこにある。
義弟の井戸
黒色綺譚カナリア派
シアタートラム(東京都)
2009/04/10 (金) ~ 2009/04/15 (水)公演終了
満足度★★★
その空気はカナリア派のものなのか。
復讐をテーマとし、カナリア派らしいじめっとした人間模様を描く。
いじめ・引きこもり・魔性の母などなどパーツはかなり魅力的だ。
耽美な世界観においては、やはりカナリア派が突出していると言えよう。
しかしながら、劇場の空気を完全にカナリア派のものにできていない。
過去の作品では、完全に劇場をカナリア派の空気に染め上げていた。
ここのところの本公演2作には、それがほとんど感じられないのだ。
美術のスケールは大きくなり、手練の役者も揃った。
それでも、ザムザの緊迫を超える作品を、未だに観ていないのだ。
“豪華さ”がカナリア派にとって良い見せ方なのか。少し疑問は残る。
うそつき【公演終了! ありがとうございました!】
ルスバンズ
王子小劇場(東京都)
2009/04/08 (水) ~ 2009/04/13 (月)公演終了
満足度★★★★
その留守番なら付き合いたい。
小気味のよいSF短篇に出会えたような気分がする。
まあ、広田戯曲は往々にしてSFであるとは思っているのだが、
今回は、「小気味のよい」というのがポイント。
広田戯曲に対するこの感覚は、正直なところ久々なのだ。
何をもって本当とするべきかという禅問答が、少しばかり
イライラとした雰囲気の中で行われる。
この全体的な苛立ちが、最後にすっと引く瞬間が素晴らしい。
4人のバランス感覚も見事なところ。
彼らの留守番に、またお付き合いしたいところである。
恋人としては無理(JAPAN TOUR)
柿喰う客
ぽんプラザホール(福岡県)
2009/03/22 (日) ~ 2009/03/22 (日)公演終了
名刺をびしっと。
東京に引き続き福岡を観劇。
劇団員だけで組まれたキャストということで更なる隙の無さを求めたが、
福岡・大阪キャストの初日ということで固さが気に掛かった。
それでも、福岡に柿の名刺を受け取ってもらえたのではないかと思う。
ゲストキャストの川口大樹が好演。
熱さと涼しさを併せ持った感じは、「つあこん」にぴったり。
※開演より10分遅れて入場したため、評価は控えさせていただきます。
ストーン夫人のローマの春
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2009/02/28 (土) ~ 2009/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★
世界初演の首尾。
世界初演が日本ということに、なかなかに興奮させられたので観劇。
アッカーマン。いつまでも日本にいて欲しい演出家の一人だ。
カレン・ストーンが徐々に恋に溺れる様を麻実れいが好演。
愛人役のパク・ソヒはもはやアッカーマン作品に欠かせぬ存在だろう。
そして、胡散臭い作家・今井朋彦が、小気味よい。
何と言ってもアッカーマン演出はアンサンブルが生きてこその感がある。
必要最小限の人数でローマを表現していたことは目を見張る。
「ローマがそこにあった」なんて言ってしまうと大袈裟な気はするが、
何かと問われれば「ローマだったよ」と答えざるを得ないだろう。
重厚なアクリルが印象的な美術とそれに併せた照明。
それだけでも一見の価値があるだろう。
君が壊す戦争
たすいち
明石スタジオ(東京都)
2009/03/12 (木) ~ 2009/03/15 (日)公演終了
満足度★
ベタ上等。
受験(現実)とネットゲーム(仮想)をクロスオーバーさせ、
主人公が現実を取り戻していく1年間を辿る。
2つの戦争をクロスさせる手法はベタであるが、ベタ上等である。
90分の脚本で、話が走り出すまで60分。
後半が面白みを増すだけに、エンジンの掛かりが遅すぎる。
エンタテイメントを謳っている団体としてこれは辛い。
(正直、60分の時点で観劇自体を放棄しようとすら思っていた)
役者は時折まぶしいものを感じられ、希望を持てる。
以前観た時と一番違った印象を感じられたのはこの部分か。
ただ、もったいない使い方をしていると感じないでもない。
なお、最後列は映像等々の見切れがあり、がっかり。
キャパシティとの兼ね合いもあろうが、同じ料金を取る限り、
最大限の対策を講ずるべきではないだろうか。
(せめて説明してほしい……)
次回、新たな進歩が見えることを期待している。